情報セキュリティマネジメント試験とは、情報セキュリティマネジメントに関する基本的な知識やスキルを有していることを認定する国家試験です。この記事では、情報セキュリティマネジメント試験の受験を検討している人に向けて、試験の概要や合格率について解説します。資格を取得するメリット、勉強方法のポイントなどについても解説しているので、ぜひ役立ててください。

「情報セキュリティマネジメント試験」とは

情報セキュリティマネジメント試験とは、情報セキュリティマネジメントに関するスキルを有していることを認定する国家試験で、平成28年度(2016年度) 春期 から実施されています。昨今のサイバー攻撃の手口が複雑化・巧妙化している現状を受けて、情報セキュリティの確保が企業にとって重要な問題となっています。

試験では、情報セキュリティマネジメントの「計画・運用・評価・改善」を通じ、組織を継続的に脅威から守り、情報セキュリティ確保に貢献するための基本的なスキルの有無が判断されます。

【2023年度~変更あり】情報セキュリティマネジメント試験の概要・出題内容

情報セキュリティマネジメント試験の概要について、解説します。

  • 試験日
  • 試験時間・出題形式・出題数・解答数・基準点
  • 出題内容
  • 受験資格・条件
  • 受験料

試験日

令和2年(2020年)12月から、コンピューターを用いる「CBT方式」による試験形式に変わり、さらに令和5年度(2023年)からは年間を通じて、随時試験が実施されるようになりました。身体の不自由などの理由により、CBT方式で受験できない人は、4月(春期)と10月(秋期)の年に2回筆記による試験が受けられます。

試験時間・出題形式・出題数・解答数・基準点

情報セキュリティマネジメント試験の試験時間、出題形式、出題数・解答数、基準点は以下の通りです。

試験時間 120分
出題形式 科目Aは多肢選択式(四肢択一)、科目Bは多肢選択式
出題数・解答数 各60問
基準点 総合評価点 600点(1,000点満点)

出題内容

令和5年(2023年)度から、情報セキュリティマネジメント試験の形式が変わり、従来の午前・午後の形式から、「科目A」と「科目B」の形式になります。ただし、出題範囲について変更はありません。


科目A

科目Aでは、重点分野と関連分野の知識が問われます。それぞれの具体的な出題内容は、以下の通りです。

重点分野

  • 情報セキュリティ全般:機密性、脅威、脆弱性など
  • 情報セキュリティ管理:情報資産、リスク、ISMSなど
  • 情報セキュリティ対策:マルウェア対策、不正アクセス対策など
  • 情報セキュリティ関連法規:サイバーセキュリティ基本法、個人情報保護法など

関連分野

  • テクノロジ:ネットワーク、データベースなど
  • マネジメント:システム監査、サービスマネジメントなど
  • ストラテジ:経営管理、システム戦略など

科目B

科目Bでは、業務現場における情報セキュリティ管理の実行能力の有無が判断されます。具体的には、情報資産管理やリスクアセスメント、IT活用における情報セキュリティの確保、委託先管理、情報セキュリティ教育・訓練などの取り組みについて、ケーススタディ形式で出題されます。

受験資格・条件

情報セキュリティマネジメント試験の受験資格や条件は一切ありません。学歴や年齢、国籍などの制限もないため、誰でも受験できます。

受験料

情報セキュリティマネジメント試験の受験料は、7,500円です。

情報セキュリティマネジメント試験の合格率は?

情報セキュリティマネジメント試験の合格率は、50~60%程度といわれています。令和4年度秋期
試験では受検者数15,420名、合格者数8,018名、合格率52.0%という結果でした。
以下は、情報セキュリティマネジメント試験の直近5回の受験者数、合格者数、合格率です。

受験年月 受験者数 合格者数 合格率
令和2年度10月 9,121名 6,071名 66.6%
令和3年度春期 14,089名 7,376名 52.4%
令和3年度秋期 14,738名 7,949名 53.9%
令和4年度春期 13,131名 8,033名 61.2%
令和4年度秋期 15,420名 8,018名 52.0%

