• 更新日:2023/07/11

発酵食品にはさまざまな種類があります。この記事では、健康に対する意識が高く、発酵食品について詳しく知りたい人へ向けて、発酵食品の概要や種類について解説します。発酵のメカニズムや効能についても触れるので、発酵食品に関する知識を身につけるための参考にしてください。

このページを簡潔にまとめると・・・

  • 発酵食品とは、細菌や酵母、カビなど微生物の作用により、食材の味や栄養価が高められている食品。
  • 発酵食品は、免疫を調節・賦活したり、アレルギーを抑制したり、その他にもさまざまな効能や効果がある。
  • 酒、調味料、デザートなど、食品の種類ごとに身近な発酵食品についてご紹介。
  • 発酵食品は食べ方の工夫により、さらに高い効果が期待できます。発酵食品を摂る際のポイントをご紹介。

発酵食品の概要

ここでは、発酵食品とは、どのようなものであるかを解説します。

発酵食品とは?

発酵食品とは、微生物の作用により、食材の味や栄養価が高められている食品です。微生物のはたらきは、人間にとって有害な「腐敗」と、有益な「発酵」の2つに分けられますが、その中でも発酵食品は、人間にとって多くのよい作用をもたらします。

世界で初めて発酵食品が作られたのは紀元前5,000年頃で、牛乳から偶然にヨーグルトができたといわれています。日本における発酵食品の最も古い記録は、奈良時代の瓜の塩漬けですが、縄文時代や弥生時代には、すでに発酵食品が存在していたと考えられています。

発酵のメカニズム

発酵とは、微生物が有機物を分解し、別の物質に変化させることです。微生物は、酸素が存在しない環境下でも有機物を分解することができ、その過程でエネルギーを生み出します。つまり、酸素が存在しない条件でも有機物を分解しエネルギーを得ることが可能なのです。

発酵食品は、体内での消化もスムーズに行われ、貴重な酵素を有効に活用することができます。

食品の発酵を促す微生物の種類

食品の発酵は、微生物のはたらきによるものです。ここではさまざまな微生物について解説します。

細菌

細菌には、ヨーグルトやキムチを作る「乳酸菌」、大豆を発酵させる「納豆菌」、食酢を作る「酢酸菌」など、さまざまな種類があります。発酵が進む際に、どのように作用するのかは、細菌の種類によって異なります。

酵母

糖を分解して、アルコールと二酸化炭素を生み出すのが酵母で、パンや酒などを作るときに欠かせない微生物です。イーストや納豆菌などさまざまな種類があり、食品によって異なる酵母が使われます。

カビ

カビは有毒なものがほとんどですが、発酵に使われるカビには毒がありません。生殖細胞の胞子が、糸状の細胞(菌糸)を伸ばして成長します。麹菌やアオカビなど、さまざまな種類があり、酒、味噌、チーズなどに使われます。

発酵食品の効能や効果

ここでは、発酵食品が持つ、さまざまな効能や効果について解説します。

免疫を調節・賦活する効果

発酵食品が免疫細胞を活性化させることで、体が病原体と戦うための免疫力が向上します。たとえば、味噌や醤油は、免疫力向上効果がある乳酸菌を含む発酵食品です。

アレルギーを抑制する効果

乳酸菌や麹菌を含む発酵食品には、一部のアレルギーを抑える効果が期待できます。それらの発酵食品の摂取により、アレルギー性鼻炎の症状が改善された事例もあります。

コレステロールを正常にする効果

酢酸菌には、コレステロール値の上昇を抑える効果があります。また、乳酸菌には、血管壁に付着した悪玉コレステロールを除去する効果があります。発酵食品の摂取により、コレステロールを正常値に近づけられます。

脂肪の分解を促す効果

酢酸菌には、脂肪の分解を促進する効果があります。中性脂肪値の上昇を抑えたり、内臓脂肪を低下させたりする効果が期待できるため、体脂肪が気になる人におすすめです。

腸内環境を改善する効果

発酵食品のうち、納豆菌や乳酸菌などが含まれる食品は、腸内の悪玉菌の繁殖を抑える効果があります。腸内環境が改善されることで、便秘の解消につながるでしょう。

肌荒れを改善する効果

麹菌には、肌のくすみの原因となる、メラニン色素の生成を抑える効果があります。また、乳酸菌を含む発酵食品の摂取で腸内環境が改善され、肌荒れの解消につながることも期待できます。

【一覧】身近な発酵食品の種類

ここでは、身近な発酵食品について解説します。

日本酒

日本酒は、米を使った日本の伝統的な発酵食品です。10世紀の初めに、日本酒の作り方が記された書物が刊行されています。米に清酒酵母や麹を加え、発酵させて作ります。


ワイン

世界中で愛されているワインは、原料のブドウにワイン酵母を加えて作ります。とくに、赤ワインは、ブドウの皮まで丸ごと使うため、ポリフェノールがたくさん含まれています。ポリフェノールには、抗酸化作用や活性酸素などの有害物質を無害化する効果があります。


ビール

ビールは、ウィスキーと同様、麦を原料にして作られています。麦芽のデンプンを糖化し、ビール酵母を加えて発酵させます。作り方によって、さまざまな味の違いを楽しめます。

調味料

味噌

味噌は、大豆、麹、塩が原料です。米麹を使う米味噌、豆麹を使う豆味噌、麦麹を使う麦味噌など、さまざまな種類があります。常温で10カ月から1年ほど熟成させるのが一般的です。


