• 更新日:2024/03/12

司法書士とは、法律の知識に基づき司法や法律に関する書類作成や手続き代行などを行うための国家資格です。司法書士には英語力が必要かどうか気になっている人も多いのではないでしょうか。この記事では、司法書士の英語表記や司法書士が英語で対応するメリットなどを解説します。あわせて英語力が活かせるシーンも解説するため、参考にしてください。

司法書士の英語表記

司法書士の英語表記は1つではありません。主に3つの英語表記が使われています。

  • もっとも一般的な「judicial scrivener」
  • 法律家を意味する「lawyer」
  • 日本語読みのまま表記した「Shiho-shoshi lawyer」

以下では、それぞれの英語表記の意味や使われるシーンについて解説します。

1.judicial scrivener

「judicial scrivener(ジュディシャル・スクリヴァナー)」は、司法書士を英語表記する際にもっとも一般的に使われている表記です。judicialは「司法の」「裁判の」と訳される英語で、アメリカなどでは日常的に使われています。scrivenerは「書記、筆記者」と訳されますが、一般的な単語ではなく英語圏でも伝わらないケースがあります。

そもそも、各国によって司法制度は異なり日本の司法書士に当たる資格は英語圏の国にはありません。そのため、司法書士をそのまま訳した英単語はないと考えられています。

2.lawyer

「lawyer(ロイヤー)」は、法律家を意味する言葉です。lawは「法律」と訳される単語で、「~する人」を意味する接続後のerがつくことで、法律家と訳されます。司法書士だけでなく、弁護士を指す言葉としても使われており、日本では弁護士というイメージが強い言葉です。

司法書士も法律家ではあるため間違いではありませんが、自己紹介の際にlawyerというと勘違いされる可能性もあるため、注意しましょう。

3.Shiho-shoshi lawyer

「Shiho-shoshi lawyer」は、日本読みのまま表記したものです。前述したとおり、英語圏や海外では司法書士という資格がないため、直訳が難しくなっています。judicial scrivenerと言っても伝わらないケースがあり、lawyerでは弁護士と誤解される可能性があるなど問題があるため、日本語読みをそのままローマ字で表記しているケースもあります。

日本司法書士会連合会の公式サイトでは、「Shiho-shoshi lawyer」の表記が用いられており、日本独自の資格であることを示しています。

司法書士に合格するために英語力は必要?

結論からいうと、司法書士に合格するために英語力は必要ありません。司法書士の試験には英語の科目はなく、受験資格としても英語力は設けられていないからです。そもそも、司法書士の試験には受験資格がなく、誰でも受験できます。

司法書士の試験では、民法や憲法、刑法などをはじめとした法律関係の全11科目が出題されます。このなかに、英語力を必要とするような出題科目はないため、試験で英語力が求められることはありません。

司法書士の仕事に英語力は必要?

司法書士の仕事には必ずしも英語力は必要ではありませんが、英語力があることでさまざまな案件に対応しやすくなります。

たとえば、全国で外国人労働者の受け入れが拡大し外国人労働者の増加することで、司法書士が英語対応することが求められるようになる可能性があるでしょう。また、外国人の成年後見や登記・裁判に関する書類の作成、外国で発行された文書翻訳などの機会も増えるため、英語力が必要とされるシーンは増加すると見込まれます。

司法書士が英語対応できるメリット

司法書士に英語力は必須ではありませんが、英語対応ができることで得られるメリットもあります。司法書士が英語対応できることで得られるメリットは大きく分けて2つです。

  • 国際案件を受注しやすくなり、仕事の幅が広がる
  • 案件の幅が広がることによって収入アップが期待できる

ここでは、それぞれのメリットについて詳しく解説します。

国際案件の受注につなげられる

英語対応ができれば、国際案件を受注しやすくなります。海外の企業と取引をする際や、日本でビジネスをしている外国人とやり取りをする際、日本進出を検討している海外企業のサポートなどには、英語力が求められます。

英語は世界で広く活用される言語であるため、英語対応ができる司法書士なら、海外企業や外国人からの案件を受注しやすくなるでしょう。また、日本にいる外国人のサポートや海外で活躍する日本人のサポートなどもスムーズに行えるようになるため、多くの案件に携われる可能性があります。英語対応ができることで、他の司法書士との差別化にもつながります。

収入アップを期待できる

英語対応ができることで、収入増加も期待できます。前述したように、英語力が高ければ国際案件を受注しやすくなるため、業務の幅が広がることは大きなメリットです。さまざまな案件を受けられるようになるため、収入アップのチャンスは多くなります。

また、外資系企業との提携がある司法書士事務所で働きたい、企業の法務部門で働きたいという場合には英語力が求められるケースも少なくありません。司法書士の資格を持っていて英語力が高い人は少ないため、需要が高く月給が高めに設定されていることも多いようです。

