モチベーションとはそもそも何か
モチベーションとは、人が目標に向かって行動を起こし、継続するための内面的・外面的な動機付けを指します。個人の価値観や興味、達成感など内発的動機づけと、報酬や評価、環境などの外発的動機づけの両方が影響を与えています。モチベーションとは何かについて、具体的に解説しましょう。
モチベーションの2つの種類
モチベーションには人の内面が影響する内発的動機づけと、外部の環境が影響する外発的動機づけの2種類があります。それぞれの特徴は次の通りです。
内発的動機づけ | 外発的動機づけ |
・自身の興味や関心に基づいて行動する ・達成感や成長が行動の原動力となる ・報酬がなくても継続的に維持できる ・創造性や自律性につながりやすい ・長期的なモチベーションの維持につながる | ・報酬や評価、罰則などの外的要因に基づいて行動する ・給与・ボーナス、昇進、賞賛などの行動のきっかけとなる ・短期的な効果は高いが、報酬がなくなるとモチベーションが下がりやすい ・競争や評価基準が行動の方向性に影響する ・維持するためにインセンティブが必要になる場合が多い |
外発的動機づけ・内発的動機づけ
内発的動機づけと外発的動機づけの意味について、もう少し詳しく解説します。内発的動機づけとは、自分の興味や興味、達成感など、内面的な取り組みによって行動を起こす動機づけを指します。例えば楽しく学ぶことができるから勉強する、成長を実感できるから努力する、といったケースが挙げられるでしょう。内発的動機づけの場合、本人の内面に関わる要素であることから、一般的に高めるのは難しいとされています。内発的動機づけを高めるには、本人が興味・関心を持っていることを中心としつつ、目標達成による充実感を味わってもらうのが効果的です。また内発的動機づけは一度高まると長期的に維持しやすいため、本人の成長や自律性につながりやすいモチベーションのタイプといえます。一方の外発的動機づけとは、報酬や評価、罰則などの外的な判断によって行動を起こす動機づけを指します。例えば昇給や賞賛を得るために努力する、叱責を減らすために行動する、といったケースが代表的です。外発的動機づけは職場からの働きかけで高めやすく、即効性が高い傾向があります。しかし外発的動機づけはメリットによってモチベーションを上げる方法であり、長期的にモチベーションを維持するのには向かないとされています。
モチベーションが重要視されている理由
モチベーションは、個人や組織の成果を最大化するための重要な要素です。現代社会では、労働環境の変化や働き方の多様化に伴い、業務を遂行するだけでなく自発的に考え行動する力が求められるようになっています。そのため内発的・外発的動機づけを正しく高めることが、個人や組織の生産性向上につながります。さらに社会構造やビジネス環境の変化が影響し、社員の働き方にも変化が求められるようになりました。特に労働時間の増加と人材不足により、創造性やイノベーションを求められる場面が増えたことが、モチベーションの重要性を高める要因の一つとなっています。さらに心理学や行動経済学の発展により、モチベーションとパフォーマンスの相関関係が科学的に証明されたことも重要視される背景の一つです。
モチベーションを高める手法
モチベーションを高める手法については、心理学者や経済学者によりさまざまな方法が提唱されてきました。その中でも、代表的な5つのモチベーション理論を紹介します。
欲求段階説
欲求段階説(マズローの欲求5段階説)とは、アメリカの心理学者アブラハム・マズローが提唱したモチベーション理論であり、人間の欲求が徐々に構成されているという考え方です。欲求段階説では、低次の欲求が満たされることでより高次の欲求を求めるようになるとしています。
欲求の階層 | 欲求の内容 |
1.生理的欲求 | 生命維持に必要な基本的な欲求(食事・睡眠・水・空気など) |
2.安全の欲求 | 安心して生活するための欲求(住居・健康・経済的安定・安全など) |
3.社会的欲求 | 他者との関係を築く欲求(友情・愛情・帰属意識・仲間関係など) |
4.承認欲求 | 自分が価値ある存在であると感じたい欲求(他人からの評価・尊敬・自信など) |
5.自己実現の欲求 | 自分の能力を最大限に発揮し、理想を追求する欲求(創造性・成長・達成感など) |
X理論・Y理論
X理論・Y理論は、アメリカの心理学者ダグラス・マクレガーが提唱した労働者の動機づけや管理に関する理論であり、人間観に基づいた2つの管理スタイルを示しています。X理論は「人間は本来、仕事が嫌い、できる限り避けようとする」という前提に立った考え方です。そのため管理者は従業員を厳格に監督し、命令や報酬・罰則を用いてコントロールすることが必要だとする考えを基本としています。X理論には次の特徴があります。
