自己啓発とは?目的や具体的な事例、注意点などを解説

  • 公開日:2023.09.29

    更新日:2023.09.29

    ビジネスにおける自己成長の一環としてよく耳にする「自己啓発」。従業員1人ひとりの成長は、企業の成長にも欠かせません。しかし、業務の傍ら自己啓発に取り組むには、体力・費用面での負担が大きく、なかなか挑戦できない従業員も多くいるのが現状です。

    そのため 昨今では、さまざまな形で自己啓発の支援を進める企業が増えています。 この記事では、自己啓発の必要性や具体的な方法、企業の支援策などについて詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

企業が注目する自己啓発とは?

自己啓発とは、自身の考え方や能力を、自らの意思で伸ばしていく活動です。業務範囲の拡大やキャリアアップなどを目指す従業員にとっては、必要な活動の1つです。自己啓発による従業員の能力アップは、自身のキャリア形成だけでなく企業への貢献にもつながります。

多くの従業員が自己啓発によって能力やスキルを向上させれば、企業の成長や事業拡大も期待できるでしょう。

自己啓発を支援する必要性

DX化といった技術革新が進んでいる昨今では、変化に対応できるビジネスパーソンの育成が必要です。従業員の精神面や技術面を伸ばす機会となる自己啓発は、これからの企業を支える人材育成の一環として注目されています。

終身雇用よりもキャリア形成が重要視される現在では、自己啓発の支援活動は、採用市場でも重視されています。 自己啓発を支援する環境が整い、キャリア形成を実現しやすい企業は、市場価値の高い人材が集まりやすくなるでしょう。

自己啓発で期待できるメリット

自己啓発では、以下のようなメリットが期待できます。

  • ・従業員の成長を促せる
  • ・能力アップによるパフォーマンスや生産性の向上
  • ・エンゲージメント向上による定着率アップ
  • ・新たな考え方による対応力の向上

それぞれのメリットについて、詳しく解説します。

従業員の成長を促せる

自己啓発では、新たな考え方や新しい技術に触れるための学習機会を自発的に作る必要があるため、人としての成長も期待できます。義務教育のある日本では、物心ついたころには勉強する環境が整っています。自分の意志とは関係なく勉強する機会を与えられてきているため、学習に対して受け身の人が多い傾向にあります。

そのため、自ら学習しようと思える環境を整備して自己啓発に取り組む従業員が増えれば、自発的に動ける人材の育成や社内の活性化につながるでしょう。

能力アップによるパフォーマンスや生産性の向上

自己啓発によって新たな考え方や技術を学べば、能力アップが期待でき、仕事上でのパフォーマンス向上や生産性向上につながります。 さらに、自己啓発によってスキルが向上し、自分に自信が持てるようになれば、パフォーマンスが安定します。

コンディションの変化によるパフォーマンスのブレが少なくなり、業務効率の改善も期待できるでしょう。自己啓発を支援して従業員の能力を底上げできれば、企業全体の生産性向上が目指せます。

エンゲージメント向上による定着率アップ

自己啓発によって、日々の業務やキャリア形成に対して前向きに取り組めるようになれば、やりがいが生まれ、企業に対するエンゲージメントの向上が期待できます。エンゲージメント向上は定着率アップにもつながるため、優秀な人材の確保や採用コストの削減が期待できます。

新たな考え方による対応力の向上

自己啓発によって、新たな考え方を取り入れられれば、固定観念に捕らわれずさまざまな視点から物事がみれるようになります。業務で生じる課題に対して、多角的な視点から解決方法を検討できるようになるでしょう。イレギュラーな業務が発生した場合でも、自発的に考え、行動できる対応力が身につきます。

自己啓発で気を付けたいデメリット

自己啓発は、新たな考え方や価値観を獲得できるいい機会ですが、インパクトの強い内容に影響を受けすぎてしまうケースもあります。 自己啓発は本来、視野を広めるのが目的ですが、学んだ内容に捕らわれすぎると、逆に視野を狭めてしまうかもしれません。
成長のために自発的に学習する機会を作るのは大事ですが、すべてを鵜吞みにするのではなく、情報の取捨選択も必要です。教材などから得られる情報や知識にのめり込んでしまわないように、注意する必要があります。

