事務職のスキルアップになる資格とは?資格取得のメリットや注意点についても解説

  • 公開日:2023.07.11

    更新日:2023.07.12

    事務職の種類はさまざまであり、それぞれ求められる仕事内容やスキルアップにつながる資格は異なります。この記事では、事務職のスキルアップにつながる資格について解説します。事務職の種類や資格取得のメリット、注意点についても解説するので、参考にしてください。

事務職は資格取得がおすすめ

事務職の多くは、特別な資格やスキルを必要としません。しかし、なかにはパソコン作業や簿記の知識が必要な事務職もあり、資格を保有していれば優遇されるケースもあります。事務担当者が資格を取得すると、パソコンスキルや語学スキルなどの具体的なレベル感が伝わりやすくなります。

事務職が資格を取得して得られるメリット

事務職が資格を取得して得られるメリットは3つあります。

  • ・スキルの証明になる
  • ・資格手当や評価になる
  • ・キャリアアップにつながる

以下で、それぞれについて解説します。

スキルの証明になる

事務職は、営業職や技術職などと比べると、スキルの証明が難しい職種です。そのため、資格を取得できると説得力が増し、スキルや意欲を証明しやすくなります。また、仕事で即戦力になることもメリットといえます。

資格手当や評価になる

企業によって細かい内容は異なりますが、事務職に活かせる資格を取得できると、手当が出たり人事評価につながりやすくなります。また、資格取得が昇進の条件となっている企業もあります。

キャリアアップにつながる

事務職に活かせる資格を取得すると、業務の幅が増えて対応できる仕事が広がることもメリットの1つです。また、専門的な資格の場合は、事務職から専門職へキャリアアップする可能性も高まります。

事務職の種類

以下で、事務職の種類を6つ解説します。

  • ・一般事務
  • ・人事・労務事務
  • ・経理事務
  • ・営業事務
  • ・医療事務
  • ・貿易事務

他にも法務事務や介護事務、学校事務などがあります。

一般事務

一般事務は、必要最小限のパソコンスキルが求められます。メイン業務は、書類作成・管理やデータ入力、電話や来客対応などです。パソコン作業が多く、「OA事務」と呼ばれることもあります。

人事・労務事務


人事・労務事務には、コミュニケーションスキルや機密情報管理の意識が高い人が求められます。
従業員の人材配置や調整、入社・退職の手続き、従業員教育のための研修などがメイン業務で、企業における人材を管理します。

経理事務

経理事務に求められるものは、財務・会計に関する専門的な知識や計算能力です。メイン業務は、伝票整理や領収書の発行、売上管理などです。基本はデスクワークですが、銀行で入出金をする場合もあります。

営業事務

営業事務は、コミュニケーションスキルやスケジュール管理能力が求められます。メイン業務は、営業担当者のサポートです。営業担当者が営業活動に集中できるように、契約書や納品書などの書類作成や、在庫や納品管理をします。

医療事務

医療事務は一般事務と異なり、専門的な業務が多いため、医療事務の資格を取得すると働きやすくなります。メイン業務は、病院の受付や会計、カルテの管理、医療報酬明細の作成など、医療現場のサポートです。

貿易事務

貿易事務は海外とのコミュニケーションが多く、高い語学力が必要です。また、貿易に関する法的知識も求められます。メイン業務は、出荷依頼や輸送手段の確保、通関手配、貿易に関する書類の作成などです。

一般事務や営業事務のスキルアップにつながる資格5選

一般事務や営業事務におすすめの資格は、以下の5つです。

  • ・MOS
  • ・ITパスポート
  • ・秘書検定
  • ・ビジネス文書検定
  • ・文書情報管理士

MOS

MOSは、マイクロソフトオフィスのWordやExcel、PowerPointなどのスキルレベルを証明できる資格で、「マイクロソフトオフィス・スペシャリスト」を略しています。MOSの試験レベルは、ソフトウェア・バージョンごとに異なります。事務職では、基本的にWordやExcelなどのパソコン操作が必要になるため、MOSの取得がおすすめです。

法人向けユーキャンのマイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)講座

ITパスポート

ITパスポートは、IPAが主催して、経済産業省が認定する国家資格で、「iパス(アイパス)」とも呼ばれています。ITに関する基礎的な知識やスキルが証明できて、多くの企業や省庁で評価されている資格です。IT企業から、IT以外の業種の企業に勤務する人まで幅広い人達が受験しています。

