アジリティとは?注目される背景やアジリティの高い組織の特徴を解説!

  • 公開日:2023.11.01

    更新日:2023.11.01

    アジリティとは、機敏性や敏しょう性、軽快さなどと訳される言葉で、スポーツの分野で使われています。昨今はビジネスシーンにも浸透しており、組織やチームにおける対応力、状況が変化した際にも素早く対処できる能力を表します。

アジリティとは

アジリティは、主にスポーツの分野で用いられている言葉で、機敏性や敏しょう性、軽快さといった意味があります。昨今では、スポーツ分野に限らず、ビジネスシーンでもアジリティが使われるようになってきました。



ビジネスシーンにおけるアジリティが指すのは、経営や組織運営における機敏性、意思決定の速さや状況変化への対応力などです。 ただし、ここでアジリティが意味するのは単純なスピードではなく、状況に対しての判断がいかに素早く行えるかです。このような考え方は、スポーツの分野でもビジネスシーンでも変わりません。

アジリティが注目されている背景

アジリティが注目されている背景には、現代の企業を取り巻く環境の変化が大きく関わっています。ここ数年でビジネスにおける固定概念は大きく覆され、環境の変化が激しく安定した企業でも存続できるとは限らない「VUCA」の時代に突入しました。

VUCAとは、「Volatility:変動性」「Uncertainty:不確実性」「Complexity:複雑性」「Ambiguity:曖昧性」、4つの単語の頭文字を取った略称で、確実性の高い予測が不可能で不安定な状況という意味です。このような、現代のめまぐるしい変化に対して適切かつ素早く対応するためにも、企業にアジリティが求められています。

アジリティとクイックネスとの違い

アジリティと似た言葉としてクイックネスがあります。どちらもスピードや速さに関する言葉であり混同されがちです。クイックネスはいかに素早く動けるかが重要であり、物事に反応して動きだすまでの早さである「俊敏性」を意味します。



一方の アジリティは単純な早さだけではなく、複数の選択肢の中から適切な答えを選ぶ正確性も、同じぐらいに重要視しています。単純な早さを求められるクイックネスと異なり、早さに加えて対応力や的確性も求められるのがアジリティの特徴です。

アジリティが高いメリット

ビジネスシーンでアジリティが高いと、さまざまなメリットがあります。下記では、アジリティを獲得することの具体的なメリットについて解説していきます。

  • ・意思決定や行動が早くなり、業務のスピードが上がる
  • ・効率や生産性、企業を取り巻く環境や社会情勢の変化に対応しやすくなる
  • ・アジリティの高さは適応力や正確性の高さと関わりがあり、リーダーシップの向上も狙える

業務のスピードが上がる

アジリティが高いと、業務をこなすスピードが早くなります。アジリティが高いことで、的確な判断のもと意思決定が早く下せるようになり、意思決定の早さに伴って行動も早くなるので、業務の効率やスピードは上がります。

そのため、トラブルがあっても臨機応変な対応が期待できるうえに、迅速な対処による早急な問題解決が望めるのもメリットの1つです。

変化に対応しやすい

ビジネスシーンを取り巻く変化に対して柔軟に対応できるようになるのも、アジリティが高いメリットです。

たとえば、業務の手順や企業の規則などに変更があった場合に、早く対応できればできるほど、効率や生産性が落ちる期間を短くできます。また、企業を取り巻く環境や社会情勢に変化が起きても、素早く適応できれば、存続できる可能性を上げることが期待できます。

リーダーシップの向上

リーダーシップの向上も、アジリティが高いメリットとして挙げられます。アジリティの高さは、適応力や正確性の高さと関連しており、変化に素早く対応できる人材になりやすい要素です。

アジリティが高くリーダーシップのある人材は、組織やチームをまとめ、人の上に立って指示を出す立場においても活躍が見込めます。リーダーシップについては、下記も参考にしてください。

