• 更新日:2023/07/05

旅行業界を目指している方なら、「旅行業務取扱管理者」という資格名を耳にしたことがあるのではないでしょうか。旅行業務取扱管理者は、旅行の企画立案・販売にまつわる幅広い業務を扱うことができる資格です。

この記事では、旅行業務取扱管理者の資格取得を検討している方に向けて、資格の特徴や、活かせる業界などについて解説しています。あわせて、具体的な受験情報も紹介しています。参考にしてください。

このページを簡潔にまとめると・・・

  • 旅行業務取扱管理者は旅行業界で唯一の国家資格。
  • 総合旅行業務取扱管理者、国内旅行業務取扱管理者、地域限定旅行業務取扱管理者の3種類があり、取扱える旅行商品や業務の範囲が異なる。
  • 資格取得は、旅行会社のほか、鉄道・バス・航空・ホテルなど観光業界での就職・転職やキャリアアップに役立つ。
  • 試験の合格基準は、総合、国内どちらも、各科目6割以上の得点。合格率は、例年、国内が総合を上回る傾向。

旅行業務取扱管理者とは?

旅行業務取扱管理者とは、旅行業界で唯一の国家資格です。旅行商品の企画立案・販売にまつわる幅広い業務を扱うことができる資格であり、旅行業者の各営業所には、原則としてこの旅行業務取扱管理者を1人以上置かなければならないことが、法律で定められています。

この資格があれば、旅行の企画・販売にまつわる幅広い業務を扱うことができます。旅行業界に就職し、キャリアを積んでいくなら、取得しておいて損はない資格といえます。年齢、学歴、実務経験などでの受験制限はなく、誰でも試験を受けられます。ただし、国家資格であり、出題範囲が幅広いため、受験科目に応じたアプローチ、学習や対策が非常に大切です。

旅行業務取扱管理者資格は3種類に分かれている

旅行業務取扱管理者の資格は取り扱える業務の範囲により次の3種類があります。

  • 総合旅行業務取扱管理者
  • 国内旅行業務取扱管理者
  • 地域限定旅行業務取扱管理者

これらの資格は、それぞれ取り扱える旅行商品の範囲が異なります。また、試験の実施機関にも違いがあります。総合旅行業務取扱管理者は日本旅行業協会、国内旅行業務取扱管理者は全国旅行業協会ですが、地域限定旅行業務取扱管理者は、実施機関がほかの2つと異なります。


1.総合旅行業務取扱管理者(国内・海外の旅行業務を取り扱える)

総合旅行業務取扱管理者とは、国内・海外両方の旅行業務を取り扱える資格です。試験では4科目を受験することになります。旅行業法・旅行業約款、運送約款及び宿泊約款・旅行実務(国内・海外)、海外業務では海外渡航の手続きや主要国の観光などについての知識も問われます。

試験は一般社団法人日本旅行業協会が実施しています。国内旅行業務取扱管理者と比べて難易度が高いですが、その分、取得すれば業務の幅が広がるため、挑戦する価値のある資格です。


2.国内旅行業務取扱管理者(国内の旅行業務のみ取り扱える)

国内旅行業務取扱管理者とは、国内の旅行業務のみを取り扱える資格です。総合旅行業務取扱管理者と異なり、海外の旅行業務は取り扱えません。試験では3科目を受験することになり、旅行業法・旅行業約款、運送約款及び食博約款・国内旅行実務の知識が問われます。一般社団法人全国旅行業協会が試験を実施しています。


3.地域限定旅行業務取扱管理者(特定の地域の旅行商品のみ)

地域限定旅行業務取扱管理者とは、営業所のある市町村や隣接する市町村といった、特定の地域に限定して旅行業務を取り扱うことのできる資格です。地域限定旅行業をもり立てるため、2018年度に創設されました。観光庁が試験を実施しています。

総合旅行業務取扱管理者と国内旅行業務取扱管理者の違いとは?

総合旅行業務取扱管理者と国内旅行業務取扱管理者の大きな違いは、取り扱える業務の内容です。総合旅行業務取扱管理者は、国内旅行業務と海外旅行業務の両方を取り扱うことができます。海外旅行業務はスケールが大きく、多くの知識が必要となりますが、その分、やりがいもあります。

国内旅行業務取扱管理者は、国内旅行業務に携われます。国内旅行のスペシャリストとなり、旅行の企画から販売、実施までを管理します。

どのような場で資格が活かせるか

  • 旅行会社
  • 旅行会社への就職・転職で有利になります。また、日々の勤務においても旅行に関する豊富な知識・技術を有したプロとして国から認められます。

  • 旅行会社(代理店)開業
  • 旅行会社開業のためには、旅行業務取扱管理者の選任が必要です。

  • 観光に関わる業界
  • 鉄道・バス業界、航空業界、ホテル業界、ブライダル業界といった、観光に関わる業界でもこの資格は活かせます。

語学力があればますます活躍の場が広がります。総合旅行業務取扱管理者または国内旅行業務取扱管理者の資格を持っていれば、語学の国家資格である全国通訳案内士の筆記試験のうち、日本地理が免除となります。

