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薬膳とは?基本の考え方や体質別のおすすめ食材をわかりやすく紹介
- 更新日:2023/07/10
薬膳とは、中国の伝統医学の考えに基づいた食事のことです。その日の体調に合わせて食材を取り入れることで、体の不調を整える効果があります。この記事では、健康や美容のために薬膳を始めたい方に向けて、基本の考え方や体質別のおすすめ食材などを解説します。
ぜひ美容と健康にいい生活を送るための情報としてお役立てください。
このページを簡潔にまとめると・・・
- 薬膳とは、中国の伝統医学「中医学」の考えに基づいた食事のこと。
- 体調不良を改善し、健康的な体作りを促すため、体のバランスを整え、おいしく食べながら健康管理ができます。
- 薬膳は、「陰と陽」「五臓」「六味」「五行」「五気」という基本の考え方から成り立っている。
- 薬膳では、「陰虚」「気虚」「気滞」「血虚」「血瘀」という代表的な5種類の体質が定義されており、それぞれにおすすめの食材がある。
「薬膳」とは
薬膳とは、中医学の考え方に基づいた食事のことで、体調不良を改善し、健康的な体作りを促すことを目的としています。
西洋医学では、病気の患部に注目して診断し、投薬治療で早く治すことを目指します。一方、中医学では体全体のバランスや患者の体質を診て、普段の生活の中から病気にかからないよう予防をしていきます。
体の不調が症状として表れるのは「病気」ですが、明らかな症状が出ていなくとも、体のバランスが崩れている状態を「未病」と言います。薬膳では中医学の考え方をもとに、その日の自分の状態に合った食材を摂ることで、「未病」を改善していきます。また、美容効果も期待されています。
薬膳に対する誤解
人々が薬膳に対して抱いているイメージの中には、「漢方薬を混ぜた食事」「薬臭い食事」「美味しくない食事」などがありますが、これらは誤解です。
薬膳の基本は「体に合った美味しい食事」です。季節やその日の体調などに合わせて選んだ食材をおいしく摂取することで、体を内側から整えます。薬膳を実践することで、体を健康に保ち、精神を安定させ、美容が促進されるなどの大きなメリットがあります。
簡単に薬膳を取り入れるポイント
薬膳を普段の食生活に取り入れて健康や美容への効果を高めるために、薬膳を簡単に実践するポイントを解説します。
旬の食材を意識してとる
薬膳というと、特別な食事のように誤解されがちですが、実はすべての食物に薬膳の効果があるというのが、薬膳の思想です。旬のものを食べることで、その季節に合った効能が得られるという考え方であるため、普段の食事に季節ごとの旬の食材を使うだけでも、薬膳を実践することができます。
食材の一つ一つの効果を理解する
薬膳を食生活に取り入れる上で大切なのが、それぞれの食材の効果を理解することです。普段食べている食材の一つ一つに効果があります。
例えば、ネギやショウガ、大根、唐辛子などには体を温める効果があり、風邪や冷え性への効き目が期待されます。また、ハッカやなつめなどにはストレス解消効果があると考えられています。
基本の効果を理解すれば、身近な食材で十分薬膳を取り入れることができます。日常生活で薬膳を取り入れるのは、難しいことではありません。
「薬膳」の基本の考え方
薬膳の基本を成す考え方がいくつか存在しますが、それぞれが独立しているのではなく、繋がりがあるのが大きな特徴です。一つ一つ解説します。
陰と陽
薬膳の基本を成す考え方の1つが「陰」と「陽」です。この世にあるすべてのものは陰と陽に分けられます。例えば、太陽(陽)と月(陰)、昼(陽)と夜(陰)、男性(陽)と女性(陰)といったかたちです。陰と陽がバランスをとって存在することで、世界の調和が成り立っています。
食材にも、体を冷やす「陰」のものと、体を温める「陽」のものがあります。健康を保つためには、それぞれを上手に組み合わせることが大切です。
五臓
五臓は、人間の体の「肝・心・脾・肺・腎」を指し、それぞれに役割があります。
- 肝:血や気の流れを調節する器官です。血液を造り、体全体に循環させて蓄えたり、目の機能に影響したり、ストレスから人体を守ったりなどの役割を持ちます。
- 心:五臓を調節する器官です。血液を体全体に循環させるほか、冷えから体を守る、精神を安定させるなどの役割を持ちます。
- 脾:胃や腸などの消化器官です。消化・吸収を調節し、食材の吸収や分解、栄養の伝搬などの役割を持ちます。
- 肺:呼吸を司る器官です。呼吸の調節や免疫機能の調節、水分調節、肌の保護など、広い範囲に影響を与える役割を持ちます。
- 腎:水分代謝などを調節する器官です。尿の分泌と排出のほか、老化防止、発育促進、ホルモンバランスの調整、エネルギー蓄積などの役割を持ちます。
