論理的思考力を鍛える効果的な方法は?習得するメリットを紹介

論理的思考(ロジカルシンキング)とは何か

論理的思考(ロジカルシンキング)とは、物事を論理的に分類・整理し、得た情報から筋道を立てて推測や理論を考えていく思考法です。論理的思考はビジネスシーンや日常生活、緊急時の対応など幅広い場面で活用できるスキルとして認識されています。特にビジネスシーンでは業務の効率化や課題解決に必須のスキルであり、研修や教育のカリキュラムに組み込まれることも多いです。

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論理的思考力を習得するメリット

論理的思考力を身に付けることにより、職種や業界を問わずさまざまなメリットがあります。
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提案が採用されやすくなる

論理的思考に基づいて行った提案は、ビジネスにおける採用率が大幅に上がります。 ビジネスにおいては特に論理的思考が重要視され、プレゼンや企画書などは筋道の通った主張をする必要があります。論理的思考力を高めることで企業の状況や業種を的確に判断し、多くの人に賛同される提案が可能になるでしょう。また筋道立てた説明は聞く人の理解を得やすく、会社での評価を高める効果もあります。

問題解決力が向上する

企業が活動の幅を広げていくには、現在の課題を分析し、解決する能力が必須です。
論理的思考は課題から原因を分析し、解決への道筋を検討、実行する際にも役立ちます。
また顧客や取引先に提案を行う時にも、論理的思考で相手の課題を把握すれば、ニーズに合わせた解決策が提案できます。論理的思考は物事の筋道を順序立てて紐解き、正しいゴールへと導くために活用できるでしょう。

聴く力と伝える力が向上する

コミュニケーションは単に伝えるだけでなく、相手の言葉を聞き、理解することで成立します。論理的思考を高めると相手の意見や考えを正しく理解し、自分の意見を相手にも理解してもらいやすくなるメリットがあります。また会議や相談の場でも、複数の人の意見から折衷案や解決策を導き出し、スムーズに進行することができるでしょう。論理的思考力は自分だけでなく、他者との関係においても強い武器になります。

論理的思考力を鍛える方法

論理的思考力を鍛えるおすすめの方法を8つご紹介します。

読書の習慣をつける

論理的思考力を鍛える方法として、 日頃から読書の習慣を身に付けていると、筋道立てた思考ができるようになります。
本の種類は小説や哲学書、自己啓発、新聞など何でも構いません。大事なことは読書を通してさまざまな言葉を知り、起承転結を理解することです。論理的思考力を鍛えるには語彙力を高めるとともに、物事の論理的帰結を考えなければなりません。語彙力が高まれば説明に使える言葉が増え、プレゼン力も高まっていきます。
た論理的思考力を高めるには、1から10に飛ぶのではなく、1から2、2から3と順番に物事を考える必要があります。その観点から、起承転結がはっきりしている本を読むことにより、論理的思考力を鍛えられるでしょう。

さまざまなことに疑問を持つ

論理的思考力の高い人は、仕事や日常のさまざまな場面に疑問を持って過ごしています。
疑問を持つということは、違和感や課題に気付く能力ともいえます。仕事以外でも、さまざまなことに疑問を持つようになると「なぜここはこうなったんだろう」と考えるようになり、原因を分析できるようになるでしょう。 疑問は課題発見力を高め、原因を追及していくことで論理的思考力も鍛えられます。 ただし、疑問に思っても「あとでいいや」と思ってしまうと、論理的思考力は鈍ってしまいます。日頃からさまざまなことを深く観察し、疑問を持つことが論理的思考力を鍛える大事な訓練です。

疑問に対して自分なりの解決策を出す

疑問に思う力、課題発見力が高まったら、次は自分なりに解決策を出してみましょう。
疑問に対する答えは1つとは限らず、同じような課題や疑問でも状況によって解決策は異なることがあります。最初は1つの解決策しか思い浮かばなくても、何度も思考を繰り返すことで2つ3つと解決策が浮かぶこともあります。また解決策が出たとしても正解とは限らず、実際にやってみなければ成功するかどうかはわかりません。例え解決策の1つが失敗したとしても、失敗を参考に新しい解決策が出てくることもあるでしょう。解決策が出たら自分だけで納得するのではなく、周囲を納得させられる根拠も用意し、理解を得ることが重要です。

