• 更新日:2023/07/11

建設業経理士は、一般的な簿記資格よりも専門性が高い資格です。ここでは、建設業界への就職・転職を検討中、またはキャリアアップしたい人に向けて、建設業経理士の資格について解説します。資格の内容や取得するメリット、学習法など取得を検討する上で役立つ情報を知ることで、具体的な学習法をイメージして、資格取得に向けて踏み出しましょう。

このページを簡潔にまとめると・・・

  • 建設業経理士は、建設業界の経理に関する民間資格。建設業に特化した簿記のような存在。
  • 建設業経理士試験と簿記を同じ級数で比べると、「簿記2級」よりも「建設業経理士2級」のほうが難しいといわれている。
  • 建設業経理士の資格を取得すると、就・転職に役立ち、給料アップも期待できる。また、経営事項審査においても優遇される。
  • 建設業経理士は、独学または通信講座を利用して学習するのが一般的。

建設業経理士とは? 建設業界で活躍できる資格

建設業経理士は、建設業界の経理に関する民間資格で、一般財団法人建設業振興基金が認定しています。建設業界は、会計の仕組みや勘定項目の名称が一般業界とは異なるため、高い専門性が求められます。経理の資格というと「簿記」が一般的ですが、建設業経理士は建設業に特化した簿記といえるでしょう。

資格を取得すると実力をアピールできるため、建設業界で働く際に有利です。資格は1級~4級まであり、1級・2級には建設業経理士、3級・4級には建設業経理事務士という称号が与えられます。

建設業経理士試験の難易度は?

簿記と建設業経理士は、どちらも経理にかかわる資格です。しかし、同じ級数で比較した場合、難易度が高いのは建設業経理士です。

初学者でも合格できる難易度?

建設業経理士試験は、級数が小さくなるほど難易度が上がります。また、同じ級数で比べると、「簿記2級」よりも「建設業経理士2級」のほうが難しいといわれています。理由としては、簿記2級の学習範囲に建設業会計が加わることが挙げられます。勉強する範囲が増えて、建設業特有の専門性が深まるため、難易度が上がります。

ただし、2級の場合は、基礎的な出題が多いため、演習に重点をおいて学習すれば、初学者でも合格できるでしょう。

建設業経理士試験の合格率はどのくらい?

「一般財団法人建設業振興基金 建設業経理検定」のサイトに、過去に実施された検定試験における、級数ごとの平均合格率が掲載されています。

建設業経理士試験は、1級のみ3科目に分かれており、5年以内にすべての科目に合格しないと、1級の称号が与えられません。1級の合格率は「財務諸表」が21.9%、「財務分析」が20.8%、「原価計算」が11.2%です。

2級の合格率は41.1%、3級は70.4%、4級は86.5%です。上位の試験になるにつれ難易度は確実に上がっています。特に、1級の合格率は20~30%程度と非常に低い数値ですが、難易度の高さを考えると妥当といえるでしょう。

建設業経理士試験の受験資格は?

受験には特別な条件はありません。年齢、性別、学歴、国籍、いずれも不問です。また、どの級数からでも受験できるため、級や2級から受験する人もいます。

建設業経理士試験の試験内容は?

4級は初歩的な知識の習得を目的として、最低限の実務に限って対応できるレベルで、「簿記のしくみ」が出題されます。3級は、4級よりも踏み込んだ、建設業の簿記知識を問われるため、簡単な実務に対応できるレベルといえるでしょう。「建設業の簿記」「原価計算」が出題されます。

4級と3級を取得しても、実力をアピールするには不十分です。就職・転職、キャリアアップのために取得するなら2級以上に挑戦しましょう。2級は、一般的な建設業の実務レベルのスキルを問われる内容で、「建設業の簿記」「原価計算及び会社会計」が出題されます。

1級においては、一通りの実務をこなし、財務諸表も作成できるレベルが求められます。会計関連の法規を理解し、財務分析や経営分析も行えなければなりません。試験では、「建設業原価計算」「財務諸表」「財務分析」が出題されます。

建設業経理士試験のスケジュールは?

スケジュールなどの情報を以下に掲示しました。最新の情報は「一般財団法人建設業振興基金 建設業経理検定」のサイトで確認しましょう。

級数 試験日程 受験料 合格基準 試験会場 合格発表 申し込み方法
1級 3月上旬・9月上旬 1科目のみ:8,120円
2科目同時:11,420円
3科目同時:14,720円
70点以上
/100点
全国主要都市 試験日から
約2カ月後
書面
または
インターネット
2級 7,120円
3級 3月上旬 5,820円
4級 4,720円

高難易度な建設業経理士試験に合格できる期間の目安は?

建設業経理士試験は同級の簿記検定よりも難易度が高いため、勉強時間を確保して試験に臨む必要があります。必要な学習期間については、学習法、簿記の基礎知識の有無、受験する級数などによって異なるため、一概にはいえませんが、ユーキャンの通信教育講座の場合、初学者でも5カ月程度で2級に合格できるように計画されています。簿記の資格を取得していたり経理経験があったりすると、もう少し短い期間でも合格できるでしょう。

高難易度な建設業経理士試験の学習ポイントは?

建設業経理士試験に合格するには、建設業ならではの勘定項目や計算方法を習得しなければなりません。たとえば、簿記の勘定項目で「前受金」というものがあります。前受金とは、顧客に商品やサービスを提供していない状態で、事前に支払ってもらうお金を指します。

一方、建設業界では、前受金に該当する勘定項目には「未成工事受入金」という言葉を使います。慣れるまでは用語の違いに苦労するかもしれません。しかし、実務で正しい勘定項目を使わないと、税務署から指摘を受けることになります。問題演習を繰り返しながら、着実に覚えましょう。

建設業経理士の資格はどのような人におすすめ?

