• 更新日:2023/07/12

産業カウンセラーとは、企業で働く従業員の相談に乗ったり、職場環境の改善をサポートしたりする仕事です。この記事では、他のカウンセラーとの違いなど、産業カウンセラーについて詳しく解説します。産業カウンセラーになるために必要なスキルや役立つ資格なども解説しますので、参考にしてください。

このページを簡潔にまとめると・・・

  • 産業カウンセラーとは、企業で働く従業員をサポートする仕事。産業カウンセラーを名乗るには、資格を取得する必要。
  • 業務領域は「メンタルヘルス対策」「職場環境づくり」「キャリア開発」で、メンタルヘルスやキャリアに関する相談を受けたり、人間関係や職場環境が良化するように働きかける。
  • 関連する資格には臨床心理士やキャリアコンサルタントなどがあり、メンタルヘルス・マネジメント(R)検定もおすすめ。

産業カウンセラーとは

産業カウンセラーとは、企業で働く従業員をサポートする仕事です。産業カウンセラーは、主に民間企業で働き、従業員からメンタルヘルスやキャリアに関する相談を受けたり、人間関係や職場環境が良化するように働きかけたりします。

また、詳しくはのちほど解説しますが、産業カウンセラーは民間資格の名称でもあります。

他のカウンセラーとの違い

産業カウンセラーと、臨床心理士やキャリアコンサルタントとの違いを解説します。

臨床心理士

産業カウンセラーが活躍する現場は、文字どおり産業現場に限られます。企業で働く従業員や職場環境が、産業カウンセラーが向きあう対象となります。

一方、臨床心理士の場合は、心の悩みを抱える人のすべてが相談対象です。民間企業以外にも、臨床心理士はさまざまな環境で活躍しています。病院や保健センターなどの医療機関で働く臨床心理士もいれば、教育機関でスクールカウンセラーとして働く臨床心理士もいます。福祉施設や司法の現場なども、臨床心理士の職場です。

キャリアコンサルタント

産業カウンセラーの場合は、相談者にカウンセリングの主導権があります。産業カウンセラーはあくまで相談者をサポートする立場です。相談者に寄り添う気持ちはあっても、解決策の提案は産業カウンセラーの役割ではありません。

一方、キャリアコンサルタントは、自分が主体となって相談者に解決策を提示します。キャリアコンサルタントは、自分の経験を基に具体的な解決策を導き出します。

産業カウンセラーの業務領域

産業カウンセラーの業務領域は「メンタルヘルス対策」「職場環境づくり」「キャリア開発」の3つに分けられます。それぞれの業務領域で、産業カウンセラーに求められる内容を解説します。

メンタルヘルス対策のサポート

産業カウンセラーは、労働者のメンタルヘルスを維持・管理する役割を担います。近年、企業においては、従業員のメンタルヘルス対策を重視する傾向が見られます。業務上の心理的負担で精神障害になったり、命にかかわる事態に陥ったりする従業員が増えたためです。また、メンタルヘルスが良好な従業員は、業務のパフォーマンスが向上することから、力を入れる企業も多いようです。

メンタルヘルス対策として、産業カウンセラーはメンタルに不調を抱える従業員のサポートや、ストレスチェック後の高ストレス者へのフォローなどを実施します。

職場環境づくりのサポート

産業カウンセラーにとって、従業員1人ひとりに寄り添う姿勢は大切です。しかし、人間関係育成のサポートや職場環境の整備も、産業カウンセラーの仕事です。職場全体にアプローチすることは、職場の総合的なメンタルヘルス対策につながります。

例えば、メンタルヘルスケア窓口を設置すると、従業員が気軽に相談できる環境を作れます。多くの相談を聞くうちに、パワハラやセクハラ、業務における男女間の格差など働きやすい職場環境づくりに繋がっていきます。

キャリア開発のサポート

近年は働き方が多様化しています。どのような働き方をするか、現在の部門で仕事を続けていいかなど、思い悩む従業員は少なくありません。

キャリア形成に関心のある人をサポートすることも産業カウンセラーの業務です。ワークライフバランスを保ちたい、仕事の幅を広げたいなど、産業カウンセラーは相談者自身が考えをまとめられるように導きます。

産業カウンセラーに必要なスキル

産業カウンセラーには傾聴力が欠かせません。傾聴力とは、相談者の話を受け入れて、問題の背景や相談者の感情を読み取る技術です。傾聴では、相手に寄り添う気持ちが求められます。話を聞いて自分なりの考えが思い浮かんだとしても、まずは相手の話を受け止めます。

