• 更新日:2026/08/31

貿易事務への転職を目指している方や、キャリアアップのために資格取得を検討している方の中には、「貿易実務検定は本当に役に立つのか」「C級・B級・A級のどの級まで挑戦すべきか」と悩んでいる方も少なくありません。また、通関士との違いがわからず、どちらを取得すべきか迷っている方もいるでしょう。

本記事では、貿易実務検定の概要から各級の難易度・合格率まで詳しく解説するとともに、通関士との違いについても紹介します。資格選びの参考にしてみてください。

このページを簡潔にまとめると・・・

  • 貿易実務検定は、貿易業務に必要な知識や実務能力を客観的に証明できる民間資格で、A級・B級・C級の3段階に分かれている。
  • C級は未経験者向け、B級は中級実務者向け、A級は管理職・プロフェッショナル向けの難易度で、目的や経験に合わせて受験級を選ぶことが重要である。
  • 貿易実務検定は貿易全体の流れを広く学べる資格であり、通関手続きの専門性を高めたい場合は国家資格である通関士の取得も選択肢となる。
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貿易実務検定とは

貿易実務検定は、日本貿易実務検定協会が主催する、貿易実務の知識・能力を客観的に証明できる民間資格です。

レベルはA級・B級・C級の3段階に分かれており、貿易の基礎知識から書類作成・税務・英語・EPA(経済連携協定)の知識まで、現場に直結する実務的な能力が幅広く問われます。

申込み資格に制限はないため、経験の有無を問わず誰でも挑戦できる点も魅力です。受験方法については、B級・C級はWebでのみ受験でき、A級は東京・名古屋・大阪の会場でのみ受験できます。

【2026年最新】貿易実務検定の試験概要

貿易実務検定はA級・B級・C級の3つのグレードで構成されており、それぞれ受験方法や出題形式、合格ラインが異なります。まずは各級の試験概要を表で確認しておきましょう。

項目 A級 B級 C級
受験資格 なし(誰でも受験可能) なし(誰でも受験可能) なし(誰でも受験可能)
受験方法 会場受験型 Web試験(自宅など通信環境が整った場所から受験可能) Web試験(自宅など通信環境が整った場所から受験可能)
出題形式 ・短答式・事例式(選択式+記述式)
・「貿易実務」「貿易実務英語」「貿易マーケティング」の3科目
・選択式
・「貿易実務」「貿易実務英語」「貿易マーケティング」の3科目
・選択式
・「貿易実務」「貿易実務英語」の2科目
合格ライン 各回に定められる基準点(3科目合計で判定) 3科目合計210点/300点、70%を基準として試験委員長が定める点 2科目合計160点/200点、80%を基準として試験委員長が定める点
受験料(税込) 12,760円 7,480円 6,270円

出典:日本貿易実務検定協会「貿易実務検定お申込み方法」
出典:日本貿易実務検定協会「各級の科目と出題傾向」
出典:日本貿易実務検定協会「各級の詳細」

出題範囲

各級の出題範囲は以下の表の通りです。なお、△印は「きわめて基礎的な事項が出題される」範囲を示しています。

科目 内容 A級 B級 C級
貿易実務 貿易と環境
貿易経済知識
貿易の流れ
貿易金融
貿易書類
貿易法務
貿易税務 - -
通関知識
貿易保険
外国為替
航空貨物
クレーム -
EPAの基礎知識(時事問題、原産品証明の方法等) -
マーケティング知識 - -
貿易マーケティング 試験科目として出題 -
貿易実務英語 商業英単語
英文解釈
英作文 - -

出典:日本貿易実務検定協会「試験科目の範囲」

表を見ると、級が上がるにつれて出題範囲が広がり、求められる知識の深さも増していることがわかります。C級は貿易実務の各分野について基礎的な事項が中心となっており、初めて学ぶ方でも取り組みやすい構成です。

B級では、EPAの基礎知識が出題範囲に加わる他、貿易マーケティングが独立した試験科目として設けられています。また、貿易実務英語の英文解釈についても、C級より本格的な内容が問われます。

A級では、B級の内容に加えて貿易税務や英作文も出題範囲に含まれます。概ね3年~4年以上の実務経験に相当し、貿易実務において判断業務を行えるレベルの知識や対応力が求められます。

