• 更新日:2024/03/12

司法書士と弁護士は共通点が多いため、正確な違いが分からないという人もいるでしょう。また、どちらの取得を目指すべきか迷っている人もいるかもしれません。この記事では、司法書士と弁護士の違いを詳しく解説します。業務範囲や資格取得までの流れなどを比較して解説するため、ぜひ参考にしてください。

司法書士と弁護士の違いとは

司法書士と弁護士は法律に関する難関資格であり、出題科目が一部重複しています。また、いずれも将来的な独立開業を目指すことが可能です。

ただし、司法書士と弁護士の業務内容は異なります。司法書士の主な業務は、依頼人の権利や財産保護です。一方、弁護士の主な業務は、トラブルや事件の発生時に法律に基づいて依頼人の権利を守ることです。試験においても、難易度や受験資格、科目数などの違いがあるため、具体的な相違点を把握したうえでどちらの取得を目指すか決めましょう。

司法書士の概要

司法書士になるには司法書士試験を受験し、合格したうえで司法書士連合会に登録する必要があります。司法書士は、身近な法律問題に関して、依頼人の権利や財産を守るための手続きに対応します。具体的には、不動産売買の立ち会いや登記、会社関連の登記、裁判所・検察庁・法務局での手続きの代理などです。

司法書士がサポートする場面では、基本的に当事者同士が合意しています。司法書士の役割は、当事者が合意した内容を法的に証明したり実行したりすることです。

弁護士の概要

弁護士になるには司法試験を受験して合格し、法曹資格を取得する必要があります。その後、日本弁護士連合会の弁護士名簿への登録も必要です。弁護士には訴訟行為と法律事務の遂行が認められており、法律に関する業務全般を取り扱えます。法律に関する業務であれば制限なく対応可能です。

弁護士のサポートが必要な場面では、基本的に当事者同士が争っています。弁護士の役割は、法律に沿って話し合いや手続きを進め、揉めごとを解決するためにサポートすることです。

司法書士と弁護士の業務範囲の違い

司法書士と弁護士の業務範囲は、似ているようで明確な違いがあります。主な違いは以下のとおりです。

  • 司法書士は登記・供託の手続きを代理したり、各機関に提出する書類を作成したりする
  • 認定司法書士は一般の司法書士の業務範囲に加えて請求額が140万円以下の民事紛争も扱える
  • 弁護士は法律事務全般に対応できる

一般の司法書士の業務範囲

一般の司法書士の業務範囲は、司法書士法や司法書士法施行規則で定められています。具体的な業務範囲をまとめると、以下のとおりです。

  • 登記や供託の手続きの代理(司法書士法第3条第1項第1号)
  • 法務局・地方法務局に提出する書類の作成(司法書士法第3条第1項第2号)
  • 法務局長・地方法務局長に対する登記・供託の審査請求手続きの代理(司法書士法第3条第1項第3号)
  • 裁判所、検察庁、法務局、地方法務局作成などに提出する書類の作成(司法書士法第3条第1項第4号)
  • 上記の各事務についての相談の受付(司法書士法第3条第1項第5号)
  • 事業経営、財産管理・処分に関する業務(司法書士法第29条第1項第1号、同法施行規則第31条第1号)
  • 後見人・保佐人・補助人・監督委員などとしての法律行為の代理や取り消しなどを行う人に対する監督業務(司法書士法第29条第1項第1号、同法施行規則第31条第2号)
  • 司法書士の業務に関する講演会の開催や出版物の刊行(司法書士法第29条第1項第1号、同法施行規則第31条第3号)
  • 競争の導入による公共サービスの改革に関する特定業務(司法書士法第29条第1項第1号、同法施行規則第31条第4号)
  • 上記業務に関連する業務(司法書士法第29条第1項第1号、同法施行規則第31条第5号)


認定司法書士の業務範囲

認定司法書士とは、能力担保研修と考査を経て簡裁訴訟代理権の行使を認められた司法書士です。認定司法書士は、一般の司法書士の業務範囲に加えて以下の業務に対応できます。

