• 更新日:2026/08/17

中小企業診断士は、社会的信頼の高い国家資格の1つです。資格を取得することで、企業経営に関する専門知識を身に付け、経営課題への助言や支援を行う専門家として活躍を目指せます。

本記事では、中小企業診断士の資格に興味がある方に向けて、中小企業診断士の仕事内容や資格取得のメリット、試験概要などを解説します。中小企業診断士になるための3ステップなども併せて解説するため、ぜひ参考にしてください。

このページを簡潔にまとめると・・・

  • 中小企業診断士とは、中小企業の経営課題に対して診断や助言を行う専門家であり、経営コンサルティングに関する国家資格である。
  • 独占業務はないものの、資格取得によって経営知識を客観的に示せるため、信頼性向上やキャリアの選択肢拡大、年収アップにつながる可能性がある。
  • 中小企業診断士になるには、1次試験・2次試験に合格した後、実務補習または実務従事を経て、経済産業大臣の登録を受ける必要がある。
  • ユーキャンの中小企業診断士合格指導講座はこちら

中小企業診断士とは

中小企業診断士とは、中小企業が抱える経営課題に関して、診断や助言を行う専門家です。経営状況を把握・分析し、問題点の指摘や改善策の提示を通じて、経営改善を支援します。

中小企業診断士は、国家資格です。試験合格後、所定の要件を満たして登録を受けることで、中小企業診断士として活躍の幅を広げられます。

独占業務ではない

中小企業診断士が行う企業への診断や助言は、独占業務には分類されていません。

独占業務とは、その資格を持つ人だけが行える業務のことです。公認会計士・税理士・社会保険労務士・弁護士などには、それぞれ法律で定められた独占業務があります。

独占業務ではないとはいえ、中小企業診断士は社会的信頼の高い国家資格の1つであり、経営に関する能力を客観的に示す手段として有効です。

中小企業診断士の仕事内容

中小企業診断士の資格取得によって、様々な業務に活かせる専門知識が身に付きます。中小企業診断士が担える代表的な業務は、以下の通りです。

  • 経営コンサルティング
  • 経営改善計画書・経営診断書の作成
  • 経営に関する専門知識の発信

それぞれの業務について、詳しく解説します

経営コンサルティング

中小企業診断士は、経営に関する専門知識を活かし、事業内容や経営状況を把握したうえで、改善に向けた助言や支援を行います。

クライアントと経営課題を共有し、より良い事業経営に向けた経営戦略を共に検討する経営コンサルタントとして活躍できます。

経営改善計画書・経営診断書の作成

中小企業診断士は、経営改善計画書や経営診断書の作成支援も行えます。

経営改善計画書は、金融支援を受ける際や経営改善に取り組む際に作成する書類です。また、経営診断書は、産業廃棄物収集運搬業などの許可申請・更新において、事業者の経営状況に応じて提出が求められる書類です。

経営状況の診断や助言は独占業務ではありませんが、経営改善計画書や経営診断書の作成支援では、中小企業診断士の専門知識を活かせる場面があります。

経営に関する専門知識の発信

中小企業診断士の資格は、経営に関する専門知識を有していることの客観的な証明になります。そのため、経営に役立つ情報を広く発信する場での活躍も期待できるでしょう。

経営層を対象としたセミナーや資格取得スクールの講師として登壇するほか、書籍や新聞、Webメディアなどで情報を発信することも可能です。経営に関する情報発信を通じて認知度を高めれば、仕事の依頼につながりやすくなるというメリットもあります。

中小企業診断士の活躍の場

中小企業診断士が活躍する場面は様々です。以下では、それぞれの場でどのように活躍できるのか、詳しく解説します。

  • 会社員として一般企業で活躍する
  • 独立開業して自分の事務所で活躍する

会社員として一般企業で活躍する

一般企業の会社員として勤務する場合は、自社の経営状況を的確に分析し、助言できる人材として経営戦略に関われるでしょう。

また、コンサルティング会社や会計事務所、税理士事務所などの士業系事務所での勤務も可能です。経営相談を希望するクライアントに対して、中小企業診断士として経営診断や経営改善に向けた助言を行えます