情報セキュリティマネジメント資格を取得するメリット

情報セキュリティマネジメント資格を取得するメリットは、以下の3つです。

  • さまざまな業界・職種で活かせる
  • 就職・転職でアピールできる
  • より高いレベルの資格取得を目指すステップアップの土台となる

さまざまな業界・職種で活かせる

情報セキュリティマネジメントの知識・スキルは、IT業界だけでなく、さまざまな業界で活用できます。例えば、SEやセキュリティ管理者のみならず、営業職・事務職・人事・総務・経理・マーケティング部門など、あらゆる部門が挙げられます。情報セキュリティマネジメント資格を取得することで、企業の機密情報や個人情報を扱う管理職などへの信頼にもつなげられます。

就職・転職でアピールできる

情報セキュリティマネジメント資格を取得することで、就職や転職の際のアピール材料になります。情報セキュリティマネジメントに関する知識やスキルがあることを、客観的に証明できるためです。履歴書に国家資格を有する旨を記載することで、他の応募者と差をつけることが可能です。

より高いレベルの資格取得を目指すステップアップの土台となる

情報セキュリティマネジメント資格をきっかけに、より高いレベルの資格取得を目指し、ステップアップすることも可能です。専門的な知識・スキルをさらに高めることで、中小企業診断士や基本情報技術者、応用情報技術者、ITコーディネータなどの資格取得につなげられ、活躍できるフィールドを広げていけます。

情報セキュリティマネジメント資格のデメリット

情報セキュリティマネジメント資格のデメリットとして、昇給や昇格につながりにくい点が挙げられます。情報セキュリティマネジメント資格は、難易度が比較的低いため、資格手当がつかない会社が多いとされています。昇給、昇格を目指したい場合は、情報処理安全確保支援士、応用情報技術者など、より高いレベルの別の資格を取得することをおすすめします。

情報セキュリティマネジメント試験合格のための勉強方法

情報セキュリティマネジメント試験合格を目指すために必要な勉強時間や、勉強のポイントなどを解説します。

勉強時間の目安は?

情報セキュリティマネジメントに関して初めて勉強する場合、合格に必要な勉強時間の目安は約200時間です。一方で、「基本情報技術者試験」「ITパスポート試験」などの資格をすでに取得している場合は、出題範囲に重複する部分があるため、勉強時間を短縮し、合格を目指すことが可能です。

独学でも合格を目指せる?

情報セキュリティマネジメント試験は、独学でも合格を目指せます。ただし、情報セキュリティマネジメントに関して初めて勉強する場合は、予備校や通信教育を利用することをおすすめします。重要なポイントや最新情報などを教えてもらえるため、効率的に勉強できます。

勉強するときのポイント

情報セキュリティマネジメント試験合格に向けて勉強する際には、出題頻度が高いとされる重点分野を中心に勉強を進めるのがポイントです。また、過去問題を繰り返し解くことも、効率的に合格を目指す方法の1つです。

過去問題を解くことを通して知識が浅い部分を発見でき、参考書で確認することで、効率的に勉強を進められます。情報セキュリティマネジメントの過去問題だけではなく、ほかのIT系試験の過去問題も解き、徹底的に対策をしましょう。

今後の情報セキュリティマネジメント試験はどうなる?

情報セキュリティマネジメント試験は今後、難易度が上がることも考えられます。セキュリティ技術は今後ますます発達し、複雑化していくことから、需要が増えることが予想されるためです。また、難易度が上がることで、合格率の低下が起こる可能性も高いと予測されています。

まとめ

情報セキュリティマネジメント試験とは、情報セキュリティマネジメントに関する知識や、スキルを認定する国家試験のことです。情報セキュリティマネジメント資格を取得すると、さまざまな業界・職種で活かせるだけではなく、さらなる資格取得へのステップアップも目指せます。

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生涯学習のユーキャン
この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。

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ITパスポートとは、ITに関する基礎的知識を証明する、経済産業省認定の国家試験です。パソコンやインターネットを使うのが当たり前の時代。技術者だけではなく幅広い層に正しい知識が必要であることから、2009年4月に新設されました。Iパスとも呼ばれ、年齢、性別、職種を問わず人気資格です。