- このページを簡潔にまとめると・・・
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- AI人材はAI技術を使って課題解決・価値創出を担う専門職で、需要増により企業にとって重要性が高まっている。
- 職種はAIエンジニア、データサイエンティスト、PM、NLPやロボットなど多岐にわたり、高度な技術と倫理観が必要。
- 育成は目的設定・専門家支援・実践開発・学習環境整備が鍵で、組織理解と継続学習体制が成功を左右する。
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AI人材とは?
AI人材とは、人工知能(AI)やその技術に関連する分野の専門的な知識やスキルを持ち、AIを活用して企業・社会の課題解決や価値創造に貢献できる人材を指します。またAI技術を扱うだけではなく、その技術をビジネスや産業に応用し、具体的な成果につなげる役割も担う人材です。
関連リンク:AI(人工知能)とは? 定義や学習する仕組み、活用事例も紹介
AI人材の現状
世界的な潮流として、GoogleやOpenAI, Microsoftをはじめとする巨大IT企業による開発競争に加え、生成AI(Generative AI)の実用化が急激に進んでいます。この技術革新は留まることを知らず、ベンチャーから大企業まで、ビジネスの効率化のみならず日常生活のあらゆる場面でAIが浸透し始めました。 しかし、AIによる恩恵が拡大する一方で、それを支え、活用するための「AI人材」の不足は、日本企業にとって極めて深刻な経営課題となっています。 経済産業省の試算によれば、2030年には日本全体で最大約79万人のIT人材が不足し、そのうちAIなどの先端IT人材は約12万人が不足すると予測されています。さらに、少子高齢化による生産年齢人口の減少がこの問題を加速させており、若手人材の獲得競争は激化の一途をたどっています。 この「人材危機」は世界共通の課題ですが、日本は特に厳しい状況に置かれています。 以前より指摘されていた国内外の意識格差は、近年の調査でも浮き彫りになっています。IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の『DX白書2023』によると、DX推進における人材の「量」について、米国企業の約6割が「充足している」と回答しているのに対し、日本企業で「充足している」と回答したのはわずか10.9%に過ぎません。逆に「不足している」と回答した日本企業は83.5%にも上り、大企業であっても人材確保が困難な状況は改善されるどころか、より切迫しています。 従来のような「中途採用」だけでは、この圧倒的な需給ギャップを埋めることは不可能です。現在のAI人材を取り巻く状況を整理すると、以下の点が挙げられます。
- ・生成AIの一般化:開発者だけでなく、AIを使いこなす「活用人材」の需要が爆発的に増加している。
- ・国際的な獲得競争:優秀な人材はグローバル市場で争奪戦となっており、国内採用の難易度が極めて高い。
- ・労働供給の構造的減少:人口減少社会において、若手の新規採用だけに頼るモデルが崩壊している。
- ・日本企業の慢性的な枯渇:8割以上の企業が人材不足を感じており、外部調達の限界が訪れている。
これらの事実から、もはや「採用できたらAIを活用する」という待ちの姿勢は通用しません。 今後は、社内の既存社員に対してAIスキルを習得させる「リスキリング(再教育)」への投資や、外部の専門家・プロフェッショナルと連携したハイブリッドな組織づくりが、企業の生存戦略として不可欠となるでしょう。
参考:経済産業省(2019)『IT人材需給に関する調査』
参考:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構(2023)『DX白書2023』第3部 デジタル時代の人材
IT人材との違いは何か
AI人材とIT人材は同じデジタル分野で活躍しますが、役割や専門性に違いがあります。IT人材は、情報システムの運用やネットワーク管理、セキュリティ対策、データベースの構築・保守など、企業の基盤を安定的に支えることが主な役割です。つまり「既存の仕組みを守り、効率的に活用する力」が求められます。
一方でAI人材は、機械学習やディープラーニングといった高度なアルゴリズムを理解し、データを分析して新しい価値を生み出す専門家です。AIモデルの設計や運用、サービスへの応用など、より先端的な知識が必要になります。
