データサイエンティストとは
データサイエンティストとは、ビッグデータを収集・分析し、有益な知見を考察する専門家です。統計学、機械学習、プログラミング(PythonやR言語など)のさまざまなツールを利用し、多角的な視点でビジネス課題の解決や意思決定の支援を行います。主な業務には、データ収集・前処理、分析モデルの構築、予測分析などがあります。
データサイエンティストに資格は必須?
データサイエンティストに資格は必須ではありませんが、スキルを証明する手段として有効とされています。企業によってデータサイエンティストに求める能力は異なるため、実務経験やスキルセットが重要視される点も意識すべきです。持っていると有利になる資格には次のものがあります。
・統計検定
・G検定
・Google Cloud Professional Data Engineer(GCP-PDE)
・基礎・応用情報技術者試験
上記の資格はデータ分析や統計、プログラミング、ディープラーニングなど、データサイエンティストに必要なスキルと有用性を証明する客観的な証拠になります。 class="p-データサイエンティストとしての価値を向上させるためにも、資格を取得しておくことをおすすめします。
データサイエンティストにまつわる資格を取得するメリット
データサイエンティストになること自体には、資格は必要ありません。しかし関連する資格を取得することで、データサイエンティストを目指す上でメリットがあります。どのようなメリットがあるのかを2点紹介します。
データサイエンティストに必要な知識とスキルを習得できる
データサイエンティストに関連する資格を取得することで、統計学・機会学習・プログラミング・データ分析などの基礎スキルを体系的に学べます。例えば「統計検定」はデータ分析の基礎、「G検定」はAIの知識、「Google Cloud Professional Data Engineer」はクラウド環境でのデータ処理スキルを学べる資格です。資格を取得することで、実務に役立つ知識・スキルを効率的に身に付け、データサイエンティストとしての専門性を高めることにつながります。
就職・転職活動で有利になる
データサイエンティストに関する資格を取得することで、専門知識やスキルを客観的に証明でき、就職・転職活動で有利になります。特に未経験者や異業種からの転職を目指す場合、資格があることで基礎知識を持っていることをアピールでき、採用担当者の評価が得やすくなります。例えば「統計検定」「G検定」「Google Cloud Professional Data Engineer」などの資格は、データ分析やAI分野の知識を証明でき、応募時の差別化になる点が重要です。また資格取得の過程で得た知識や実績をポートフォリオとして活用することで、実務経験がなくてもスキルを示せるようになります。
データサイエンティストにまつわる資格を選ぶ際のポイント
データサイエンティストの関連資格を選ぶ際のポイントについて、2点紹介します。
自分のレベルに合った資格になっているか
基礎知識がない段階で高度な資格に挑戦すると、難易度が高すぎて挫折する可能性があるため、段階的に取得するのがポイントです。例えば初心者は「統計検定2級」や「G検定」で基礎知識を学び、次に「Pythonエンジニア認定データ分析試験」などで実践的なスキルを習得するのがよいでしょう。また上級者は「Google Cloud Professional Data Engineer」や「AWS Certified Machine Learning」などのクラウド・AI分野の資格を目指すことで、より高いレベルに到達できます。自分の知識・スキル・実務経験を踏まえて、自分のレベルに合った資格を選別しましょう。
自分の目的・目標に合っているか
データサイエンティスト向けの資格を選ぶ際には、自分のキャリアの目的や目標に合ったものを選ぶことが重要です。データサイエンティストの関連資格は、資格ごとにカバーする分野が異なるため、どのスキルを強化したいのかを明確にする必要があります。例えば「統計検定」はデータ分析の基礎を学びたい人向け、「G検定」はAI・機械学習の知識を大切にしたい人向け、「Google Cloud Professional Data Engineer」はクラウド環境でのデータ処理スキルを高めたい人に適しています。自身の目指すキャリアや業務内容に応じて資格を実務に即して考えることで、効率よくスキルアップでき、キャリアの成長につながります。
初心者におすすめのデータサイエンティスト関連の資格
初心者が持っていると有利になるおすすめのデータサイエンティスト関連資格について、代表的なものを4つ紹介します。
データサイエンティスト検定リテラシーレベル
データサイエンティスト検定リテラシーレベル(DS検定🄬★)は、データサイエンティストに必要なビジネス力・データサイエンス力・データエンジニアリング力の3つ領域から、実務能力と知識を証明する資格です。リテラシーレベルという名前の通り、データサイエンティストの実力を評価する検定として代表的なものの1つです。資格のレベルは★の数で表現され、星が多くなるほど高難度の資格となります。
試験のレベル | 以下難易度順 ・シニアデータサイエンティスト(★★★★) ・フルデータサイエンティスト(★★★) ・アソシエートデータサイエンティスト(★★) ・アシスタントデータサイエンティスト(★) |