司法書士に求められる英語レベル

司法書士に求められる英語レベルは、企業によってさまざまです。たとえば、TOEIC(R)L&R TESTで700点~800点台、もっと上級のネイティブレベルというように、企業によって求められるものは異なります。

しかし、多くの企業では英語力よりも、法律に関する知識や実務経験を重視している傾向にあるようです。外資系企業との提携や海外案件に力を入れているような企業、司法書士事務所であっても、基本的には法律関連の知識や実務経験に比重が置かれています。

司法書士の業務で英語力を生かせる4つのシーン

司法書士の業務で英語力を活かせる業務は、主に4つです。

  • 国際的な法務に関する「渉外法務」
  • 法務文書の翻訳を行う「法務文書翻訳」
  • 国際的な相続業務を行う「国際相続」
  • 財産に関する手続き・管理をする「財産管理」

このように、英語力が活かせるシーンは多くあります。ここでは、それぞれの業務について詳しく解説します。

1.渉外法務

渉外法務とは、国際的な法務に関する業務のことです。たとえば、海外法人の設立登記や営業所を設置する際には、土地建物登記や会社登記などの手続きが必要になりますが、これらの手続きをサポートするのが渉外法務です。

外国人が日本で会社を設立しようと思った場合、日本の法律はもちろんのこと外国の法律も関係してくるため、双方の法律知識や英語力が求められます。海外法人や海外の担当者とやり取りをする際にも、英語対応ができればスムーズに業務を進められます。また、英会話だけでなく文書やメールでのやり取りも必要になるため、英語での文書作成もできると有利です。

2.法務文書翻訳

法務文書翻訳とはその名のとおり、法務文書の翻訳業務です。法務文書にはさまざまな種類があり、たとえば以下のような書類が挙げられます。

  • 契約書
  • 法律文書
  • 訴訟関連書類
  • 社内文書など
海外企業との取引や外国人労働者を雇用する際には、法務文書翻訳が必要となります。法務文書を正確に理解して翻訳するには、英語力だけでなく法律知識も欠かせません。法務文書は専門用語が使われていることも多く、一般には使われないような表現もあるため、法律知識と高い英語力がなければ翻訳が難しい場合も多いようです。


3.国際相続

3.国際相続 国際相続とは、国際的な相続のことです。たとえば、相続人や被相続人が外国籍というケースや、海外に居住していたというケースなどを指します。相続財産が海外にある場合も、国際相続の対象です。

相続に関する法律やルールは国によって違います。そのため、日本の法律だけでなく、海外の法律知識を有していること、どの国の法律を適用するべきかといった判断をするための知識も求められます。相手国とのやり取りをする際には英語力が求められ、必要書類の作成なども行うため、英語での文書作成能力も重要です。

4.財産管理

続財産管理人や遺言執行者になるケースも珍しくありませんが、外国籍の人や日本に帰化した外国人の財産管理を任せられることもあります。日本語が話せない相手とやり取りする場合もあるため、英語力があるとスムーズに進みます。

また、外国籍の財産を管理するときには日本の法律知識だけではなく、海外の法律知識が必要です。日本や海外の専門的な法律知識と英語力があれば、相手に内容をわかりやすく伝えられるため業務がスムーズです。

英語力がある司法書士の将来性

英語力がある司法書士のニーズは高まると予想されます。外国人雇用を促進する法改正によって、司法書士に限らず日本の多くの企業・業界で、一定の英語力が求められているという背景があります。

また、グローバル化が加速しており世界で活躍する日本人も増加しているため、英語力の高い司法書士のニーズは高まっているようです。国際化が進んでおり、司法書士の業務の幅も国内だけでなく国外へと広がっているため、英語対応できる司法書士の需要は今後も高まっていくと考えられます。

まとめ

司法書士になるには英語力は必須ではありません。しかし、英語対応ができることで業務の幅が広がり、収入アップにもつながります。グローバル化が進んでいるなかで、英語力の高い司法書士のニーズも高まっています。しかし、基本的には法律知識や実務経験が重視される傾向にあるため、英語力だけでなく法律知識を深めることも重要です。

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この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

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よくある質問

司法書士になるには?

司法書士になるためには、司法書士試験に合格し、司法書士名簿に登録し、司法書士会に入会する必要があります。年齢制限はなく、高校生などの未成年者でも受験できます。

司法書士試験の難易度は?

司法書士試験の難易度は非常に高く、最難関国家資格のひとつ。合格率は3~4%台で他の国家資格試験と比較しても合格率は低いです。合格者数は例年500人~600人台となっており、狭き門と言えるでしょう。

司法書士は独学でも合格できる?

司法書士試験に独学で合格する人は多くありませんが、不可能ではありません。ただし、難易度が高い国家試験なので、相当の努力が必要になります。実際に、短期間学習してみて、独学が自分に合っているか、合格する見込みはありそうかなどを検討してみてもいいでしょう。

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