自分が目指す級に応じて、どの分野をどこまで深く学ぶべきかを事前に把握したうえで学習計画を立てることが大切です。



2026年度の申込み受付・日程

2026年度の貿易実務検定の実施日程と申込み期間は以下の通りです。申込み期間はいずれも正午12時開始・正午12時締切となっているため、期限を見落とさないよう注意が必要です。

実施日 実施試験級 申込み期間 試験形態
2026年5月17日(日) 第113回 C級 2026年3月5日(木)~2026年4月27日(月)(月) Web試験
2026年7月5日(日) 第114回 C級 2026年5月14日(木)~2026年6月22日(月) Web試験
2026年7月12日(日) 第82回 B級 2026年5月14日(木)~2026年6月29日(月) Web試験
2026年10月4日(日) 第25回 A級/第115回 C級 2026年7月16日(木)~2026年9月18日(金) A級:会場試験(東京・名古屋・大阪)/C級:Web試験
2026年12月6日(日) 第116回 C級 2026年9月24日(木)~2026年11月24日(火) Web試験
2026年12月13日(日) 第83回 B級 2026年9月24日(木)~2026年12月1日(火) Web試験
2027年3月7日(日) 第117回 C級 2026年12月24日(木)~2027年2月22日(月) Web試験
2027年3月7日(日) 第84回 B級 2026年12月24日(木)~2027年3月1日(月) Web試験

C級はWeb試験のみで年間を通じて複数回実施されており、受験機会が多い点が特徴です。B級も年3回の実施が予定されており、Web試験で受験できます。

一方、A級は2026年10月4日(日)の1回のみの実施で、東京・名古屋・大阪の会場での試験となるため、受験を検討している方は早めにスケジュールを確認しておくことが重要です。日程や詳細は変更される場合もあるため、公式サイトで最新情報を確認しましょう。

出典:日本貿易実務検定協会「今後の貿易実務検定®お申込み・実施日程」

貿易実務検定を取得するメリット

貿易実務検定の取得は、キャリアアップや業務効率の向上など、様々な面で大きな恩恵をもたらします。以下では、具体的なメリットを解説します。

未経験から貿易事務への転職・就職が有利になる
入社後の即戦力化・ミスマッチ防止になる
メーカー・商社・物流(フォワーダー)など活躍の幅が広がる

未経験から貿易事務への転職・就職が有利になる

貿易事務は一般的な事務職とは異なり、専門知識や一定水準の語学力が求められるため、採用の現場では経験者が優遇される傾向があります。そのため、未経験から挑戦する場合は、他の応募者との差別化が重要な課題となります。

貿易実務検定の合格実績があれば、専門用語や貿易特有の書類の流れといった基礎知識がすでに身についていることを客観的に証明できます。採用担当者に対して「本気で貿易の仕事を目指している」という強い意欲や熱意、ポテンシャルをアピールすることも可能です。

書類選考や面接の段階で他の未経験応募者に一歩差をつける、強力な武器になるでしょう。

入社後の即戦力化・ミスマッチ防止になる

貿易事務の現場では、インコタームズ(貿易条件)、L/C(信用状)、B/L(船荷証券)など、聞き慣れない専門用語やアルファベットの略字が数多く飛び交います。こうした用語を知らないまま入社すると、上司の指示や業務の流れを理解するだけで精一杯になりがちです。

事前に検定の勉強を通じて貿易実務の全体像や一連の流れを体系的に学んでおくことで、入社直後からスムーズに実務へ対応できるようになるでしょう。

また、実際の業務内容を学習段階で把握できるため、「思っていた仕事と違った」というミスマッチを防ぐことにもつながり、自信を持ってキャリアをスタートできます。

メーカー・商社・物流(フォワーダー)など活躍の幅が広がる

貿易実務検定で得られる知識は、特定の業界だけに限定されるものではありません。商社やメーカーの輸出入部門をはじめ、フォワーダー、航空会社・船会社、さらには業務内容によっては銀行や保険会社まで、幅広い業種で活用できるのが大きな特長です。

国内外を結ぶサプライチェーン全体の様々なポジションが選択肢に入るため、グローバルビジネスに関わるあらゆる企業で共通して活かせる汎用性の高い資格といえるでしょう。

1つの業界に縛られることなく、キャリアの可能性や活躍の場を大きく広げられる点は、長期的なキャリア形成を考えるうえでも大きなメリットです。

【級別】貿易実務検定の難易度・合格率

貿易実務検定はA級・B級・C級の3段階に分かれており、級によって難易度や合格率は大きく異なります。自分のレベルや目標に合った級を選ぶためにも、それぞれの特徴を把握しておくことが重要です。

