• 更新日:2023/07/03

高齢化社会がますます進み、超高齢化社会ともいわれる現代において、福祉の仕事への注目が高まっています。今後の需要とキャリアアップを見据えて、社会福祉士の資格取得に興味がある人もいるでしょう。

この記事では、社会福祉士の給与・年収に関する具体的な情報や、資格取得の方法について解説します。これから社会福祉士になりたいと考えている人はぜひ参考にしてください。

このページを簡潔にまとめると・・・

  • 社会福祉士の平均年収は403万円程度。
  • 社会福祉士の待遇は働き方によって異なり、勤務先によっては公務員と同水準の待遇を得ることも。
  • 年収をふやすためには、資格手当をもらう、役職に応じた手当をもらう、独立する、副業をするなどが挙げられる。
  • 社会福祉士資格の取得には、受験資格をクリアし、年に1回実施される国家試験に合格する必要がある。

社会福祉士とは?

社会福祉士は「ソーシャルワーカー」とも呼ばれる社会福祉専門職の国家資格です。主な仕事の内容は、身体や精神、経済面などにハンディキャップがある人からの相談に対応し、より充実した生活を送れるよう支援することです。

実際の現場では、社会福祉士の資格を持っていない人も同様の仕事をしていますが、国家資格を持つことで、利用者から信頼を得ることができたり、就職や転職が有利になったりといった効果が期待できます。

社会福祉士の給料や待遇について

社会福祉士の平均年収は403万円

 公益財団法人社会福祉振興・試験センターが令和2年に実施した調査によると、社会福祉士の平均年収は403万円(男性473万円、女性365万円)です。
平均月収に換算すると30~35万円程度、手取りは24万~28万円程度となります。
平成27年にも行われた同調査と比較すると、平均年収が5年間で26万円多くなっています。(平成27年の平均年収377万円)

もちろん、年収は勤務先や雇用形態によって異なるので、一概にはっきりとした数字を出すのは難しいといえるでしょう。しかし、この結果だけを見れば、さほど年収が低いともいえず、需要の高まりに応じて年収が高くなっていると言えます。また後述するように、資格取得によって独立や副業も可能であるため、働き方によってはさらに高い収入を目指すこともできます。

年代別の給料

社会福祉士の20~40代の年収は、推定で次のようになっています。

  • 20代 270万~338万円未満
  • 30代 371万~423万円未満
  • 40代 476万~533万円

基本的に、年齢が上がっていくと年収も上がる傾向にあります。20代と30代、30代と40代で比べると年収は約100万円の開きがあり、それなりに安定した昇給が見込めるといえるでしょう。歩合制やインセンティブもないので、将来のライフプランやイベントにも対応しやすいといえます。



初任給について

社会福祉士の初任給は、大卒だと年収で270万~310万円程度、月収に換算すると17万~20万円程度になります。一方、短大卒や専門学校卒の場合は年収で230万~280万円程度、月収に換算すると15~18万円程度です。

勤務先によっては、手取額が10万円台前半から15万円程度になるケースもあります。ただし、経験年数に応じて安定した昇給が見込めるとともに、昇進による年収アップも期待できるのが強みです。また、相談支援の仕事をしている人が社会福祉士の資格を取得すると、それまでの経験年数や能力に応じて給与面で優遇されることもあります。


年収や待遇の違いについて

社会福祉士の年収や待遇は、働き方によって異なります。勤務先によっては公務員として扱われ、同水準の待遇を得ることも可能です。また、福利厚生に関する点も見逃せません。ここでは、働き方によって年収や待遇にどのような違いがあるのかを紹介します。


働き方で年収がかわる

社会福祉士は、公務員試験に合格し公務員として勤務するケースがあります。主な勤務先は、役所の福祉関連部署や福祉事務所、児童相談所などです。

公務員として勤務する場合、各地方自治体の公務員給与規定に準じた安定した収入を得ることができるので、不満を感じることは少ないといえるでしょう。民間が運営する病院やケアハウス、その他の福祉施設に勤務する場合は、公務員と同水準の給与が支給されることもあります。


福利厚生などが手厚い

公務員として勤務する場合、民間と比べて福利厚生が充実しているのも見逃せないポイントです。主な福利厚生として、通勤手当や住居手当をはじめとする各種手当があります。これらは基本給とは別に支給されるので、勤務年数が浅い若手のうちでも安定した生活を送ることができるでしょう。

また、民間の場合でも資格手当などは充実している傾向にあります。業務に関連する資格を取得することで、手取りアップを図ることも可能です。

年収をふやすための方法は

社会福祉士の資格を取得すれば、基本給や手当のアップが期待できます。職務経験も重ねていくと、昇進や昇給のチャンスも生まれるでしょう。あるいは、独立開業して高収入を狙うという方法もあります。さらに、成年後見人の仕事(下の「副業をする」を参照)を掛け持ちで行うことで、副業としての収入を得ることも可能です。

このように、収入をふやす方法が多岐にわたるのが社会福祉士の魅力です。具体的な方法を見ていきましょう。


資格手当をもらう

支援を必要としている人に対する相談業務は、無資格でも行うことができます。しかし、社会福祉士は名称独占資格であるため、いくら経験を重ねても資格がなければ社会福祉士と名乗ることはできません。