・従業員は指示がなければ動かないため、強い制限が必要
・罰則や報酬的報酬を用いて動機づけを行う(外発的動機づけ)
・トップダウン型の管理が中心で、従業員の自主性は重視しない
・単純作業やルーチンワークに適しているが、創造性の向上は期待しにくい
次にY理論は「人間は本来、仕事にやりがいのある責任を求め、自己成長を望む」という前提に立った考え方です。Y理論では、管理者は従業員の自主性を尊重し、権限委譲や動機づけを重視した管理を行うことを基本としています。そのうえで、Y理論には次の特徴があるとされています。
・従業員は正しい環境があれば自発的に働く
・責任や挑戦の機会を考慮して成長する(内発的動機づけ)
・ボトムアップ型の管理が中心で、従業員の意見を尊重する
・創造性や問題解決能力が求められる業務に適している
X理論は工場のライン作業のようなルーチンワーク、Y理論は商品開発やプログラミングなどのクリエイティブな仕事の管理に向いているとされています。X理論・Y理論は、それぞれ異なる人間観を前提としており、組織の性質や業務内容に応じて適切に使い分ける必要があります。現代の企業ではY理論を重視する傾向が強いですが、状況に応じた柔軟な管理を意識することが重要です。
二要因理論
二要因理論(ハーズバーグの動機づけ・衛生理論)とは、アメリカの心理学者フレデリック・ズバーグが提唱した理論であり、仕事における満足と不満は異なる差別的要因によって決定されるとした考え方です。二要因理論では仕事の満足に関わる「動機づけ要因」と、仕事の不満に関わる「衛生要因」に分けて考えます。それぞれの概要、要因は次の通りです。
概要 | 要因 | |
動機づけ要因 | 仕事への満足を高め、モチベーションを向上させる要素であり、個人の成長や達成感に関わるもの | ・達成感 ・承認 ・やりがい ・挑戦 ・責任 ・昇進 ・成長 |
衛生要因 | 職場で不満に感じるものであり、環境や現場に関わるもの | ・給与や報酬 ・職場環境 ・対人関係 ・企業方針 ・管理体制 ・雇用の安定性 |
期待理論
期待理論(Vroom's Expectancy Theory)は、アメリカの心理学者ビクター・ブルーム(Victor Vroom)が提唱した動機づけ理論です。人は「期待する結果」によって行動を決定するという考え方に基づいています。期待理論では「努力→成果→報酬」というプロセスの中で、報酬を得られる可能性が高いほど、モチベーションが向上するとされます。期待理論は、「期待」「道具性(手段性)」「誘意性」の3つの要素から成り立っており、モチベーションの高さを次の式で表すのが特徴です。
モチベーション=期待性×道具性(手段性)×誘意性
期待性、道具性(手段性)、誘意性の具体的な意味は次の通りです。
期待性 | 道具性(手段性) | 誘意性 | |
意味 | 「努力すれば成果が出る」という考えを示す要素 | 「成果が出れば、報酬が得られる」という考えを示す要素 | 「得られる報酬がどれだけ魅力的か」を示す要素 |
具体例 | ・勉強すれば志望校に合格できる ・努力すればプロジェクトで成功する | ・プロジェクトの成功によって昇進できる ・成約件数でインセンティブが得られる | ・昇進によってどれだけ給与や報酬を得られるか ・キャリアアップでどんな役職になれるか |
目標設定理論
目標設定理論(Goal-Setting Theory)は、アメリカの心理学者エドウィン・ロック(Edwin Locke)が提唱した理論であり、目標の設定が人のモチベーションやパフォーマンスに大きな影響を与えることを指摘しています。目標設定理論によると「明確で正しい目標を設定することで、より高い成果をあげる」とされています。ロックは不明確な目標を持つのではなく、適切な条件を満たした目標が設定されることで、モチベーションと業績が向上することを述べました。そのうえで、次の5つのポイントが重要としています。
・目標の具体性:客観的・定量的な評価ができる目標ほど行動を促進する
・目標の難易度:努力によって達成できる目標は挑戦意欲を高め、努力を引き出す機会になる
・目標の受容(納得感):目標は本人が納得し、需要することが必要になる
・フィードバック:目標への進捗状況に合わせたフィードバックを行うことで、改善・努力が継続される
・目標の達成戦略:目標達成には具体的な行動計画が必要になる
