フォロワーシップ研修とは?タイプや身につく能力について解説

  • フォロワーシップ研修とは?タイプや身につく能力について解説

    公開日:2025.04.11

    更新日:2025.04.11

    フォロワーシップとは、部下(フォロワー)が上司・管理職(リーダー)を支援することです。 フォロワーシップの意識を持つ社員がいるかどうかは、リーダーの業務遂行に大きく影響し、会社やチームの生産性にも関係してきます。 この記事ではフォロワーシップの概要やメリット、タイプ別の特徴、研修で身につく能力について詳しく解説します。

フォロワーシップとは?

フォロワーシップとは、部下(フォロワー)が上司・管理職(リーダー)を支援することです。具体的には、組織において部下がリーダーを支えながら主体的に行動し、チームの目標達成に貢献する能力を指します。フォロワーシップは組織の成功を担う重要な役割を担っています。

フォロワーシップが必要な理由

フォロワーシップが必要な理由は、組織の成功がリーダーの存在だけでなく、フォロワーの積極的な関与によって成り立つからです。 リーダーが適切な判断を下すためには、フォロワーが必要な情報を的確に提供し、建設的な議論や論理的な意思決定が不可欠です。そしてフォロワーがチームに貢献することを意識して主体的に動くことで、組織全体の生産性向上にもつながります。またフォロワーが受け身の姿勢ではなく、自ら問題を発見・解決する姿勢を持つことで、組織改革や創造性の向上といった効果が期待できる点も大きいです。それだけでなく、フォロワーシップは職場のチームワーク向上と組織の成長にも役立ちます。コミュニケーションを通してリーダーとフォロワーの関係が良好になれば、相互の信頼が生まれます。その結果、組織全体のモチベーションが向上し、長期的な成長につながっていくでしょう。

フォロワーシップがもたらすメリット

フォロワーシップは社員間の関係を改善し、組織を成長させるためには重要な要素となります。フォロワーシップによって、具体的にどのようなメリットがもたらされるのかを紹介します。

メンバーの信頼関係構築

メンバーがフォロワーシップを発揮することで、メンバー間の信頼関係が醸成され、組織全体の協力体制が強化されるというメリットがあります。同じチーム・部署内でメンバーの人間関係が良好になると、メンバー一人ひとりにチームの目標達成に貢献する意識が芽生えます。そしてチームに貢献するためにメンバー同士でコミュニケーションを図り、他のメンバーの意見を尊重しながら協力することで、さらに相互理解が促進されるでしょう。相互理解が深まれば、メンバーの人間性や価値観が把握できるようになり、円滑な協力関係が築けます。さらにフォロワーがリーダーや他のメンバーの立場を正しく理解し、必要なサポートを行うことで、チーム全体に一体感と安心感が生まれ、心理的安全性も向上します。

組織全体の活性化

メンバーがフォロワーシップを意識して行動することで、組織全体の活性化が促進され、ひいてはチームの生産性や創造性の向上につながります。 フォロワーがリーダーの指示を待つのではなく、主体的に考えて行動することで、組織内の意思決定がスムーズになり、迅速な対応が可能になります。またフォロワーがリーダーや他のメンバーと積極的に意見交換を行うようになるため、新しいアイデアが生まれやすくなり、組織改革が促進される点も魅力です。特にそれまでにない視点や専門知識を持つメンバー同士が協力することで、問題解決につながる課題の幅が広がり、組織の市場競争力が強化できます。さらにフォロワーが自律的に動くことでリーダーの負担も軽減され、リーダーがマネジメント業務に集中できる環境ができ、全体の業務効率が向上します。メンバー全員が積極的にチームとリーダーに貢献するフォロワーシップの文化が根付くことで、風通しの良い職場環境が形成され、組織全体の成長につながるでしょう。

フォロワーシップの5つのタイプとは?

