研修で目標設定をすべき理由とは?例もあわせて紹介

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    公開日:2025.04.11

    更新日:2025.04.11

    研修の目標設定とは、企業に必要な人材を育てるために、研修に明確な目標を設定することです。研修の目標設定は「研修を通して何を学んでもらいたいか」「どのような成長を期待するか」という研修内の目標設定と、「学んだことを実務でどう生かすか」という研修後の目標設定の2つに分かれます。この記事では研修における目標設定の重要性や設定のポイント、研修別の目標例を詳しく解説します。

研修の目標設定とは?

研修の目標設定は「研修を通して何を学んでもらいたいか」「どのような成長を期待するか」という研修内の目標設定と、「学んだことを実務でどう生かすか」という研修後の目標設定の2つに分かれます。それぞれの目標設定がどのような意味を持つのかを紹介します。

研修内の目標設定

研修内の目標設定では、研修を通して参加者に何を学んでもらうのか、また受講者自身が何を学び、どう成長したいのかを設定することになります。例えばOJTで実務での研修を行うのなら、その実務を単独でもこなせるようになることや、より質の高いスキルを身につけることが目標になるでしょう。

研修後の目標設定

研修後の目標設定では、受講者が研修を通して学んだことを実務でどう活かしていくのかを目標にします。目標は短期・中期・長期と大まかに分け、期間別に達成したい目標を設定します。例えばIT・DXやデジタルスキルの研修を受講した場合、短期的には学んだ内容の理解、中期的にはチームや職場内でのデジタルスキル活用、長期的には組織内のシステム改革やDX推進などが挙げられるでしょう。このように研修内と研修後の目標設定のやり方と内容には大きな違いがあるため、研修の効果を高めるには研修前後で明確な目標を設定し、達成を支援していく必要があります。

研修で目標設定が重要な理由

研修を行う際は、目標設定を行わないと思うような効果を得られないことがあります。なぜ目標設定がそれほど重要となるのか、具体的な3つの理由を紹介します。

受講者の成長方向を決めるため

研修の目標設定には、研修受講者の成長方向を決定し、成長を促進するという目的があります。研修を目標設定しないまま開催しても、受講者は何のために受講しているかが不明確で、学ぶ姿勢に力が入らなくなります。そのためどれほど優良な講師を呼んで研修を実施しても、その内容が実力につながらず、記憶にも残りにくくなるでしょう。実力につながらなければスキルアップにはならず、研修の意味を失ってしまいます。一方、研修で目標設定を行えば、受講者は研修の意図を理解し、研修で身につけたスキルや知識を実践で活用する意識を高めることにつながります。

組織の成果を高めるため

研修目標設定は受講者である社員の成長だけでなく、組織の成果や成長につなげるという目的もあります。組織の成果を高めるには、社員一人ひとりの成長や生産性向上が不可欠です。経営戦略の一環として社員研修を据えれば、組織として社員に求める成長の方向性を明示できます。また組織の目標に沿う形で研修目標を設定すれば、社員の成長が組織の成長へと直結しやすくなるでしょう。例えば業務効率化と生産性向上のためにロジカルシンキングやデジタルスキルの習得を目指す場合、個々の研修でも組織の掲げる目標に沿った内容と目標を設定すると効果的です。目標設定は社員個人だけを対象にするのではなく、組織としての方向性を明確にしておくことで生産性向上や成果を期待できます。

目的意識を持ってもらうため

研修で目標設定を行うことで、受講者が目的意識を持って研修に取り組めるようになる点も大きな理由です。例えば新入社員研修の場合、多くの企業で入社してすぐにすべての新入社員を対象として実施します。しかし人は「やらされている」という意識を持ってしまうと、何事に対しても受け身の姿勢になり、やりがいを見出すことができません。そのため研修で何を学んでほしいのか、どのような姿に成長してほしいかを設定しておくことで、受講者自身が「自分には何が足りないか」を考え、自発的に学ぶ姿勢を持つようになります。自発的に学ぶ姿勢は研修だけでなく、実務上でもさまざまな場面で役立ち、常に目的意識を持って動ける社員となることに期待が持てます。