IT人材が「システムを安定的に運用する」ことに強みを持つのに対し、AI人材は「データから未来を切り拓く」力に強みを持つといえます。両者は補完関係にあり、企業のデジタル戦略を推進する上でどちらも欠かせない存在です。
DX人材との違いは何か
DX人材は企業のデジタルトランスフォーメーションを推進する人材であり、AI人材とは求められる能力が異なります。AI人材は技術的な専門性に特化し、機械学習やデータサイエンスを駆使してシステムやサービスを構築します。
一方でDX人材は「組織を変革へ導く力」が重要視されます。具体的にはデジタル技術を活用して業務プロセスを刷新し、新しいビジネスモデルを創出するために、リーダーシップやコミュニケーション能力、ビジネス視点を兼ね備える必要があります。
AI人材が「技術を使いこなす専門家」であるなら、DX人材は「技術を組織全体に浸透させ、変革を実現する推進者」と位置づけられます。両者の違いは、技術の深さと視野の広さにあり、企業が持続的に成長するためには両者の連携が欠かせません。
AI人材に求められるスキル
プログラミング力と開発スキル
AI人材にとって最も基本となるのがプログラミング力です。特にPythonは機械学習やデータ解析の分野で広く使われており、AIエンジニアには必須の言語といえます。さらに、C言語やJava、PHPなどの知識も役立つ場面があります。
AIシステムの開発では、単にコードを書く力だけでなく、アルゴリズムを理解し、効率的に実装する力が求められます。プログラミングスキルは、AIモデルを設計し実際に動かすための基盤であり、研究者や開発者にとって欠かせない能力です。
データサイエンスの知識
AI人材には、膨大なデータを扱い、そこから価値を導き出す力が必要です。統計学や情報工学、アルゴリズムの知識を活用し、データを分析してビジネスに役立つインサイトを見つけるのがデータサイエンスの役割です。単なる分析にとどまらず、結果をどのように活用するかを考える力も重要です。
データサイエンスのスキルを持つ人材は、企業にとって意思決定を支える存在となり、AIの成果を現場に結びつける役割を果たします。
機械学習・ディープラーニングの理解
AI人材には、機械学習やディープラーニングに関する深い知識が求められます。機械学習は大量のデータからパターンを見つける技術であり、予測や分類に活用されます。
ディープラーニングはその発展形で、入力データから特徴を自動的に抽出し、複雑な問題を解決できるのが特徴です。画像認識や音声認識など、近年のAIサービスの多くはディープラーニングによって支えられています。これらの知識を持つ人材は、AIの可能性を広げる中心的な役割を担います。
法律・規制に関する知識
AIの活用には、技術だけでなく法律や規制に関する理解も欠かせません。AIは大量のデータを扱うため、知的財産権や契約に関わる問題が発生する可能性があります。さらに海外ではAI規制が進んでおり、EUでは「AI規制法案」が承認されるなど、国際的なルールが整備されつつあります。
企業がグローバルにAIを活用する際には各国の法令を遵守する必要があり、現場の人材が迅速に対応できることが求められます。法的知識を持つAI人材は、安心して技術を活用するための重要な存在です。
論理的思考力と分析力
AI人材には、論理的思考力も欠かせません。ロジカルシンキングに基づき、矛盾なく筋道を立てて考える力は、データ分析やアルゴリズム設計に直結します。規則性や法則性を見つけ、分類する能力は、機械学習モデルの精度を高める上でも重要です。
さらに統計解析や数理的な分析スキルと組み合わせることで、複雑な課題を整理し、解決策を導き出すことができます。論理的思考力を備えたAI人材は、技術とビジネスの橋渡し役としても活躍できるのです。
AI人材の職種
AI(人工知能)という言葉は広く知られるようになりましたが、AIを活用して社会に変化をもたらすAI人材については、広く知られているとは言い難いです。そこでAI人材の、代表的な職種を紹介します。
AIエンジニア・プログラマー
AIエンジニア・プログラマーは、人工知能(AI)技術を用いてアルゴリズムやシステムを設計・開発し、ビジネスやプロダクトに実装する専門職です。AIエンジニアは、機械学習、ディープラーニング、自然言語処理、画像認識・処理など、AI技術の幅広い分野に関する専門知識を持ち、スキルを活用して課題解決に取り組むのが仕事です。主な役割には、データ前処理やモデリング、AIアルゴリズムの検討・設計・開発、実験結果の分析、AIモデルのシステムへの統合などがあります。またPythonやR言語などのプログラミング言語、TensorFlowやPyTorchなどのAIフレームワークの知識も必須レベルです。他にもデータベースクラウドプラットフォームのスキル、AIを業務に活用するためのビジネス理解や問題解決能力も求められます。AIエンジニアやプログラマーは、企業のDX推進や新たな価値創造の中心的な存在として今後も活躍が期待されています。