フォロワーシップは「批判力」と「貢献力」という2つの要素で成り立っており、2つを軸として5つのフォロワーシップタイプに分類されます。5つのタイプにはどのような特徴があるのか、それぞれ解説します。

模範型

模範型のフォロワーは、リーダーを支える主体的な行動力と批判的思考を兼ねており、組織に貢献する理想的なフォロワーとされています。模範型のフォロワーは、与えられた指示に従うだけでなく、自主的に果たすべき役割を考え、積極的に提案や改善を行うことが特徴です。またリーダーや他のメンバーとの健全なコミュニケーションを重視し、組織全体の調和を意識する傾向があります。模範型のフォロワーは責任感が強く、リーダーがいない状況でも組織を支えられる能力を持つため、組織基盤の安定と成長に大きく貢献する人材です。

孤立型

孤立型のフォロワーは、組織的な方針やリーダーに対して批判的な立場を取りつつも、積極的な行動を起こさないのが特徴です。リーダーや他のメンバーと距離を置き、指示には従うものの、自発的な意見発信や協力を好まないことが多く孤立しがちです。孤立型のフォロワーは、組織の課題や改善点をいち早く認識している場合もありますが、それを積極的に提案することは少なく、メンバーに対してあまり指摘することもありません。そのため、組織全体の活性化やチーム仕事の進歩において課題となることがあります。チームからの孤立を防ぐために、メンバー間での交流やワークショップを通じた関係構築を進めるのが望ましいです。

順応型

順応型のフォロワーは、リーダーや組織の方針に対して積極的で、指示された業務を忠実に遂行する一方で批判的な思考が少ない特徴があります。自分の意見を発信することは少なく、リーダーの指示をそのまま取り入れるのが順応型の傾向です。順応型のフォロワーは安定した組織運営に貢献することを重視し、状況に応じた柔軟な対応や創造的な発想が不足しがちです。そのため組織の変革・革新を推進する場面では、受け身な姿勢が課題となることがあります。

消極型

消極型のフォロワーは、組織の方針やリーダーの指示に対して消極的な姿勢を取り、主体的な行動もほとんど起こさない特徴があります。指示されたことはこなすものの、リーダーに対して自分の意見を伝えたり、改善策を提案したりすることが少ないため、組織の成長やチームの活性化に貢献しにくいのが消極型です。また消極型のフォロワーは現状維持を優先し、重要な決断や現状からの変革に対して慎重な考え方が多いため、組織が大きな変化を必要とする場面では課題となることがあります。

実務型

実務型のフォロワーは、組織の目標達成に向けて実務をこなし、責任感が強い点が特徴です。積極的な関与と批判的思考は中間的な位置にあり、主体的にリーダーシップを発揮することは少ないものの、与えられた業務に対して高い専門性を発揮し、組織の安定した運営に貢献してくれる人材です。またリーダーの指示に対して忠実であり、組織のルールや慣習を重視する傾向があります。ただし自発的に改善の提案をすることは少なく、変化への適応力もやや低い場合があるため、フォロワーとしての役割を遂行しながら、柔軟な発想や主体性を身につけることで、さらに組織への貢献度が高い人材となるでしょう。あえてリーダーシップを発揮する立場を任せることで、リーダーの求めるフォロワーシップを理解してもらうと、模範型のフォロワーシップへと成長する期待がもてます。

フォロワーシップ研修で身につく能力とは?

フォロワーシップ研修では、理想的なフォロワーになるためのスキルが身につけられます。具体的には次の能力が挙げられます。
・柔軟性
・クリティカルシンキング
・フォロワーのマインドセット
・コミュニケーション能力
・主体性
それぞれの能力について詳しく説明します。

柔軟性

フォロワーシップ研修を受講することで、物事や状況の変化に適応して、役割や行動を調整する柔軟性が身につきます。 組織の中でフォロワーとして効果的に機能するためには、固定観念だけに囚われず、状況に応じて適切な行動を取ることが求められるでしょう。 研修ではさまざまなケーススタディやロールプレイをしながら、変化する環境に適応する方法やメンバーと協力するスキルを学びます。また自分とは異なる価値観や意見を理解し、尊重する力も養われ、多様なチームメンバーともディスカッションやコミュニケーションを取る能力も向上します。フォロワーとしてリーダーの指示に従いながら、状況に応じて臨機応変に対応する力を身につけることで、組織全体の生産性向上にも貢献する力も高まります。