自己啓発する5つの方法

自己啓発には色々な方法があります。企業に勤める従業員が自己啓発活動に取り組むなら、以下のような5つの方法が一般的です。

  • ・セミナーやワークショップ
  • ・資格取得
  • ・通信講座やスクール
  • ・関連書籍
  • ・マンツーマンのコーチング

それぞれについて詳しく解説します。

セミナーやワークショップに参加する

セミナーやワークショップへの参加は、特定のテーマに沿って知識が得られるいい機会になります。自身の好みや興味に合ったテーマがあれば、積極的に学習ができるでしょう。昨今のワークショップは、小規模なものから大規模なものまで開催されています。

講演会形式のものや参加者同士の意見交換、交流ができるものもあり、属性の近い人と情報交換もできるでしょう。ただし、参加費が発生するケースが多いため、従業員の負担になってしまいます。営業などの目的で開催されているケースもあるため、主催や開催目的を精査して参加可否を判断する必要があります。

トラブルを避けるためには、信頼性の高い企業や団体が主催となるセミナーやワークショップへの参加を促すといいでしょう。

資格取得を目指す

資格取得も自己啓発の一環です。資格取得という明確な目標に向かって学習に取り組めるため、モチベーションを維持しやすいのが特徴です。 資格には、国家試験や民間資格などさまざまなジャンルがあるため、自分が望むキャリアパスに合わせて資格を選択できます。

昨今では、ビジネスに役立つ資格として、ITスキル関連資格や簿記検定、税理士、社会労務士などが注目されています。資格取得は、特定の分野に関する知識や技術が総合的に学べるほか、自信にもつながります。受験申し込みや試験日などが毎年決まっている資格が多く、メリハリのある学習計画が立てられるのがメリットです。

通信講座やスクールで学ぶ

大学や専門学校などの各種教育機関では、外部向けの講座や通信講座を設けている場合があります。ハロワークでも、ビジネスに役立つ知識やスキルが学べる職業訓練を実施しており、企業に在籍している人でも条件が合えば受講できます。

教育機関やハローワークで学ぶ方が、自己流で学習を進めるよりも、本格的かつ効率的な学習ができるでしょう。費用は発生しますが、なかには、少額の費用で受けられる講座もあります。また、通信講座の場合は、学校や会場まで行く必要がなく、時間や場所を選ばず学習に取り組めるため、本業と並行しやすいのがメリットです。

関連書籍で独学する

自己啓発に関する書籍や、学びたいジャンルの書籍を購入またはレンタルして独学する方法もあります。通勤中や寝る前などの空いた時間で気軽に取り組めるため、始めやすい方法です。
セミナーなどのイベントへの参加や講座受講は、ハードルが高く、気後れしてしまうと感じる人に向いています。

ただし、自分で学習ペースや学習時間を管理する必要があるため、モチベーションの維持が欠かせません。出勤前や寝る前など、学習時間を固定し、習慣づけて継続すると効果的です。また、書籍を読むだけでは身につかないため、自分の状況に置き換えてアウトプットしていく必要があります。

書籍で得た知識や技術を仕事に活かす方法を考えるために、報告会やチーム会を実施するといいでしょう。アウトプットの機会になり、学んだことを整理できます。

マンツーマンのコーチングを受ける

自己啓発に特化したコーチングを受ける方法もあります。マンツーマンで講師に相談できるため、自分に合ったアドバイスが受けられます。客観的な意見を基に、スキルや知識を見つめなおす機会にもなります。自分だけでは気付けなかった内面的な部分を理解し、理想のキャリアパスや目標設定に役立つでしょう。

