• 公開日:2020/09/25

衛生管理者は専門的知識が必要な資格でありながら合格率は比較的高い資格です。性別や年齢に仕事ができることから、とても人気があります。また、常時50人以上の労働者が働く事業場では、必ず1人以上の衛生管理者を置くよう法律で定められているため、企業からの需要も高い国家資格です。

この記事では、衛生管理者を目指している人のために、資格の種類や仕事内容、試験の概要、資格を取得するメリットなどを解説します。衛生管理者の資格を取得するための参考にしてください。

衛生管理者とはどういう仕事?

衛生管理者とは、労働安全衛生法という法律により定められた国家資格です。衛生管理の専門家に与えられる資格で、事業場の「衛生管理業務従事者」として働くために必要な資格です。

衛生管理者の主な役割は、就労中の労働災害や、労働者の健康障がいを防止することです。事業場の衛生管理や労働者の健康管理はもちろん、労働者への衛生教育や衛生委員会の運営も、衛生管理者の仕事です。

衛生管理者の業務の大変なところとは?

事業者には「労働者の命と健康を守る」という重大な責務があります。しかし、必ずしも全ての事業者が、労災を防止するための対策や労働衛生を管理する方法について正しく理解しているとは限りません。そこで、衛生管理者が正しい労働衛生管理体制を実現するための提案や助言を行うのです。

大規模な事業場であれば、専任の衛生管理者として、労働衛生管理の仕事に集中できるケースもあります。しかし、実際は、衛生管理者の業務と他の業務を兼任する事業場がほとんどです。衛生管理者としての義務を果たしながら複数の業務を同時に行わなければならないこと、忙しい職場が多いことが、衛生管理者の大変な点といえるでしょう。

衛生管理者の業務のやりがいとは?

衛生管理者の仕事は大変な一方で、「労働者の健康を守る」という大きなやりがいがあります。様々な労働の問題が顕在化している企業の現場において、衛生管理者の働きにより、劣悪な労働環境を改善できる可能性があります。

衛生管理者が立てた衛生管理計画に従い、職場が団結して労働環境の改善に向かえば、事故や病気のリスクが減り、労働者の健康を守ることにつながるのです。

衛生管理者の資格の種類とは?

衛生管理者の資格には、第一種衛生管理者と第二種衛生管理者の2種類が存在します。
それぞれの資格の違いについて理解したうえで、どちらを取得するか検討しましょう。

第一種衛生管理者

第一種衛生管理者は、有害業務を含む業種でも衛生管理者として働ける資格です。 具体的には電気業やガス業、水道業、熱供給業などのライフラインに関する業種や、医療業、清掃業、運送業などが有害業務を含む業種として挙げられます。

また、加工業を含む製造業や鉱業、建設業、自動車整備業、機械修理業も化学物質などの影響により健康を害するリスクがある業種です。

有害業務を含む業種では、労働災害や健康被害が発生する確率が高く、衛生管理者が必要とする知識も多くなります。そのため、第一種衛生管理者は業種ごとの働き方や専門知識を身につけたうえで、衛生管理を行う必要があります。

第二種衛生管理者

第二種衛生管理者は、有害業務とは関連の少ない業種に限り、衛生管理者の業務に就くことができる資格です。対象となる業種として、金融業や保険業、卸売業、情報通信業など、営業やデスクワークが主体となる業種が挙げられます。

有害業務を含む業種と比較すれば、命に関わるような健康被害は起こりにくいものの、社会問題となっている従業員のメンタルヘルスの問題には十分注意しなければなりません。

第一種衛生管理者と第二種衛生管理者の違いとは?

第一種衛生管理者と第二種衛生管理者の大きな違いは、対応できる業種の数です。
第一種免許を取得していれば、全ての業種に対応できます。しかし、第二種免許のみ取得している場合、有害業務を含む業種には対応できません。すでに働いている職場で、衛生管理者に選任されたいという場合は、どちらの免許が必要になるか確認しましょう。

衛生管理者の需要とは?

50人以上の労働者が常時働いている事業場なら、必ず衛生管理者を選任しなくてはいけません。事業場の規模によっては、複数の衛生管理者を選任する義務が生じます。そのため、物流倉庫や工場、病院、宿泊施設など、あらゆる業種から需要があります。

衛生管理者は設備や業務を管理するだけではなく、労働者の安全衛生管理業務を担当するケースも多いです。総務部や労務部で衛生管理者の資格を持った人材を募集していることもあります。

衛生管理者の仕事内容とは?

衛生管理者の主な仕事は、作業環境の衛生管理や、労働者の健康管理などです。さらに、労働者に対する衛生教育や健康の保持・増進のための措置も、衛生管理者の仕事として挙げられます。

具体的には、事業場の環境や設備を視察し、問題が見つかった場合は早急に処置を行わなければいけません。また、労働者の健康診断の結果を把握し、必要に応じて産業医との面談を設定する場合もあります。

衛生管理者の年収

一般的に、衛生管理者としての独立した給与体系や年収の設定はほとんど無く、衛生管理者を年収で考えることはできません。第一種及び第二種衛生管理者の資格は、専門職としての資格という側面よりも、企業の従業員として日々業務を行う上での職務知識という側面が強いからです。そのため、衛生管理者の資格保持者の年収は、事業場の規模や業務内容、勤続年数などのベースにより変動します。
一方、衛生管理者に対し資格手当を付与している企業は多いです。資格取得により、収入アップが期待できる可能性は高くなっています。

衛生管理者の選任義務が発生する場合とは?