目標設定理論は、企業の人事管理や業務、教育、スポーツなど幅広い分野で活用されている理論です。適切な目標を設定し、フィードバックを継続的に行うことで、モチベーションと成果の向上が期待できます。
モチベーションを上げる方法
モチベーションを上げる方法について、有効な施策を7つ紹介します。
職場環境の整備
従業員のモチベーションを上げる方法として、職場環境を働きやすく、不満の少ないものにすることは重要です。まず物理的にも快適な環境を整えることで、ストレスを軽減し、業務への集中力を高めることができます。例えば照明の明るさ、清潔な空間、臭い、音などの調整です。また、心理的な職場環境も重要です。上司や同僚との関係が良好で、風通しの良いコミュニケーションが取りやすい職場では、従業員が自ら人と関わり、仕事に取り組もうとします。他にも定期的な1on1ミーティングや意見交換の場を設け、従業員が安心して発言できる環境を整えることで、職場の活性化につながるでしょう。さらに柔軟な働き方の導入も、モチベーション向上に有効です。テレワークやフレックスタイム制度など、従業員のワークライフバランスを尊重する仕組みを導入することで、仕事への満足度が向上し、生産性の向上につながります。
ワークライフバランスの充実
ワークライフバランスの充実も、従業員のモチベーションを高める要素です。仕事と私生活のバランスが取れていると、心身の健康が維持され、仕事に対する努力や生産性向上につながります。例えばフレックスタイム制度やテレワークの導入により、個人の生活スタイルに合わせた柔軟な働き方を可能にすることで、ストレスを軽減し、仕事への満足度を高めることができます。また自由な働き方を選択できることと同時に、働き方に合わせた自由なキャリアプランやキャリアデザインを選べるようにすることもポイントです。特に女性従業員の場合、妊娠・出産・子育てで長期的に職場を離れることもあり、復職後のキャリアが狭まりやすいという課題があります。そのため誰もが自分の人生に合わせたキャリアを描けるようにすると、内発的・外発的動機づけとなるでしょう。さらに育児・介護支援制度や福利厚生の充実も、従業員が安心して働ける環境を整えることが重要です。
人事評価制度の見直し
人事評価制度の見直しを進めることも、従業員のモチベーションを高めることにつながります。現在の評価制度の評価項目や基準が不透明だったり公平性を欠いていたりすると、従業員は努力が正しく認められないと感じ、仕事へのモチベーションが低下します。まず評価基準を明確にし、納得できる仕組みを構築することが重要です。例えば具体的な成果だけでなく、プロセスや努力を正しく評価することで、従業員の成長を促すことができます。さらに評価結果を昇進・報酬だけでなく、スキル開発やキャリア成長の機会と結ぶことで、従業員は長期的な視点で努力を続けやすくなるでしょう。また具体的な人事評価制度として、MBOやOKR、コンピテンシー評価などの仕組みを取り入れることで、従業員のモチベーションを高めつつ理想的な人材のロールモデルが出来上がります。従業員が納得できる公平公正な人事評価制度を構築し、生産性の高い人材を育てましょう。
コミュニケーションの活性化
職場のコミュニケーションを活性化することにより、従業員のモチベーション向上にも大きく貢献します。職場内での情報共有や仲間同士での信頼関係構築により、その結果仕事での対話やチームワークが向上し、働きやすい環境が生まれます。例えば定期的な1on1ミーティングを実施し、上司が部下の意見や悩みに耳を傾けることで、従業員の安心感や積極性、貢献度が高まるでしょう。またチーム内でオープンな対話の場を増やすことで、アイデアの共有や協力が促進され、仕事への積極性につながります。他にも社内イベントや交流会、展開中のコミュニケーションを慎重にすることも効果的です。職場内でのコミュニケーションは、上司のマネジメントや関わり方によっても変わってくるため、管理職が積極的に部下と関わっていく姿勢を持つことも欠かせません。
適切な目標設定
適切な目標設定を行うことで、従業員は組織の目標と個人の目標を結びつけて働きやすくなり、モチベーションを高めることにつながります。目標が明確で具体的であれば、達成に向けた努力と方向性が明確になり、仕事に向ける熱量が高まるためです。例えば「売上を伸ばす」という漠然とした目標ではなく、「今月の売上を10%向上させる」 ような具体的な数値目標を設定することで、従業員は行動の方向性を明確にできます。さらに目標達成の進捗を定期的に確認し、上司や同僚がフィードバックを行うことで、従業員のモチベーションを維持できるようになります。数値として定量的な目標があれば、自分が目標を達成するためにどれだけの行動量が必要か、どうすれば達成できるか考えるようになり、主体性の高い人材育成も実現可能です。目標を明確に設け、仕事で達成感を獲得できる仕組みを整えることで、継続的なモチベーション向上につながります。