六味
六味とは、食材の味である酸味・苦味・甘味・辛味・鹹味・淡味を指します。また、食材が五臓に対して作用する効能そのものも意味します。そのため、単なる味とはまた異なる概念です。それぞれの味に対応する症状と働き、食材を解説します。
酸味:酸っぱい味
- 対応する症状:精神の緊張、下痢、発汗、慢性の咳、多汗、心悸・動悸、頻尿、遺精など
- 働き:「肝」に作用する
- 食材:烏梅、レモン、ざくろ、酢、ブルーベリー、リンゴ、スモモなど
苦味:苦い味
- 対応する症状:炎症、発熱、多汗、口内炎、排尿痛、血尿、便秘など
- 働き:「心」に作用する
- 食材:セロリ、緑茶、アロエなど
甘味:甘い味
- 対応する症状:食欲不振、痙攣、発熱、虚弱な体質、慢性の痛みなど
- 働き:「脾」に作用する
- 食材:そば、牛乳、卵、トウモロコシ、穀類、トマト、ブドウ、リンゴ、キュウリなど
辛味:辛い味
- 対応する症状:痛み、冷え性、鬱状態、於血など
- 働き:「肺」に作用する
- 食材:ネギ、ショウガ、ワサビ、ニンニク、唐辛子、コショウなど
鹹味:塩味
- 対応する症状:便秘、痰、咳・喘息、できものなど
- 働き:「腎」に作用する
- 食材:イカ、アサリ、タコ、味噌、昆布、海苔、クラゲなど
淡味:はっきりしない味
- 対応する症状:難聴、もたれ、めまい、むくみ、排尿、下痢など
- 働き:「脾」「五臓」に作用
- 食材: ヨイクニン、冬瓜など
五行
五行もまた、薬膳における重要な概念の一つです。五行理論では、宇宙の万物は性質が異なる5つの物質で構成され、それぞれが相互に作用したり、反発しあったりして成り立っています。その5つの性質が「木・火・土・金・水」の五行で、自然界の物質は五行のいずれかに分類されます。
五気
五気は、食材が持つ5つの性質である「寒性・涼性・平性・温性・熱性」を指します。食材を食べた後で、体にどのような影響があるかで分類されます。
寒性:
- 体を冷やす作用がある
- ズッキーニ、スイカ、トマト、ゴーヤ、バナナなど
涼性:
- 寒性ほどではないものの、体を冷やす作用がある
- そば、ナス、セロリ、キュウリ、水菜など
平性:
- 特に影響を与えない
- 豆類、白菜、豚肉、キャベツ、ニンジンなど
温性:
- 熱性ほどではないが、体を温める作用がある
- ショウガ、栗、シソ、ニラ、みかん、タマネギ、鮭など
熱性:
- 体を温める作用がある
- 唐辛子、コショウ、シナモンなど
代表的な5つの体質の特徴とおすすめの薬膳食材
薬膳では代表的な5種類の体質が定義されています。それぞれの特徴と、改善に向けておすすめの薬膳食材を解説します。
陰虚(いんきょ)体質の特徴
陰虚とは、体液、つまり体を潤す水分が不足している体質を指します。体液には臓腑や皮膚、粘膜などを潤して正常に保ち、老廃物を排出するなどの働きがあります。水分が不足すると体が乾燥しやすくなり、のどが渇く、口や鼻が乾燥する、皮膚がカサカサする、便が硬くなるなどの症状が出やすくなります。
陰虚(いんきょ)体質におすすめの薬膳食材
ネバネバした食材で、体を潤わせる働きがあるとされるオクラ、山芋(生)などが該当します。白い食材も、呼吸器系や皮膚、大腸などの働きを促進するとされており、ゆり根や梨などが該当します。一方、香辛料は避けるべきです。
気虚(ききょ)体質の特徴
気虚とは、体の「気」(き)が不足している体質を指します。気には体を温め、免疫を促進し、成長や発育、生理活動、血液循環などを促進するなどの役割がありますが、気が不足するとこれらの活動が弱まり、元気がなくなって体調不良に陥ります。
結果、疲れやすい、息が切れやすい、感染症にかかりやすい、気分が落ち込む、消化不良になる、食欲が減退するなどの症状が出ます。
気虚(ききょ)体質におすすめの薬膳食材
気虚体質には、タンパク質に富む豆類、肉類、卵などがおすすめです。疲労回復や免疫機能の向上が期待できます。また、ショウガやニンニクなどもスタミナがつきます。一方、揚げ物や香辛料などは避けた方がいいです。
気滞(きたい)体質の特徴
気滞とは、体内のさまざまな働きを司る「気」がうまく行き渡らず、エネルギーが循環していない体質を指します。そのため、感情的にイライラしやすく、焦りを感じたり、怒りっぽくなったり、ささいなことで過剰に反応したり、胸やみぞおちなどにつかえを感じたりなどの症状が出ます。
気滞(きたい)体質におすすめの薬膳食材
気滞でお悩みの場合は、肝に作用するイカ、シジミなどの魚介類がおすすめです。また、オレンジなどの香りが強い柑橘類も効果があります。一方、体を冷やす恐れがある冷たい食べ物や飲み物は避けた方がいいです。
血虚(けっきょ)体質の特徴