アジリティが低いデメリット

ビジネスシーンでアジリティが低い状態は、さまざまなデメリットがあるため避けるべきです。ここからは、アジリティが低いと発生するデメリットについて解説します。

  • ・業務の効率やスピードが落ちる
  • ・変化に適応できず成果を出しにくい
  • ・信頼を得にくい

効率やスピードが落ちてしまう

ビジネスシーンでアジリティが低いと、業務の効率やスピードが落ちる可能性が高くなります。 アジリティは、複数の選択肢の中から適切な物を選ぶ正確性といった側面だけではなく、早さに関する指標でもあります。



アジリティの低さは業務の効率低下や、意思決定のスピードダウンによる弊害に直結します。思うような成果につながらなかったり、従業員のモチベーションが下がってしまったりするなど、悪影響を及ぼしかねません。

変化に適応できず成果を出しにくい

変化に適応できず成果を出しにくいのも、アジリティが低いことで起こるデメリットの1つです。アジリティが低い状態で業務に関わっていると、手順や規則などで変更が起きた場合、変更前と同じ業務水準まで戻すのに時間がかかり、効率やスピードが落ちた状態での作業が長引きます。環境の変化に適応できないことで、成果を出しにくくなってしまうでしょう。

信頼を得にくい

アジリティが低いと信頼を得るのが難しくなります。業務スピードの遅さや判断の正確性の低さなどは、周囲の人間や取引先の相手などからの評価を落とすためです。特に、ビジネスシーンにおいては周囲からの信頼を得られないと、売上の低迷につながってしまい、成長が鈍化する原因にもなりかねません。

アジリティが高い組織の特徴

アジリティが高い組織には、他の組織にはない明確な特徴があります。アジリティが高い組織が持つ特徴について、下記の観点で詳しく解説します。

  • ・ビジョンや価値観が明確
  • ・積極的に情報共有ができている
  • ・状況判断の能力が高い
  • ・問題の解決が早い
  • ・リーダーシップを持つ従業員が多い
  • ・変化に対応しやすい
  • ・組織の現状を正確に把握できる

ビジョンや価値観が明確

アジリティの高い組織は、ビジョンや価値観が明確です。VUCAの時代とも呼ばれるほど、現代は不確実な要素が多く、変化の速度や度合いは早くなっています。そのため、アジリティが低いと予想外な事態や急激な変化に対応しきれず、方針や方向性も定まりにくいので組織としての力も落ちてしまうでしょう。

しかし、将来への道筋が把握できている、組織やチーム全体で同じ価値観を共有できているなどの状態であれば、目指すべき方向や従うべき方針がわかり、変化に対応しやすくなります。明確な将来のビジョンや、一貫した行動指針は従業員にとってモチベーションの維持や上昇につながり、臨機応変かつ適切な対応につながります。

積極的に情報共有ができている

積極的に情報共有ができていることも、アジリティの高い組織の特徴です。経営理念やビジョンなどを決めるだけではなく、トップから従業員まで共有して理解が浸透していると、組織として向かう方向がわかりやすくなり、的確性の高さや判断の早さへとつながります。

状況判断の能力が高い

変化の速度や頻度の高い現代において、的確かつ素早く立ち回るには高い状況判断能力が欠かせません。判断能力の高さは個人の技量だけではなく、トップから従業員に至るまで多くの情報を共有できているかも重要です。持っている情報が多ければ多いほど明確な判断基準を作りやすく、的確な状況判断力を生みます。

問題の解決が早い

アジリティの高さは、判断の的確さや行動するスピードの指標でもあるため、問題が起きたとしても的確かつ素早く答えを出しやすくなります。また、アジリティの高い組織は柔軟性が高い傾向にあり、問題が発生しても臨機応変に対応にあたり、適切な判断を下しやすい体制が整っています。

リーダーシップを持つ従業員が多い

アジリティの高い組織の特徴の1つが、リーダーシップを持つ従業員の多さです。トップだけではなく、現場で動く従業員にも決定権が与えられており、組織としてもリーダーシップを持った人材育成を重視しているため、アジリティの高い従業員が多くなります。

