• 更新日:2023/07/06

国家資格である行政書士の資格があれば、副業として行政書士の仕事を始めることも可能です。ただし、資格を取得するには相応の勉強が必要であり、副業として取り組むうえでのポイントや注意点もあります。この記事では、副業として行政書士の仕事に取り組むために知っておきたいことについて解説します。ぜひ参考にしてください。

このページを簡潔にまとめると・・・

  • 行政書士の国家資格を取得すれば、行政書士として副業も可能。
  • 行政書士の副業のメリットは、専業に向けた基盤づくり、収入源が増える、定年退職後・生涯現役の準備になるなど。
  • 宅建業免許や飲食店営業許可の申請手続き、車庫証明業務などは副業でも取組みやすい。
  • 副業を始める上での留意点は、勤め先で副業が許可されているかの確認、時間の確保、行政書士で一般企業へ就労不可、副業でも責任を負う必要があるなど。

行政書士とは?

行政書士法により定められている国家資格です。行政書士は、主に行政に対して提出する書類の作成を担います。そのため、行政書士として働くには、行政や法律に関する深い知識が必要です。行政書士には、ほかにも許認可申請の代理申請や相談業務への対応が認められています。

副業で行政書士の仕事はできるのか?

会社員として雇用されている人でも、個人で行政書士の仕事をすることは可能です。ただし、都道府県の行政書士会に対して誓約書を提出しなければなりません。副業として取り組む場合、本業に取り組んでいない時間を使って行政書士の仕事をします。行政書士が扱える業務は幅広いですが、副業でも取り組める業務に絞って働くことになります。

行政書士の副業のメリット

行政書士の副業にはさまざまなメリットがあります。ここでは、行政書士の副業のメリットについて解説します。

専業で働くための準備ができる

将来的に行政書士の仕事を本業にしたいと考えていても、いま勤めている会社をいきなり辞めるのは不安が大きいです。しかし、まず副業として取り組み始めれば、本業の収入を得ながら行政書士として働くための準備ができます。本業と副業の両立は大変な部分もありますが、行政書士を目指している人にはおすすめです。

収入源を増やせる

本業で安定的な収入を得ながら、さらに副収入も得られるようになります。行政書士は専門的な書類を作成するスキルをもっているため、ニーズが高い仕事です。行政書士の仕事が軌道に乗れば、副業でも一定以上の収入を確保できる可能性があります。もちろん、最初から仕事がたくさん来るとは限らないため、時間をかけて実績を積む必要があります。

将来に備えられる

行政書士の資格をもっていれば、定年退職後の仕事を確保できます。生涯現役で収入源をもてるので、老後の資金不足に対する心配も軽減できます。定年退職するまでは副業で取り組んでおき、定年後に開業するのもひとつの方法です。

行政書士の副業のデメリット

行政書士の副業にはデメリットといえる部分もあります。ここでは、行政書士の副業のデメリットについて解説します。

安定的に仕事を確保するのは簡単ではない

行政書士の副業を始めても、実績がない最初のうちはなかなか仕事が来ない可能性が高いです。仮に新しく仕事を依頼されても、継続的に依頼してもらえるとは限りません。行政書士としてまとまった収入を得るためには、営業活動にも力を入れる必要があります。

平日の昼間に時間を取る必要がある

行政書士が行う許認可申請業務は、官公署が空いている平日の昼間に行わなければなりません。そのため、平日の昼間に時間が取れない人は、行政書士の仕事の幅を狭める必要があります。

行政書士は依頼主と顔をあわせて打ち合わせをしたり、必要な手続きを行ったりする場合もあります。依頼主のスケジュールにあわせられないと、相談を受けても仕事につながっていきません。

本業に支障がでるリスクがある

行政書士として受けている仕事によっては、本業のスケジュールを調整しなければならないケースもあります。その場合、本業の業務がおろそかになってしまう恐れもあるため、注意が必要です。また、副業は主に休日を使って行うため、副業にのめり込みすぎると休む暇がなくなり、本業でミスをする可能性もあります。

副業として取り組みやすい行政書士の業務・取り組むのが難しい業務

ここでは、副業として取り組みやすい行政書士の業務と、取り組むのが難しい業務について解説します。

副業として取り組みやすい業務

宅建業免許や飲食店営業許可の申請手続きは、行政書士が自ら依頼主のもとを訪ねれば対応できるケースがほとんどです。自分の都合にあわせたスケジュールを組みやすく、副業としても取り組みやすいです。また、車庫証明業務は必要な書類を郵送やネットでやり取りするだけで済みます。打ち合わせも必要ないため、本業以外の時間を使った対応が可能です。

副業として取り組むのが難しい業務

依頼主の来訪スケジュールにあわせられない場合には、副業として取り組むのが難しい可能性があります。また、それぞれの個別の状況にあわせて細かく調整しなければならない書類の作成は、手間がかかるため、副業として取り組むには不向きです。たとえば、内容証明の作成や離婚協議書などが該当します。

行政書士の副業が向いている人

行政書士の副業が向いているのは、平日の昼間に時間をとれる人です。事務処理能力が高く、依頼された書類を正確に作成できるスキルも求められます。また、顧客とやり取りするため、高いコミュニケーション能力や営業力をもっている必要があります。ゆくゆくは行政書士を本業にしたいと考えているなら、まずは副業として取り組むことがおすすめです。

行政書士の副業を始めるまでの流れ

ここでは、行政書士の副業を始めるまでの流れについて解説します。

試験に合格する

行政書士の資格を取得するには、行政書士試験を受験して合格する必要があります。試験内容は「法令等科目」と「一般知識等科目」にわかれていますが、特に法令等科目についての深い知識が必要です。