具体的な仕事の内容

旅行業務取扱管理者の職務は、旅行業務が適正に行われているか管理・監督することです。

  • 企画:旅行の企画を立案・管理します。
  • 広告:旅行に関する広告が適切か監督します。
  • 接客:お客様に旅行の申し込み内容を説明し、契約を交わし書面を交付します。
  • 実施:旅行の実施に際し、宿泊施設や乗り物を手配します。
  • 苦情対応:お客様から苦情が出た場合に対応します。
  • 書類管理:契約内容の記録や、関係書類の保管をします。

資格がない場合は旅行業界で働けない?

働くだけなら、無資格でも旅行業界で働くことはできます。しかし待遇面や、転職時などに影響が出る可能性があります。無資格だと給料がなかなか上がらず、転職の際の自己PRも難しいケースがありますので、旅行業界で働きたい方は資格の取得を検討しますしょう。また、資格の取得により、仕事の幅が広がる可能性もあります。

旅行業を始める際には、旅行業務取扱管理者の存在が必須となり、いなければ旅行業の登録申請ができません。自分で資格を取得することが難しい場合、旅行業務取扱管理者の有資格者を採用することが必要になります。

「旅程管理主任者」との違い

旅程管理主任者は、旅行会社が企画したツアーの旅程管理が主な仕事となり、一般的にはツアーコンダクターと呼ばれます。旅行会社や添乗員派遣会社で、一定の研修を受ければ取得できる認定資格です。一方、旅行業務取扱管理者は観光庁が所管する国家資格です。旅行業務取扱管理者は旅程管理主任者のスキルアップ資格、といった見方もできます。

旅行業務取扱管理者資格を取得するメリット

就職、転職、スキルアップ、キャリアアップ、独立に役立つ

旅行業務取扱管理者資格の取得は、これから旅行業界で働きたい人にとっても、既に働いている人にとっても役立ちます。旅行業務取扱管理者資格があれば、企業によっては、資格手当がもらえる可能性があります。また、旅行会社からの独立起業を検討する際も武器になります。

その上、旅行業務取扱管理者は、一度取得すれば有効期限がなく、生涯有効です。旅行業務取扱管理者資格は、全国で通用するため、場所を選ばず働けます。

全国通訳案内士試験の日本地理が免除になる

総合旅行業務取扱管理者または国内旅行業務取扱管理者の資格があれば、全国通訳案内士試験の筆記試験で日本地理が免除されます。

2020年度において、全国通訳案内士試験の筆記試験の合格率が18.0%、最終的な合格率が9.6%であった一方、国内旅行業務取扱管理者試験の合格率は 37.7%でした。この合格率の差を見ると、まず国内旅行業務取扱管理者を取得し、それから全国通訳案内士の取得を目指すのことも、効率のいい選択肢だといえます。

旅行業務取扱管理者試験の概要

ここでは旅行業務取扱管理者試験の中でも、受験者の多い、1.総合旅行業務取扱管理者、2.国内旅行業務取扱管理者のそれぞれの試験概要を、違いを含めて解説します。総合旅行業務取扱管理者を【総合】、国内旅行業務取扱管理者を【国内】と表記しています。

受験資格

【総合】【国内】ともに、受験資格は設けられておらず、受検にあたって特に制限されることはありません。

試験日

【総合】【国内】ともに、年に1回試験が実施されますが、実施日程が異なります。

【総合】年1回、10月に実施
【国内】年1回、9月上旬の日曜日に実施

受験料と願書の郵送先

【総合】【国内】では、受験料や受験願書の郵送先が異なっています。

【総合】受験料6,500円、受験願書は一般社団法人日本旅行業協会へ簡易書留で郵送
【国内】受験料5,800円、受験願書は一般社団法人全国旅行業協会へ簡易書留で郵送

受験科目

【総合】と【国内】では、受験科目に違いがあります。

【総合】
(1)旅行業法及びこれに基づく命令
(2)旅行業約款、運送約款及び宿泊約款
(3)国内旅行実務
(4)海外旅行実務

【国内】
(1)旅行業法及びこれに基づく命令
(2)旅行業約款、運送約款及び宿泊約款
(3)国内旅行実務(運送機関及び宿泊施設の利用料金その他の旅行業務に関する料金・旅行業務の取扱いに関する実務処理)

試験の一部免除について

【国内】を取得している場合、次年度以降の【総合】受験時の「旅行業法及びこれに基づく命令」と「国内旅行実務」が免除されます。

【国内】の受験において、前年度に「国内旅行実務」の合格点を得ている人は、次年度の「国内旅行実務」受験を免除されます。また、一般社団法人全国旅行業協会が実施する国内旅行業務取扱管理者研修の修了者は、修了年度及び次年度の「国内旅行実務」の受験が免除されます。

