• 公開日:2022/01/05
  • 更新日:2022/01/05

小さいころからなんとなく育てづらさを感じていたものの、なんとかやってこられたけど、小学校に入学後は宿題をやらなかったり、頻繁に先生から電話がかかってきたり……

・正式な診断名がつかないが、困り感がある
・医師に相談するほどでものない

でも、この先のために、今すぐできる適切な関わり方は知っておきたいですよね。
この記事では、そんな親御さんのために、小学生でグレーゾーンといわれる子どもへの適切な対応について解説します。グレーゾーンについて理解が深まるだけではなく、今日から親ができることがわかります。

この記事の監修者

発達凸凹アカデミー代表
伊藤真穂先生

自身の育児経験をもとに発達障がい児を持つ親を支援する活動を開始。代表を務める「発達凸凹アカデミー」では、全国各地のインストラクターが自らの経験を活かし、発達障がいに関する学びと交流の場づくりをしています。

 

発達凸凹アカデミー主任講師
浜田悦子先生

わが子の診断がきっかけで、発達支援センターの指導員となる。療育の視点を大切にしながもママが自宅で実践できる療育メソッドを確立。子どもの未来につながる支援を提供しています。

発達障害グレーゾーンの小学生がつまづきがちなポイントとは?

コミュニケーション

グレーゾーンとは、発達障害の特性がいつくか見られるものの、診断基準をすべて満たしているわけではなく、確定診断ができない状態をいいます。診断はつかないが、発達障害の傾向はあるという状態です。
小さい頃から育てづらいと感じてはいるものの、それなりの語彙力や指示が通じることもあるので、子どもの問題行動やお友達とのトラブルに、保護者はどんな関わりが子どもにとって最善なのか?その都度迷ってしまい、一貫した関わりが持てなくなっているかもしれません。

特に、毎日の宿題をやらない、お友達のトラブルや増えてきた、学校へ行きたくないなどの問題が増えてくると、親子間だけの問題ではならなくなります。
これらの問題は、子どもの年齢が上がるにつれて、落ち着くどころかエスカレートするために、適切な対処や関わりを知っておくことが大切です。
コミュニケーションや対人関係は生活の土台ですが、グレーゾーンの子どもは、反射的に思ったことを口に出して、相手を傷つける言葉を言ってしまったり、まわりの人と適切な距離を取ることが難しかったりするため、トラブルを生んでしまうことがあります。

具体的には次のような問題行動があります。

  • 思ったことを口に出し、相手を傷つけてしまう
  • まわりの人(友達、きょうだい、家族)にすぐ手が出てしまう
  • 「バカ」「クソ」などの不適切な言葉を連呼する
  • 人との距離感が近すぎる、スキンシップが過剰である
  • 自分の思っていることや言いたいことが言えない
  • 人との距離が遠すぎる、友達と適切に関われない など

「コミュニケーション」や「対人関係」といっても、子どもの性格や特性によってさまざまです。これらの問題行動を正そうと、親やまわりの大人が丁寧に繰り返し教えても、子どもの言動はなかなか改善しないことがあります。この場合は、子どもを観察し、特性に合った対処をする必要があります。


学習

知的発達に遅れがないものの、毎日の宿題を異常に嫌がったり読み書きや計算などにつまずきを感じたりする子どもがいます。この場合、子どもに知的な遅れが見られないため、親やまわりの大人は「不真面目」「努力が足りない」と思うことがあります。

学年が上がり、さらに学習内容が難しくなることで、子どもはできない自分に自信をなくすこともあります。間違えることや指摘されること、罰をつけられることにとても敏感で、間違えると怒って泣いたり、プリントをぐちゃぐちゃにしてしまったりする子どもも少なくありません。このような背景には、不器用や感情コントロールに課題を抱えている可能性もあります。

また、学習に躓きのある子どもは、「視覚」に問題を抱えている場合もあります。教科書の文字が二重に重なって見えてしまったり、ノートの線が見えなかったり、逆に見えすぎて枠が分からないこともあるかもしれません。
さらに、まぶしさを感じやすいこともあり、蛍光灯の光が白いノートに反射してうまく文字を書くことができない、ということもあります。