社会福祉士の資格を取得すると、専門職として幅広く業務を担当できます。勤務先によっては基本給にプラスして1~3万円の資格手当が支給されることも多く、大幅な収入アップが狙えるでしょう。



役職に応じた手当をもらう

先に少し触れたように、社会福祉士は勤務年数に応じて安定的な昇給が見込める職業です。また、昇進には資格取得を条件としているところもあり、社会福祉士の資格が昇進の機会をもたらす可能性があります。

特定の役職につくと、役職手当の支給も期待できます。支給額は1~10万円程度であり、役職が上がるほど支給額もアップ。施設長などの管理職になれば、10万円以上の役職手当が支給されることもあります。



独立する

社会福祉士として独立し、相談支援や成年後見人としての業務(代行)などを行う独立型社会福祉士という働き方を選ぶ人もふえてきました。こうした独立の動きを後押しするかのように、公益社団法人日本社会福祉士会でも独立型社会福祉士の養成に力を入れ始めています。

独立には開業資金が必要になります。また、人脈や経営センス、さらには社会福祉士としての豊富な経験も必須であり、簡単な道のりではありません。しかし、社会福祉士の需要そのものの拡大も勘案すると、活躍次第では被雇用者としての平均年収を大きく上回る収入を手にできる可能性があります。


副業をする

社会福祉士の副業として、成年後見人の仕事が挙げられます。成年後見人とは、認知症や精神障害などによって判断能力が著しく低下した人に代わり、福祉サービスの契約締結や財産の管理などを行う人のことをいいます。普段の業務に加えて、休日を利用して請け負うこともできます。ただし、職場によっては許可を得たうえで実施する必要がある点に注意しましょう。

その他の福祉系の職業と比較した場合

福祉系の資格には、社会福祉士のほかに精神保健福祉士や介護福祉士があります。こうした職業と比べた場合、社会福祉士の年収は比較的高い傾向にあります。資格取得の難度が高いため、年収が高めに設定されていると考えられます。福祉業界のなかでも、社会福祉士の年収は高水準であるといえるでしょう。

社会福祉士の資格取得方法

社会福祉士の資格を取得するためには、年に1回実施される国家試験に合格する必要があります。福祉系資格のなかでも最難関といわれており、生半可な勉強では合格は難しいといえるでしょう。この段落では、合格を手にするための具体的な方法について解説します。

受験資格について

まずは、受験資格を取得しなければなりません。受験資格を得られる条件は、次のとおりです。

  • 福祉系の4年制大学で指定の科目を履修して卒業した者(受験する年の年度末までに卒業見込みの者を含む)
  • 福祉系の短期大学や専門学校で指定の科目を履修して卒業し、指定の施設で2年以上の実務経験(見込みを含む)を積んだ者(3年制の短期大学の場合、実務経験は1年以上でも可)
  • 一般の4年制大学を卒業後、一般養成施設(1年以上)で必要な知識及び技能を修得した者
  • 一般の短期大学を卒業後、指定の施設で2年以上相談援助の業務に従事し、一般養成施設(1年以上)で必要な知識及び技能を修得した者(3年制の短期大学の場合、実務経験は1年以上でも可)
  • 指定の施設で4年以上相談援助の業務に従事し、一般養成施設(1年以上)で必要な知識及び技能を修得した者など。



勉強方法について

主な勉強方法として、独学やスクール、通信講座があります。

独学ではテキストを購入して自分で勉強を進めます。費用はテキスト代のみであり、好きな時間に勉強できるというメリットがあります。ただし、わからないところが出てきても質問できないため、最後までモチベーションを保ち続けるのが難しいというデメリットがあります。

スクールでは実際に学校へ通い、授業を受けて学びます。カリキュラムに沿って勉強を進められるうえに、わからない点もすぐに質問が可能です。一方、受講費用が高く、しかも講座の日時が固定されているというデメリットがあります。

通信講座では自宅へ送付されるテキストを用いて勉強します。充実したテキストに加えて、わからない点についても質問が可能で、無理なく勉強できるカリキュラムが特徴です。また自分のペースで勉強でき、家庭や仕事と両立しやすいのも通信講座の特徴です。

まとめ

社会福祉士の給与は、福祉業界でも高水準です。初めのうちは低くても、定期昇給や福利厚生の充実に期待が持てるため、安定した生活が送れるでしょう。紹介した内容から社会福祉士を目指す意欲が高まったなら、取得に向けての勉強を開始しましょう。

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この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

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近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。

よくある質問

社会福祉士の合格率・難易度は?

社会福祉士国家試験の合格率は福祉系国家資格の中で最も低い30%ほどであり、試験の難易度は高いと言えます。難易度が高い理由としては、出題範囲が広いことや、受験資格を得るために実務経験や福祉関連の学校を卒業する必要があることが挙げられます。

社会福祉士試験合格に必要な勉強時間は?

社会福祉士の試験に合格するための勉強時間は300時間程度が目安だといわれています。実際に300時間勉強するためには、1日2時間勉強すれば約5ヵ月、 1日1時間勉強すれば10ヵ月ほどかかります。

社会福祉士の試験概要は?

試験は年に1回、全国各地で行われます。2022年実施の第34回試験は、24会場で実施されました。試験科目は18科目群あり、幅広い知識を身につける必要があります。

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