• 更新日:2024/03/08

衛生管理者の資格取得を目指す場合、どのような試験対策を取ればいいのでしょうか。

この記事では、衛生管理者試験の受験を検討中の人に向けて、試験の概要や勉強の流れを具体的に紹介しています。必要な勉強時間や合格までのスケジュールも解説するので、ぜひ参考にしてください。

このページを簡潔にまとめると・・・

  • 第一種衛生管理者試験を知識ゼロから挑戦する場合、合格に必要な勉強時間は約100時間ほど、期間は4~6ヵ月程度が目安。
  • 第二種衛生管理者試験は第一種より学習範囲がせまく、学習期間は3~5ヵ月程度が目安。
  • 学習の進め方は、1.学習スケジュールを立てる、2.テキストを読み込み、過去問題を繰り返し解く、3.合格ラインに未達の科目を重点的に対策する。
  • テキストや問題集は最新版を購入することが重要。

衛生管理者とは?

衛生管理者には、事業場の労働環境における衛生や安全を管理する役割があります。衛生管理者は、労働安全衛生法のもとに定められている国家資格で、労働者が常時50人以上いる事業場では1人以上の配置が必須とされています。配置する人数は労働者数に応じて変わり、たとえば、労働者が201人以上いる事業場には2人以上の衛生管理者が必要です。

第一種衛生管理者とは?

第一種衛生管理者は、全ての業種の衛生管理を行うことができます。農林畜水産業や建設業、電気業、医療業など幅広い業種の衛生管理を行えますが、有害業務を含む業種での業務のため責任も大きくなります。有害業務の中には、化学物質を取り扱う作業や粉塵(ふんじん)が舞う中での作業もあります。そのため、各業種の専門知識や働き方への理解が求められます。

第二種衛生管理者とは?

第二種衛生管理者は第一種とちがい、有害業務が含まれる業種では衛生管理を行うことはできません。第二種衛生管理者の業務の対象となるのは、主に金融・保険業や小売業、情報通信業などです。危険をともなう作業が少ない業種とはいえ、デスクワークによる腰痛や、食堂での食中毒などが起きないよう、職場の環境づくりに責任を持つ立場となります。

衛生管理者の業務内容

衛生管理者の業務は、労働者の安全と健康を守るために、職場環境と労働者の衛生管理を行うことです。職場環境においては、作業場等が清潔に保たれているか、温度や空調、明るさなどは適正かなどをチェックし、必要に応じて整備や改善を行います。

一方、労働者に対しては、健康状態に異常が認められた場合に迅速な対応ができるよう、健康相談の場を設けたり、健康診断の日程調整を行ったりします。

衛生管理者試験の試験概要

ここでは受験資格や試験日程、試験科目などについて解説します。

受験資格

受験資格は第一種・第二種共通です。衛生管理者の受験資格は多岐にわたるので、ここでは主な3つの受験資格を紹介します。

1)大学(短大を含む)または高等専門学校を卒業し、労働衛生の実務経験が1年以上ある
2)高等学校または中等教育学校を卒業し、労働衛生の実務経験が3年以上ある
3)最終学歴が中学校卒業の場合、労働衛生の実務経験が10年以上ある

試験日程

試験は、年間を通して毎月複数実施されています。全国7つのブロックに分けられた安全衛生技術センターが会場です。申し込み方法としてはセンターの窓口に持参する方法と、簡易書留による郵送の2つがあります。受付期間は、持参の場合は第1受験希望日の2カ月前から2日前まで、郵送の場合は同2カ月前から2週間前(消印有効)までとなります。

試験科目

第一種衛生管理者も第二種衛生管理者も、試験科目は労働衛生・関係法令・労働生理の3つです。ただし、第一種衛生管理者は第二種衛生管理者と違って、有害業務との関連が大きい業種も取り扱います。そのため、労働衛生と関係法令については、試験科目が有害業務に関わるものとそれ以外のもので分けられ、配点も別に設けられているので要注意です。

種類 試験科目 出題数(配点)
第一種衛生管理者 労働衛生 有害業務に係わるもの 10問(80点)
有害業務に係わるもの以外のもの 7問(70点)
関係法令 有害業務に係わるもの 10問(80点)
有害業務に係わるもの以外のもの 7問(70点)
労働生理 10問(100点)
第二種衛生管理者 労働衛生 10問(100点)
関係法令 10問(100点)
労働生理 10問(100点)

合格ライン

合格ラインは、各科目の得点が40%以上で、かつ、全科目の総得点が60%以上となります。1つの試験範囲で高得点を狙うのではなく、どの科目でも40%以上得点できるよう目指すようにしましょう。

衛生管理者試験の難易度

2022年度の試験結果を見ると、第一種衛生管理者は、受験者数が68,066人だったのに対し合格者数は31,207人、合格率は45.8%です。一方、第二種衛生管理者は、受験者数が35,199人に対して合格者数は18,089人、合格率は51.4%となっています。

ほかの資格と合格率を比較すると、「宅建」よりは難易度が低く、「簿記3級」や「普通自動車免許」よりは難易度が高い傾向にあるといえるでしょう。難関試験というほどではありませんが、しっかりとした対策が必要な試験といえます。

衛生管理者試験の合格に必要な勉強時間

第一種衛生管理者試験を知識がゼロの状態から挑戦した場合、約100時間の勉強時間が必要といわれています。合格までの期間は4~6カ月程度を見込んでおくといいでしょう。働きながらでは一日に何時間も机に向かえるわけではありません。スケジュールには余裕を持って、毎日コツコツと勉強するようにしましょう。