従業員の表彰
従業員のモチベーションを高める施策の1つとして、優秀な成績を収めた人や長年勤務した人、優れた技術を持つ人を表彰する方法も効果的です。表彰制度は従業員の成果や技能、努力を正しく評価し、内発的・外発的動機づけとして効果が期待できます。例えば優秀な成績を上げた社員を「月間MVP」や「ベストチーム賞」として表彰することで、努力を正当に評価すれば、周囲の社員にも良い刺激を与えることができます。表彰される社員を見て、「自分も同じようになりたい」と感じ、モチベーションを高める社員も現れるでしょう。さらに個人だけでなくチーム単位での賞を受け取ることで、協力やチームワークを推進する効果もあります。また表彰と合わせて報奨も与えると、外発的動機づけになります。例えば金一封や特別休暇、提携施設の利用権など、プラスアルファの報奨を用意することも検討しましょう。
企業のMVVの浸透
企業のMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を浸透させることは、従業員のモチベーションを高めるうえで非常に重要です。従業員が企業の理念や社会的責任を理解していないと、仕事に対する責任感や倫理観が欠如してしまうおそれがあります。そこで組織の目的や価値観を明確に伝え、従業員自身が仕事の意義をしっかりと理解することで、主体的に努力する姿勢を醸成できます。例えば企業のミッション(存在意義)に共感することで、単に業務をこなすだけでなく「仕事で社会に貢献している」という実感が得られます。またビジョン(目指すべき方向性)が明確であれば、社員は目標に向かって努力できるようになり、個人の目標設定でも組織との一体感が生まれやすいです。MVVを浸透させるためには、経営層が定期的に全社的に発信することや、社内イベントや育成・研修を通して社員と対話することが重要です。
モチベーションを維持する5つの方法
従業員のモチベーションを維持する方法について、効果的なものを5つ紹介します。
上司との定期的な1on1ミーティングを行う
リーダーとの定期的な1on1ミーティングは、従業員のモチベーションを維持するために有効な手段です。上司との1on1ミーティングの利点として、従業員の不安や課題を早期に把握し、適切なサポートができる点があります。例えば業務の進め方やキャリアに関する不安を優先的に相談できる機会があることで、従業員は精神的な負担を軽減し、仕事に対して前向きになれます。また1on1の場で上司が従業員のやる気を適切に評価し、認めることで自己肯定感が高まり、継続的なモチベーションの維持につなげられる点もメリットです。さらに1on1において従業員の意見を積極的に取り入れることで、信頼関係が強化され、従業員が組織経営に関与しているという意識が向上する点も大きいでしょう。従業員は本来組織の方針や上司の指示に従いますが、一人ひとりの意見が集約されることで職場環境を改善できるのであれば、成功体験として主体性を持って働く意欲が高まります。その結果、チーム全体の生産性向上にもつながっていくでしょう。このように定期的な1on1ミーティングの実施は、長期的に高いモチベーションを維持するための効果的な手法です。
モチベーションサーベイを実施する
モチベーションサーベイ(従業員満足度調査)を定期的に実施することも、組織全体のモチベーション維持に効果的です。モチベーションの低下は、職場環境や評価制度、人間関係などさまざまな課題が影響しているため、定期的に従業員の意見を収集し、問題を早期に発見することが重要です。例えば「仕事のやりがい」「チームの連携」「上司との関係」「キャリアへの意識」といった項目を調査することで、社員のモチベーションを把握しながら、同時に維持・向上も図れます。またモチベーションサーベイは実施するだけでなく、結果を元に具体的な改善策を検討し、経営層や管理職が積極的にフィードバックを行うことが重要です。調査の結果から「評価制度に対する不満」が多ければ、透明性のある評価基準を整備するなど、組織の仕組みを改善することで、従業員は「意見が反映されている」と認識し、組織への意識も変化します。このようにモチベーションサーベイを活用して従業員の声を継続的に反映することで、組織全体の体質改善や生産性向上につながり、長期的なモチベーション維持が可能となります。
