コンプライアンスとは?意味・リスク・違反事例と企業が行うべき対策を徹底解説

  • 公開日:2023.07.11

    更新日:2026.06.11

    現代では、多くの企業がコンプライアンスの重要性に注目しています。企業のコンプライアンス違反が問題視される中、法令や規範を意識した行動は不可欠です。

    本記事では、コンプライアンスの意味や重要視される背景、違反が企業にもたらすリスクや具体例をわかりやすく解説します。違反を防ぐ対策も併せて紹介するため、社内のコンプライアンス強化に取り組む際の参考にお役立てください。

このページを簡潔にまとめると・・・
  • コンプライアンスとは、法令・就業規則・行動規範を守りながら企業が公正に活動することであり、違反防止は信頼維持と企業存続のために不可欠である。
  • 違反の主な原因は知識不足、過度な目標設定、管理体制の不備、社内環境の問題であり、SNS普及により発覚リスクも高まっている。
  • 防止にはマニュアル整備、環境改善、法改正の把握、専門部署設置、定期研修などの仕組みづくりが重要で、継続的な運用が鍵となる。
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コンプライアンスとは

コンプライアンス(compliance)とは、企業が法令や社会規範などを守り、公正・公平に業務を行うことです。単に法律を守るだけでなく、企業倫理やモラルまで含めて、社会全体から見て適切な行動をすることを意味します。

現代のコンプライアンスは「法令」「社内規範」「社会倫理」の3つの領域に大別され、いずれも企業活動に欠かせない考え方として定着しています。

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就業規則と行動規範もコンプライアンスに含まれる

就業規則は、労働時間や休日といった基本的な労働条件を規定した職場内の規程のことです。就業規則の中には業務の遂行や就業において社員が守るべき取り決めが多く規定されています。また、行動規範は、社会から企業に対して求められる道徳やモラルです。

就業規則と行動規範はコンプライアンスの対象に含まれており、投資家、取引先、消費者などからの信頼に影響を与えます。

コンプライアンスが重要視されている理由

企業がコンプライアンスを重要視する背景には、以下の社会環境や制度面の変化が関係しています。

● コンプライアンス違反の増加
● インターネットとSNSの普及
● 人的資本の情報開示義務化

それぞれ詳しく解説します。

コンプライアンス違反の増加

企業がコンプライアンスを重視する理由の1つは、バブル崩壊後に相次いだ企業の不祥事です。融資や決算に関する不正が社会問題となり、2000年以降も不祥事の発覚が続きました。

こうした流れを受けて、2006年に公益通報者保護法が施行され、2008年には金融商品取引法に基づく内部統制報告制度が導入されました。現在では、上場企業を中心に財務報告の信頼性を確保する体制が求められています。

一連の法整備を経て、2000年代半ばからコンプライアンスへの注目度は大きく高まりました。当時のコンプライアンスは法令遵守の意味で使われていましたが、現在は企業倫理や社会規範まで含む広義の概念へと変化しています。

インターネットとSNSの普及

コンプライアンスが重視されるようになったもう1つの理由は、インターネットとSNSの普及です。現代では誰もが簡単に情報を閲覧・発信できるようになり、コンプライアンス違反が可視化されやすくなっています。

インターネットやSNS上で、個人や企業の不正を指摘しやすくなったことは、コンプライアンスが重視されるようになったきっかけの1つです。

コンプライアンス違反が社会に露見する機会が増えたことで、問題が発覚した際には、より厳しく批判されるようになりました。

人的資本の情報開示義務化

近年のコンプライアンスをめぐる動向の1つに「人的資本に関する情報開示の義務化」があります。これは企業に対し、社員の育成、働きやすさ、多様性の確保などに関する取り組みを定量的・定性的に開示することを求めるものです。

日本では、2023年3月期以降、有価証券報告書において「人的資本に関する情報」の開示が義務化され、上場企業を中心に対応が進んでいます。その背景には、法令遵守や人権尊重などの非財務的側面も企業評価で重視される社会の流れがあります。

投資家や社会からの信頼を得るうえで、人的資本に関する情報開示は重要です。今後は単なる制度対応ではなく、企業文化や経営方針としての「人的資本経営」の実践が求められる時代となるでしょう。

