ストレスマネジメント研修とは?
ストレスマネジメント研修とは、職場や日常生活でのストレスに対処する方法を学ぶ研修です。参加者はストレスの原因や自分のストレス反応を正しく理解し、正しい対処法や原因ごとの予防策を学びます。対策の具体例としては、心身をリラックスさせるリラクゼーション、自分の考えを調整しストレスを和らげる認知の再構成、時間に余裕を持つことで精神的ストレスが緩和するタイムマネジメントなどがあり、ストレスの軽減とメンタルヘルスの向上を目指します。研修により業務効率の向上や職場の人間関係改善、心身の健康維持が期待される重要なプログラムです。
ストレスマネジメント研修の目的と必要な背景
ストレスマネジメント研修が重要視される目的および背景には、現代の日本社会の労働環境やストレス要因が関係しています。どのような目的・背景があるのかを紹介します。
目的
ストレスマネジメント研修を行う目的は、企業の生産性を向上し、離職率を低下させることです。社会人として働く中で、仕事や人間関係などのストレス要因は数多く存在します。ストレスが蓄積すればパフォーマンスや判断力は低下し、次第に気力も低下していくことになるでしょう。パフォーマンスや気力の低下は仕事へのモチベーションまで低下させ、最終的には長期の療養や離職といった結末を招くおそれがあります。そこで重要になるのがストレスマネジメント研修です。ストレスマネジメント研修を実施することで、社員が自分のストレスとの正しい向き合い方を学び、効果的な対処法を試み、安定したパフォーマンスとモチベーションを維持できるようになります。それだけでなく、ストレスマネジメント研修を通して社員同士のつながりが強くなれば、職場環境の改善も期待できます。企業にとって、働く人のメンタルケアは組織を維持・成長させていくために欠かせないものです。生産性向上と離職率低下を目指す企業にとって、ストレスマネジメント研修は非常に重要な取り組みとなるでしょう。
背景
現代社会においてストレスは身近に潜んでおり、心身の健康を保つためにはストレスとどう付き合うかが重要になります。中でも企業規模が小さくなるほどメンタル不調を訴える人の割合は多く、社員数99人以下の企業では約7割の人がメンタルの不調を経験したことがあるとされています。一方で社員数1,000人以上の企業では、メンタルの不調を経験したのは半数ほどです。この背景には、少ない人員で業務を遂行する都合上、代わりとなる人材がおらず、一人ひとりに業務負担が大きくそれに伴うストレスも強くなっていることが影響しています。さらに企業規模が大きな会社は資金力を生かしてメンタルヘルスへの対策も打ち出しやすく、率先して対策を行っている点も違いとなっているでしょう。そしてストレスマネジメント研修が重要視されるようになったのは、ストレスチェックの義務化が関係しています。社員数50人以上の事業所にはストレスチェックが義務付けられており、必要なら面談を行うことも義務となっています。社員のメンタルヘルスの不調が可視化されたことも影響し、企業の間でストレスマネジメント研修を実施する機運が高まりました。
参考:MS-Japan 「社会人になって62%が「メンタル不調」を経験
ストレスマネジメント研修のメリットとは?
ストレスマネジメント研修を実施することで、企業や社員にとってどのようなメリットがあるのかを紹介します。
社員のメンタルヘルスが維持できる
ストレスマネジメント研修を実施することで、社員は自分のストレスの原因や正しい対処法を学び、適切に対応できるようになります。その結果ストレス耐性やコーピング能力(ストレスに上手く対処する行動や方法)が高まり、ストレスによるメンタルヘルス不調を防ぐことができます。メンタルヘルスが維持されればうつ病やバーンアウトなどのリスクも軽減され、 高いパフォーマンスを発揮する社員も増加することにつながるでしょう。さらに社員が心身ともに健康な状態を維持できるため、欠勤や離職の防止への対策にもなる点がメリットです。
モチベーションと生産性が向上する
ストレスマネジメント研修を受講することで、社員はストレスへの正しい対処法を学び、精神的な余裕を持って業務に取り組めるようになります。日常的な業務であっても、日々のノルマややるべきことは多く、社員は知らぬうちにストレスを蓄積してパフォーマンスが低下していることも珍しくありません。ストレスマネジメントを学ぶことで、業務負担や仕事への不安が軽減され、仕事への探求心やモチベーション向上が期待できます。 またモチベーションが高まれば集中力を維持しやすくなり、業務効率や生産性が向上する好循環につながります。
職場環境が改善される
ストレスマネジメント研修を実施することで、社員自身がストレスを適切にコントロールする方法を習得し、職場全体の雰囲気が良くなるというメリットもあります。人は余裕がない状態になると、他者を気に掛けることが難しくなり、強い口調や厳しい態度で接してしまいがちです。一方ストレスマネジメント研修を受講すれば、余裕を持って業務に取り組めるようになります。心に余裕を持って仕事に臨めるようになると、職場全体の雰囲気が穏やかになり、社員間に流れる緊張感や人間関係の対立が減少する効果が期待できます。
ストレスマネジメント研修の内容とは?