産業カウンセラーには専門知識も必要です。心理学とメンタルヘルスに加え、雇用問題や労働基準法、労働安全衛生法などの知識も身につけましょう。

産業カウンセラーの仕事に就くために必要なこと

企業で従業員をカウンセリングするだけなら資格は不要です。産業カウンセラーの仕事に就くために必要なことを解説します。

資格がなくても心理カウンセラーとして活動は可能

産業カウンセラーの資格がなくても、心理カウンセラーとしての活動は可能です。心理カウンセラーも人々をカウンセリングする仕事です。

しかし、産業カウンセラーを名乗るには、産業カウンセラーの資格を取得する必要があります。クライアント企業の信頼を得るためには、資格取得が有効です。加えて、学習を通じて専門知識を身につけられる点でも資格取得はおすすめです。

産業カウンセラー資格について

1991年に労働省の技能審査として認定された産業カウンセラー試験は、当時は公的資格として扱われていました。しかし、2001年9月に厚生労働省の技能審査が廃止されていた結果、産業カウンセラー資格は、一般社団法人日本産業カウンセラー協会が運営する民間資格となっています。

産業カウンセラー資格は民間資格ですが、数ある心理カウンセラー関連の資格のなかでも知名度の高い資格です。

産業カウンセラーの資格を取得する方法

産業カウンセラーの資格を取得するためには、まずは以下のいずれかを修了する必要があります。

  • 一般社団法人日本産業カウンセラー協会の講座
  • 4年制大学か大学院研究科が開講する、心理学またはそれに隣接する科学系の講座
講座を修了すると、産業カウンセラー試験を受ける権利が得られます。試験には学科と実技があります。また、試験は年に2回開催され、それぞれの開催時期は1月と6~7月です。

2021年度の産業カウンセラー試験結果において、総合合格率は61.2%でした。受験者の半数以上が合格しており、知識を身につけた上で試験対策すれば合格できると考えられます。


産業カウンセラーに関連する資格

産業カウンセラー以外で、メンタルケアに役立つ資格を紹介します。産業カウンセラーは合格率が高い試験である一方、受験資格の要件を満たすには少しハードルが高いです。カウンセラーを目指すためには、他の資格取得を検討することもおすすめです。

メンタルケアカウンセラー

メンタルケアカウンセラー(R)は、メンタルケアへの入門的な資格です。資格取得により、心理学をベースにカウンセリングや心の病気の知識が身につきます。自分の心の状態を正しく認識でき、日常生活におけるコミュニケーションにも知識を応用できるようになります。

なお、資格取得にあたって試験を受ける必要はありません。添削課題やレポートが認められれば、資格を取得できます。

メンタル心理カウンセラー

メンタル心理カウンセラーは、一般財団法人日本能力開発推進協会認定の民間資格です。資格取得により、多くの現場で役立つカウンセリング知識やスキルから、開業方法まで幅広く学べます。資格を取得するためには、協会認定の講座を修了する必要があります。

公認心理師

国家資格である公認心理師は、心理学全般に対応できる専門家と見なされるようになります。公認心理師は、カウンセリングやアセスメントなどにより相談者をサポートします。

アセスメントとは、相談者の問題や課題を明らかにする技術です。アセスメントには、カウンセリングや心理テスト、相談者の行動観察などの手法が用いられます。

メンタルヘルス・マネジメント検定もおすすめ

産業カウンセラーになるには、メンタルヘルス・マネジメント(R)検定もおすすめです。検定を受けると、従業員のメンタルヘルスの改善や、問題の予防に関する知識が身につきます。メンタルヘルス・マネジメント(R)検定には、複数のコースがあるため目的に応じて選びましょう。

Ⅲ種のセルフケアコースを選ぶと、自分のメンタルケアや職場でのコミュニケーションに役立つ知識を学べます。セルフケアコースで学んだ内容は、プライベートでの人とのかかわりにも活かせます。Ⅱ種のラインケアコースでは、企業や管理職のメンタルヘルスに対する考えを学ぶことが可能です。

まとめ

産業カウンセラーは、メンタルヘルス対策・職場環境づくり・キャリア開発をサポートします。従業員のカウンセリングには、特定の資格は不要ですが、クライアント企業に知識をアピールするためには、心理カウンセラー関連の資格が役立ちます。

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この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

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近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。

よくある質問

メンタルヘルス・マネジメント検定とは?

労働者の心の不調の未然防止に必要な知識を習得するための資格で、Ⅲ種は一般社員向け、Ⅱ種は管理職向け、Ⅰ種は人事・総務部門向けとコースが分かれており、立場に応じた内容の資格取得が可能です。

メンタルヘルス・マネジメント検定の難易度は?

直近3回の平均合格率がⅠ種19.4%、Ⅱ種58.5%、Ⅲ種68.6%であり、Ⅱ種とⅢ種であればしっかり対策することではじめての方でも合格を目指せます。

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