自分を客観視する

論理的思考力を鍛えるためには、自分について客観視することも大事です。自分を客観視すると、自分の性格が内向的か外向的か、積極性や行動力はあるか、機転が利くタイプかなどの特徴が見えてきます。自分を把握できれば周囲の状況や感情に左右されにくくなり、自分以外の要因に論理的思考を乱されなくなります。客観視するには自己分析ツールを利用すると、質問に答えるだけでデータに基づいた的確な自分像が理解できるためおすすめです。自分を客観視できれば、論理的思考の傾向や失敗しやすい問題なども把握しやすくなり、ミスにつながる可能性が低くなるでしょう。

周囲の人を観察する

論理的思考で課題解決へと導くには、自分のことだけでなく、一緒に働く周囲の人を観察することも大事なポイントです。
例えばどれほど論理的思考力を鍛えて良い解決策を提案したとしても、周囲の人が賛同してくれなければ実現は困難だからです。そのため論理的思考を鍛えながら周囲の人を観察し、どのような性格の人がいて、どのような関係性があるかなどを確認しましょう。
また周囲を観察して困っている人がいる場合は、声をかけたり、自分にできるサポートを考えて実行したりするのもトレーニングになります。チーム全体をくまなく把握し、周囲の人の力を生かす方法を考えることも、論理的思考の鍛え方の1つとして認識しましょう。

マルチタスクに挑戦する

マルチタスクとは、複数の作業を同時進行することです。2つ以上の作業を同時に進行するため、上手くこなせれば作業効率が大幅に向上します。マルチタスクをこなすには論理的思考に基づいて、優先順位に従って仕事をすることが重要になります。 例えば複数のプロジェクトを受け持っている場合、プロジェクトによって期日、重要度、任されている役割は違うはずです。優先順位を設定しながら、どちらも成功させることを求められるでしょう。 論理的思考力を鍛えると、マルチタスクでも一定の質を保ちながら作業を進められるようになります。 慣れないうちは難しいですが、マルチタスクができるようになれば、責任ある仕事を任される機会も多くなります。

心身をリラックスさせる

論理的思考力を十分に発揮するためには、心身のリラックスも重要です。人は疲労やストレスが蓄積すると思考力と判断力が鈍くなり、普段はしないミスをしてしまうことが多くなります。論理的思考力を高めるには自分がリラックスできる方法を見つけ出し、実践していくことがポイントです。毎日10時に寝て朝5時に起きる、休日は決まった店にショッピングに出かけるなど、心身がリラックスできる方法を見つけましょう。

物事を俯瞰して捉える

自分に見える範囲の情報だけでなく、物事全体を俯瞰して捉え、大局観を身に付けることも大事な訓練です。大局観は目の前の状況だけでなく、チームや会社の全体像を把握し、最適な行動を取るために必要な能力です。また企業内の問題だけでなく、これから先の10年20年先まで考えられるようになれば、自分の将来やりたいこと、キャリアビジョンも明確になるでしょう。

論理的思考力を習得するのに役立つ概念

論理的思考力を習得するには、習得を効率化できる概念を知ることが重要です。
論理的思考力の習得に役立つ概念を3つご紹介します。

ロジックツリー

ロジックツリーは見えている問題の原因を追求し、原因を遡っていくことで具体的な解決策や根本的な原因を見つける時に役立つ概念です。考えうる原因がひとつひとつ判明することから原因の重要度、解決策の優先順位を決定しやすいメリットがあります。ロジックツリーといわれる理由は、問題を提起したら、その原因や要素を枝葉のように細分化して整理していくことからです。やり方はブレインストーミングのように、関連する事柄を書き出し、原因が思いつかなくなるまで続けていきます。
ビジネスではユーザーからの不満点、市場でどのように売り出していくかなどを考える際にロジックツリーが使われます。

ロジックツリーの例


ロジックツリーの身近な例として、家計簿で支出が多かった時に原因を探りたい時を考えてみましょう。
  • ・今月は支出がいつもより多かった
  • ・支出が多い項目は食費だった
  • ・食費が高いのは外食が多かったせい
  • ・仕事が忙しくて自炊が難しかった
  • ・外食を控えて自炊を増やす
  • ・休日に食材をまとめて購入する、または日持ちしやすいものを事前に準備しておく

大まかですが、上記の例のように支出が多い原因は何か、なぜ支出が多くなってしまったのか、解決策は何かと順番に考えるのがロジックツリーの考え方です。
実際にはもっと多くの原因が絡み合っているため、非常に多くの階層と原因の細分化が行われます。ロジックツリーは難しい知識がなくても、気付く力があればできる概念として役に立つでしょう。

