• 更新日:2026/07/15

電験二種(第二種電気主任技術者)は、電圧17万ボルト未満の事業用電気工作物の工事・維持・運用に関する保安監督を担える国家資格です。受験資格に制限はなく、学歴・年齢・実務経験を問わず誰でも挑戦できます。

ただし、一次試験の合格率は約28%、二次試験は約20%と難易度が高く、計画的な学習が欠かせません。

本記事では、電験二種の試験概要や難易度、電験三種との違い、取得方法をわかりやすく解説します。効率的な勉強方法も紹介するため、受験を検討している方はぜひ参考にしてください。

このページを簡潔にまとめると・・・

  • 電験二種は電圧17万ボルト未満の事業用電気工作物を保安監督できる国家資格で、受験資格に制限はない
  • 一次試験(マークシート)と二次試験(記述式)の二段階制で、合格率は約20%と難易度が高い
  • 取得方法は「試験合格」と「認定取得」の2通りがあり、どちらも電験三種の知識が土台となる
  • 電験二種を目指すなら、まず電験三種を取得してステップアップするルートが効率的
  • ユーキャンの電験三種講座はこちら

電験二種(第二種電気主任技術者試験)とは

電験二種の正式名称は「第二種電気主任技術者試験」で、電気主任技術者試験(電験)の中で中級に位置する国家資格です。電気事業法では、事業用電気工作物を設置する事業所に対して電気主任技術者の選任を義務付けており、免状を持つ者だけが保安監督を担えます。

電験二種を取得すると、電圧17万ボルト未満の事業用電気工作物について工事・維持・運用の保安監督が行えます。発電所・変電所・大規模工場・データセンター・メガソーラーなど、電験三種では対応できない規模の施設も管理できる点が大きな特徴です。

電気業界全体では慢性的な人手不足が続いており、こうした大規模施設で保安監督を担える有資格者への需要は年々高まっています。

電験二種を取得するメリット

電験二種を取得するメリットとしては、主に以下の点が挙げられます。

  • 業務範囲の拡大:電験三種では対応できない大規模施設の保安監督を担当でき、担当業務の幅が広がる
  • 就職・転職での優位性:電験二種の有資格者は少なく、電力会社や大規模施設を運営する企業からの需要が高いため、求人市場で有利に働きやすい
  • 待遇面の向上:有資格者を社内に置くことは企業の信頼性向上にもつながり、昇進・昇給や資格手当の対象になる場合がある

電気設備の保安監督は今後も必要とされ続ける分野であり、電験二種は長期的に安定したキャリアにつながる資格といえるでしょう。

電験二種と電験三種・電験一種の違い

電気主任技術者の資格は第三種~第一種に分かれており、それぞれ保安監督を行うことができる事業用電気工作物の対象範囲や試験内容が異なります。以下の表で主な違いを確認しましょう。

比較項目 電験三種(第三種) 電験二種(第二種) 電験一種(第一種)
対象範囲(保安監督できる事業用電気工作物) 電圧5万ボルト未満(出力5千kW以上の発電所を除く) 電圧17万ボルト未満 全ての事業用電気工作物
主な活躍の場 ビル・中小規模工場・商業施設の受電設備など 発電所・変電所・大規模工場・データセンターなど 大規模発電所・超高圧変電所など
試験構成 一次試験のみ(4科目・マークシート) 一次試験(4科目・マークシート)+二次試験(2科目・記述式) 一次試験(4科目・マークシート)+二次試験(2科目・記述式)
試験回数 年2回(上期・下期) 年1回 年1回
受験方式 CBT方式も選択可 筆記方式のみ 筆記方式のみ

電験二種は電験三種と出題科目が共通していますが、より深い知識が求められるうえ、記述式の二次試験があります。試験回数も年1回のみのため、合格を目指すには計画的な準備が必要です。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「電気主任技術者の資格概要」

電験二種の受験資格と2つの取得方法

電験二種の資格取得には「試験合格」と「認定取得」の2通りの方法があります。それぞれの条件を理解したうえで取得を目指しましょう。

試験に合格して取得する

電験二種の試験には受験資格の制限がなく、学歴・年齢・実務経験を問わず誰でも受験できます。試験は一次試験(マークシート方式)と二次試験(記述方式)の二段階で行われ、両方に合格すると資格が得られます。

なお、4科目全てを一度に合格する必要はありません。一次試験には科目別合格制度が設けられており、合格した科目は翌年度・翌々年度まで免除されます。3年以内に4科目をクリアすれば二次試験に進める仕組みで、複数年をかけて段階的に挑戦することも可能です。

認定で取得する

「認定取得」は、一定の条件を満たすことで試験を受けずに資格を取得できる制度です。以下のいずれかの条件を満たし、面接・審査を通過すると免状が交付されます。

認定条件 必要な実務経験
電験三種の免状の交付を受けている場合 電圧1万ボルト以上の電気工作物に関する工事・維持・運用について、第三種免状交付後5年以上の実務経験
認定校で所定科目を修めて卒業した場合 電圧1万ボルト以上の電気工作物の工事・維持・運用について、卒業前経験年数の2分の1と卒業後経験年数の合算で、大学卒は3年以上、短大・高専卒は5年以上