建設業経理士の資格は、建設業界で働きたい人におすすめです。また、すでに簿記の資格を取得している人が、建設業経理士の資格取得に挑戦するのもいいでしょう。簿記の知識が身についているため、初学者よりも短期間で資格を取得できる可能性があります。ダブルライセンスを狙ってのチャレンジもおすすめです。たとえば、行政書士は、仕事内容と資格がマッチします。

行政書士は、官公署に提出する書面の作成や代理提出などを請け負います。建設業関連の業務を担当すると、建設業許可申請や決算変更届を取り扱います。許可申請をするときは、財務諸表を一緒に提出しなければなりません。その際に、経理のプロフェッショナルである、建設業経理士の資格が活かせます。

建設業経理士の資格を取得するメリットは?

建設業経理士の資格を取得すると、就職や転職に有利になり、給料アップも期待できるでしょう。また、経営事項審査においても優遇されます。建設業経理士の資格を取得するメリットを、以下で詳しく解説します。

【取得者のメリット】就職・転職・給料で有利

建設業界への就職・転職を希望する場合は、2級以上の建設業経理士の資格を取得していると、専門性の高さを示せるため、かなり有利になります。また、資格手当を受けられる場合もあるでしょう。会社によって待遇は異なりますが、2級は数千円、1級を取得の場合は1万円ほどが相場とされています。さらに取得によってキャリアアップすると、昇格や給料アップが望めます。建設業で働くなら取得しておくことをおすすめします。

【企業のメリット】経営事項審査で有利

企業にとっても、建設業経理士を雇うことにはメリットがあります。建設会社の経営状況をチェックする「経営事項審査」においては、従業員に建設業経理士がいると加点対象になるためです。経営事項審査は、公共工事の入札にあたって必ず受けなければなりません。取引先から経営事項審査を受けるよう依頼される場合もあります。

経営事項審査の点数が高いほど、企業としてのアピール材料となるため、建設業経理士を雇うことは、企業にとっても大きなメリットになるといえるでしょう。

建設業経理士資格の取得に向けた学習法は?

同級の簿記資格と比べて難易度が高い建設業経理士ですが、効率よく学習するにはどのような方法があるのでしょうか。2つの学習法について解説します。

学習法1.独学

最難関の1級でも、計画的に学習すれば、独学で合格可能です。ただし、初学者がいきなり2級以上に挑戦するのは難しいでしょう。先に建設業経理士3級、あるいは簿記2級を取得するなど、段階を踏めば基礎知識が身につくため、難易度が高い級でも合格しやすくなります。

独学は、自分のペースで勉強したい人にはおすすめの学習法です。しかし、学習時間を確保したり、やる気をキープしたりするのが難しいという点も意識しておきましょう。市販のテキストや問題集を自分で用意する必要もあります。また、わからない箇所があっても、質問する相手が見つからないかもしれません。初学者は、通信講座やスクールも検討することをおすすめします。

学習法2.通信講座

通信講座は、独学よりも学習しやすいでしょう。合格を重視して要点を押さえた教材を使うため、初学者でもスムーズに理解できます。また、独学との大きな違いは、添削課題です。学習効果が目に見えてわかるため、モチベーション維持に効果的です。さらに、課題を提出するタイミングや学習スケジュールがあらかじめ決まっているため、自分で進捗を管理る必要がありません。

課題を提出すると、専門の講師がアドバイスを行い、コンピューターが解答を分析し弱い部分を見つけ出します。手厚いサポートのもと、合格まで安心して学習を続けられるでしょう。

まとめ

建設業経理士は、建設業界特有の会計スキルを証明する資格です。専門性を必要とする、難易度の高い資格ですが、建築業ならではの用語や計算方法を押さえて学習すれば合格できるでしょう。

ユーキャンの2級建設業経理士講座では、過去の試験を徹底的に分析し、試験に出やすいポイントを絞って作成しています。イラストや図解が豊富で、初学者でもスムーズに学習できます。また、わからないところは、経験豊富な講師のアドバイスをもとに、疑問を解消できるため安心です。

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生涯学習のユーキャン
この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。

よくある質問

簿記とのダブルライセンスによるメリットは?

日商簿記と建設業経理士の試験は共通する出題分野も多いため、両方の取得を目指すと効率的に勉強できます。資格としては日商簿記が特に人気ですが、建設業経理士も取得すればより専門性を高められます。ダブルライセンスを目指し、仕事で活躍できる可能性を広げましょう。

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「建設業経理士」とは、建設業関係の取引の会計処理、帳簿作成、決算処理を行う建設業経理のスペシャリストです。一般財団法人 建設業振興基金が実施する建設業経理士検定試験に合格すると資格が取得できます。資格を取得することで、実践的な建設業簿記、決算などに関する実務を行えることの証明となります。
公共工事に入札しようとする際に企業が受けなければならない経営事項審査で、企業内の1級及び2級の建設業経理士の数は加点対象になることから、有資格者は企業内で評価も上がり、資格手当や昇進・昇給などが期待できます(経営事項審査の評価対象となるには、資格合格後に5年毎の講習が必要となります)。建設業界で就職・転職を目指す方にとって、強力なアピールポイントとなる資格です。
ユーキャンの「2級建設業経理士講座」は、合格に必要な簿記の基礎知識をゼロからわかりやすく解説したプレテキスト「はじめての簿記」がついているので、経理の知識がゼロの方でも安心して学習をスタートできます。メインテキストは、建設業経理士特有の専門用語や計算パターンなどつまずきやすいポイントを丁寧に解説した、スムーズに学習できる内容です。また、「本試験対策トレーニング」では過去問の傾向と対策を大問ごとにまとめているので、効率よく合格力が身につきます。
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