ストレスマネジメント研修のプログラム内容について、どのような特徴があるのかを紹介します。
メンタルヘルス研修(セルフケア)
メンタルヘルス研修(セルフケア)では、メンタルヘルス不調についての基本知識や自分なりのストレス解消方法を理解し、自己理解を深めてコミュニケーションを円滑にする効果が期待できます。対象となるのは心身への負担が大きい業務に従事する人、メンタルヘルスの不調を早期発見したい人、メンタルヘルスの正しい知識を学んでほしい担当者などです。メンタルヘルス研修(セルフケア)では、次の内容が学べます。
・メンタルヘルスの基礎知識
・メンタルヘルス不調時の対応
・ジョハリの窓や心理テストによる自己分析を通して、他者との円滑なコミュニケーションや関係の築き方を知る
・良いストレスと悪いストレス
・コミュニケーション能力
上記の要素を研修内容として、次の順序で学習を進めます。
1.メンタルヘルスの基本を習得
2.ストレスとは何か、自身への影響がわかる
3.自分と向き合うことで、周りとの関係性が高まる
4.自身を守ることの重要性がわかる
この研修では、具体的なサポート内容として研修担当者向けのレクチャーやフォローシート・アクションプランの提案のほか、研修後の学習内容定着のための支援も行います。アンケートによる振り返りやフィードバックも活用し、社員のメンタルヘルス知識の定着と実践を目指します。
参考:メンタルヘルス研修(セルフケア)
メンタルヘルス研修(ラインケア)
メンタルヘルス研修(ラインケア)は、リーダーや管理職を対象として、部下やメンバーのメンタルヘルスケアに必要な知識と対処方法を学ぶ研修です。管理職として経験の浅い人やラインケアへの知識を深めたい人におすすめの内容となっています。研修で学べる内容は次の通りです。
・メンタルヘルスにおける4つのケア
・ラインケアの基本知識
・ラインケア対応のポイント
・不調を早期発見するためには
・管理職としての相談対応と傾聴のポイント
・休職から復帰までの流れと役割
・ケーススタディ
上記の内容を以下のステップで学びます。
1.メンタルヘルスの基本がわかる
2.ラインケアの役割が理解できる
3.傾聴スキルが身につく
4.事例検討で、実際の対応ができるように
ラインケアは管理職として知識と対処方法を知っておくべきものです。この研修では、管理職が正しい対処方法と不調を早期発見する力を高められるように、フォローシート・アクションプランの提案のほか、研修後の学習内容定着のための支援も行います。またアンケートによる振り返りやフィードバックも活用し、管理職のラインケアに関する知識の定着と実践を目指します。
参考:メンタルヘルス研修(ラインケア)
セルフモチベーションアップ研修
セルフモチベーションアップ研修は、自分の奥底にあるニーズや価値観、キャリアの方向性を定めるために、自身のモチベーションを高める方法を学ぶ研修です。対象となるのは若手社員から中堅社員、管理職まで仕事へのモチベーションが低下しやすい幅広い階層です。セルフモチベーションアップ研修では、次のような内容が学べます。
・自分と組織のニーズとは
・自己戦略の重要性
・自分について振り返るワーク
・自己分析
・組織分析
・自己の貢献領域の決定
・内発的動機付けの方法
上記の要素を次の流れで学習します。
1.「自己分析」の考え方と手法を実践
2.自己戦略を立てるための「組織分析」の考え方と手法を習得する
3.「自己領域設定」の考え方と手法を学習
4.戦略実行のためのセルフ・モチベーション・アップの方法を習得
さらに、研修では具体的なサポート内容として研修担当者向けのレクチャーやフォローシート・アクションプランの提案のほか、研修後の学習内容定着のための支援も行います。アンケートによる振り返りやフィードバックも活用し、セルフモチベーションアップによる生産性向上を支援します。
参考:セルフモチベーションアップ研修
セルフマネジメントトレーニング研修