クリティカルシンキング

フォロワーシップ研修では、クリティカルシンキング(批判的思考力)も養うことができます。クリティカルシンキングとは、物事を批判的な視点から疑い、論理的に検討する思考法のことです。 リーダーの意見や指示に対して疑問を持ち、より良い解決策を提案するスキルを学びます。 クリティカルシンキングにおいては、論理的に情報を整理し、問題の本質を捉える力が重要です。研修を通して物事の本質を見抜く力を高め、リーダーの判断を合理的な視点から改善へと導き、より質の高い意思決定をサポートできるフォロワーとなるでしょう。クリティカルシンキングを身に付けたフォロワーは、組織の意思決定を支える重要な役割を果たし、業務の効率化や問題解決能力の向上にも貢献できる人材となります。

フォロワーのマインドセット

フォロワーシップ研修では、主体的に組織を支えるフォロワーのマインドセットを養うことができます。フォロワーシップでは自発的に物事を考え、行動する姿勢が求められます。研修を受講することによりフォロワーシップの重要性や役割を理解し、リーダーを補佐しながらも自律的に動く意識が醸成され、チームに貢献するために建設的な意見を伝えるマインドセットが習得可能です。またフォロワーとしてのマインドセットを身につけることで、チーム全体の成功に貢献する姿勢へとつながり、周囲との協力関係の強化や積極的なコミュニケーションを促進することにもなるでしょう。マインドセットを習得することにより、チームだけでなく組織全体の成長を促すフォロワーとして活躍できるようになります。

コミュニケーション能力

フォロワーシップ研修を受講することで、相手の意図を正確に理解し、効果的に情報を共有するコミュニケーション能力が身につけられます。フォロワーシップにおいては、自分の考えや意見をわかりやすく伝えるスキルが必要です。研修を通してコミュニケーションで重要な要素である傾聴力やフィードバックの方法を実践的に学び、リーダーに建設的な意見を提案する方法や、周囲との協力関係を強化するコミュニケーション技術が習得できます。また相手の知識や理解度に合わせた伝え方、正しい質問の仕方、相手との認識や価値観の違いも踏まえた情報伝達方法も身につけられます。フォロワーとしてリーダーを補佐・支援する力だけでなく、チームメンバーとの関係が強化され、チーム全体のパフォーマンス向上や協調的な業務遂行にもつながるでしょう。

主体性

フォロワーシップ研修を受講することで、フォロワーが上司からの指示を待つだけでなく、自主的に考え、行動する主体性が身につけられます。フォロワーはリーダーを支える立場であることから、受け身の姿勢ではなく、組織の目標達成に向けて自発的に動くことが求められます。研修ではリーダーの判断や指示に依存せず、自主的に課題を発見し、解決に向けた行動を取る姿勢を養うためのプログラムが提供されます。ケーススタディやグループワークでの実践演習により、メンバーとしてどのようにチームに貢献し、自分の価値を発揮できるか考える機会となります。また研修によって、 フォロワーはリーダーを補佐するだけの存在ではなく、時には主体的に意見を発信し、組織の発展を推進する意識を向上することが可能です。 その結果、フォロワーが積極的にチームのために貢献し、組織全体の生産性向上やイノベーションの創造につながることが期待できます。

フォロワーシップ研修の流れ

フォロワーシップ研修の基本的な流れを3つのステップに分けて紹介します。

事前テスト

フォロワーシップ研修において、受講者の現在のスキルレベルや意識の傾向を把握するために、事前テストを実施することは重要です。事前テストを行うことで、受講者自身のフォロワーシップに関する理解度や強み、課題を認識しておくことで、研修内容をより実践的かつ効果的に活用できるようになります。テストを受けることで、現状のフォロワーシップのタイプや行動傾向を測定でき、受講者自身が研修の目的や自分にとって必要な学びを明確にできます。例えば「模範型」「順応型」「消極型」などのタイプ別診断を行うことで、自分の強みと弱みを客観的に把握し、研修への意欲を高めることが可能です。また事前テストを行うことで、研修担当者が受講者の特性に合わせたカリキュラムを調整しやすくなるというメリットもあります。受講者のレベルに応じた実践的なワークショップやディスカッションも組み込むことで、より効果的な学習環境を提供できます。