データサイエンティスト
データサイエンティストは、膨大なデータを収集・分析し、そこから有益な情報や関連性を導き出す専門職です。統計学、機械学習、プログラミングのスキルを用いてデータを解析し、その結果を反映した意思決定や業務改善に役立つ情報を提供します。デ具体的な業務として、データのクレンジング、探索的データ分析(EDA)、モデリング、セキュリティ化、結果のビジネスへの適用などがあります。またPythonやR、SQLなどのプログラミング言語の活用、TensorFlow、Scikit-learnなどの機械学習ライブラリを活用することが一般的です。データサイエンティストは、ビジネスにおける課題をデータで解決するため、技術力以外の業界知識やコミュニケーション能力も求められます。こうした能力は市場調査、顧客分析、予測モデルの構築など幅広い領域で活躍し、AI時代における重要な役割を担っています。
AIプロダクトマネージャー
AIプロダクトマネージャーは、AI技術を活用したプロダクトやサービスの企画・開発・運用を統括する専門職です。ビジネスの目標と技術要件の橋渡し役として、AIを活用して新たな価値の創造・計画・実行までを行います。代表的な業務には、ユーザーのニーズの把握や市場動向の調査、AI技術の活用可能性の評価、開発チームやデータサイエンティストとの連携、プロジェクト管理、そしてステークホルダーへの報告があります。プロダクトマネージャーという名称の通り、商品開発の中核的な役割を持つのが特徴です。またAI活用を進めるうえで課題となるデータ収集やモデルの精度、倫理的配慮なども考慮します。AIプロダクトマネージャーには技術的な知識(AIや機械学習の基礎理解)と、ビジネスやプロダクト管理のスキルが求められるため、エンジニアとビジネス両方の幅広い知識と能力が必要です。
ディープラーニングエンジニア
ディープラーニングエンジニアは、AIの学習方法の1つであるディープラーニング技術を活用し、AIシステムやモデルを開発・実装する専門職です。ディープラーニングはニューラルネットワーク(NN)を基盤とする機械学習分野の1つであり、画像認識、音声認識、自然言語処理など、さまざまな先端AI技術に応用されています。ディープラーニングエンジニアの具体的な業務には、適切なニューラルネットワークの設計、トレーニングデータの準備、モデルのトレーニング、ハイパーパラメーターの調整、性能評価、最適化などがあります。また、ディープラーニングをプロダクション環境に統合し、効率的に動作するシステム構築も仕事の1つです。ディープラーニングエンジニアは数学や統計の知識、PythonやTensorFlow、PyTorchなどのライブラリの利用スキル、データ処理能力、そしてアルゴリズムなどが求められる高度な専門職です。
AIプランナー(AI戦略人材)
AIプランナーは、AIを活用したプロジェクトの企画・実行、AI導入における戦略的役割を担う人材です。主に企業の課題を特定し、AI技術をどのように活用して解決するのか、技術面だけでなく、事業目標との整合性や市場動向も考慮して戦略を練るのが役割となります。具体的には、AI導入プロジェクトの目標設定、適用するAI技術の検討、チーム間の調整、ROI(投資対効果)の見積りなどが主な業務です。AIの導入による企業課題の解決だけに留まらず、経営層やクライアントを繋ぐ橋渡し役としてのコミュニケーション能力も求められます。またAIプランナーには、AIやデータ分析に関する基礎知識に加え、ビジネス戦略やプロジェクトマネジメントのスキルが必要です。経営層に近い立場から、技術と経営の視点を融合し、AIプロジェクトの成功に貢献する重要な役割を担っています。
自然言語処理(NLP)エンジニア
自然言語処理(NLP)エンジニアは、コンピュータが人間の言語を理解し、処理・生成する技術を開発・実装する専門職です。近年増えている音声対話やチャットボット、予測変換機能などの仕組みは自然言語処理によるものです。自然言語処理はテキストデータや音声データをベースに、AIシステムに言語的な意味を与え、自然な対話や文脈の構成にする仕組みを作ることを目的としています。自然言語処理エンジニアの具体的な業務には、テキスト分類、感情分析、機械翻訳、音声認識、文章生成、チャットボットの開発、検索エンジンの最適化などがあります。自然言語処理エンジニアには、PythonやRなどのプログラミング言語、TensorFlowやPyTorchなどのフレームワークのスキルが必要です。またそれ以外にも言語学、データ科学、AI技術の知識も組み合わせ、違和感のない自然な文章や対話、ソリューションを提案する役割も担っています。