MECE

MECEは「ミーシー」と呼び、4つの英単語の頭文字をとった名称です。

  • ・Mutually:お互いに
  • ・Exclusive:重複なく
  • ・Collectively:全体に
  • ・Exhaustive:漏れがない

MECEは物事の網羅性に焦点をあてる概念です。
ビジネスにおいては、組織全体の機能や役割の重複を避けつつ、漏れや見落としがない状態にすることを意味します。
例えば、Aという1つの商品を売るためには開発部門、製造部門、営業部門、販売部門、流通部門など複数の部門が仕事を担当しています。MECEの考え方では、それぞれの役割や機能に応じて全体のリソースを最適に分配し、効率性と生産性を重視するのがポイントです。MECEを習得すると大局観を持ちながら情報整理がしやすくなり、マネジメントや業務効率化が進みます。

MECEの例


MECEの考え方では、漏れと重複の観点から最適なバランスを重視します。
MECEで分かりやすいのが、それぞれの属性をわけるアンケート調査です。
性別、年代、住所などを漏れと重複なく網羅するには、次のような調査項目が必要です。
  • ・性別:男性・女性
  • ・年代:10歳未満、10代、20代、30代
  • ・住所:北海道、青森、秋田、岩手

例のように重複や漏れが発生しないように網羅することで、偏りのない情報を収集できます。またMECEを用いる際は縦軸・横軸の図を作り、重複と漏れの有無で4つに分類する方法も有効です。

ビジネスフレームワーク

ビジネスフレームワークは業務の効率化や生産性を高めるために、目的に応じて使い分ける枠組みのことです。MECEやロジックツリーもビジネスフレームワークの一種です。
今回は論理的思考に役立つフレームワークとして、親和図法とオズボーンのチェックリストについてご紹介します。

ビジネスフレームワークの例①


ビジネスフレームワークの例の1つ目として、親和図法があります。親和図法とはアイデアを出す際、情報の親和性が高いもの同士でグループ分けしていく論理的思考法です。
例えばIT企業、SNS、プラットフォームというグルーピングを行うと仮定すると、親和図法では次のようになります。
  • ・IT企業:Google、Apple、Microsoft
  • ・SNS:Facebook、X、Instagram
  • ・プラットフォーム:YouTube、Amazon

上記のように複数のデータをカテゴライズしてグループに分け、そこからアイディアにしていくフレームワークです。
親和図法の良い点は多くの情報を視覚的に把握しやすくなり、情報が整理しやすくなることです。情報を整理しきれず、新しい発想につながりにくい時には親和図法を活用しましょう。

ビジネスフレームワークの例②


2つ目のビジネスフレームワークは、9つのチェックリストを活用したオズボーンのチェックリストです。オズボーンのチェックリストは、大枠となるチェックリストに答えることで、新しいアイデアを生み出す思考法です。
  • ・転用:改変すれば、他の用途に利用できるか?
  • ・適合・応用:既に似たものはないか?
  • ・変更:アイディアに改善または修正を加えられないか?
  • ・拡大:大きさ・厚さ・長さ・強さなどを拡張できるか?
  • ・縮小:既存のものより小さくできるか?携帯できるか?
  • ・代用:他のもので代用できないか?素材や成分を代用できないか?
  • ・再配置・置換:デザイン・レイアウト・配列・スケジュールを変えられないか?順序を入れ替えることはできないか?
  • ・逆転:上下左右・前後・反対方向に逆転できないか?
  • ・統合:別のものと統合できないか?結合して一単位にできないか?

9つのチェックリストに基づいて考えることで、アイデアを網羅的に検討でき、細かな見落としを防ぐことができます。ただし不要な部分まで検討すると余計な時間がかかるため、必要な内容だけをピックアップすることが重要です。

論理的思考力はあらゆるビジネスシーンで役立つスキル

論理的思考力はビジネスを円滑に進めるだけでなく、職場内の人間関係を良好にするためにも有効なスキルです。
論理的思考はビジネスにおいては基礎的なスキルですが、きちんと身に付いている人はそれほど多くありません。そのため論理的に物事を考えられるようになれば、若い方ほど会社での評価も高くなりやすいです。まだ見ぬアイデアを創造するためにも思考力は必要ですから、しっかりとした概念と理論を身に付けましょう。

まとめ

論理的思考力はすべてのビジネスパーソンにおいて非常に重要な要素です。論理的思考力をしっかりと身につければ、自身の成長やキャリアップなどにもつながります。

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