独立開業して自分の事務所で活躍する

独立開業する場合は、経営コンサルタント事務所を立ち上げ、中小企業をクライアントとしてコンサルタント契約を結ぶ流れが一般的です。

経営診断や経営に関する助言を行う点は、会社員として勤務する場合と共通していますが、独立後はクライアントからコンサルティング報酬や顧問料などの報酬を得るため、自身の事業運営も考える必要があります。

独立した場合は、自治体などの公的機関から委託を受ける公的業務に携われる場合もあるため、確認しておきましょう。

中小企業診断士の資格を取得するメリット

中小企業診断士の国家資格を取得すると、多くのメリットが期待できます。代表的なメリットは、以下の3つです。

  • 経営コンサルティングの信頼性が高まる
  • キャリアの選択肢が増える
  • 年収がアップする

経営コンサルティングの信頼性が高まる

中小企業診断士は、経営コンサルティングに関する代表的な国家資格です。関連する民間資格は複数ありますが、国家資格である中小企業診断士を保有していると、信頼性を高めやすくなります。

中小企業診断士試験は一定の難易度があるため、経営に関する幅広い専門知識を持っていることを客観的に示しやすくなり、信頼感の向上につながるでしょう。

キャリアの選択肢が増える

中小企業診断士の資格試験は出題範囲が広いため、試験対策でも幅広い分野の学習をします。そのため、経営に関連する多くの知識を身に付けられ、実務にも活かせる経営ノウハウを蓄積できます。

その結果、中小企業診断士の資格習得後は、その知識やノウハウを活かすことで、キャリアの選択肢も大きく広がります。

自社内での経営支援業務、経営層に近い立場での活躍、経営ノウハウを活かした起業など、様々なキャリアを選択できるでしょう。

年収がアップする

中小企業診断士の資格取得によって、資格手当が支給される可能性があります。

「中小企業診断士活動状況アンケート調査」の結果によると、中小企業診断士資格取得時に「昇給・昇格した」「資格手当が支給された」と回答した方は19.5%となっています。

資格手当の相場は企業によって異なりますが、支給されれば年収アップが期待できます。本業の勤務先で副業が認められている場合は、コンサルティング業で副収入を得られる機会にもなるでしょう。

中小企業診断士の年収

中小企業診断士の収入や売上は、活動量によって大きく変わります。

一般社団法人日本中小企業診断士協会連合会の「中小企業診断士活動状況アンケート調査」によると、年間コンサルティング業務日数が100日以上の診断士の年間売上は、最も多いゾーンで501〜800万円(20.2%)です。

また、年間売上が1,001万円以上の診断士の割合は31.4%にのぼり、3割以上の人が年収1,000万円超を達成しています。

なお、収入向上を目指すには、コンサルティングへの従事日数を増やしたり、顧問先を積極的に開拓したりすることが有効です。まずは、稼働日数を意識的に増やすことから検討してみましょう。

中小企業診断士に必要なスキル

中小企業診断士になるには、幅広いスキルが必要です。中でも特に重要なのは、以下の3つのスキルです。

  • 豊富な経営知識
  • コミュニケーションスキル
  • 冷静に客観視する能力

豊富な経営知識

中小企業診断士には、経営に関する豊富な知識が不可欠です。

経営学や財務会計、運営管理、経営情報システムなど、健全な経営に欠かせない幅広い知識が求められます。加えて、経験を通じて実践的な経営ノウハウを身に付けることで、具体的な解決策を提案できるようになるでしょう。

コミュニケーションスキル

中小企業診断士は、企業の経営層や現場担当者、そしてクライアントから経営状況などを的確にヒアリングする必要があるため、高いコミュニケーションスキルが求められます。ヒアリングが的確にできなければ、最適な診断や助言はできません。

さらに、経営改善や課題解決に関する提案を理解・納得してもらううえでも、コミュニケーションスキルが必要です。クライアントとの信頼関係の構築が、業務遂行の重要なカギとなるでしょう。