法人向けユーキャンのITパスポート講座

秘書検定

秘書検定は、秘書に必要な知識や立ち振る舞いなどが身についているかを判断する資格です。ビジネスマナーの他に一般常識についても問われるため、秘書だけでなく、幅広い仕事領域で役に立ちます。秘書検定準1級の面接では、実際に起こることが予想されるシーンの対応が含まれており、一般事務の業務にも役立つことが期待できます。

法人向けユーキャンの秘書検定(3・2・準1級)講座

ビジネス文書検定

ビジネス文書検定は、ビジネス文書の取り扱いについての知識があり、正しい用字や用語が使える。社内文書や社外文書の作成、分かりやすい文章や礼儀正しい文章が書けることを証明できる資格です。1級は難易度が高く合格率は30%ですが、3級は90%と難易度は低くチャレンジしやすいでしょう。

文書情報管理士

文書情報管理士を取得できると、文書の作成や廃棄の管理、社内で取り扱う書類文書のデジタル化、文書にまつわる法律や規格などが身についていることを証明できます。文書情報管理士は、上級・1級・2級の3階級があります。2級は文書情報管理の基礎が身につき、合格率は70%前後です。

経理事務のスキルアップにつながる資格4選

経理事務におすすめの資格は、以下の4つです。

  • ・日商簿記
  • ・FASS検定
  • ・給与計算実務能力検定
  • ・ビジネス会計検定

日商簿記

日商簿記は1級から3級までの階級があり、経理や財務部門で知名度が高く、1年間で約60万人が受験している資格です。2級は企業から最も求められるレベルで、実務に役立つ高度な簿記の知識やスキルが身につきます。経理事務の経験がない人も、2級を取得していると就職で優遇されたり、社内でのキャリアアップにつながりやすくなります。

FASS検定

FASS検定は経済産業省が開発した「経理・財務サービス・スキルスタンダード」をベースに米国テスト理論を取り入れ、経理や財務部門の実務スキルの測定や、人材育成に特化した日本で唯一の資格です。FASS検定は実務スキルを問うため、出題範囲は広く、「資産」「決算」「税務」「資金」の4分野になります。試験結果は、合否ではなく総合点から5段階のレベルでスキルを評価します。

給与計算実務能力検定

給与計算実務能力検定は、給与計算業務に関する知識や実務能力を測る検定です。2級は、実務上の基礎となる労務コンプライアンスについて正しく理解し、基本的な給与計算を行い、給与明細を作成できるレベルです。経理事務の経験の有無に関わらず、取得しておくと優遇や収入アップが期待できるでしょう。ただし、2年毎に更新制度があるため、継続した学びが必要です。

ビジネス会計検定

ビジネス会計検定は1級から3級までの段階があり、財務諸表の構成や作成方法を学び、ビジネスに必要な会計の基本知識を問われる検定です。財務諸表の分析スキルがつくため、企業の経営・財務状況の分析ができます。ビジネス会計検定を日商簿記と併せて取得すると、経理に役立つスキルを幅広く身につけられます。

医療事務のスキルアップにつながる資格4選

医療事務におすすめの資格は、以下の4つです。

  • ・診療報酬請求事務能力認定試験
  • ・医療事務技能審査試験
  • ・医療事務管理士
  • ・医療事務認定実務者(R)

診療報酬請求事務能力認定試験

診療報酬請求事務能力認定試験は、医療事務系では最も難易度が高い資格です。診療報酬明細書の作成業務の他に、医療に関する幅広い知識、受付や会計業務など全般を行うスキルが求められます。厚生労働省後援の公益財団法人日本医療保険事務協会が実施する全国一斉統一試験です。

医療事務技能審査試験

医療事務技能審査試験は、受験者数が多く業界最大規模の試験となっています。合格すると「メディカルクラーク」の称号が授与され、窓口業務や診療報酬請求事務業務などで求められるスキルの証明になります。試験は毎月、各都道府県指定の会場で行われます。

医療事務管理士

医療事務管理士は、患者の受付や会計、診療報酬明細書作業やカルテの管理など、医療事務全般に及ぶ業務能力を証明できる資格です。日本初の医療事務系の資格で、50年以上の歴史があります。オンライン受験ができるIBT試験を取り入れており、ネット環境が整っていればどこからでも受験できます。

医療事務認定実務者(R)