衛生管理者は、全ての事業場で選任しなければならないわけではありません。衛生管理者を置く義務が生じるのは、常時50人以上の労働者が働いている事業場です。事業場とは、簡単にいえば組織的な作業ができる場所を指します。たとえ同じ会社であっても、それぞれの支店や支社、店舗で衛生管理者を選任しなければいけません。

必要な衛生管理者の人数は労働者の人数により異なり、50~200人なら1人以上、201~500人なら2人以上選任することになります。さらに、501~1,000人なら3人以上、1,001~2,000人なら4人以上、2,001~3,000人なら5人以上と、労働者数が多くなるほど衛生管理者の人数も増えていくのです。3,001人以上の事業場では、6人以上の衛生管理者を選任する必要があります。

衛生管理者は一つの事業場に専属となるため、複数の事業場との兼任はできません。ただし、衛生管理者を2人以上選任する場合、その中に「労働衛生コンサルタント」がいる場合は、労働衛生コンサルタントのうち1人については非専属でも問題ありません。

労働衛生コンサルタントとは、衛生管理者とは別の国家資格です。事業者や管理監督者に対して事業場の衛生水準を向上させるための指導をしたり、事業者らから労働安全衛生の施策に関する相談を受けたりします。企業に限らず、厚生労働省や労働局から委託されることもある、衛生管理の専門家です。

衛生管理者を置かなかった場合はどうなる?

選任義務があるにもかかわらず衛生管理者を置かなかった事業場には、労働安全衛生法第120条にもとづき50万円以下の罰金が科されます。事業主は選任義務が発生した日から14日以内に衛生管理者を置き、所轄の労働基準監督長まで届け出なければいけません。

なお、労働者数が50人未満の事業場では、安全衛生推進者の選任が義務付けられています。

衛生管理者の資格を取得するメリットとは?

衛生管理者は企業からの需要が高いことから、高難易度にもかかわらず人気が高い資格の一つです。ここでは、衛生管理者の資格を取得する具体的なメリットについて紹介します。

就職・転職に有利

一定の規模を有する事業場では、必ず衛生管理者を置かなければいけません。そのため、多くの企業が衛生管理者の求人を出しています。しかし、衛生管理者は難易度が高いことから保有者は少なめです。そのため、資格を取得しているだけでも企業から即戦力として求められる可能性が上がります。

さらに、衛生管理者の資格があれば、衛生管理職はもちろん、労務管理や設備保守、総務などの職種にも対応が可能です。就職や転職の選択肢も広がるでしょう。

性別や年齢に関係なくできる

衛生管理者の業務には、性別や年齢に関係なく従事できます。定年後の再雇用を目指す人からも注目を集めている資格です。これまでの職場経験を生かして、職場環境における課題や改善点を探り、より働きやすい環境へ導くこともできるでしょう。衛生管理者は国家資格なので有効期限は存在せず、更新手続きなども必要ありません。取得すれば一生役立つ資格です。

キャリアアップできる

人事系や総務系の職種でキャリアアップを目指すなら、衛生管理者の資格は欠かせません。企業によっては管理職へ昇進する条件として、衛生管理者の資格取得を挙げているケースもあります。たとえ資格の取得が必須条件ではなかったとしても、資格を持っていない人と有資格者なら、有資格者のほうが昇進する可能性が高いです。

資格手当がもらえることも

衛生管理者は、一定以上の規模のほとんどの企業で求められる必須資格です。そのため、衛生管理者に対し資格手当を付与している企業も多いです。資格を取得するためには受験料や講習の受講料など、ある程度の出費は避けられません。しかし、資格手当の金額によっては、数カ月で元がとれるでしょう。資格を取得することで、キャリアアップと収入アップを同時に叶えられるかもしれません。

衛生管理者試験の受験資格とは?

衛生管理者試験の受験資格は、最終学歴と労働衛生の実務経験年数によって変わります。

主な3つの受験資格のうち、まず、大学(短大を含む)または高等専門学校を卒業している人の場合、1年以上の労働衛生の実務経験があれば受験が可能です。高等学校または中等教育学校卒業の場合、3年以上の労働衛生の実務経験が求められます。学歴の条件に当てはまらなかったとしても、10年以上の労働衛生の実務経験があれば受験資格が与えられるのです。

なお、実務経験の年数を証明するためには、事業者証明書を提出しなければいけません。
事業者証明書は現在勤務している会社や、過去に勤めていた会社に申請すれば発行してもらえます。ただし、会社によっては発行まで時間がかかる場合もあるため注意が必要です。学歴については、卒業証明書などを提出すれば問題ありません。