変化に対応しやすい

アジリティの高い組織は、旧態依然とした考え方にとらわれず、柔軟な発想と高い適応力を以て変化に対応する傾向にあります。組織や個人まで、既存の発想や今までの経験だけを判断基準にしないようにすれば、不確定な要素も考慮したうえで的確かつ素早い判断が下せるでしょう。

組織の現状を正確に把握できる

組織の現状を正確に把握できていると、アジリティは高い傾向にあります。変化に対する的確な判断を素早く行うには、組織の現状を正確に把握することで得られる客観的な基準が必要です。トップから従業員に至るまで情報共有ができている、組織やチームのなかでコミュニケーションを活発に取り合う土壌ができていることが、正確な組織の現状把握につながります。

組織のアジリティを高める方法

組織のアジリティを高めるための方法はさまざまです。ここからは、アジリティを高める具体的な方法と、それぞれの詳細について解説します。

  • ・現場の裁量を強める
  • ・失敗を容認する雰囲気を作る
  • ・経営理念や価値観を共有する
  • ・ツールを使って情報を一元化する
  • ・業務プロセスを洗い直す
  • ・必要なスキルを公開する

現場の裁量を強める

組織のアジリティを高める方法として挙げられるのが、現場の裁量を強めることです。 現場の従業員に的確で素早い判断能力があったとしても、権限や裁量が限定的では実行に移せず、結果的に対応が遅れてしまうでしょう。



組織のなかで決められた役割だけを与えるのではなく、組織としての大まかな方向性や指針は示しながらも、実際の行動や判断は現場の従業員に任せる体制をとるとアジリティは高まるでしょう。

失敗を容認する雰囲気を作る

失敗やミスがあったとしても、叱責するのではなく容認する雰囲気ができていると、組織のアジリティは上がりやすくなります。従業員が失敗やミスによって叱責されることを恐れて、迅速な対応が行えなくなれば、与えられた権限や裁量を活かすことはできません。そのため、組織やチーム内に失敗を容認する雰囲気を作り、従業員の積極的な行動を促すことが重要です。

経営理念や価値観を共有する

経営理念や価値観の共有も、組織のアジリティを高める手段の1つです。組織の方針や価値観が共有できていなければ、的確どころか誤った判断をしてしまい損失が発生しかねません。経営理念や価値観の共有がされていると、組織全体が同じ価値観を持ち、方向性を理解しているので、チームワークも高まりやすくなります。

従業員にとってもモチベーションや効率などいい影響が出る可能性が高くなります。

ツールを使って情報を一元化する

組織のアジリティを上げる方法として、ツールを使って情報を一元化するのも有効です。一元化することで情報の把握や共有が容易になり、迅速な意思決定を支えてアジリティの向上に貢献します。

また、情報を一元化して管理するツール以外にも、情報の共有を円滑にするためにビジネス向けチャットツールや、従業員のスキルや評価などの情報を管理できるツールの導入をおすすめします。しかし、ツールの導入をスムーズに行い、活用するにはIT環境の整備も欠かせないので、あらかじめ体制を整えておきましょう。

業務プロセスを洗い直す

業務プロセスの洗い直しも、組織のアジリティを高めるために欠かせません。変化に対して適切な対応をするには、現状を把握して改善や変更すべき点を見つけ出すのが重要だからです。たとえば、業務で必要になる申請を紙で行っているならツールを使った申請に変える。承認までにかかるステップを見直して簡略化するなどが挙げられます。

必要なスキルを公開する

業務に必要なスキルを公開することで、組織のアジリティ向上につながります。組織において求められるスキルがわかるようにしておくことで、従業員にとっての目標や基準ができるため、効率的なスキルアップを促せます。また、組織側もスキルアップをサポートする環境や制度などを整えることで、より優秀な人材の育成が期待できます。

まとめ

アジリティの概要や注目されている背景、アジリティの高低によるメリットやデメリット、アジリティが高い組織の特徴やアジリティを高める方法を解説してきました。現代の企業を取り巻く環境の変化は、日々スピードを増しており、今まで安定的な経営ができていた企業でも、今後存続できなくなる可能性は十分にあります。

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