ただし、マンツーマンのコーチングは、講師の能力や知識・考え方に左右されてしまう可能性があります。スクールや独学などの方法よりも費用が掛かるため、講師選びは慎重に行いましょう。実績や口コミの確認、体験の有無などの確認が大切です。

従業員の自己啓発を進める手順

従業員の自己啓発は、企業の経営にも影響する人材育成施策の1つです。ただし、やみくもに推進しても成果は出にくいでしょう。従業員の自己啓発を進める手順として、以下の2つのステップがおすすめです。

  • 1.従業員の課題を見つけだす
  • 2.課題に合った自己啓発の手段を選択してもらう

それぞれについて詳しく解説します。

1.従業員の課題を見つけだす

自己啓発をスタートする前に、従業員が自身の課題について理解する必要があります。夢や目標、キャリアパスを書き出し可視化することで、今必要な学習を明確にします。自己啓発を始めるだけが目的にならないように、自己啓発によって得たい知識やスキルの意識付けが大事です。

解決すべき課題と目標が設定できれば、自分に合った方法が見つけやすくなるほか、自己啓発に対するモチベーションも高まるでしょう。

2.課題に合った自己啓発の手段を選択してもらう

自己啓発の時間が無駄にならないように、個々の従業員の課題に合う効率的な手段を選択する必要があります。 また、自己啓発に充てられる時間は、従業員の役職や担当業務によっても異なります。

すべての従業員に同じ方法を提示するのではなく、個人に合った方法が選択できるように、幅広い学習環境の提供が必要です。

企業ができる自己啓発支援の方法

企業ができる自己啓発支援には、さまざまな方法があります。一般的な支援方法としては、以下の4つがあげられます。

  • ・自己啓発にかかる費用面の補助
  • ・自己啓発を実施できる時間の確保
  • ・自己啓発関連の書籍や映像の貸し出し
  • ・自己啓発の活動に使える場所の提供

それぞれについて、詳しく解説します。

自己啓発にかかる費用面の補助

関連書籍やDVDの購入、セミナー・研修の参加費、通信講座やスクールの受講料など、自己啓発の学習には費用がかかります。すべてを従業員の負担にしては、取り組もうと思ってもらえない可能性があります。そのため、自己啓発にかかる費用の一部や全額を補助し、費用面から支援する企業が多くあります。

金銭面での負担が軽減されれば、費用面がネックになっていた従業員にも自己啓発に取り組んでもらえるでしょう。

自己啓発を実施できる時間の確保

通常業務があるなかで、自己啓発の時間を確保するのは困難です。なかなか学習時間が確保できないという従業員も多いため、企業側も協力して時間を確保する必要があります。公的資格の受験や講習であれば有給休暇扱いにする、勤務時間内でも事前に許可を取ればセミナーや研修に参加可能にするなど、社内環境の整備も支援の1つです。

自己啓発関連の書籍や映像の貸し出し

自己啓発を始めたくても何から始めればいいのか分からない従業員向けに、関連書籍や映像の貸し出し、配布も効果的な支援策です。自己啓発に関する情報を企業が提供すれば、なかなか学習に踏み出せない従業員の背中を押せるでしょう。また、比較的低コストで支援できるのもメリットです。

自己啓発の活動に使える場所の提供

従業員同士での勉強会など、自己啓発活動に役立つ場所を提供する支援方法もあります。自己啓発では、モチベーション維持のためにグループ活動をするケースも多くみられます。場所が必要になる場合でも気軽に活動できるように、企業がサポートするといいでしょう。

場所の例として、会議室や社外のレンタルスペースなどがあります。スムーズに自己啓発を進められる環境を整えれば、従業員の自主性を促すことが可能です。

自己啓発支援の具体例

ここからは、自己啓発支援を実際に行っている企業例を2つ紹介します。支援策に迷っている企業の方は、ぜひ参考にしてください。

大手金融会社Mの事例

大手金融会社Mでは、業務に関連する知識やスキルを身に付けられる講座や、語学学習、資格取得に役立つ講座が受けられる支援制度を設置しました。自宅で学習できるe-ラーニングも取り入れています。若手や新人従業員だけでなく、すべての従業員がキャリアに合わせて活用できる仕組みになっているのが特徴です。