一方、第二種衛生管理者試験は第一種に比べて出題範囲がせまい分、勉強時間を短くまとめられる傾向にあります。インターネット上では1~2カ月で合格できるといった情報もあるとはいえ、家事や仕事などで多忙な人は、第一種と同様に地道に勉強することが大切です。

    合格までのスケジュール

    ここでは、効率的に合格を目指すための勉強の流れを解説します。なお、勉強期間を4カ月に設定した場合の一例です。


1カ月目

まずは受験する資格の種類を決めましょう。第一種と第二種では試験科目に異なる範囲があるため、どちらを選ぶかで勉強内容が変わってきます。種類が決まったら試験日程を確認して受験日を決めます。

受験日が決定したら受験申請書を取り寄せて勉強の計画を立てます。試験日から逆算し、1日に必要な勉強時間を割り出計算したら勉強開始です。独学ならテキストや過去問題集を用意し、通信講座で学ぶなら受講先を決めて申し込みを行います。


2~3カ月目

テキストを読み込み、過去問題を繰り返し解きます。専門用語は反復して覚え、わからないことはそのままにせず、必ず疑問点を解消するようにしましょう。また、受験の2カ月前は試験の申し込みが開始される時期です。希望の試験日が定員に達してしまうこともあるので、早めに受験申請書を提出しておくようにしましょう。


4カ月目

最終月には各科目、総合ともに合格ラインに達しているか確認しましょう。合格ラインに届かなかった科目や問題はその理由を調べ、正しい解答を出せるように理解を深めておきます。

このスケジュールはあくまで一例です。仕事や家事などで忙しい場合には、自分に合った余裕のあるスケジュールに組み直すといいでしょう。

衛生管理者試験のテキスト・問題集や通信講座の選び方

ここでは、勉強に使用する教材や通信講座の選び方のポイントについて紹介します。

テキストや問題集は最新版を購入する

テキストや問題集は、多くの受験者に人気があるものが必ずしもいい教材であるとは限りません。自分が使いやすいもの、読んで理解しやすいものを選ぶことが大切です。イラストや図があって見やすい、解説がわかりやすいといった点がポイントになるでしょう。また、最新の出題傾向を知るためにも、最新版を入手することが大切です。

通信講座は最新情報の提供やサポートがあるところを選ぶ

通信講座を選ぶ際には、受講者へのサポート内容をチェックしましょう。わからないことがあったときに気軽に質問できたり、添削サポートがあったりすると便利です。また、法改正などがあった際、試験前に最新情報を知らせてくれるサービスがあるかどうかも大事なポイントとなります。

衛生管理者の将来性

衛生管理者の資格に有効期限はありません。一度取得すると、再受験や更新などの手続きを行う必要はなく、一生有効です。また、衛生管理者は一定規模の事業場では必ず選任することが法律で定められているので、常にニーズがあります。就職や転職の際は、「危険物取扱者」や「安全管理者」など、ほかの資格とあわせてアピールするといいでしょう。

まとめ

働き方改革で労働環境が見直される昨今、衛生管理者はどの業種でも労働者の味方として活躍できます。誰でも簡単に取得できる資格ではありませんが、計画的にきちんと勉強すれば試験合格は難しいことではありません。

ユーキャンの衛生管理者合格指導講座では、イラストや図解などを使ったわかりやすいテキストや充実したサポートにより、最短4カ月で合格を目指します。法改正情報のお知らせや質問・添削などのサポートも充実しています。第一種と第二種の2つのコースが用意されているので、自分の状況に合わせて挑戦したい資格にチャレンジできます。

生涯学習のユーキャン
この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。

よくある質問

衛生管理者一種は難しいですか?

第一種衛生管理者試験は、受験者数が毎年増加している人気資格で、5年間の合格率の平均は約44.5%となっており、比較的合格率が高く、他の国家資格に比べると難易度は低めといえます。

衛生管理者試験の合格には、どのくらい勉強時間が必要ですか?

第一種衛生管理者試験に合格するためには、1日1時間勉強するとして、約約100時間、期間では3~6ヵ月ほどの勉強時間が必要といわれています。
第二種衛生管理者試験は第一種より難易度が低く、学習期間は1~2ヵ月程度が目安です。
初めにスケジュールをしっかり立てた上で、テキストや問題集を反復し、知識が身に付いたら過去問を解いていきます。

衛生管理者は、第一種と第二種、どちらを取るのがおすすめですか?

第一種は全ての業務に対応していますが、第二種は製造業や建築業、電気業などの業種では衛生管理者としては就任できません。ですから、昇給や転職、再就職に役立てたいという方には、第一種の取得をおすすめします。

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労働災害を未然に防ぐプロフェッショナルとして注目されている衛生管理者。労働安全衛生法によって、業種に関わらず常時50人以上の従業員が従事する事業場では、衛生管理者を1人以上置くことが義務付けられています。しかし、現在はこの資格の取得者が不足していることもあり、資格取得はまさに今がチャンス。衛生管理者になることができれば、キャリアアップはもちろんのこと、転職・再就職に有利ですので、総務・労務などのスペシャリストとして昇進・昇給を考えている方、総務・事務関連に転職を考えている方におすすめの資格です。
ユーキャンの「衛生管理者」講座では、過去5年以上の試験問題を分析し、よく出るところに的を絞った効率的なテキストをご用意。初めての方でも仕事や家事で忙しい方でも、無理なく合格を目指せます。