コンプライアンスと混同しやすい用語

コンプライアンスは、似た用語と混同される場合があります。特に混同しやすい用語は以下の3つです。

● CSR
● コーポレートガバナンス
● 内部統制

それぞれの用語の違いを把握して、コンプライアンスの理解を深めましょう。

CSR

CSR(Corporate Social Responsibility)とは「企業の社会的責任」を意味する用語です。企業は経済的な利益を追求するだけでなく、社会や地域のニーズに応えながら社会貢献を果たす責任も担っています。

コンプライアンスはCSRの土台を支える考え方です。法令や就業規則、行動規範に沿った健全な経営がなければ、社会貢献のための活動は成り立ちません。社内のコンプライアンスを強化することが、CSR推進の第一歩です。

コーポレートガバナンス

コーポレートガバナンスは、健全な企業運営を実現するための統治の仕組みを指す用語です。「企業統治」という意味があり、英語ではcorporate governanceと表記されます。

コーポレートガバナンスは、コンプライアンスを含む企業統治全体の仕組みを指しており、両者の関係は切り離せません。また、コーポレートガバナンスを整備するうえでは、企業と投資家、取引先、消費者との間で透明性のある関係を保つためのルールや仕組みが不可欠です。

適切な管理体制を構築すれば、不祥事や不正の発生を防止し、健全な企業運営につなげられるでしょう。

内部統制

コンプライアンスと混同しやすい用語の1つに「内部統制」があります。内部統制とは、組織内で以下の4つの目的を達成するために、業務に組み込まれた仕組みやプロセスのことです。

・ 業務の有効性と効率性
・ 財務報告の信頼性
・ 事業活動に関わる法令の遵守
・ 資産の保全

例えば、不正防止のためのダブルチェック体制や業務手続きの明文化などが内部統制の一部にあたります。コンプライアンス(法令遵守)は、内部統制を適切に機能させることで実現を目指す目的のうちの1つであり、両者は密接に関連しています。

コンプライアンス違反が発生する主な原因

コンプライアンス違反が発生する原因の多くは、社内の体制や風土にあります。以下では、コンプライアンス違反につながりやすい4つの原因を解説します。

● 目標設定と評価制度
● 知識不足
● 管理体制
● 社内環境

目標設定と評価制度

社員の目標設定や評価制度の設計によっては、コンプライアンス違反を招く要因になります。例えば、達成が難しいノルマを課した場合、成果を上げるために就業規則を無視した行動を取る可能性があります。

また、昇給や昇進の査定基準が個人の成果のみに偏った評価制度では、倫理に反する方法で成果を上げようとする社員が現れかねません。

企業が短期的な利益の追求や業務拡大を強く掲げている場合も同様で、管理職や社員に過度なプレッシャーを与えると、コンプライアンス違反を招く恐れがあります。

知識不足

コンプライアンスに関する知識不足は、違反を招く原因の1つです。経営陣や人事、総務など、企業の中核を担う人材にコンプライアンスの知識がない場合、気付かないうちに法令に違反している可能性があります。

最低賃金法、労働基準法、労働安全衛生法、育児介護休業法、男女雇用機会均等法など社員の労働条件をとりまく法律は数多く存在します。このように企業が事業活動において守るべき法律は多岐にわたります。企業の経営や管理に関わる人材のコンプライアンスに関する知識がそもそも不足している場合、社員全体のコンプライアンス意識も向上しにくくなります。

管理体制

社内の管理体制は、コンプライアンス違反を防止するうえで重要な要素です。管理体制に不備があると、情報漏えいをはじめとした様々なコンプライアンス違反を招く可能性があります。

また、管理体制が整備されていなければ、社員が違反を発見しても社内のどこに報告すべきか判断できません。結果として、コンプライアンス違反に気づいても放置される恐れがあります。社内通報や、ハラスメントに関する相談窓口の設置などはこの管理体制構築の仕組みの1つです。

社内環境

社内環境の問題も、コンプライアンス違反を招く原因の1つです。職場の風通しが悪く、上司に意見や懸念を伝えにくい環境では、違反行為に気づいても報告されず、そのまま放置されかねません。