資格の取得を検討している人は、下記の表を参考に詳しい受験資格を確認しておきましょう。

受験資格
学校教育法による大学(短期大学を含む。)又は高等専門学校【注1】を卒業した者で、その後1年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
大学評価・学位授与機構により学士の学位を授与された者で、その後1年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
省庁大学校【注2】を卒業(修了)した者で、その後1年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
専修学校の専門課程(2年以上・1700時間以上)の修了者(大学入学の有資格者に限る。)などで、その後大学等において大学改革支援・学位授与機構により学士の学位を授与されるのに必要な所定の単位を修得した者で、その後1年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
指定を受けた専修学校の専門課程(4年以上)を一定日以後に修了した者など(学校教育法施行規則第155条第1項該当者)で、その後1年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
学校教育法による高等学校又は中等教育学校【注3】を卒業した者で、その後3年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
10年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
船員法による衛生管理者適任証書の交付を受けた者で、その後1年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
高等学校卒業程度認定試験に合格した者、外国において学校教育における12年の課程を修了した者など学校教育法施行規則第150条に規定する者で、その後3年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
専門課程又は特定専門課程の高度職業訓練のうち能開則別表第6により行われるもの【注4】を修了した者で、その後1年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
応用課程の高度職業訓練のうち能開則別表第7により行われるものを修了した者で、その後1年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
普通課程の普通職業訓練のうち能開則別表第2により行われるもの【注4】を修了した者で、その後3年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
旧専修訓練課程の普通職業訓練【注4】を修了した者で、その後4年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
外国において、学校教育における14年以上の課程を修了した者で、その後1年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
特別支援学校(旧盲学校、聾(ろう)学校又は養護学校)の高等部を卒業した者など学校教育法第90条第1項の通常の課程による12年の学校教育を修了した者で、その後3年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの
朝鮮大学校(4年制学科)を140単位以上取得して卒業した者で、その後1年以上労働衛生の実務に従事した経験を有するもの

【注1】大学、短期大学、高等専門学校には、次の(1)~(3)等は含まれません。
(1)専修学校
(2)高等専門学校以外の各種専門学校
(3)各種学校

【注2】「省庁大学校」には、防衛大学校、防衛医科大学校、水産大学校、海上保安大学校、職業能力開発総合大学校の長期課程・総合課程、気象大学校の大学部及び国立看護大学校の看護学部看護学科(それぞれ旧法令による同等のものを含む。)が該当します。

【注3】中等教育学校とは中高一貫教育の学校のことで、中学校ではありません。

【注4】改正前の法令により当該訓練と同等とみなされるものを含みます。

  • 2020年3月現在。最新の受験資格については下記よりご確認ください。
  • 参考:受験資格(第一種衛生管理者・第二種衛生管理者)|公益財団法人 安全衛生技術試験協会(https://www.exam.or.jp/exmn/H_shikaku502.htm)

衛生管理者試験の概要とは?

衛生管理者試験は、毎月1~5回程度、安全衛生技術センターにて実施されます。受験を希望する場合は、第1受験希望日の2週間前(消印有効)までに願書を郵送しなければいけません。安全衛生技術センターで直接手続きを行うのであれば、同希望日の2日前までに願書を提出しましょう。年末・年度末の試験は、申込者が急増する為、早期に定員に達し、満員となる場合があります。年末・年度末に受験を検討されている方は早めに受験申請をしましょう。試験時間は第一種、第二種ともに13:30~16:30の3時間です。

試験科目は労働衛生、関係法令、労働生理の3区分で、5肢択一式のマークシート方式により行われます。試験手数料は2020年1月時点で6,800円です。消費税法により非課税で受験できます。

衛生管理者試験の合格基準と合格率は?

衛生管理者試験に合格するためには、各科目の得点が4割以上、かつ全科目の総合得点が6割以上でなければいけません。合格率は第一種と第二種で異なり、第一種は2016年度が45.5%、2017年度が45.0%、2018年度が44.2%でした。第二種は2016年度が55.5%、2017年度が54.9%、2018年度が52.4%と、第一種よりもやや高めです。

受験者数や合格者数など、詳しい統計については、公益財団法人安全衛生技術試験協会の公式サイトで案内しています。

衛生管理者試験に確実に合格するためには?

衛生管理者試験は、受験者のうち半数が合格していることから、しっかりと勉強すれば合格できるといわれています。合格率も他の国家資格に比べると高いです。しかし、あくまで国家資格の中では比較的取得しやすいというだけであり、十分な勉強をしなければ合格は難しいでしょう。

仕事や家事で忙しく、なかなか勉強する時間がとれないという人には、通信講座を活用して効率的に勉強することをおすすめします。

まとめ

衛生管理者は企業からの需要が高く、転職や就職にも有利に働く資格です。すでに働いている職場でキャリアアップを目指している人も、衛生管理者の資格取得を検討する価値はあるでしょう。

ユーキャンの衛生管理者資格取得講座は、第一種と第二種の2つのコースから選べます。
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