醤油

醤油は、大豆、小麦、麹、塩が原料です。大豆のタンパク質を、麹菌の酵素で分解して作られており、醤油乳酸菌や酵母などのはたらきで、熟成が進みます。原料や製法の違いにより、濃い口醤油、薄口醤油、白醤油、溜醤油など、バリエーションが豊富です。


豆板醤・コチュジャン

豆板醤は、空豆、唐辛子、麹、塩を混ぜて発酵させる、中国の味噌です。原料として唐辛子が使われているため、日本の味噌に比べると、辛味が強いのが大きな特徴です。また、韓国の調味料であるコチュジャンは、もち米麹と唐辛子を発酵させて作ります。


酢は、酒に酢酸菌を加えて作ります。使う原料によって、米酢、黒酢、リンゴ酢、ワインビネガーなど、さまざまな種類があります。ドレッシングに使ったり、そのまま飲んだりと、さまざまな摂り方ができます。

野菜・豆

ぬか漬け

米ぬかと塩を混ぜ、そのなかに野菜を漬けて発酵させたものが「ぬか漬け」です。野菜に乳酸菌や酵母が付着し、発酵が進み、少しずつ風味がついていきます。


キムチ

キムチは、主に白菜を使った、韓国の辛い漬物です。一度、塩で漬け込んだ白菜に、唐辛子などを混ぜて発酵させます。独特の味わいが人気で、日本でも好んで食べられています。


納豆

大豆と納豆菌により、粘りのある納豆が生み出されます。納豆を稲わらに包むのは、稲わらに納豆菌が生息しているからです。納豆菌で作る納豆以外に、麹菌と乳酸菌で作る、塩辛納豆もあります。

肉・魚

ドライソーセージ

ドライソーセージは、豚肉、アルコール、塩を混ぜ、腸詰めにして、乳酸菌による発酵を促した食品です。ペパロニやセミドライソーセージも作り方は同じです。腐敗菌の増殖が抑えられるため、長期保存に適しています。


生ハム

ハムには、豚肉を塩水や塩で塩漬けして乾燥させ、燻製などの加工をしたものと、加工せずにそのまま熟成したものがあります。ハムのなかでは、生ハムが発酵食品に該当します。

生ハムは、燻製をせずに塩漬けした後に乾燥させ、発酵による熟成を経て作られます。乾燥、発酵というシンプルな工程が、生ハムの独特の風味を引き出すのです。加熱などの調理を必要とせず、そのままおつまみなどとして食べるのが一般的です。


くさや

くさやは、トビウオやアオムロなどの魚を、「くさや液」という発酵液に浸した後、天日干しした干物です。さまざまな菌によって発酵させた食品で、強烈なにおいが大きな特徴です。

お茶

烏龍茶

烏龍茶は、中国の伝統的なお茶で、時間をかけて茶葉を発酵させて作ります。発酵を途中で止める半発酵茶の代表的な存在で、優雅な香りが魅力的です。


紅茶

世界的に人気のあるお茶です。茶葉を酸化発酵させて作っており、発酵茶に分類されます。赤褐色の色味で、香り高いお茶として親しまれています。半発酵茶との違いは、最後まで発酵させることです。


碁石茶

高知県で、年に一度だけ出荷されている貴重なお茶です。蒸した茶葉にカビをつけ、乳酸菌により発酵を促します。お茶にはたくさんの乳酸菌が含まれており、風邪や動脈硬化の予防にも役立つとされています。

デザート

ヨーグルト

乳に乳酸菌を混ぜて、発酵させたものがヨーグルトです。原材料は、牛乳、馬乳、山羊乳などのほか、植物性の豆乳を使ってヨーグルトを作ることもできます。


くずもち

小麦粉に乳酸菌を混ぜ、発酵させて作ります。長い時間をかけて発酵させたくずもちは、数日かけて水洗いしたうえで仕上げています。


ナタデココ

ナタデココは洋菓子だけではなく、和菓子にも使われています。ナタデココの原料は、ココナッツの果汁で、酢酸菌を混ぜて発酵させて作ります。

発酵食品の効果を高めるために意識したいポイント

発酵食品は食べ方を工夫すると、より高い効果が期待できます。ここでは発酵食品を摂る際のポイントについて解説します。

発酵食品同士の食べ合わせを工夫する

発酵食品は、組み合わせて食べると、効果が高まります。たとえば、納豆とキムチを一緒に食べると、より高い整腸作用が期待できます。また、ヨーグルトと甘酒も、おすすめの組み合わせです。甘酒は米麹を発酵させて作っており、オリゴ糖やビタミンB群などを豊富に含んでいます。ヨーグルトと組み合わせることで、腸の働きがさらによくなります。

食物繊維と一緒に食べる

食物繊維は善玉菌のエサとなるため、発酵食品と一緒に摂取すると、効果を高められます。また、麹には糖質が多く含まれていますが、食物繊維と一緒に摂ることで、血糖値が急激に上昇するのを抑えられます。

継続して食べる

発酵食品は、1回だけの摂取や、食べてすぐに効果が得られるわけではありません。まずは2週間ほど、意識して発酵食品を摂取しましょう。継続して摂取することで、徐々に発酵食品の効果を実感できるようになります。

まとめ

発酵食品は種類が豊富で、食品によってさまざまな効果があります。手軽に摂取できる発酵食品も多いため、日々の食生活に取り入れることをおすすめします。

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生涯学習のユーキャン
この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。

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