従業員研修を実施する
従業員研修を定期的に実施することは、スキル向上やキャリア成長を支援し、モチベーション維持につながる重要な施策です。特に業務に直結するスキル研修やリーダーシップ研修、キャリア開発研修などは、従業員の将来への不安を軽減し、成長の機会を提供することにつながります。また研修は知識の習得だけにとどまらず、社内外とのネットワークを広げ、他の従業員と意見交換を行う機会にもなります。これにより社内の連携が強まり、仕事へのモチベーションが向上することにもなるでしょう。さらに研修の成果を適切に評価し、キャリアパスと連携した仕組みを作ることで、従業員は「努力が報われる環境」にいると感じ、長期的なモチベーションを維持しやすくなります。このように継続的な研修の実施は、従業員の成長と組織の発展を両立させる重要な手段です。
リラックスできる環境・機会を提供する
従業員がリラックスできる環境や機会を提供することは、ストレスを軽減し、モチベーションを維持する効果があります。具体例として、次のようなものが考えられます。
・オフィス内にリラックススペースを置き、業務の合間に気軽に休憩できる環境を用意する
・ ソファや観葉植物の配置、カフェスペースの設置など、落ち着ける空間を作る
・社内イベントやリフレッシュ休暇制度を導入し、仕事から離れる機会を提供する
・社員旅行やレクリエーション活動を実施する
こうした施策を導入することで、従業員は仕事中でも気分をリフレッシュし、集中力とモチベーションを維持できます。またオープンな共有スペースがあることで社内のコミュニケーションが活性化し、リラックスしながら人間関係を築くこともできます。他にもフレックスタイムやリモートワークを活用し、ワークライフバランスを整えることも、従業員のストレス軽減に効果的です。このようにリラックスできる環境や機会を提供することで、従業員の心身の健康を守り、長期的なモチベーションの維持につなげることができます。
モチベーショングラフを利用する
モチベーショングラフとは、個人のモチベーションの変化を時系列でグラフ化するツールであり、モチベーションの維持や向上に役立ちます。モチベーショングラフを活用すると、モチベーションが上昇した出来事や自分の強み・弱みを明確にし、逆に低下したタイミングとその原因を分析することができます。定期的に上司との1on1ミーティングなどでモチベーショングラフを活用することにより、従業員の意識に刺激や変化を与えつつ、適切なフィードバックやサポートが可能です。これにより、組織全体の従業員のモチベーションを高める環境が整えられます。そしてモチベーショングラフを活用し、個人のモチベーションを高めることで、持続的なモチベーションの維持と向上が目指せます。
モチベーションを上げる効果
企業にとって、従業員のモチベーションが上がることでさまざまなメリットがあります。具体的には次の効果が期待できます。
・生産性の向上
・創造性や革新性の促進
・従業員の定着率向上
・組織の活性化
・顧客満足度の向上
・ブランド価値の向上
従業員のモチベーションが高まると、個々の従業員の自発性や積極性も高まり、新しい発想やアイデア、改善案が生まれやすくなります。仕事への意欲が高まれば会社の定着率も向上し、組織が活性化されて市場競争力も強化されるでしょう。また従業員の業務の質が洗練され、顧客満足度やブランド価値の向上といった効果もあります。このような効果があることから、モチベーションの向上は企業の長期的な成長へとつながり、優秀な人材を確保しやすい組織改革にもなります。
モチベーションが下がるデメリット
従業員のモチベーションが下がると企業にとって多くのデメリットがあります。
・生産性の低下
・サービスや品質の低下
・従業員の離職率上昇
・チームワークの不和
・顧客満足度の低下
・企業イメージの悪化
・業績悪化
モチベーションの低下は、従業員の働く意欲の低下を意味します。働く意欲が低下した状態では、仕事の効率は大幅に低下し、組織の生産性も低下してしまいます。さらに生産性だけでなく、集中力の低下によってミスが多くなり、品質の低下も発生しやすくなるでしょう。ミスが多くなれば従業員のストレスも強まり、人間関係の悪化や離職率の上昇といった問題も起こります。やる気や意欲が低下していれば、顧客対応でも質が低下しやすく、顧客満足度の低下や企業イメージを損なう可能性も高いです。長期的な視点では企業業績の悪化、市場競争力の弱体化も起こりうるため、モチベーションを高い状態で維持するのは重要な経営課題となります。
モチベーションが下がる3つの原因