ロボットエンジニア
ロボットエンジニアは、ロボットの設計・開発・製造・運用まで、幅広く担当する専門職です。ロボットは製造業、医療、農業、物流、家庭用など多岐にわたる分野で活用されており、ロボットエンジニアは各領域の用途に対応したロボットシステムの開発に取り組んでいます。ロボットエンジニアの業務内容には、機械設計、電子回路設計、ソフトウェア開発、制御アルゴリズムの開発、センサーやアクチュエーターの統合、メンテナンスなどがあります。特に近年はAIや機械学習を活用したロボット開発にも携わることが多く、環境認識、動作計画、自律行動を実現するためのプログラミングスキルも必要です。ロボットエンジニアは、PythonやC++などのプログラミング言語、ROS(ロボットオペレーティングシステム)などのフレームワークを利用し、社会課題を解決する重要な仕事です。
AI人材の育成方法
AI人材を育成するには、社内だけで教育するのではなく、外部の研修会社やコミュニティを利用する方法も有効です。AI人材の育成方法について、7つの効果的なポイントを紹介します。
適切な研修カリキュラムを設計する
AI人材を育成するには、どのような知識・スキルを習得してもらうかを決定し、内容に合わせた研修カリキュラムを設計する必要があります。AI人材を育成する方法はいくつかあり、集合型の研修やワークショップ、書籍、eラーニングなど選択肢が豊富です。しかし現在の受講者のレベルに合わせた内容にしなければ、内容が理解できずかえって成長を阻害する要因になりかねません。そのためまずは 受講する社員のリテラシーや知識、スキルのレベルを把握したうえで、目標設定と適切なカリキュラムを設計することを意識しましょう。
専門家によるサポートを行う
AI人材の育成を進める際は、研修や書籍、eラーニングだけでは十分とはいえません。特に知識が不足している状況では、受講者自身も何が理解できていて、何が分からない状態なのかがわからないからです。そのため受講者がAI人材として正しい方向性に成長できるように、現場で働く専門家やアドバイザーにサポートしてもらうのがおすすめです。社内の人材だけでは視点が偏りやすいため、外部から採用するのもよいでしょう。特にプロジェクト経験の豊富な専門家やアドバイザーを採用できれば、より実践的なスキルや視点を身につけられます。
AIで技術開発を行う
AI人材を効率的に育成するには、実際にAIを使った技術開発を行う方法もあります。開発チームを立ち上げてプロジェクトを企画したり、複数のチームに分かれてテーマに沿った開発を行うなど、スキルを実践することで成長につなげる方法です。実際に開発を行うことで足りない知識やスキルは何か、どんな課題があったかを振り返る機会にもなります。またプロジェクトを早い段階で経験しておくことで、その後のプロジェクトもスムーズに企画・進行できるようになるでしょう。
学習環境を提供する
AI人材の教育体制やカリキュラムを導入した後も、最新のトレンドを追えるように学習環境を用意しておくことが重要です。AIの技術は新しい技術が次々と生まれているため、常に最新の情報とトレンドを掴んでおく必要があるからです。外部のセミナーや講演会、フォーラムなどを利用できるように支援し、AI人材が自由に学べる環境を用意しましょう。AI人材が自分でトレンドや最新技術を学び続けるのは、時間と金銭的な負担が大きいです。会社として情報提供や費用面から学習を支援すれば、成長へのモチベーション維持にもつながります。
公平な評価制度を作る
AI人材を育成するために欠かせないのが、成果や組織への貢献に応じた評価制度です。AI人材の活用方法は企業によって異なるため、組織で独自の評価基準を設定し、評価に応じた昇格、昇給を決定するのがよいでしょう。評価基準は定量的に評価できるものが望ましいため、上司の主観が入りにくい項目にすることが大切です。公平な評価制度があれば、AI人材の積極的に学ぶ意欲を高め、効果的な人材育成につながります。
コミュニティで情報交換を行う
AI人材同士が情報交換ができるように、社内・社外のコミュニティを利用する方法もあります。コミュニティではAIの初心者からベテランまで、さまざまな人が意見や悩み、課題に関する情報を共有できます。特に社内に専用コミュニティを設ければ、仲間意識の醸成や課題解決に役立つアドバイスをもらう機会になるでしょう。コミュニティから新たなアイデアが生まれたり、AI人材同士で協力してプロジェクトを立ち上げたりする可能性もあります。AI人材の継続的な成長とキャリア意識向上を狙うのなら、コミュニティの利用がおすすめです。