合格基準

【総合】【国内】のどちらも、合格には各科目で6割以上の得点が必要です。

【総合】(令和3年度の公表データより)各科目とも満点の60%以上
【国内】(令和3年度の公表データより)各科目とも100点満点中の60点以上

合格率

基本的に、毎年【国内】が【総合】の合格率を上回る傾向にあります。

【総合】令和3年度25.0%、令和2年度40.7%
【国内】令和3年度42.6%、令和2年度37.7%

旅行業務取扱管理者の資格取得のための勉強方法

旅行業務取扱管理者資格取得のための勉強方法には、独学と通信・通学講座の2つがあります。

1.独学
通学の時間がかからず、費用が比較的安く済みますが、その分自力で勉強を進める必要があります。

2.通信講座、通学講座を利用
旅行業務取扱管理者は試験範囲が広く、独学で勉強を進めることが難しい場合もあります。通信・通学講座ならわかりやすい解説や、過去問題の解説、添削課題などを受けられます。独学では不安な場合は、通信・通学講座の利用がおすすめです。

まとめ

旅行業務取扱管理者は、旅行業界に就職・勤務する上で非常に役立つ資格です。取得することで、旅行業に関する知識が身につき、待遇や転職の面でも有利になります。旅行業務取扱管理者の取得を考えている方には、ユーキャンの旅行業務取扱管理者講座がおすすめです。

ユーキャンの旅行業務取扱管理者講座なら、頻出ポイントに絞った教材やカリキュラムが用意されており、初めての方でも効率的に勉強できます(初学者が85%)。試験直前までサポートを受けられ、またわからないことがある場合はメールでの質問も可能です。

【総合コース】・【国内コース】・【総合・科目免除コース(国内資格取得済みの方向け)】の3つのコースがあります。標準学習期間は、国内コースが4ヵ月、総合コースが8ヵ月です。これから初めて学習を始めるという方や、効率よく学習を進めたいという方は、ユーキャンの旅行業務取扱管理者講座の利用を検討してみてください。

生涯学習のユーキャン
この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。

よくある質問

旅行業務取扱管理者になるには、旅行代理店などに勤務して経験を積まなければいけませんか?

旅行業務取扱管理者の試験は年齢、学歴、実務経験などの受験制限がなく、どなたでも受験が可能です。例年、まったく初めての方も多数合格している国家資格です。

旅行業務取扱管理者の役割は?

旅行商品の企画立案・販売にまつわる幅広い業務を扱うことができる資格です。旅行プランの作成、旅行に関する広告の適切性、企画旅行実施に際し、宿や乗り物の予約・手配などを営業所・店舗ごとに管理・監督し、お客様の安全・快適な旅をサポートします。
旅行業者の各営業所には、原則としてこの旅行業務取扱管理者を1人以上置かなければならないことが法律(旅行業法)で定められています。

旅程管理主任者とはどう違うの?

旅程管理主任者は、いわばツアーコンダクター。旅行会社や添乗員派遣会社に所属して一定の研修を受けることで取得できる認定資格です。
一方、「旅行業務取扱管理者」は、観光庁長官から与えられる国家資格。旅に関して豊富な知識を有するエキスパートであり、旅程管理主任者のスキルアップ資格としても位置づけられます。

英語が苦手なのですが、総合旅行業務取扱管理者を目指すことはできますか?

英語は、総合旅行業務取扱管理者の試験科目「海外旅行実務」に含まれます。「海外旅行実務」200点満点のうち、英語の配点は約40点です。合格ラインは満点ではなく120点なので、英語であまり点数が取れなくても、合格を目指すことは充分可能といえるでしょう。

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旅行関係の仕事でスキルアップを目指したい方におすすめの資格が、旅行業務取扱管理者。旅行業務取扱管理者は、旅行業界への就職・転職に役立つ、旅行業界で唯一の国家資格です。旅行業者等は、営業所ごとに1人以上の旅行業務取扱管理者を選任することが法律で定められています。有資格者は、職場に不可欠な即戦力として評価されますので、旅行業界に勤めている方にとってはキャリアアップにつながります。また資格を取得することで旅行業界への就職・転職はもちろんのこと、プライベートの旅行や観光などでも、その幅広い知識を役立てることができます。資格は一度取得すれば、生涯有効なので、大きな財産となります。
ユーキャンの「旅行業務取扱管理者」講座では、国内・海外旅行の両方を取り扱う「総合旅行業務取扱管理者」と、国内のみの「国内旅行業務取扱管理者」の対策をご用意。将来的な用途や状況にあわせて、コースをお選びいただけます。テキストには練習問題や用語解説も満載。試験によく出るポイントに的を絞った構成ですので、初めての方でも合格に向けて、効率的に学習することができます。