研修での目標設定を行うポイント

研修の目標設定では、ポイントを押さえておくことで研修の効果を高められます。どのようなポイントを意識すべきなのか3点紹介します。

具体的で明確なゴールを設定する

社員研修で具体的かつ明確な目標を設定することは、研修効果を最大化するうえで欠かせません。曖昧な目標設定を行うと、受講者が何を達成すべきかが把握しにくく、意欲低下や研修の成果が不十分で終わる可能性があります。一方で具体的な目標があれば、受講者は目標への道筋がはっきりすることから、進歩や成長を実感しやすくなるでしょう。また具体的で明確な目標があれば、研修後の評価基準としても機能し、研修内容が実務にどの程度良い影響をもたらすかを判断する指標になります。具体的な目標があれば定量的な測定も可能になるとともに、継続的なスキルアップや課題の発見がしやすくなり、個人の成長と組織のパフォーマンス向上の両立につながります。

努力によって達成できる範囲にする

社員研修で目標を設定する際、努力によって達成可能な範囲にすることも重要です。目標が現実離れしていたり、達成があまりにも困難だったりすると、受講者は挫折感や無力感を抱き、モチベーションの低下につながります。例えばIT知識とスキルがゼロの状態から、「1年以内にプログラミングスキルを習得し、社内システムをすべて構築する」という目標を立てても、現実的に不可能といえるでしょう。また達成可能な目標を立てる際も、段階的なスキル習得を促進し、受講者自身の成長を実感しやすくすることが大切です。適切な目標を設定することで、研修への積極的な参加と実務への活用が可能となり、個人の成長と組織全体のパフォーマンス向上の両面で貢献する社員を育成できます。

経営目標やビジョンに沿う目標にする

社員研修の目標設定において、経営目標やビジョンに沿った目標を設定することは、個人の成長と組織全体の方向性を一致させるために重要なポイントです。組織経営では、社員個人のスキル向上が組織の成果に直結するため、研修の効果が重要視されます。 経営目標やビジョンを前提とした研修であれば、組織にとって必要なスキルを持つ社員の増加につながり、市場競争力の強化にもなるからです。さらに会社全体のビジョンに沿った目標は、部門間の連携強化や組織文化を醸成し、組織全体の一体感を高めることができます。

【研修別】目標設定の例

研修における目標設定のポイントについて、テーマ別に具体例で紹介します。研修テーマによって目標は変更する必要がありますから、実際に目標設定する際の参考にしましょう。

ビジネスマナー研修

ビジネスマナー研修を行う場合、対象となるのは新入社員や若手社員が中心です。ビジネスマナーとして挨拶や言葉遣い、電話対応、名刺交換といったあらゆるビジネスで基本となる内容を学ぶことになります。そのうえで、ビジネスマナー研修では次のような目標設定ができます。

・基本的なビジネスマナーを習得し、現場で実践できる
・臨機応変なマナーへの理解と顧客への実践力の向上
・毎日の社員間の挨拶が実践できるようになる

ビジネスマナーはビジネスの基本であることから、普段から実践しているかどうかで定着状況がわかります。そのため研修だけで終わらせるのではなく、実際に働く中で実践を繰り返し、定着を目指せるような目標を設定するのがよいでしょう。

コミュニケーション研修

コミュニケーション能力は、社員の年齢や階層を問わず必要とされ、社内外で人間関係を構築するために欠かせないスキルです。ビジネスにおけるコミュニケーションとは、単に自分の主張や自社の商品をアピールするだけでなく、相手との意見交換を行い、相互理解を深めるためにあります。その点を踏まえると、目標設定の例は次のものが挙げられます。

・相手の話を傾聴し、自分の意見をわかりやすく伝えられる
・社員同士の挨拶を徹底し、先輩社員・上司と自らコミュニケーションを取る
・コミュニケーションスキルを生かして顧客対応を行い、成約率を10%高める

まずは社内でのコミュニケーションとして、同僚や先輩社員への挨拶、上司とのコミュニケーションを自分から行うことを目標にするとよいでしょう。また社外の取引先や顧客とのコミュニケーション力を高めるために、定量的な数値として成約率アップを目標にすると評価しやすくなります。