外部機関と連携する
社内でのAI人材育成に限界を感じたときは、外部の専門会社や外部講師、アウトソーシングを通して連携していくのも効果的です。 AI人材教育や研修は必要な知識・スキルこそ身につけられるものの、そこから発展したスキルや応用は実践の中で磨く必要があります。そこで社外の専門家や有識者と協働していくことで、今までとは違った発想や視点を取り入れることができます。またアウトソーシングでフリーランスのAI人材とつながることで、新たな人脈や人材採用につなげられることもあるでしょう。
AI人材育成時の注意点
ここからは、AI人材の育成を行ううえでの注意点について解説します。
育成目的を明確にする
AI人材育成において目的の明確化が必要となる理由は、育成対象者に必要なスキルや知識を正確に見定めるためです。AI技術の活用領域は多岐にわたり、データ分析、機械学習モデルの開発・運用、戦略の策定など、それぞれ求められるスキルが異なります。そのため目的が不明確なままAI教育を進めても進めても、研修内容が汎用的で使いにくかったり、現場のニーズに合わない育成計画を立てたりする可能性があります。一方、目的を明確にすることで現場で即戦力となる人材を育成し、企業全体の競争力を高める効果的なプログラムを設計できるようになります。
組織内で理解を得る
AI人材育成において組織内で理解を得ることも重要です。AI技術の導入や活用は、従来の業務プロセスや組織文化に変革をもたらすため、社員の間に抵抗感や不安が出る場合があります。組織内にAI活用の理由や目的を説明し、理解を得ることで、AI人材育成の意義や期待される育成の成果が共有され、受講者へのサポートや現場での実践もスムーズになります。組織全体でAIへの理解やITリテラシーを高めることで、AI人材が活躍しやすい組織風土が生まれ、成果を出しやすくなるでしょう。
人事担当者のAIスキルを向上させる
AIを人材育成に活用する際には、ツールを導入するだけでなく、人事担当者自身のAIスキルを高めることが欠かせません。AIの基本的な仕組みやデータ分析の考え方を理解していなければ、結果を正しく解釈できず、施策に反映することが難しくなります。基礎知識の習得に加え、分析結果を業務改善へつなげる応用力も必要です。
社内外の研修やベンダーによるサポートを活用し、継続的に学びの機会を設けることで、担当者はAIを効果的に運用できるようになります。人事部門がAIに精通することで、育成施策の質が向上し、組織全体の成長を後押しすることにつながるのです。
AI人材の育成における課題とは?
AI人材育成において、企業が抱えやすい課題やリスクについて3点紹介します。
高い専門性が求められる
AI人材を育成するには、まず社内にも高い専門性を持つ人材が必要です。AI技術の教育を行うにしても、数学的知識や統計学、プログラミング言語などが基本になります。さらに機械学習やディープラーニングを導入するには、より高度なプログラミング言語と専門知識が求められます。またAI技術はそうした知識やスキルだけでなく、ビジネスの視点も必要不可欠です。例えば自社のカスタマーサポートにチャットボットを導入するにしても、適切なシステムにするにはプログラミングやマーケティング、データ分析のスキルが必要になります。 AI人材を戦力として育成していくには、特定の分野に偏るのではなく、幅広い知識と経験を持つ人材を選出し、必要なスキルを見つけてもらうことが解決策となるでしょう。
最新情報とトレンドを追う必要がある
AI技術は頻繁にトレンドが変化しており、常に最新情報を追わなければ変化の波に乗り遅れてしまいます。例えば数年前にChatGPTが登場して世界中で話題となりましたが、現在ではChatGPT以外にも大手IT企業が独自のAIを開発しています。またAIは一度開発したら終わりではなく、膨大なデータを集積して分析し、モデルに反映しなければなりません。AI人材はそうした時代の変化や新たな情報を常に把握し、AI開発に活かしていく役割があります。そのためAI人材の育成が一段落したとしてもそれで終了ではなく、常に新しい情報やトレンドに対応できる環境を整備すべきです。
人材採用が難しくなっている