特にパワーハラスメント(パワハラ)の常態化はその典型で、社員が声を上げること自体が難しくなります。パワーハラスメントが社内に蔓延すると、問題の隠蔽や報告の遅れにつながり、コンプライアンス違反の発見が遅れる恐れがあるでしょう。

コンプライアンス違反のリスクとは

コンプライアンス違反が発覚した場合、企業は経営を揺るがすほどの深刻なダメージを被る可能性があります。主なリスクは以下の4つです。

● 社会的信用・ブランドイメージの低下リスク
● 損害賠償・行政処分・刑事罰を受けるリスク
● 人材流出のリスク
● 業績悪化・倒産リスク

いずれも企業の存続に関わる重大な問題です。対策を講じるうえで把握しておきましょう。

社会的信用・ブランドイメージの低下リスク

コンプライアンス違反が発覚すると、SNSやメディアを通じて情報が急速に拡散されます。悪質性の高い違反は社会的な注目を集めやすく、取引の停止や契約の解消などの実害につながりかねません。

一度失った社会的信用を回復するには長い時間と多大な努力が必要であり、経営への影響は深刻です。

損害賠償・行政処分・刑事罰を受けるリスク

コンプライアンス違反は、法的責任を伴う可能性がある重大な問題です。被害者や取引先からの損害賠償請求に加え、監督官庁から是正勧告や業務停止処分を受けることがあります。

悪質な場合は刑事罰の対象にもなり、金銭面・信用面の双方で大きな打撃を受けかねません。

人材流出のリスク

コンプライアンス違反が明らかになると、不祥事を起こした企業で働き続けることへの不安から、既存社員の離職が加速します。さらに、求職者からも敬遠されやすくなり、新規採用の難化にもつながるでしょう。

人材の流出と採用難が同時に進行すれば、事業運営に必要な人員を確保できず、組織力が低下してしまいます。

業績悪化・倒産リスク

上記のリスクが複合的に重なると、顧客離れや損害賠償の支払い、人材不足による生産性の低下が連鎖し、業績は急速に悪化します。東京商工リサーチの調査によると、2024年のコンプライアンス違反による倒産は、過去最多の320件(前年比66.6%増)に達しました※。

企業規模を問わず、早期にコンプライアンス対策を講じる必要があります。

企業でコンプライアンス違反が発生する具体事例

企業で発生するコンプライアンス違反には、いくつかの種類があります。以下では、代表的なコンプライアンス違反の例を5つ紹介します。

● 労務
● 情報管理
● 経理
● 契約
● その他

労務に関する違反事例

労務に該当するコンプライアンス違反とは、ハラスメントや長時間労働、賃金未払いなど、企業が守るべき労働条件が守られていない違反行為を指します。1つの問題が単独で起きるとは限らず、複数の要因が重なって深刻化するケースも珍しくありません。主な労働問題は以下の通りです。

・ セクシュアルハラスメント(セクハラ)やパワーハラスメント(パワハラ)
・ 労働基準法の労働時間規制を無視した長時間労働
・ サービス残業の見過ごしによる賃金未払い

情報管理に関する違反事例

情報管理に関する違反事例の多くは、社員による情報の取り扱いミスによって起こります。顧客や取引先とのトラブルに発展する可能性があるため、情報の取り扱いは慎重にしなければなりません。情報管理に関する主な違反事例は以下の通りです。

・ 未公表の重要情報を利用したインサイダー取引
・ 顧客情報の外部流出

経理に関する違反事例

経理に関する違反は、関係者や取引先などを巻き込み、広範囲に悪影響を与えるコンプライアンス違反です。内容によっては、経営破綻を招く場合もあります。

不適正な経理処理を防止するためには、厳しい監視と対処が求められます。経理に関する主な違反事例は以下の通りです。

・ 脱税をする
・ 会計書類を偽装する
・ 粉飾決算をする

契約に関する違反事例

企業におけるコンプライアンス違反の中でも、契約に関する違反は重大なリスクを伴います。代表的な事例としては、次のようなケースが挙げられます。

・ 契約書に記載された納期や仕様を守らずに納品する
・ 無断で契約内容を変更する
・ 契約書を作成せず口頭で業務を進める

これらは取引先からの信頼を損ない、損害賠償や訴訟に発展する恐れがあります。また、中小受託取引適正化法(いわゆる取適法:旧下請法)や独占禁止法などの法令に違反するケースでは、行政指導や課徴金などの対象となる可能性があります。