子どもは、生まれた頃からそのような感覚を持っているので、自分の見えている状態や不便に感じていることを言語化することができません。親や周りのお友達も自分と同じ感覚だと思っています。
そのような中で、自分だけが間違う、できないことが続いたり、注意や怒られる回数が多くなったりすることで、自分のことを理解してくれる人がまわりにいないと、孤独を感じて、暴れる、自己否定、不登校などの二次的な問題(二次障害など)を引き起こすこともあります。

生活

正式な診断名がつかないグレーゾーンの子どもは、周りが思っている以上に戸惑いや混乱を感じています。学年をおうごとにできることが増えて成長していくはずだと思いがちですが、子どもの特性へのサポートが適切になされていない状態だと、いつまでたってもできるようにはなりません。

例えば、小学2年生くらいになると、朝は時計を見ながら自ら準備をして学校へ行ってほしい、とか、自分で遊びの時間を調整して宿題をやってほしい、とか、脱いだ洋服はちゃんと洗濯カゴに入れてほしい、などの生活面での課題が出てきます。自立のために、できればお手伝いもやってほしい、と思う方もいらっしゃると思います。

しかし、相談して決めたことにも関わらず、やらない・できない状態が続くことが多いのではないでしょうか?
このような状況があると、「これは、特性なのか?甘えなのか?」と子どもへの関わりに迷いが出てきてしまいます。我が子はグレーゾーンだと理解はしていても、何度か言えばできるので指示をすることで日々を過ごしている方もいらっしゃるかもしれません。でも、このような状態が続いて、子どもが今までよりも反抗的になったり自己否定な言葉を発したりするようになった時は、注意が必要です。

発達障害グレーゾーンの子どもを伸ばす対処法

コミュニケーションへの対処

コミュニケーションでの問題行動の原因には、次のようなことが考えられます。

  • 場面に合った、人との適切な距離感が分からない
  • 場面に合った、適切な言葉が分からない
  • 理解している感情が少ない、感情をコントロールする力が弱い
  • 共感をされたことがない、または少ない
  • 成功体験よりも失敗体験を多く繰り返している
  • 場面の理解ができていない
グレーゾーンの子どもは想像力が乏しく、人の気持ちを感じ取る力や空気を読む力が弱いという特性があります。そのため、他人に「わざといじわるをしている」という印象を与えてしまったり(行動してしまったり)、まわりの友達から受ける過度な反応や注目が適切でない言動を強めてしまったりする場合があります。

グレーゾーンの子どもや友達やまわりの人たちと適度な距離感を保ち、スムーズなコミュニケーションをとるためには、場面に合った適切なコミュニケーションを教える、子どもがトラブルを起こした時も共感するという関わりが必要です。
「場面に合った適切なコミュニケーションを教える」とは、例えば、友達と遊びたいときには「〇〇くんに、一緒に遊ぼう、と言おう」と具体的でシンプルな言葉で教え、成功体験につなげるということです。
友達と遊びたいときには、このように声をかけることが一般的ですが、グレーゾーンの子どもは、このような声かけの意味を理解していないために、「友達を叩いて興味を引く」「わざと嫌がることをする」などの行動を取ることがあるのです。

また、距離感がうまくつかめない子どもは、友達とトラブルになりやすい傾向があります。特に学校などの集団生活では、先生や友達から注意を受けることが多くなります。
衝動的に手が出てしまったり、思ったことをすぐに口に出して友達を傷つけてしまったりする場合は、まずは子どもに共感することで感情の理解やコントロールする力を伸ばしていくとよいでしょう。


学習面での対処

勉強や宿題は毎日のことなので、できるだけ早急に子どもの躓きや特性に気付き、対処をすることが必要です。
その理由は、知的発達に遅れがないことで、すでに注意や怒られることが繰り返されている可能性があるからです。毎日の宿題ができないことや簡単な問題を解くことができないと、側で見ている親は子どもの将来を考えて不安になり、つい厳しい言葉をかけてしまうこともありますよね。