医療事務認定実務者(R)は、医療事務の実務に関する基礎知識が身についていることを証明できる資格で、2016年に開設されました。接遇・マナーなど、受付業務に必要な知識を重点的に学習し、全てマークシート形式のため、医療事務に従事する初心者にもおすすめです。試験は会場、または在宅で受けられます。

貿易事務のスキルアップにつながる資格2選

貿易事務が取得するといい資格は、以下の2つです。

  • ・TOEIC(R)
  • ・貿易実務検定

TOEIC(R)

TOEIC(R)は、一般的な英語力だけではなく、ビジネス能力についても評価する英語力測定試験です。貿易事務は海外と頻繁にコミュニケーションを取ることから、英語の書類を扱えるレベルの英語力を必要とします。TOEICは990点満点で合否はありません。しかし、企業によっては貿易事務に、500点〜650点程の点数を求めるケースが多いようです。

貿易実務検定

貿易実務検定では、貿易に関する知識や実務能力について評価します。貿易事務を行うには、輸入出の取引の流れや貿易関連の法律を熟知しなければなりません。貿易実務検定には、A級・B級・C級の3つの段階があり、C級を取得できれば貿易業務をこなせる基本レベルであることを証明できます。貿易事務の経験がない人は、C級から合格を狙うことがおすすめです。

事務職が身につけるといいスキル

事務職として活躍するためにおすすめのスキルは、以下の4つです。

  • ・パソコンスキル
  • ・ビジネスマナー
  • ・文書作成スキル
  • ・コミュニケーションスキル

パソコンスキル

多くの事務職では、業務でパソコンを使います。そのため、仕事を効率よくこなすためには、パソコンスキルは必須です。ExcelやWordなどの簡単な操作や、ブラインドタッチなどのパソコンスキルを身につけることをおすすめします。

法人向けユーキャンのパワーポイント(MOS)講座

ビジネスマナー

事務職の業務は企業により異なりますが、窓口対応や電話対応を行うことが多く、接客や敬語などのビジネスマナーは必要不可欠といえます。ビジネスマナーは、社会生活においても必ず求められるスキルのため、身につけておくと安心です。

※関連記事:ビジネスマナー研修で学ぶ内容とは?

文書作成スキル

事務職は、取引先や顧客とやり取りする文書を作成することが多いため、失礼のない文書を作成するスキルが必要です。また書類やデータを正確に保存・伝達して、迅速に処理するスキルも求められます。

法人向けユーキャンのビジネス文書講座

コミュニケーションスキル

事務職は、社内外とのコミュニケーションが多く発生するため、仕事を円滑に進めるにはコミュニケーションスキルが必要です。相手の意図を汲み取ったり、要点をまとめて報告したりするため、事務職にコミュニケーションスキルは欠かせません。

事務職の資格を取得する際に注意すべき点

事務職で活かせる資格を取得する際には、以下の3つの注意点があります。

  • ・業務内容に活かせない資格は選ばない
  • ・資格取得を最終ゴールとしない
  • ・効率的に勉強をする

ここでは、それぞれの注意点について解説します。

業務内容に活かせない資格は選ばない

事務職は種類により業務内容が異なるため、目的にあった資格を選択しましょう。
例えば、経理事務が貿易事務の資格を取得しても、業務に必要なスキルとはいえず、効果が見込めません。経理事務では、日商簿記やFASS検定などがおすすめです。

資格取得を最終ゴールとしない

資格は、取得することが最終ゴールではありません。資格を取得して得たスキルを、業務でどう活かすかが大切になります。資格を習得することに夢中になり、本来の目的を見失わないようにしましょう。

効率的に勉強をする

効率的に勉強をして資格を取得できれば、早くスキルが身につきます。学習計画を立てる、集中できるよう環境を整えるなど工夫しましょう。効率的な勉強方法には、通信教育を受けたりスクールに通ったりする方法があります。

まとめ

事務職は、資格を取得していればスキルの証明となり、優遇されるケースも多くなります。また、専門的な資格を取得できれば、業務の幅が広がるだけでなく、専門職へキャリアアップできる可能性も高まるでしょう。業務内容に活かせる資格を、効率的に勉強するには、通信教育がおすすめです。

ユーキャンの法人向け人材教育サービスでは、丁寧なヒアリングで課題を抽出し、その法人様にフィットするご提案をいたします。60年以上の歴史があり、法人様の取引実績は5,000社以上です。事務職向けには、講座を多数実施しています。事務担当者のスキルアップを検討している企業は、ぜひご利用ください。

お気軽にお問合わせください

ページトップに戻る