ロジカルシンキング研修

ロジカルシンキング研修とは、論理的思考力を鍛え、原因から結果までを論理的に整理する能力を高める研修です。ビジネスにおいては、論理的思考力の高さはプロジェクトマネジメントや交渉、文書作成などさまざまな場面で求められる能力です。研修を通してロジカルシンキングの基盤を構築すると同時に、フレームワークを習得することで、業務効率や生産性向上につながるとされています。ロジカルシンキング研修の目標設定の例は次のものが挙げられます。

・論理的に情報を整理する思考力を身につけ、仕事でも意識して使える
・会議資料作成や顧客への提案にロジカルシンキングを活用できる
・意思決定の過程を論理的に説明できる

ロジカルシンキングができるようになると、意思決定がスムーズになりコミュニケーションも円滑になります。リスクの回避や原因究明にも役立つスキルですから、課題解決の手法として用いるのも効果的です。

ハラスメント研修

ハラスメント研修は、会社で発生するさまざまなハラスメントについて学び、事前にリスクを回避することを目的としています。近年は多くの企業でハラスメントが問題視されており、ハラスメント研修はハラスメントの基準を社員に知ってもらうことを目標にすることが重要です。

・ハラスメントの定義と種類を正しく理解する
・月1回以上の頻度で学びを振り返り、自分の行動を見つめ直す
・ハラスメント防止策や行動指針を理解し、実践できる

ハラスメント行為は、誰もが意識せずに加害者になっている可能性があります。自分の言葉や行動を定期的に振り返ることで「あの時の行動は問題なかったか」と見つめ直す機会となります。研修の目標においても、社員がハラスメントへの意識を高められるような内容を設定することが重要です。

コンプライアンス研修

コンプライアンスとは「法令遵守」を意味する言葉で、会社の規則や社会通念上のマナーに違反しないことを意味します。近年はインターネットやSNSが普及したことで、会社の機密情報や社員個人の問題行動、会社としての倫理観が誰でも容易に把握できるようになりました。その結果、以前までは人目に触れず問題になることもなかったことも、コンプライアンス違反として不祥事とされるようになっています。そのためコンプライアンス研修では、次のような目標設定を行うのがよいでしょう。

・コンプライアンス違反の事例を学び、業務の中でリスクのあるものを洗い出す
・月1回、部署内でコンプライアンスの改善に向けた会議と情報共有を実施する
・SNSにおいて個人や企業を特定できる情報発信を行なっていないか振り返る
・社用の端末や社内資料の管理を徹底する

IT・OAスキル研修

現代の企業において、デジタルスキルは必要不可欠となっています。そしてIT・OAスキルは業務を円滑に遂行し、DXやITツールの活用にも重要です。またベテラン社員のITリテラシー向上とリスキリング支援という観点からも、IT・OAスキル研修は必要といえます。そのため、IT・OAスキル研修の目標設定例は次のものが考えられます。

・ITツールを活用した業務効率化とコミュニケーションの円滑化を図る
・社員用アカウントのパスワードを3か月に1回変更する
・最新のセキュリティツールの導入と定期的な更新を行う
・USBの管理とウイルスチェックを徹底する
サイバー攻撃による被害は企業秘密や個人情報の漏洩だけでなく、企業のブランドイメージをも毀損します。社員一人ひとりが情報セキュリティの当事者意識を持ち、正しいIT・OAスキルを身につけられる目標を設定しましょう。

マネジメント研修

マネジメント研修は管理職やリーダーが部下の業務やプロジェクトの進行を管理し、業務を円滑に進行する力を養う目的で行われます。対象となるのは、中堅やベテラン以上の社員です。目標設定では次のようなものが挙げられます。
・管理職としてチームマネジメント・プロジェクトマネジメントの基礎知識と手法を知る
・部下育成の方法とコツを学び、強みを生かしたマネジメント方法を実践する
・部下との1on1を定期的に実施し、部下とのコミュニケーションを通して課題解決を図る

まとめ

研修での目標設定の重要性やポイント、テーマ別の目標設定例を解説しました。社員研修はほとんどの企業で実施されていますが、企業に必要な人材を育てるには、研修目標の設定が非常に重要です。社員の成長の方向性を決定することにより、組織に長く貢献し、成長を続ける人材を確保できます。研修前後で適切な目標を設定することにより、社員が学びを生かせる会社作りを目指しましょう。

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