セルフマネジメントトレーニング研修は、社員がストレスをコントロールし、目標を達成するための高いパフォーマンスを発揮する方法を学び、仕事とプライベートを充実させるための研修です。対象となるのは仕事で高いパフォーマンスを求められる中堅・ベテラン社員、ハラスメントを予防したい管理職などです。セルフマネジメントトレーニング研修の内容は次のものがあります。
・自己基盤力を高めるセルフマネジメントの基礎知識
・ストレスマネジメント
・レジリエンスとリフレーミング
・アサーティブ・コミュニケーション
・セルフマネジメント実践のための行動計画
上記の要素を以下の手順で学びます。
1.セルフマネジメントの概念とポイントが理解できる
2.ストレスマネジメントが身につく
3.レジリエンスの高め方が理解できる
4.アサーティブ・コミュニケーションを理解し、実践できる
この研修では、具体的なサポート内容として研修担当者向けのレクチャーやフォローシート・アクションプランの提案のほか、研修後の学習内容定着のための支援も行います。特にストレスマネジメントとレジリエンスが実際に効果を発揮できているか、アンケートによる振り返りやフィードバックも活用して測定します。
参考:セルフマネジメントトレーニング研修
ストレスマネジメント研修を実施する際のポイント
ストレスマネジメント研修を実施する際、より効果を高めて研修を成功させるための4つのポイントを紹介します。
社員がセルフケアの方法を理解できる内容にする
ストレスマネジメント研修を成功させるためには、社員が自らのストレス状態を把握し、正しく対処するセルフケア方法を理解することが重要です。研修を通してセルフケアのスキルを身につけることで、メンタル不調が本格化する前に自己管理が可能となり、心身の健康を維持できます。また社員のストレス耐性が向上することで個々の社員のパフォーマンスがアップし、組織全体の生産性や職場環境の改善にもつなげられます。
ラインケアでメンタルヘルスを支援する
ストレスマネジメント研修において、ラインケアによるメンタルヘルス支援も重要な要素です。ラインケアとは、上司や管理職が部下のストレス状況を把握し、適切にサポートしたり、必要なら1on1での面談を行ったりしてケアを行うことです。現場の状況を理解できる管理職が、初期に部下のメンタルヘルス不調を発見して対処することで、深刻な問題の予防につながります。ラインケアを取り入れることで、休職からの復帰もスムーズになりやすく、ストレスマネジメント研修の実施と並行して進めるべき施策といえます。
社内にメンタルヘルスの専門窓口を設置する
ストレスマネジメント研修を成功させるためには、社内にメンタルヘルスの専門窓口を設置し、研修後に定期的な面談を行うことが大切です。ストレスマネジメント研修を受講しても、会社がメンタルヘルス不調に対応する体制を整えていないと、十分な対策にならないからです。そのためメンタルヘルス専門窓口や相談室を置いて、社員がストレスや不調を抱えた際、気軽に相談できる環境を整えることが必要になります。また専門窓口があることで、メンタルヘルス不調の早期発見と具体的な改善策の立案・実施が可能となり、重大な問題へ発展することを防げます。
外部から最新の知識とサービスを取り入れる
ストレスマネジメント研修を成功させるためのポイントとして、外部から最新の知識やサービスを取り入れるための施策も打ち出しましょう。メンタルヘルスに関する研究や対策は常に進化しており、最新の情報を取り入れることで、効果的かつ実践的な研修内容と職場内での情報共有が可能になります。また外部の専門家による講義や最新のツール導入は、社員のメンタルヘルスへの関心を高めるだけでなく、実際のストレス対応能力の向上にも直結します。
まとめ
ストレスマネジメント研修は、ストレスの多い現代社会で会社と社員が心身の健康を維持し、パフォーマンスを最大限発揮するために必要な研修です。自分でも知らない間にストレスを蓄積していることは多いですが、自己理解と対処方法、レジリエンスを高めることで自分らしく働けるようになります。社員の離職や休職を減らし、生産性と人間関係の改善を図るなら、ユーキャンのストレスマネジメント研修を活用してください。