試験概要 | ・CBT方式での選択式問題 ・試験時間:100分 ・問題数:100問 |
合格率 | 40~50% |
公式HP | https://www.datascientist.or.jp/dscertification/what/ |
統計検定データサイエンス基礎
統計検定データサイエンス基礎(DS基礎)は、データ分析・データ活用を中心とした試験であり、大学入試レベル程度のデータアナリティクススキルの証明となる資格です。試験ではデータマネジメントやデータセットマネジメント、質的データ・量的データの分析、記述統計的手法などデータサイエンスで求められる知識・スキルが一通り盛り込まれています。また、Excelを用いたデータ分析手法についても試験内容に含まれています。
試験のレベル | データサイエンス初心者・入門者向け |
試験概要 | ・CBT方式での選択式・入力式問題 ・問題数:大問8題(大問1題あたり小問5問程度)、合計小問45問程度 ・試験時間:90分 |
合格率 | 60%前後 |
公式HP | https://www.toukei-kentei.jp/grade/ds_basic_analytics/ |
G検定
G検定はAI・ディープラーニングの活用リテラシー試験であり、データサイエンスやAI、ディープラーニングに関わるすべての人を対象としています。AIやデータ活用の基本を理解し、データによる課題発見・解決方法の模索、アイデアの創出につなげることが目的の資格です。
試験のレベル | ・AI・ディープラーニング・データサイエンス初心者向け ・大学レベルの数理知識が必要 |
試験概要 | ・オンライン受験(自宅受験可) ・多肢選択式 ・試験時間:120分 ・問題数:160問程度 |
合格率 | 60~70% |
公式HP | https://www.jdla.org/certificate/general/ |
データサイエンス数学ストラテジスト(中級)
データサイエンス数学ストラテジストは、企業やビジネスにおける実用的なデータ活用を目指し、すべてのビジネスパーソンを対象としたデータサイエンス資格です。試験は中級と上級に分かれており、中級は高校1年生程度の数学スキルがあれば合格できるレベルとされています。学習分野は「計算能力と数学的理論の理解」「数学的理論の理解」「数学リテラシー」「数学技能を活用する能力」の4つがあります。合格することでデジタル証明のオープンバッジが発行され、電子履歴書に添付することも可能です。
試験のレベル | ・中級:高校1年生程度の基礎数学スキルが必要 ・上級:大学書学年程度の上級数学スキルが必要 |
試験概要 | ・24時間受験可能 ・オンライン上での五肢択一に回答するIBT形式 ・問題数:中級・上級とも30問 ・試験時間:中級は90分、上級は120分 |
合格率 | 2021年に設けられた資格であり、過去データなし |
公式HP | https://www.su-gaku.net/math-ds/ |
中級者以上におすすめのデータサイエンティスト関連の資格
データサイエンスについて、一定の知識・スキルを持つ中級者以上の方におすすめの資格を5つ紹介します。
統計検定データサイエンス発展
統計検定データサイエンス発展(DS発展)は、統計検定データサイエンス基礎(DS基礎)を踏まえて、大学教育レベルの数理・データサイエンス・AIに関する知識・スキルを評価する試験です。DS基礎からより発展的な内容が試験となっており、PythonやR言語を用いたプログラミングスキル、統計学、データハンドリングなどの知識が問われます。
試験のレベル | ・大学基礎レベル ・一定以上のプログラミングスキルを持つ人向け |
試験概要 | ・CBT方式での多肢選択および数値入力問題 ・問題数:30問程度 ・試験時間:60分 |
合格率 | 50~60% |
公式HP | https://www.toukei-kentei.jp/grade/ds_advanced/ |
統計検定データサイエンスエキスパート
統計検定データサイエンスエキスパートは、統計検定データサイエンス基礎を基本として、計算や統計、モデリング、領域知識の専門性を問う試験です。DS発展に比べて数学的知識やモデリング、AIに重点を置いており、難易度の高い試験となっています。
試験のレベル | ・データサイエンス分野の資格では最高クラスの難易度 ・大学教養レベルの専門的な数学知識が必要 |
試験概要 | ・CBT方式での多肢選択および数値入力問題 ・問題数:40問程度 ・試験時間:90分 |
合格率 | 30%前後 |
公式HP | https://www.toukei-kentei.jp/grade/ds_expert/ |
データサイエンス数学ストラテジスト(上級)
データサイエンス数学ストラテジスト(上級)は、前述のデータサイエンス数学ストラテジスト(中級)の上位資格です。大学教育レベルの線形代数や微分積分、統計学、機械学習といった専門知識が問われます。新しい資格であるため合格率のデータはありませんが、高度な専門知識を問われることからやや難易度の高い試験といえるでしょう。