講義や動画による学習

フォロワーシップ研修において、講義や動画を活用した学習を取り入れることは、受講者主体で効果的な学びを進めるために必要です。フォロワーシップは、リーダーシップと同様に組織運営上重要な要素ですが、その概念や具体的な実践方法は受講者によって理解度が異なるため、まずは基礎知識を体系的に学ぶ必要があります。フォロワーシップの役割や重要性、さまざまなフォロワーのタイプ(模範型、順応型、実務型など)を知ることで、受講者は自分が学ぶべき内容を自ら判断できます。またタイプ別の講義・動画で専門講師が説明することで、フォロワーに求められる基本の行動や実践方法が整理しやすくなるでしょう。さらに、実際の職場でのフォロワーシップの良い例・悪い例を学ぶことが可能になります。 概念や理論の学習だけでなく、実際のケーススタディを映像で確認することで、より具体的なイメージを持ちながら学ぶことにつながります。そして講義や動画で学んだ内容を元に、ワークショップやロールプレイングへ移行することで、知識を行動に移しやすくなる点もメリットです。フォロワーシップは知識を得るだけではなく、実際の職場で活かすことが重要となるため、学習段階に合わせた学習方法を選択することが大切です。

確認テスト・ワーク

すべての研修が完了したら、最後に確認と振り返りのためにテストやワークを実施します。最後の確認テストで研修にどの程度効果があったか、学習内容が定着しているかが把握可能です。人間の記憶は1日で70%程度の学習内容を忘れてしまうため、確認テストやワークで記憶の定着を図ります。インプットした知識だけではいずれ記憶が風化してしまうため、ワークによるアウトプットと実践を通した経験を積んでいくことも重要です。また確認テストを終えて少し時間が経ってから、事後テストを行うのも効果的です。テスト結果も集計しておくことで、事前テストとの比較ができ、社員がどれだけ成長したか、フォロワーシップについて理解できたかを客観的に把握するのに役立ちます。

フォロワーシップ研修を行う際のポイント

フォロワーシップ研修を行う際に重要なポイントについて、2点紹介します。

管理職も研修対象に入れる

フォロワーシップ研修を成功させるためには、管理職も研修対象に含めることが重要です。一般的にフォロワーシップは部下や一般社員に求められるスキルと考えられがちですが、管理職も上層部や経営陣に対するフォロワーとしての役割が求められます。そのため管理職も組織の方針を理解し、上層部のビジョンに沿ったフォロワーとしての行動を取らなければなりません。また管理職がフォロワーシップの概念を理解していれば、部下に対してどのようなサポートが必要なのか適切に判断できます。例えば主体性を持って動くフォロワーを育てるために、部下の意見を尊重し、適切なフィードバックを行うことが考えられます。 管理職はリーダーとフォロワーという2つの視点から、ノウハウや経験を人材育成に生かしていく立場です。 そのため管理職がフォロワーシップを実践できれば、組織全体の風通しも良くなり、チームのモチベーション向上や円滑なコミュニケーションにつながっていくでしょう。

研修の目標を明確化する

フォロワーシップ研修を実施する際には、研修の目標を明確に設定することも重要です。研修の目的が不明確なまま進めても、受講者は「何のためにフォロワーシップを学ぶのか」がわからず、研修が実践にどう活かせるのかイメージできず、モチベーション低下を招きます。そのため 研修内容を周知する段階で「なぜフォロワーシップが重要なのか」「どのようなスキルを身につけることができるのか」を明確に伝えれば、参加者の学ぶ意欲を高めることができます。 特にフォロワーシップがチームワークや組織の生産性向上にどう影響するのか、ケースも示して具体的に示すことが効果的です。そして研修のゴールを「主体性のあるフォロワーになる」「リーダーをサポートしながら組織を動かす力を養う」など、具体的な行動目標に落とし込むことで、受講者が研修内容を業務に活用しやすくなります。目標が明確であれば、研修後の振り返りや評価がしやすくなる点もメリットです。例えば上司やメンバーからの「積極的な意見発信が増えたか」「チーム内でのサポート意識が向上するか」といった観点で成果を測ることで、研修の効果を実感しやすくなります。

まとめ

フォロワーシップはリーダーを支援し、チームの意思決定や協力体制を強化するために重要です。リーダーの負担が大きい職場やチームでは、部下がフォロワーシップを十分に理解していない可能性があるため、フォロワーシップ研修を行うことで意識付けをしていく必要があるでしょう。 部下が自発的に考え行動できるようになることで、メンバー同士の関係性も強化され、仕事へのモチベーションアップにもつながります。組織全体の活性化と生産性の向上を目指すなら、ユーキャンのフォロワーシップ研修を検討してみましょう。

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