C級:基礎レベル(未経験者向け)
B級:中級実務者レベル(1年~3年程度)
A級:プロフェッショナル(管理職)

C級:基礎レベル(未経験者向け)

C級は、貿易実務において定型業務をこなすために必要な知識があることを証明する基礎レベルの資格です。未経験者や学生など、貿易の仕事に関する基礎を固めたい方におすすめです。

近年の合格率は60%前後で推移しており、貿易実務検定の中では比較的取り組みやすい難易度に設定されています。

B級:中級実務者レベル(1年~3年程度)

B級は、おおむね1年~3年以上の実務経験に相当する知識を必要とするレベルで、貿易実務経験者の中堅層を対象としています。すでに現場で働いている方や、C級からさらにステップアップしたい方に特におすすめのグレードです。

近年の合格率は40%~50%前後で推移しており、C級と比べれば難易度は高いものの、比較的取り組みやすい試験といえるでしょう。

出題範囲自体はC級とほぼ同じですが、定型業務の知識だけでなく、細かい手続きやイレギュラー対応に関する知識も問われるため、難易度は増します。

A級:プロフェッショナル(管理職)

A級は、おおむね3年~4年以上の実務経験に相当する知識を必要とし、貿易実務において判断業務を行うことができるプロフェッショナルレベルに位置づけられています。貿易のスペシャリストを目指す方や、社内での昇進・キャリアアップを狙う方におすすめの資格です。

難易度・合格率は近年30%前後で推移しており、3つの級の中で最も高い難易度です。出題範囲はB級の内容に加え、国連物品売買条約や船荷証券統一条約、海上保険の準拠法など、専門性の高い知識が求められます。

また、A級では、海上運賃や航空運賃、関税額等を求める計算問題も出題されます。B級では基礎的な知識が中心となる航空貨物や外国為替などについても、A級ではより実務的かつ詳細な内容が問われる点が特徴です。

出題形式は短答式と事例式の2つに分かれており、具体的な事例に応じた手続きや対応を判断する問題も出題されます。そのため、実践的な計算スキルを含め、実務に即した幅広い対応力が必要になります。

「貿易実務検定」と「通関士」の違い

貿易業界で役立つ資格として、貿易実務検定と並んでよく名前が挙がるのが「通関士」です。どちらを取得すべきか迷う方も少なくありません。

以下では、2つの資格の違いとそれぞれに向いている方の特徴を詳しく解説します。

大きな違いは「民間資格」か「国家資格」か
通関士には通関書類の審査などに関われる強みがある
未経験者はまず「貿易実務検定C級」から挑戦するのがおすすめ
通関業務までキャリアを広げたい方は通関士も検討しよう

大きな違いは「民間資格」か「国家資格」か

貿易実務検定と通関士の最も根本的な違いは、資格の種類にあります。貿易実務検定は、日本貿易実務検定協会が主催する民間資格です。

取得しても独占業務はありませんが、書類作成・為替・保険・船積みなど、貿易全体の流れを広く学べる点が大きなメリットといえるでしょう。

一方、通関士は財務省・税関が実施する通関士試験に合格することで取得できる貿易業界で唯一の国家資格です。通関業法や関税法など、法律に関する専門知識が中心に問われる点が特徴的です。

両者の違いを整理すると、貿易実務検定は「貿易業務全体を広く学ぶ資格」、通関士は「通関手続きの専門性を高める資格」と捉えると、それぞれの位置づけを理解しやすくなります。

通関士には通関書類の審査などに関われる強みがある

通関士は、通関業者に所属し、貨物の輸出入に際して法令に基づき税関に提出する通関書類の審査などを行う、専門性の高い国家資格です。税関への申告書類作成といった通関業務は、通関業の許可を受けた通関業者のみが担うことができます。

その中でも通関士は、通関書類の審査や記名など、一般のスタッフには認められていない専門性の高い業務に直接携われる点が大きな特徴といえます。

貿易事務としてのキャリアからさらに専門性を高めたい方や、将来的に通関業者・物流会社・フォワーダーなどでキャリアアップを目指したい方にとって、取得するメリットが大きい資格です。