冷静に客観視する能力

中小企業診断士は、事業の経営に関する重要な業務に関わる機会が多いため、冷静な判断力が求められます。

主観に偏らず、客観的に物事を捉え、最適な策を考えるスキルが必要です。幅広い経営知識をもとに、広い視野で経営改善につながる提案や助言をしなければなりません。

中小企業診断士の試験概要

中小企業診断士試験は第1次試験と第2次試験の2段階構成で、原則として第1次試験に合格した人が第2次試験を受験できます。例年、第1次試験は8月上旬の2日間、第2次試験は10月下旬に実施されます。

令和8年度の試験概要は、以下の通りです。

項目 第1次試験 第2次試験
申込受付期間 令和8年4月23日(木)~5月27日(水) 令和8年9月1日(火)~9月18日(金)
試験日 令和8年8月1日(土)・2日(日) 令和8年10月25日(日)
合格発表 令和8年9月1日(火) 令和9年1月13日(水)
試験地 札幌・仙台・東京・名古屋・金沢・大阪・広島・松山・福岡、那覇(10地区) 札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡(7地区)
受験手数料 17,200円 15,100円
受験資格 学歴・年齢不問 第1次試験合格者

令和8年度より、第2次試験における口述試験が廃止となります。

なお、第1次試験には科目合格制度があるため、試験全体が不合格でも、合格した科目は申請により翌年度・翌々年度の受験で免除を受けられます。

試験の合格率・難易度

中小企業診断士試験の直近5年間の合格率は、以下の通りです。

【第1次試験】

年度 受験者数(全科目受験者数) 合格者数 合格率
令和7年度 18,360人 4,344人 23.7%
令和6年度 18,209人 5,007人 27.5%
令和5年度 18,755人 5,560人 29.6%
令和4年度 17,345人 5,019人 28.9%
令和3年度 16,057人 5,839人 36.4%


【第2次試験】

年度 受験者数(全科目受験者数) 合格者数 合格率
令和7年度 7,044人 1,240人 17.6%
令和6年度 8,119人 1,516人 18.7%
令和5年度 8,241人 1,555人 18.9%
令和4年度 8,712人 1,625人 18.7%
令和3年度 8,757人 1,600人 18.3%

第1次試験の合格率は年度によって20〜40%台と幅があるものの、第2次試験はおおむね17〜19%台で推移しています。第1次・第2次試験の両方を合格する必要があるため、最終的な合格難易度は高めです。事前に学習計画を立てて臨みましょう。

中小企業診断士になるには?3つのステップ

中小企業診断士になるまでのステップは、以下の3段階です。

1.中小企業診断士試験に合格する

まずは、第1次試験・第2次試験に合格する必要があります。
・第1次試験:例年8月上旬頃の土曜日と日曜日の2日間で、合格基準は、原則「総点数の60%以上」かつ「40%未満の得点の科目が1つもない」
・第2次試験:例年10月下旬頃に実施。合格基準は、第1次試験と同様

2.実務補習を受けるまたは実務に従事する 中小企業診断士として登録を受けるには、第2次試験合格後、15日以上の実務補習への参加または実務への従事が必要です。
3.経済産業大臣の登録を受ける 実務補習または実務従事の要件を満たした後、登録申請が必要です。書類に不備がなければ、氏名・登録番号の公示とともに、登録証が届きます。登録は5年ごとに更新が必要で、その都度、研修の受講や実務経験が必要です。

中小企業診断士とのダブルライセンス

中小企業診断士は、他の資格との組み合わせで、さらに仕事の幅が広がる可能性があります。

「中小企業診断士活動状況アンケート調査」の結果によると、中小企業診断士資格以外の保有資格の上位は、「ファイナンシャルプランナー」20.5%、「情報処理技術者」16.0%、「宅地建物取引士」11.0%となっています。また、「その他」としては、キャリアコンサルタントや日商簿記等の回答が多くみられました。