  • 簡易裁判所での手続きの代理(司法書士法第3条第1項第6号)
  • 請求額が140万円以下の簡易裁判所における民事訴訟の相談や代理(司法書士法第3条第1項第7号)
  • 一定の価額における筆界特定の手続きに関する相談や代理(司法書士法第3条第1項第8号)
請求額が140万円以下の民事紛争においては、認定司法書士は弁護士と同様の権限を行使できます。


弁護士の業務範囲

弁護士の業務範囲は、弁護士法第3条において定められています。具体的には、訴訟事件、非訟事件、行政庁に対する不服申立事件に関する行為などです。その他の一般的な法律事務についても対応できます。弁護士は法律事務全般に対する権限が認められており、制限がありません。そのため、法律に関する業務を幅広く網羅しています。

たとえば、離婚問題、男女のトラブル、遺言・相続、債務整理などは弁護士の業務範囲です。また、法律に関する相談、書類作成、相手方との交渉、訴訟手続きの代行も対応します。認定司法書士に権限が認められていない、請求額が140万円を超える民事紛争も扱えます。

司法書士と弁護士の試験の違い

司法書士と弁護士の試験では、合格率や取得に向けた勉強時間に大きな違いがあります。

  • 合格率は、司法書士試験が約3〜5%程度、弁護士の司法試験が約30%
  • 必要な勉強時間は、司法書士試験が約3,000時間、弁護士の司法試験は法科大学院修了者なら約2,000〜3,000時間、予備試験合格者なら約1,000時間
  • 試験の出題科目は、司法書士試験は11科目、弁護士の司法試験は8科目

受験資格・合格率の違い

司法書士試験の受験資格は特に定められておらず、合格率は約3〜5%です。一方、弁護士の司法試験を受験するには一定の要件を満たす必要があり、受験の期間や回数にも制限があります。司法試験の合格率は約30%です。法科大学院を修了していない場合は、司法試験の前に予備試験に合格する必要があり、予備試験の合格率は約3%となっています。

なお、それぞれ試験の内容が異なるため、合格率だけで難易度を一概に比較できるわけではありません。

取得に必要な期間の違い

司法書士と弁護士は、試験突破に必要な勉強時間にも違いがあります。司法書士試験に合格するために必要な勉強時間は、約3,000時間といわれています。一方、司法試験の合格に向けて必要な勉強時間は、法科大学院修了者なら約2,000~3,000時間、予備試験合格者なら約1,000時間が目安です。

そもそも弁護士は受験資格の獲得までにも時間がかかるため、司法書士試験の方がより短い時間で合格を目指せます。

試験内容の違い

司法書士試験の出題科目は11科目です。筆記試験と口述試験が実施され、それぞれ1日で終了します。記述式の試験においては、不動産や商業登記の実務をシミュレーションする内容が出題されます。一方、司法試験の出題科目は8科目です。筆記試験、論文試験、口述試験があり、4日間かけて実施されます。記述式の試験においては、事例に関する論述問題が出題されます。

司法書士と弁護士のキャリアにおける違い

司法書士と弁護士のどちらについても、資格を取得した直後は各事務所に勤務して働くパターンが一般的です。独立開業を目指している人も、まずは事務所に勤めて実務経験を積みます。司法書士として年収を上げたいなら、数年以上勤務した後に自分の事務所を構えるといいでしょう。また、弁護士の年収は、事務所の規模が大きいほど高額を期待できます。

司法書士と弁護士の合格までの違い

司法書士と弁護士では、試験合格までの道のりにも違いがあります。具体的には以下のとおりです。

  • 司法書士は試験合格後に新人研修を経て日本司法書士連合会に登録する
  • 弁護士は試験合格後に司法研修所で1年間法律実務を学び、司法修習生考試に合格する必要がある

司法書士試験の流れ

司法書士試験は全国各地で年1回実施されています。筆記試験について受験資格は定められておらず、何度でも受験可能です。まずは受験申請受付期間に申込みの手続きをし、筆記試験を受験する必要があります。筆記試験の合格者のみ口述試験を受験できます。口述試験にも合格すれば、司法書士試験は合格です。

ただし、試験に合格してすぐ司法書士として働けるわけではありません。新人研修を経たうえで、日本司法書士連合会に司法書士として登録する必要があります。

司法試験の流れ

司法書士試験と同様、司法試験も年1回実施されています。司法試験を受験するには、司法試験予備試験に合格していることや、法科大学院課程を修了していることなどが条件です。ただし、予備試験の合格後、または法科大学院の修了後から5年以内に合格できなかった場合、司法試験の受験資格は失効します。

司法試験を受けて合格したら、司法研修所で1年間法律実務を学ぶ必要があります。その後、司法修習生考試に合格すると弁護士としての活動が可能です。

司法書士と弁護士のどちらを目指すべき?