認定取得では、実務経験の内容に加え、電気理論や法規に関する知識も確認されるため、十分な学習が必要です。まずは電験三種を取得し、実務経験を積みながら認定取得を目指すルートがおすすめです。

【令和8年度(2026年度)】電験二種の試験概要

電験二種の試験は、一次試験と二次試験の二段階で実施されます。以下では、各試験や免除制度の詳細、試験日程や受験料を紹介します。受験を検討している方は、試験の全体像を把握したうえで学習計画を立てましょう。

一次試験の科目と内容

一次試験の科目と出題内容、試験時間は以下の通りです。

科目 出題内容 試験時間
理論 電気理論・電子理論・電気計測及び電子計測 90分
電力 発電所・蓄電所・変電所・送配電線路の設計と運転 90分
機械 電気機器・パワーエレクトロニクス・自動制御・メカトロニクスなど 90分
法規 電気法規と電気施設管理 65分

一次試験は4科目で構成されており、全てマークシートの多肢選択方式で解答します。

二次試験の科目と内容

二次試験の科目と出題内容、試験時間は以下の通りです。

科目 出題内容 試験時間
電力・管理 発電所・蓄電所・変電所・送配電線路・電気施設管理などに関する計算・論述問題 120分
機械・制御 電気機器・パワーエレクトロニクス・自動制御・メカトロニクスなどに関する計算問題 60分

二次試験は2科目で構成されており、全て記述式で解答します。なお、二次試験には科目別合格制度がなく、2科目を一度に合格しなければなりません。計算力と論述力の両方が求められるため、十分な対策を講じて臨みましょう。

科目別合格制度と一次試験免除制度

前述の通り、一次試験の合格科目は翌年度・翌々年度の試験まで免除されます。また、一次試験合格後に二次試験で不合格となった場合は、翌年度に限り一次試験が免除されます。

ただし、翌年度の二次試験にも不合格だった場合は、再び一次試験から受験しなければなりません。

これらの制度を活用すれば、以下のような3年計画で合格を目指すことも可能です。

年度 受験する科目 結果
1年目 理論・電力・機械・法規(4科目) 理論・法規に合格(科目合格)
2年目 電力・機械(2科目)※理論・法規は免除 電力・機械に合格→一次試験合格
3年目 二次試験(電力・管理、機械・制御) 合格→資格取得

全科目を一度に合格する必要はないため、得意科目から確実に積み上げていく戦略を取れば、働きながらでも無理なく合格を目指しやすくなります。

令和8年度(2026年度)の試験日程と受験料

令和8年度の試験日程と受験料は以下の通りです。

項目 令和8年度(2026年度)
申込み受付期間 2026年5月18日(月)10時~6月4日(木)17時
一次試験 2026年8月30日(日)
二次試験 2026年11月15日(日)
合格発表(予定) 一次試験:9月下旬、二次試験:翌年1月下旬
受験料(非課税) インターネット申込み:13,800円/郵送申込み:14,200円
試験地 全国10都道府県(会場の指定変更は不可)

申込み締切日付近はアクセスが集中する場合があるため、余裕を持って手続きを進めましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「第二種電気主任技術者試験」

電験二種の難易度と合格率

電験二種は電気系の国家資格の中でも難易度が高いとされる試験です。合格率のデータから試験が難しいといわれる理由をひも解きましょう。

一次試験・二次試験の合格率

以下は、2019~2025年の一次試験・二次試験それぞれの平均合格率です。

区分 平均合格率(2019~2025年)
一次試験 約28.6%
二次試験 約20.7%

一次試験の時点で約7割、二次試験では約8割の受験者が不合格となっています。特に二次試験は記述式で、計算力と論述力の両方が求められるため、一次試験とは異なる対策が必要です。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「第二種電気主任技術者試験の試験結果と推移」

科目別の合格率

一次試験の難易度は科目ごとに大きく異なります。令和7年度(2025年)の科目別合格率は以下の通りです。

科目 科目合格率
理論 19.2%
電力 46.5%
機械 28.1%
法規 31.4%

4科目の中で理論の合格率が突出して低く、一次試験の大きな壁であることがわかります。微分積分やラプラス変換などの数学知識が前提となるため、科目別合格制度を活用する際は、理論にどれだけ時間を割けるかが重要です。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和7年度第一種及び第二種電気主任技術者試験一次試験の結果について」

電験二種の勉強時間と学習のポイント

電験二種に挑戦するにあたり、必要な学習時間と効果的な勉強の進め方を押さえておきましょう。

必要な勉強時間の目安

電験二種の合格には、一般的に400~600時間程度の学習が1つの目安とされています。ただし、この目安は電験三種を取得済みの方を前提としており、電気の基礎知識がない場合はさらに多くの時間がかかるでしょう。

仮に1年で合格を目指す場合、400時間なら1日あたり約1.1時間、600時間なら1日あたり約1.6時間の学習が必要です。週単位で見ると、400時間の場合は週8時間程度、600時間の場合は週12時間程度が目安になります。