契約違反は一見業務上のミスに見えやすいものの、組織的なコンプライアンス意識の欠如が背景にあることも多いため、厳格な管理と教育が不可欠です。

その他の法令違反事例

その他の法令違反としては、以下のようなものが挙げられます。企業に対する批判が大きくなれば、様々な事業活動に支障が生じてしまいます。

・ 文章、画像、動画を無断で転載する
・ 食品衛生法に基づいた表示がない
・ 商標登録のある商品と類似する商品を販売する

コンプライアンス強化のために企業が行うべき対策

コンプライアンス違反は、企業に大きな被害をもたらします。コンプライアンス違反を防ぐ対策は以下の通りです。

● マニュアルと社内規則の整備
● 社内環境の改善
● 法改正情報の把握
● 管理体制の整備
● 研修の実施

マニュアルと社内規則の整備

コンプライアンス違反の防止には、マニュアルや社内規則の整備が効果的です。守るべきルールを明文化したうえで社内全体に周知すれば、各社員のコンプライアンス意識が高まります。

マニュアルや社内規則に記載する内容の例は、以下の通りです。

・ 全てのハラスメント行為の防止
・ データの目的外での使用や持ち出しの禁止
・ 公共の場やSNSでの発言に関する注意点
・ 不必要な残業の禁止

社内環境の改善

社内環境の改善は、コンプライアンス違反の防止に有効な方法です。地位にかかわらず自由に意見が述べられる風土をつくれば、違反行為が放置されるリスクを減らせます。

具体的な取り組みとしては、職場の課題をテーマにした社員アンケートの実施が挙げられます。アンケート結果をもとに、発生しうるコンプライアンス違反のリスクを洗い出しましょう。課題を1つずつ解消していくことで、違反を未然に防ぐ環境整備につながります。

法改正情報の把握

法令は時代に合わせて改正されます。企業のコンプライアンス違反を防ぐには、常に最新の法令を把握しなければなりません。現場業務や事業など、自社と関係のある全ての法改正情報を素早く把握できる体制を整えましょう。

弁護士や会計士などの専門家から助言を得られる体制を整備すれば、法改正への対応が必要になった際も適切に対処できます。外部セミナーに出席したり、政府が公開する資料を確認したりして、自発的に法改正情報を集めることも大切です。

管理体制の整備

コンプライアンス違反の対策として、問題発生時の対応や未然防止を担う専門部門を設置しましょう。社員が違反に気づいた際、相談・報告できる窓口があれば早期発見につながります。

また、問題に対する責任の所在を判断するうえでも、専門部門の存在は欠かせません。勉強会や研修を主催して社内に知識を共有するなど、コンプライアンス推進の中核としての役割も期待できるでしょう。

研修の実施

社員がコンプライアンスに関する正しい知識を身に付けるには、研修の実施が効果的です。情報セキュリティや各種ハラスメントなどをテーマに取り上げ、外部の専門家を招いて定期的に開催しましょう。

コンプライアンス違反の中には、社員の行動に起因するケースも少なくありません。定期的に学ぶ機会を設ければ、社員が自らの行動を振り返るきっかけになり、違反の防止につながります。

まとめ

コンプライアンス違反が発覚すれば、社会的信用の失墜や損害賠償、人材流出など、企業の存続を脅かす事態に発展しかねません。こうしたリスクを回避するためにも、違反の原因となる社内の体制や風土を早い段階で見直す必要があります。

具体的には、マニュアルの整備や管理体制の構築、定期的な研修などの対策が有効です。
経営層から現場まで全社一体で取り組み、コンプライアンスを組織文化として根付かせましょう。

ユーキャンのコンプライアンス講座では、著作権やハラスメントといった法律の基本知識を幅広く学べます。個人情報の取り扱いについても詳しく解説しているため、社内でコンプライアンスの知識を浸透させたい担当者は、ぜひユーキャンのeラーニング講座の活用をご検討ください。

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