さらに、担任からも「自宅でしっかり言い聞かせてください」などと言われてしまうこともあるかもしれません。すべきことをやらずに、自分の好きなことばかりに熱中する子どもにイライラし、宿題の時間になると毎日バトルになってしまう、グレーゾーンの親子は少なくありません。

対処法は、まず特性や躓きをしっかり観察することです。「勉強」「宿題」という大枠ではなく、聞く・話す・読む・書く・計算する・考えるなどのひとつひとつの能力について躓きを観察してみましょう。

学習に躓きのある子どもは、従来の勉強法ではできるようにならないことが多々あります。できない問題を繰り返したり量を増やしたりする勉強法ではなく、教科書を大きく拡大したり、算数の計算をひとつひとつバラバラにして見やすくしたり、蛍光灯のまぶしくない位置に座らせてみたり、様々な視点から考えてみましょう。
また、ユニバーサルデザインの文具を使用してみても良いでしょう。さらに、見え方やまぶしさという「視覚」については、発達眼科などの専門医を受診することも選択肢のひとつです。

学習面での躓きにも特性が関わっています。特性が関わっているということは、子どもがどんなに頑張っても、周りが一生懸命サポートしても、なかなか成長が見られないということがあるということです。このような時は、自分の力不足を責めてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、子どもの「できない」や「難しい」に共感することで、子どもの心に寄り添うことができます。子どもは自分を理解してくれる人がいたら、頑張る力を発揮できます。学習は長い期間続きます。目の前の課題だけでなく、子どもの心のケアも大切にしていきましょう。

生活面での対処

発達障害やグレーゾーンの子どもは、個人差はありますが、小学2年生くらいで「周りとの差に気付く」と言われています。親が子どものことを育てづらいと感じることがあるように、子どもも自分と周りとを比べて違和感や不安を感じているのかもしれませんね。

生活面で子どもの成長が感じられない時には、子どもの特性を観察するとともに、課題を分解して子どもの躓きを照らし合わせてみたり、指示を見直したりしてみましょう。
例えば、「学校の準備」という毎日のやるべきことだったとしても、課題に分解すると、次のようになります。

  • 1.ランドセルを探す
  • 2.ランドセルを開ける
  • 3.連絡帳を出す
  • 4.準備物を探す・集める(不要なものを出す)
  • 5.ランドセルを閉める
また、
  • 筆箱を出し、鉛筆を削る
  • 給食袋を出す
  • 学校からのお便りを出す
  • 宿題を出す
  • 宿題をやる
などのオプションもあります。

一つ一つの工程は簡単なものに見えますが、特性が関わっているとそれぞれが課題になってしまうのです。例えば、グレーゾーンの子どもは「探す」ということが大きな課題になることがあります。10センチや20センチ先にあるものに気付かない……ということがあります。
これは、視野が狭いことや、「探す」という行動を理解していないという理由があり、1.ランドセルを探すという、はじめの課題から躓いている可能性があります。

しかし、子どもの本当の躓きに親がなかなか気付けずに、子どものできていない部分だけがフォーカスされてしまいます。言葉での注意や指摘されることが多くなり、子どもには失敗体験だけが積み重なってしまいます。親から見たら簡単なことでも、子どもにとってはサポートが必要な課題はないか?観察してみましょう。

子どもの特性は、努力や練習で改善できるものではありませんが、大人側の指示や環境を見直したり意識したりすることで、特性のある子どもも行動に移せることができるようになります。前例を当てはめると……
  • 1.ランドセルを置く定位置を決める、分かりやすく提示する
  • 2.ランドセルは開けて置く
  • 3.連絡帳を開いておく
  • 4.準備物をセットしておく(教科書とノートを区分けしておく)
  • 5.必要なものをランドセルにいれて「準備できたね」と声をかける
もう小学2年生なのに、ここまで親が手を出したら自立できなくなるのでは?と不安になる方もいらっしゃると思います。
でも、グレーゾーンの子どもは、そもそも「こうすれば簡単にできる」とか「こうすれば早くできる」という「成功体験」を知りません。段取りや見通しを立てることが苦手なのです。まずは、スモールステップで「こうすればうまくできる」という成功体験を教えてあげましょう。もちろん、できることは本人に任せて大丈夫ですよ。