血虚とは、血が不足して、循環が悪くなっている体質を指します。漢方では、血は血液だけでなく、皮膚や髪の毛、筋肉、骨などを造る働きがあるとされています。全身に栄養を行き渡らせる機能が弱まるため、貧血、不眠、肌につやがない、目の疲れ、立ちくらみなどの不調があらわれます。
血虚(けっきょ)体質におすすめの薬膳食材
血虚の症状が改善される食材として、色の濃い食材、特に、血液に似た赤色や赤黒い色の食材がいいとされています。黒豆や黒ゴマ、レバー、赤身の魚、ニンジンなどが該当します。一方、生野菜は控えるのがおすすめです。
血瘀(けつお)体質の特徴
血瘀とは、血の循環が悪くなっている体質を指します。そのため、全身に栄養や潤いが行き渡りづらくなり、皮膚のトラブルであるシミやにきび、クマなどができやすく、頭痛、肩こり、関節痛、静脈瘤、神経痛なども出やすい傾向にあります。
血瘀(けつお)体質におすすめの薬膳食材
血瘀の症状に効く食材として、新陳代謝を改善するウナギや羊肉などがおすすめです。また、血の巡りをよくする食材として、タマネギやニラなどの香りの高い食材や、青魚も効果があるとされています。一方、ケーキなど糖分の多いもの、冷たいものは避けた方がいいです。
薬膳のおすすめレシピ
薬膳には、体の不調を整えて健康にするさまざまな料理があります。その中から2つのおすすめレシピをご紹介します。
貧血を改善!イカとほうれん草の炒め物
滋養強壮のある食材で、貧血を改善する効果が期待できます。
【材料】
- アオリイカ…1枚
- ほうれん草…2株
- 生姜薄切り…3枚
- ネギ…3cm
- にんにく…1片
- 紹興酒…大さじ1
- 塩…少々
- コショウ…少々
- 片栗粉…大さじ1
- サラダ油…大さじ1
- ゴマ油…大さじ1
- 小麦粉…大さじ1
【作り方】
- 1.生姜とネギはせん切り、にんにくはみじん切りにします。
- 2.アオリイカは内臓・皮・吸盤を取り、塩少々、そして小麦粉をもみ込んで少し置いたあと、きれいに洗います。格子状に切り目を入れて、1×5cm程度にカットします。1の生姜とネギ、塩少々、コショウ、紹興酒、ゴマ油、片栗粉で下味をつけます。
- 3.ほうれん草を湯通しし、2cmの長さに切ります。
- 4.サラダ油を入れて熱した鍋でにんにくを炒め、2を入れて手早く炒め、3を混ぜ合わせます。最後に塩で味をつけます。
便秘を改善!たけのこと若芽の味噌汁
簡単にできる味噌汁で、便秘をすっきり改善する効果が期待できます。
【材料】
- たけのこ(細竹)…4本
- 昆布だし…700ml
- 生ワカメ…20g
- 味噌…40g
- 貝割れ大根…4本
【作り方】
- 1.たけのこは斜めに細切りにします。生ワカメは2cmの長さにカットします。
- 2.昆布だしとたけのこを鍋に入れて沸騰させ、弱火にして生ワカメを加えます。味噌を溶きながら入れ、沸騰する直前に火を消します。
- 3.お椀に盛ったあと、貝割れ大根で飾ります。長い場合は2つに切ります。
まとめ
薬膳には、「漢方薬が混ざっている」「薬臭い」などの誤ったイメージが持たれがちです。実際には、それぞれの食材の効果を理解して旬のものを意識的に取り入れれば、スーパーで売っている食材でも、薬膳を普段の生活で十分に実践可能です。
さらに、隠と陽、五臓、六味や五行など、薬膳の元となる考え方を知ることで、より自分の体調や症状に合った食材を取り入れやすくなります。
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- この記事の監修者は生涯学習のユーキャン
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1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。
よくある質問
- 中医学って?
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西洋医学は病気になった時に患部を診断し、病気に応じて即効性のある投薬治療を行います。
一方、中医学は体全体のバランスや患者の体質を診て、普段の生活から病気にならないように予防します。すぐに病気を治すというより、健やかな体をじっくり芯から作っていくイメージです。 - 薬膳料理なんて家で作れるの?
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「薬膳料理」と言っても、漢方や生薬を使うものばかりではありません。お近くのスーパーで手に入る食材で作れるレシピもたくさんありますので、ご自宅でも気軽に作ることができます。
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