モチベーションが下がる原因にはさまざまなものがありますが、その中でも特に低下の原因となりやすいものを3点紹介します。
・評価や報酬の不公平感
・職場環境や人間関係の悪さ
・仕事のマンネリ化や成長の停滞
人は努力が正しく評価されないと、モチベーションが低下してしまいます。上司の主観的な評価ではなく、明確な評価項目と基準を設け、公正公平な評価を行なわなければモチベーションが低下します。また評価に対してはそれに見合う報酬を与えることで、モチベーションアップになるでしょう。モチベーションは職場環境や人間関係でも低下します。例えば職場の環境が劣悪で、夏場はエアコンがなく室温が常に30℃以上だったり、冬は暖房をつけても底冷えする環境だったりすれば、モチベーションは低下します。人間関係も上司や同僚との関係が悪ければ、仕事への意欲は失われるでしょう。さらに毎日同じ業務を繰り返し続けることも、マンネリ化となってしまいます。成長につながる仕事を提供することで、従業員のモチベーションアップにつながります。これらの原因を意識的に排除することで、モチベーションがアップする可能性が高いです。
モチベーションマネジメントとは何か
モチベーションマネジメントは、従業員や部下のモチベーション低下を予防し、維持・向上を図るマネジメント手法です。管理職が部下のモチベーションを高めるために、関わりを通して動機づけを行なったり、管理職自身のモチベーションを高めたりするときに活用されます。
モチベーションマネジメントの例
モチベーションマネジメントは、自分自身や部下のモチベーション管理手法です。具体例を挙げると次のようなものがあります。
具体例
・仕事の目標設定を明確にする
・成長につながる目標を設定する
・業務の進捗を管理し、定期的な声掛けやサポートを行う
・公正公平な人事評価制度を導入する
・1on1ミーティングで悩みや不安、課題を相談する
・部下の良い点は褒め、悪い点は改善案を指導する
・スキルアップ、キャリアアップにつながる機会を与える
・優秀な社員や努力した従業員を表彰する、または報酬を与える
・オフィスレイアウトの調整やリラックススペース設置など、働きやすい環境を作る
・モチベーションサーベイを活用して意見を反映する
・社内やチーム内でイベントを実施し、チームビルディングを進める
・部下の話を親身になって聴き、共感を示したり、改善のヒントを与えたりする
モチベーションマネジメントでは、上司と部下の日常的な関わりが重要になります。普段から部下と積極的にコミュニケーションを図り、悩みや課題、不安の相談に耳を傾け、必要なら支援や改善策を提案しましょう。また個々の従業員が明確な目標を設定しているかどうかで、仕事に対する姿勢も変わります。企業のミッション・ビジョン・バリューも踏まえながら、仕事にどんな意味や目的があるかを理解してもらうことが大切です。
モチベーションマネジメントのメリット3選
モチベーションマネジメントを実施することで、企業には次のメリットがあります。
・生産性と業績の向上
・離職率の低下と人材確保
・創造性とイノベーションの促進
従業員のモチベーションを管理することで、個々の従業員の業務への姿勢が積極的になる効果が期待できます。モチベーションマネジメントで上司と部下が定期的に1on1ミーティングを行い、その都度目標を明確にし、フィードバックも行えば、企業の成長へとつながります。また従業員のモチベーションを維持・向上することで、離職率が低下し優秀な人材を確保しやすくなる点も魅力です。従業員が職場の環境や制度、人間関係に満足できれば、長く貢献してくれるようになるだけでなく、優秀な人材ならキャリアアップを目指してくれます。さらに意欲の高い人材や優秀な人材が多いほど、企業の創造性やイノベーションは促進されます。モチベーションマネジメントは企業の成長と市場競争力の強化に結びつくでしょう。
人材育成のことならユーキャンへ
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まとめ
ビジネスにおいてモチベーションが重要視される理由や高める方法、低下が招く問題、モチベーションマネジメントについて詳しく解説しました。企業の人材不足が深刻化する中、既存人材のモチベーションを高めて定着率を向上し、優秀な人材を逃がさないことがどの企業でも経営課題となっています。今回紹介したモチベーションマネジメントやモチベーションを高める手法を参考に、従業員のモチベーションアップを図りましょう。そして、従業員のモチベーションアップやキャリア支援の具体策を模索するなら、長年の研修実績があるユーキャンにご相談ください。