仕事と両立しながら学習を進めるためには、平日は1~2時間、休日はまとまった時間を確保するなど、1年程度の余裕を持ってスケジュールを組むことをおすすめします。

学習を進めるうえでのポイント

電験二種の一次試験は電験三種と出題科目が共通しているため、まずは三種の内容をしっかり復習しましょう。特に理論科目では微分積分やラプラス変換が頻出するため、数学の基礎を早い段階で固めておくと、その後の学習がスムーズに進みます。

学習計画を立てる際は、科目別合格制度の活用も視野に入れましょう。得意科目から確実に合格を積み上げ、2~3年かけて一次試験を突破する戦略なら、仕事との両立も現実的です。

二次試験に向けては、過去問を繰り返し解いて記述式の解答に慣れておくことが重要です。

電験二種を目指すなら、まずは電験三種から始めよう

電験二種は難易度が高い試験ですが、その学習基盤は電験三種の知識にあります。

いきなり二種に挑戦するよりも、まず三種を取得してからステップアップを目指す方法がおすすめです。

電験三種が電験二種の土台になる理由

電験二種の一次試験と電験三種は出題科目(理論・電力・機械・法規)が共通しており、三種で身に付けた知識をそのまま二種の一次試験対策に活かすことができます。三種の範囲を十分に理解してから二種に進むことで、科目合格を効率よく積み上げられるでしょう。

さらに、電験三種免状の交付後に、電圧1万ボルト以上の電気工作物に関する工事・維持・運用について5年以上の実務経験を積めば、試験を受けずに認定取得するルートも開けます。試験合格・認定取得のどちらを目指す場合でも、電験三種は有力な出発点となります。

電験三種の学習には通信講座の活用もおすすめ

電験三種は出題範囲が広く、独学では学習の優先順位を付けづらい試験です。働きながら効率よく合格を目指すなら、通信講座の活用も検討しましょう。

ユーキャンの電験三種講座は、過去試験を徹底分析したテキストに加え、数学の基礎から学べる副教材「やさしい数学」が付属しています。ポイントを凝縮した動画講義やWebテストも用意されているため、スキマ時間を活かした学習にも対応しやすい点が特徴です。

また、教育訓練給付金(一般教育訓練)の対象講座でもあるため、条件を満たせば受講費用の一部が支給されます。効率的に資格取得を目指したい方は、ぜひ利用をご検討ください。

まとめ

電験二種(第二種電気主任技術者試験)は、電圧17万ボルト未満の事業用電気工作物を保安監督できる国家資格です。受験資格に制限はありませんが、一次試験・二次試験の両方に合格する必要があり、平均合格率は20%前後と難易度の高い試験です。

取得方法は試験合格と認定取得の2通りがあり、いずれのルートでも電験三種の知識が土台として役立ちます。電験二種を将来的に目指す方は、まず電験三種の取得から着手することをおすすめします。

ユーキャンの電験三種講座なら、過去試験を分析したテキストと数学の基礎教材を通じて、初めて学ぶ方でも基礎から合格を目指せます。電験二種へのステップアップを見据えて、ぜひ受講をご検討ください。

生涯学習のユーキャン
この記事の監修者は池田 友哉(いけだ ともや)

奈良県出身 電気主任技術者・教育コンテンツクリエイター
趣味は、資格試験の短期合格メソッド研究、教育コンテンツ制作、ランニング、ロードバイク

2014年 小・中・高1種教員免許 (数学/理科) 取得
2016年 第3種電気主任技術者資格 取得
2017年 エネルギー管理士資格 取得
2017年 第2種電気工事士資格 取得
2018年 第2種電気主任技術者資格 取得

著書:
『電験3種書き込み式最強計算ドリル』
『電験2種書き込み式最強計算ドリル』

よくある質問

電験二種と電験三種の違いは?

電験二種と電験三種は、保安監督できる事業用電気工作物の電圧範囲と試験内容が異なります。電験三種は電圧5万ボルト未満、電験二種は17万ボルト未満が対象です。また、電験二種には記述式の二次試験もあり、より深い理解と論述力が求められます。

電験三種の合格に必要な勉強時間はどのくらい?

あくまで目安ですが、電験三種の合格には1,000時間程度の学習が必要とされています。科目別合格制度を活用すれば、1年で全科目を通過する必要はなく、数年かけて段階的に合格を目指すことも可能です。

電験三種の年収や資格手当の相場は?

電験三種の有資格者の平均年収は350万~500万円程度で、資格手当は月額1万円程度が相場とされています。さらに、上位資格である電験二種や電験一種を取得すれば、より高い年収や資格手当が期待できる場合があります。

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一定規模以上の電気設備の管理、工事の保安監督を行う電気のスペシャリストである電験三種。電気設備を設けている事業主は、工事・保守や運用などの保安の監督者として、電気主任技術者を選任しなければならないことが法令で義務づけられています。そのため有資格者は業界内になくてはならない存在となり、非常に高く評価されます。電験三種の資格があればキャリアアップはもちろんのこと、転職・就職に有利ですので、昇進・昇給を考えている方、定年後に再就職を考えている方におすすめの資格です。
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