子どもが発達障害グレーゾーンだと感じたときにすべき3つのポイント

学校との連携

子どもに正式な診断がついていない時、担任にどのように説明したらいいかを迷ってしまいますよね。適切な配慮はしてほしいけど、「グレーゾーン」だと伝えることで、誤解や偏見を持たれてしまうことに不安を感じている方もいらっしゃると思います。

自宅と学校では環境が大きく変化するので、子どもの言動に大きなギャップを感じることがあります。自宅では落ち着いているのに、学校では適切ではない言動が増える。また、自宅では騒いだり暴れたりするのに、学校では落ち着いて頑張っている姿が見える。

これは、子どもが自分の負担や不快な気持ちをうまく周囲に言語化できずに、ひとりで抱えて困っている状態であり、担任と連携を取ることが必要です。
ただ、「グレーゾーンだから配慮をしてください」と伝えるのではなく、お互いに困っていることや子どもが安心できる関わりなどのすり合わせができると、子どもに対して共通理解が持て、一貫性のある指示をすることができるようになります。サポートブックなどを活用し、まずは子どもの状態を書き出し、まとめておくことも有効です。

子どもを理解する

「子どもを理解したい」と思っても、指示や注意がなかなか伝わらず、問題やトラブルを繰り返す子どもを見ると、どこから手をつけて良いのかわからなくなってしまいますよね。確定診断がついていないとしても、「グレーゾーン」という言葉にショックを受けない親はいません。子どもの将来を不安に感じて、厳しくしつけることで子どもの成長を促そうと思う親もいらっしゃると思います。

でも、厳しくすればするほど、子どもは宿題をやらず、友達とのトラブルを繰り返し、次第に学校へ行きたがらない……という問題に発展することが多くなってしまいます。

子どもを理解するって難しいですよね。子どもを受容しなければ……と責任感の強い親は悩んでしまうこともあるかもしれません。でも、無理に子どもを理解して受け入れようとしなくても良いのではないでしょうか?
例えば、子どもに怒ってしまった時の自分の気持ちに気付いたり、信頼して話せる人を見つけたりすることで、今までと違った視点で子どもを見ることができるようになります。親自身の視点を変えることや安心感は心の余裕につながり、子どもへも循環していきます。

子どもに寄り添う

グレーゾーンの子どもは、嫌なことがあると癇癪を起こしたり、親や友達に手を出したりして、問題行動を起こすことで自分の気持ちを表現することが少なくありません。乱暴な言葉を発したり、手を出したりすることは適切とは言えない言動ですが、これを注意しても言動は改善するばかりか、子どもの行動はエスカレートしてしまいます。

この問題には、グレーゾーンの子どもの感情の理解やコントロールが関係しています。ネガティブな感情を「悲しい」「悔しい」「怖い」など、言葉に出すことができないのです。
そのため、「嫌なもの(こと)」「不快なもの(こと)」とひとくくりにして認識している可能性があります。この感情の理解やコントロールをうまく促すことができずに、問題行動を繰り返すことは、二次的な問題(二次障害)につながってしまいます。

まずは、乱暴な言葉を発したり、手がでてしまったりする時にも、「子どもには何か嫌な(不快な)きっかけがあった」という視点を忘れずに、共感を心がけましょう。
例えば、親に向かって物を投げてきた時には、(投げている最中は無反応をし)落ち着いたら「何か嫌なことがあったんだね」と聞いてみることができるでしょう。

まとめ

「困った子は困っている子」という言葉がありますが、問題行動を起こす子どもには、わたしたちの目には見えない感覚や特性が関わっていることがあります。すべてを理解して、その子にあった関わりをしてあげることはできません。でも、共感の言葉をかけ続けることで、子どもは心を開き、本当に困っていることを教えてくれるようになりますよ。

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