具体的には、行政書士の業務に関して必要な法令である、憲法、行政法、民法、商法や、基礎法学に関する問題が出題されます。行政法では、一般的な法理論をはじめとして、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法及び地方自治法を中心に出題されます。

なお、弁護士や公認会計士などの有資格者や、公務員として17年以上(中卒の場合は20年以上)の行政事務の経験がある人は、行政書士試験に改めて合格しなくても行政書士の資格取得が可能です。

行政書士名簿へ登録をする

行政書士試験に合格するだけでは、行政書士としての活動は行えません。合格後は所定の手続きを行い、行政書士名簿へ登録する必要があります。そのためにはまず、事務所を設けようとする都道府県の行政書士会への入会が必要です。副業として取り組む際は、誓約書の提出も忘れずに行いましょう。

集客する

行政書士としての仕事を獲得するためには、営業活動により集客する必要があります。たとえば、チラシやインターネットで広告を出したり、Webサイトを作ったりしながら少しずつ知名度を上げていきましょう。また、顧客に対するレスポンスを早くすることも、信頼を集めるための重要なポイントとなります。

行政書士の副業を始める際の注意点

ここでは、行政書士の副業を始める際の注意点について解説します。

勤め先で副業が認められているか確認する

行政書士の仕事自体は、副業として行っても問題はありません。ただし、本業の勤め先によっては、副業が禁止されているケースもあります。副業を始める前に、就業規則をよく確認しておきましょう。近年は、基本的には禁止にしているものの、条件を満たしている場合に限って副業を認めている企業もみられます。

業務に取り組む時間をしっかり確保する

行政書士の仕事のなかには、平日の昼間でなければ対応できないものもあります。副業として取り組むとなるとどうしても時間の融通が利きにくいため、あらかじめどのように時間を確保するか考えておきましょう。場合によっては、時間に関係なく行える業務に絞ることも検討してください。

一般企業へ行政書士として勤めることはできない

各都道府県の行政書士会は、行政書士として一般企業に雇われることを禁止しています。そのため、行政書士として仕事をするためには、自分自身が事業者にならなければなりません。行政書士として雇用されながらさらに副業に取り組みたいと考えている場合は、注意が必要です。

備品を用意する必要がある

行政書士として仕事に取り組むには、パソコンやデスクなどの備品を用意する必要があります。備品の準備にはそれほど大きなコストはかからないため、あらかじめきちんと用意しておきましょう。なお、パソコンやデスクは、もともと個人で使っていたものを活用しても構いません。

副業であっても責任をもつ必要がある

副業とはいえ、行政書士として仕事を請け負うからには大きな責任が発生します。官公署に提出する書類はいずれも顧客にとって重要なものなので、ミスは許されません。万が一、作成した書類に間違いがあれば、行政書士としての評判に影響する可能性が高いです。行政書士の副業を始めるなら、責任をもって取り組みましょう。

まとめ

行政書士の仕事は、副業として取り組むことも可能です。人によっては副業として取り組める範囲が狭い点に気をつけましょう。また、責任をもって取り組むことも求められます。

ユーキャンの行政書士講座なら、知識ゼロからでも始められる「入門テキスト」と「応用テキスト」が用意されています。WEBテストやスマホにも対応しているため、スキマ時間でも勉強しやすいです。しっかり知識を身につけて、行政書士試験の合格を目指しましょう。

この記事の監修者は海野 高弘(うみの たかひろ)

東京都出身 
東京都行政書士会文京支部理事
趣味は、資格試験短期合格法の研究、野球、釣り、旅(判例現場巡り&寅さんロケ地巡り)
2000年 行政書士試験受験、翌年合格
2004年 ユーキャン行政書士講座 講師
2012年 ユーキャン行政書士講座 主任講師
モットーは、「夢なき者に成功なし」「短期合格は第一歩がすべて」「法律は暗記ではなく思考力」

★ユーキャン行政書士講座 公式YouTubeチャンネル

よくある質問

行政書士は何ヵ月で取れる?

行政書士の試験対策に必要な学習期間は、1日の勉強時間を平均でどれほど確保できるかによって変わります。行政書士の合格に必要な学習時間は800時間ほどが目安といわれますが、その場合、1日当たり平均で2.5時間とすると約10ヵ月となります。1日当たり平均が4時間なら約7ヵ月、5時間なら約5ヵ月の学習期間となります。

行政書士の合格率は?

行政書士試験の合格率は例年10%前後を推移しています。難関資格のひとつに挙げられますが、社労士や税理士よりは目指しやすく、法律系の入門資格ともいわれています。

行政書士が独立開業するには?

独立・開業までの大まかな流れは、1.行政書士名簿に登録、2.事務所調査、3.開業届の提出となります。

講座との相性を確かめよう

講座との相性を確かめよう

行政書士講座があなたに向いているのか相性診断でチェック!
80%以上の相性なら今すぐ申し込みして、人気の専門資格を手に入れよう!

ユーキャンで目指せる国家資格の中で人気の「行政書士」。市民と官公署とをつなぐ法務と実務のスペシャリストです。
資格取得後は、法律関連の業務全般について、書類作成業務や官公署への書類提出手続き代理業務、契約書等代理作成業務など、気軽に市民の目線で相談できる「頼れる法律家」に。扱える書類は数千種類もあり、業務範囲の広い国家資格です。独立・開業して社会に役立つことはもちろん、企業への就職・転職にも有利になります! また近年は、行政書士法改正で「代理権」が付与され職域が拡大したこと、行政書士法人の設立が可能となる改正法の施行など、時代の流れはまさに追い風となっています。
国家資格の中では難関試験として知られている行政書士ですが、ユーキャンでは試験突破に向けて、仕事と両立しながら続けられるようにカリキュラムを工夫。まったく知識が無い方でも着実に資格取得までのプロセスを身につけることが可能な通信講座です!