中小企業診断士を目指すなら通信講座がおすすめ

中小企業診断士の試験は広範囲に及ぶため、独学では学習に多くの時間がかかる場合があります。そのため、短期間で効率的に学びたい場合は、通信講座の活用がおすすめです。

ユーキャンの通信講座では、わかりやすいテキストや動画で効率的に学習を進められるよう、試験の要点を押さえたカリキュラムが組まれています。スマートフォンやタブレットを使えば、スキマ時間を活用してより効率的に学習を進められます。

まとめ

将来のキャリア形成やキャリアアップのために経営について学びたい場合は、中小企業診断士資格の取得がおすすめです。中小企業診断士は独占業務がないものの、経営という重要な領域に関わるため、専門性や信頼度を示すうえで資格取得は有効です。

また、キャリアの幅を広げたい場合は、中小企業診断士と併せてファイナンシャルプランナーや日商簿記検定などの資格取得が役立ちます。

ユーキャンでは、様々な資格に関する講座を展開しています。ビジネスに役立つ資格講座も数多くあり、わかりやすいテキストや添削指導、スマートフォンでの学習支援もあります。キャリアアップや転職などに役立つ資格の取得を検討している場合は、ぜひ受講をご検討ください。

この記事の監修者は五藤 大樹(ごとう たいき)

TOMAコンサルタンツグループ株式会社 コンサル部 副部長
経営コンサルタント・中小企業診断士

愛知県出身。大学卒業後、ホテル・飲食店を多店舗展開する企業の現場責任者として、現場の課題発見から改善策の実行まで一貫して経験し、現場主義の経営感覚を養う。その後、ベンチャー企業へ出資・支援する会社でIPO(株式上場)プロジェクトに参画し、上場準備の実務を幅広く担当。事業再生を専門とするコンサルティング会社を経て、2016年にTOMAコンサルタンツグループに入社。経営課題の本質を見極め、現場と経営双方の視点から実効性の高い経営計画を策定し、実践的なPDCAサイクルを回して成果につなげることを強みとする。幅広い業種の中堅・中小企業に対して、経営計画策定、財務改善、実行支援を行い、経営課題解決に取り組んでいる。

よくある質問

中小企業診断士はどのような場面で役立ちますか?

中小企業診断士は、経営に関する国家資格として社会的信頼性が高く、様々な場面で活躍できる資格です。

例えば、企業内でのキャリアアップを目指す場面では、経営を多角的に分析する力が評価され、管理職や経営企画などのポジションへの道が開きやすくなります。

独立してコンサルタントとして活動する場面でも、国家資格の肩書きが顧客からの信頼獲得につながり、副業としてコンサルティング業務を行う際にも実績のアピールに役立つ資格です。資格をどう活かすかによって活躍の幅は大きく広がるため、取得後の目標を明確にしたうえで挑戦しましょう。

中小企業診断士は独学でも目指せますか?


独学での合格は不可能ではありませんが、学習計画の立案から試験対策まで全て自身で行う必要があります。独学が難しいとされる理由は、以下の通りです。

  • 決まったカリキュラムがないため、学習の優先順位をつけにくい
  • 第2次試験の記述問題は自己採点が難しく、客観的なフィードバックを得にくい
  • 法改正など最新情報が入りにくい

費用を抑えられる点や自分のペースで進められる点は独学のメリットですが、効率よく合格を目指すなら通信講座の活用も選択肢の1つです。学習スタイルを慎重に検討したうえで、自身に合う方法を選びましょう。

中小企業診断士はどのような人に向いていますか?


中小企業診断士は、以下のような人に向いている資格です。

  • 経営・コンサルティング業務に携わりたい人
  • 物事を多角的・俯瞰的に見ることが得意な人
  • 人脈を広げながらキャリアを築いていきたい人
  • 将来的に独立・副業で収入を伸ばしたいと考えている人

中小企業診断士は、経営者や従業員と直接対話しながら課題を解決していく専門職であるため、人と関わることが好きでコミュニケーションが得意な人にとっては、力を発揮しやすい環境です。自身の強みやキャリアプランと照らし合わせて、取得を検討しましょう。

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