AI人材を自社だけで確保するのは難しいため、どの企業も外部から優秀な技術者を採用しようとしています。当然ながら優秀な技術者はさまざまな企業から声をかけられているため、人材採用の競争は年々激化しています。AI人材を採用するには、給与・賞与といった金銭的な報酬だけでなく、福利厚生や働き方などの待遇面、学習環境やキャリアデザインといった支援体制まで充実していなければ確保は困難です。また外部からの人材採用と並行して自社のAI人材育成も進める必要があり、どちらも疎かにはできません。資金力で大企業に劣る企業の場合、いかに自社の魅力を発信するかが重要になるでしょう。実際に働いているAI人材と話ができる機会を設け、社員から魅力を伝えてもらう方法が効果的です。
AI人材育成の企業事例
AI人材の不足や採用競争の激化を背景に、社内で人材育成に取り組む企業が増えています。ここでは、研修プログラムやアカデミアの設立、大学との連携などを通じて、AI人材を自社で育成している3社の事例を紹介します。各社は独自の方法で社員のスキル向上を図り、実践力や専門性を備えた人材を育てています。
A社
A社は、グループ全体でAI人材を育成するためにアカデミアを設立しました。ここではAI技術のアルゴリズムやビジネスへの活用事例を学ぶ機会が提供され、参加者はワークショップや交流会を通じて知識を深めています。対象は研究者やエンジニアに限らず、幅広い職種に広がっており、AIの知見を持つことで業務に付加価値を生み出せる人材を育成しています。
さらに今後はAI活用に携わるエンジニアを大幅に増員する計画を掲げており、育成と採用を両輪で進める姿勢が見られます。こうした取り組みは、企業全体でAIを推進する基盤づくりにつながり、社員が専門性を高めながら事業に直結するスキルを習得できる環境を整えています。
B社
B社では保険業務に特化したAI人材育成を目的に、長期的な教育プログラムを導入しています。AIや機械学習を活用して保険引受の効率化や事故予防サービスの開発を進める中で、業務知識とアルゴリズムの両方を理解できる人材が不足していました。そこで大学と連携し、200時間以上に及ぶ育成カリキュラムを設け、データサイエンティストを自社で育成しています。
長期研修を通じて社員は専門的なスキルを習得し、業務に直結する形でAIを活用できるようになります。こうした取り組みは単なる技術教育にとどまらず、業界特有の課題に対応できる人材を育てる点で大きな意義があります。結果として、事業の効率化と新サービスの創出を同時に実現する基盤が整えられています。
C社
C社では早くからAI人材育成に取り組み、グループ従業員や社会人、学生を対象に幅広い研修プログラムを提供しています。約60種類の研修は「ベーススキル」「ビジネス」「データサイエンス」「データエンジニアリング」の4ジャンルに分かれており、職種ごとに必要な内容を選択できる仕組みです。
さらに座学だけでなくメンターによるOJTを組み合わせ、実践経験を重視しているのが特徴です。研修と現場での実務をセットで捉えることで、知識だけでなく応用力を備えた人材を育成しています。また情報共有や人材交流を促すコミュニティも整備されており、学びを継続できる環境が整っています。こうした取り組みにより、社員はAI技術を業務に活かす力を着実に身につけています。
AI人材育成の基盤づくりはユーキャンにお任せください
ユーキャンの研修では、ビジネスシーンで必要なスキルや知識を基礎から応用まで幅広く提供しています。集合研修やオンライン、eラーニングまで企業のニーズに合わせた実施形式を用意しており、受講後のサポート体制も整っています。ユーキャンのAI系研修では、生成AIのビジネスでの活用術やChatGPTとMicrosoft Copilotの活用法、AI・DX人材育成のロードマップまでAIの基本と応用が広く学べる点が特徴です。その他にもAIについてのリテラシー教育を行いたい企業向けに、超入門講座やビジネス文書への活用術といった研修カリキュラムを用意しており、企業に合わせたカスタマイズの相談も可能です。さらにユーキャンの研修では知識のインプットだけでなく、演習やテストを通した知識・スキルのアウトプットと経験の蓄積にも重点を置いています。ヒアリングを通して企業課題を明確化し、担当者との綿密な相談のうえで最適な研修カリキュラムを提案させていただきます。
まとめ
今やAIとビジネスは切り離せない関係になっており、企業が激動の時代で競争優位性を維持するにはAI人材の育成は不可欠な要素です。日本では労働人口が今後も減少していくことから、人材不足を補うにはAIの活用が重要性を増していくでしょう。社内のAI人材を高度化・専門化し、組織改革や商品開発、業務改善を図るためにも、AI人材の育成に力を入れていくべきです。即戦力となるAI人材の育成を進めるなら、人材育成の実績が豊富なユーキャンにお問い合わせください。