「学びの場」の提供~Extended Learning Program(ELP研修)
  • ・平日夜間及び休日に開催する自己啓発講座です。相場の見方や企業分析の手法といった業務の補完的位置付けとなる講座や、ロジカルシンキング・PC・英語等ビジネススキルを高める講座、講演会等人間力を高める講座を広く提供しています。・年間400以上の講座を設置し、延べ20,000人/年以上の行員が参加しています。
資格取得支援
  • ・公認会計士・証券アナリスト・FP等の資格取得に関わる費用を、資格取得後の報奨金という形で支援します。銀行員のベースとなる資格に加え、今後はマネーローンダリング対策等、経営上、注力すべき領域についても対象範囲を拡大していきます。
語学学習
  • ・各人の語学力水準に応じ、語学学校通学・skype英語・通信教育等、多様な語学支援策を用意しています。また効果測定の機会として、TOEIC(IP)テストを全行ベースで展開、課題となる実践力の測定に向けSWテストも開始しています。
e-learning
  • ・自宅学習が可能なe-learning、タブレット端末から閲覧できる電子書籍、研修講義が動画で学習できるオンデマンド講座など、自主的に学習に取り組める各種ツールを用意しています。
参照:キャリア支援企業好事例集|厚生労働省

大手コンビニチェーンFの事例

大手コンビニチェーンFでは、業務効率アップを目的に、教育施策を実施しました。英語学習の支援や外部セミナー受講、通信教育の受講などを支援しています。自己啓発に意欲的な従業員が、誰でも自由に参加できる制度となっており、従業員の自主性の向上にも役立っています。

自己啓発を支援する場合の注意点

従業員の自己啓発を促すと、企業にもさまざまなメリットが期待できます。しかし、成果につなげるためには、いくつかの注意点への意識も必要です。ここでは、自己啓発支援に関する以下の4つの注意点について解説します。

  • ・支援の対象者を設定する
  • ・利用状況を把握する
  • ・他の教育手法と組み合わせる
  • ・人事評価への反映基準を決めておく

支援の対象者を設定する

自己啓発支援は、対象者の条件を社内規定に反映させる必要があります。全従業員を対象とするのが理想ですが、管理体制の整備も必要になるため、ある程度の条件をわかりやすく定めておくのが得策です。対象者の条件には、勤続年数や職種、自己啓発活動の内容や種類、支給額や支給方法などがあります。

利用状況を把握する

自己啓発支援の制度を設けたら、利用状況を把握し、見直しや改善を行うことが必要です。 効果的に支援制度を運用するためには、従業員の意見を取り入れるのもおすすめです。定期的なアンケートの実施や利用状況による課題の発見・解消によって、より効果的な制度に改善していきましょう。

他の教育手法と組み合わせる

自己啓発支援だけでなく、OJTやOff-JTといったの教育手法と組み合わせて人材育成に役立てると効果的です。OJTやOff-JTでしか取得できない知識やスキルもあります。各手法にはメリットのほか、デメリットもあるため、組み合わせによっては補完しながら効果的な人材育成ができるでしょう。

人事評価への反映基準を決めておく

自己啓発は業務以外の自発的な学習となるため、その成果をどのように人事評価に反映させるのかを決めておく必要があります。自己啓発の成果が評価につながれば、従業員の学習モチベーションにもなるでしょう。自己啓発による資格取得やスキル獲得の段階やレベルによって評価基準を設けるなど、具体的な基準を決めておくと、学習の目標にもなります。

まとめ

自己啓発は、従業員個人のスキルアップやキャリア形成に役立つだけでなく、企業の成長にも影響する重要な人材育成の方法です。 企業側が積極的に支援し、自己啓発を推進すれば、従業員の自主性が高まり、社内の活性化につながるでしょう。

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