司法書士と弁護士のどちらの資格を取得しようか悩んでいる人もいるでしょう。司法書士は当事者同士がすでに合意している内容に対応するため、争いを好まず几帳面に作業できる人に向いています。一方、弁護士は当事者同士の争いの解決をサポートする場面も多いため、プレッシャーに強く、トラブルの解決に携わりたい人に向いています。

試験や業務の内容から考えると、司法書士の資格取得を経て弁護士資格の取得を目指す方法もおすすめです。

司法書士から弁護士になれる?

司法書士から弁護士を目指すことは可能です。司法書士から弁護士になると、以下のことを期待できます。

  • 弁護士になれば訴訟業務全般に対応できる
  • 司法試験は法曹資格の最高峰でありキャリアアップを目指せる

訴訟業務に本格的に携われる

司法書士から弁護士になれば、訴訟業務を本格的に扱えるようになります。司法書士でも認定司法書士になれば一部の訴訟に対応できますが、対象はあくまでも簡易裁判所での訴額140万円以下の訴訟のみです。弁護士ならあらゆる訴訟に対応できるため、積極的に訴訟業務に携わりたいなら弁護士を目指すといいでしょう。

キャリアアップが目指せる

司法書士から弁護士を目指すと、キャリアアップにつながります。司法書士試験も難関資格の1つといわれていますが、司法試験は法曹資格の最高峰です。より高度な知識やスキルが求められるため、キャリアアップを目指せます。業務範囲を比較しても司法書士より弁護士の方が幅広く、対応できる案件のジャンルも増やせます。

司法書士から弁護士を目指すメリット・デメリット

司法書士から弁護士を目指す場合、司法書士試験に合格するために学んだ内容を活かして司法試験に挑めます。また、弁護士になると、司法書士以上に幅広い業務に対応可能です。

ただし、司法試験は難易度が高いため、司法書士として働きながら目指すのは簡単ではありません。さらに、弁護士になっても必ず案件をスムーズに獲得できるとは限らないでしょう。競合との競争になる可能性もあります。

司法書士から弁護士に転身する方法

司法書士から弁護士になる方法は、2つあります。1つ目は、法科大学院を修了したうえで司法試験に合格する方法です。3年間の未修者コースと2年間の既修者コースがあり、司法書士なら既修者コースも選択できます。

2つ目は、予備試験に合格したうえで司法試験に合格する方法です。予備試験に合格できる知識やスキルがあれば、法科大学院に通う場合よりも早く弁護士に転身できる可能性があります。

まとめ

司法書士と弁護士はいずれも法律に関わる資格ですが、業務範囲や試験などにはさまざまな違いがあります。どちらの資格取得を目指すか迷う場合は、業務の特徴を考慮して自分により合う資格を選びましょう。なかには司法書士になり、その後に弁護士を目指す人もいます。

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この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

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よくある質問

司法書士になるには?

司法書士になるためには、司法書士試験に合格し、司法書士名簿に登録し、司法書士会に入会する必要があります。年齢制限はなく、高校生などの未成年者でも受験できます。

司法書士試験の難易度は?

司法書士試験の難易度は非常に高く、最難関国家資格のひとつ。合格率は3~4%台で他の国家資格試験と比較しても合格率は低いです。合格者数は例年500人~600人台となっており、狭き門と言えるでしょう。

司法書士は独学でも合格できる?

司法書士試験に独学で合格する人は多くありませんが、不可能ではありません。ただし、難易度が高い国家試験なので、相当の努力が必要になります。実際に、短期間学習してみて、独学が自分に合っているか、合格する見込みはありそうかなどを検討してみてもいいでしょう。

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