未経験者はまず「貿易実務検定C級」から挑戦するのがおすすめ

貿易・物流業界への就職や転職を考えている未経験者は、まず「貿易実務検定C級」から挑戦するのがおすすめです。同資格は業界未経験の方でも比較的取り組みやすい難易度に設定されており、貿易全体の流れを体系的に把握できる点が大きな魅力です。

一方、通関士は国家資格であり、通関業法や関税法といった専門的な法律知識が問われます。初めて学ぶ方にとっては法律用語の難しさに戸惑う場面も少なくないため、いきなり通関士の学習から始めるのはハードルが高いと感じる方も多いでしょう。

まずは貿易実務検定C級で基礎知識をしっかりと固め、貿易事務や物流業界への理解を深めることで、就職・転職活動における足がかりとしても活用しやすくなります。

通関業務までキャリアを広げたい方は通関士も検討しよう

貿易実務検定で貿易全体の流れを理解した後、より専門的な業務に携わりたい方は、通関士の取得も視野に入れておくと良いでしょう。

特に、輸出入申告や関税の処理、通関書類の確認といった業務を目指す場合、通関士の知識は実務の場でも直接活かせる場面が多くあります。

通関士は難易度の高い国家資格ですが、その分だけ専門性を対外的に示しやすく、貿易・物流業界で長期的なキャリアを築きたい方にとって大きな強みになります。独学に不安を感じる方は、通信講座を活用して効率良く対策を進めるのも1つの方法です。

まとめ

貿易実務検定は、貿易実務の能力を証明する定番資格で、レベルに応じてA級・B級・C級の3段階に分かれています。一般的な事務職とは異なり、専門知識や専門用語の理解が求められる分野だからこそ、資格を取得することで就職・転職の選択肢が大きく広がるでしょう。

C級の合格率は60%前後と比較的取り組みやすい難易度となっているため、業界未経験の方はまずC級からチャレンジしてみてください。

また、貿易関連の資格としては、国家資格である「通関士」も選択肢の1つです。難易度は高めですが、ユーキャンの通関士講座なら、受講生の78%が初めて学ぶ方であり、通関士試験に精通したプロが作成したわかりやすいテキストで、知識ゼロからでも合格を狙えます。

通関士の取得を目指している方は、ぜひ一度受講を検討してみてください。

加藤 佑喜
この記事の監修者は加藤 佑喜

船会社、輸入商社、通関業者での勤務経験を有する。
輸入商社では薬品・香辛料、通関業者では主に食品分野を担当し、貿易実務、輸入手続、通関実務に携わる。
HP:https://boueki-shikaku-bonvoyage.com/tutor/

よくある質問

貿易実務検定は業界未経験や働きながらの勉強でも取得できる?

貿易実務検定の受験者層は非常に幅広く、学生から貿易・産業界の第一線で活躍している方まで多岐にわたります。業界未経験の状態からスタートした方や、仕事と勉強を両立しながら合格を果たした方も多数います。

そのため、「未経験だから難しいのでは」「働きながらでは時間が足りないのでは」と感じている方も、十分に取得を目指せる資格といえるでしょう。

貿易実務検定は履歴書に書ける資格?

貿易実務検定は、履歴書に自信を持って記載できる資格です。第1回試験の実施以来、検定試験のレベル・範囲・出題形式・配点・問題・解答および解説が全て一貫して公開されており、受験申込者数・実際の受験者数・合格者数・合格率も広く開示されています。

透明性の高い運営体制が取られているため、社会的な信頼性も十分に備わっているといえるでしょう。

資格を取得することで、「どのような知識を有しているか」「業務遂行能力があるのか」が明確に証明できるため、採用担当者に対して自分のスキルを客観的に示せます。

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国境を越えてモノのやりとりをするには、税関に申告して検査や審査を受けなければなりません。通関士は、通関手続きの代行や提出書類の作成を一手に引き受ける貿易のスペシャリストです。通関業者では原則として各営業所ごとに通関士を置く義務があるため、ニーズは安定しています。また、資格取得によって、輸出入に関連した企業、通関業を兼業している倉庫業や航空会社の貨物部門、運送・物流会社など、専門性の高い部署への就職・転職やキャリアアップにも役立ちます。通関士は貿易関係の唯一の国家資格であり、受験制限はありません。輸出入手続きを担う存在として日本経済の発展に貢献できる、将来性の高い注目の資格です。
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