試験のレベル | ・中級:高校1年生程度の基礎数学スキルが必要 ・上級:大学書学年程度の上級数学スキルが必要 |
試験概要 | ・24時間受験可能 ・オンライン上での五肢択一に回答するIBT形式 ・問題数:中級・上級とも30問 ・試験時間:中級は90分、上級は120分 |
合格率 | 2021年に設けられた資格であり、過去データなし |
公式HP | https://www.su-gaku.net/math-ds/ |
E資格
E資格は、ディープラーニングの実装に必要な知識やスキルを有しているかを証明するAIエンジニア向けの資格です。機械学習や深層学習、数学的知識、開発・運用環境に関する問題が出題されます。AIエンジニアになりたい方やAIエンジニアとして転職したい方におすすめです。
試験のレベル | ・ITエンジニア関連資格では上位の難易度 ・受験資格を得るには認定講座(JDLA認定プログラム)の修了が必要 |
試験概要 | ・各地の指定試験会場にて受験可能 ・多肢選択式 ・問題数:100問程度 ・試験時間:120分 |
合格率 | 60~70% |
公式HP | https://www.jdla.org/certificate/engineer/ |
Google Cloud Professional Data Engineer
Google Cloud Professional Data Engineer(PDE)は、Googlr Cloud Platformでのデータ処理システムの設計・構築・運用能力を証明する資格です。データエンジニアの関連資格として難易度が高く、資格取得により高い評価を得られます。試験ではデータ処理システムやセキュリティ、機械学習モデルの運用、データ収集・分析および意思決定などが問われます。
試験のレベル | ・Google認定資格の中でもプロフェッショナルレベルの資格 ・公式HPにて「データサイエンティスト経験3年以上」「Google Cloud使用経験1年以上」が目安とされている |
試験概要 | ・オンラインまたはテストセンターにて受験可能 ・多肢選択式(複数選択問題あり) ・問題数:50~60問程度 ・試験時間:120分 |
合格率 | 50~60% |
公式HP | https://cloud.google.com/learn/certification/data-engineer |
データサイエンティストの実務に役立つ資格
データサイエンティストの実務で役立つ資格を2種類紹介します。
OSS-DB技術者認定試験
OSS-DB(オープンソースデータベース)は、オープンソースデータベース「PostgreSQL」の知識と技術を証明する資格です。オープンソースデータベースの運用管理や開発、PostgreSQLの内部構造への理解、性能監視・パフォーマンスチューニング・障害対応などの知識・スキルが問われます。難易度はSilverとGoldの2種類があり、Silverはデータベースの基本知識を問う内容、Goldはより専門的で実務的な内容を問われます。
試験概要 | ・CBT方式で全国の試験センターまたは自宅・職場からオンライン受験可能 ・多肢選択式、キーボード入力問題 ・問題数:Silver50問程度、Gold30問程度 ・試験時間90分 |
合格率 | ・Silver:約70% ・Gold:約60% |
公式HP | OSS-DB Silver:https://oss-db.jp/outline/silver OSS-DB Gold:https://oss-db.jp/outline/gold |
データベーススペシャリスト試験
データベーススペシャリスト試験は、高度IT人材としての専門分野を持ち、データベースに関する固有技術の活用、情報システム基盤の企画・要件定義・開発・運用・保守を行う知識とスキルを持つことを証明する資格です。IT系国家資格の一種であり、IT系資格の中でも最高難度の資格となっています。将来的にデータベース管理者やインフラ系エンジニアとしての働き方を目指す方におすすめです。
試験概要 | ・多肢選択式および記述式 ・午前Ⅰ:試験時間50分、問題数30問 ・午前Ⅱ:試験時間40分、問題数25問 ・午後Ⅰ:試験時間90分、問題数3問(うち2問解答) ・午後Ⅱ:試験時間120分、問題数2問(うち1問解答) |
合格率 | 15~20% |
公式HP | https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/db.html |
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まとめ
データサイエンティストについて、職種の概要や求められる資格、レベル別のおすすめ資格などを詳しく解説しました。データサイエンティストは社会やビジネスなど、日々の膨大なデータを収集・分析し、企業の業績や開発、イノベーションに転換していく仕事です。高度な数学的知識やデータ分析能力、プログラミングスキルが求められますが、比較的新しい職種でもあるため、資格を取得することでさまざまなキャリアへと発展する可能性を秘めています。ビジネスパーソンとして長く活躍するために、まずは初心者向けの資格から取得を目指し、ビジネスで活用できる知識とスキルを習得しましょう。