• 更新日:2024/08/23

福祉住環境コーディネーターとは、介護・介助が必要な高齢者や障がい者の生活環境に対してアドバイスし、提案をする資格です。この記事では、福祉住環境コーディネーターの資格取得を目指している人に向けて、試験の概要や資格取得のメリットなどについて詳しく解説しています。キャリアアップを目指す際に役立ててください。

このページを簡潔にまとめると・・・

  • 福祉住環境コーディネーターの仕事内容は、住環境・福祉用具に関するアドバイスや、住宅改修費支給申請の理由書作成など。
  • 福祉住環境コーディネーターの資格取得のメリットは、「幅広い業界で活躍できる」「スキルアップを図れる」「介護や福祉の現場で役に立つ」など。
  • 3級、2級、1級の順に難易度が上がり、それぞれ出題範囲が異なる。

福祉住環境コーディネーターの仕事内容

福祉住環境コーディネーターの仕事にはどのようなものがあるのか、以下で解説します。

住宅改修など住環境に関するアドバイス

福祉住環境コーディネーターは、ケアマネジャーなどの専門家と連携をとりながら、高齢者や障がい者が安全に生活できる住環境を整えるためのアドバイスを行います。たとえば、玄関や廊下、室内への入口などの段差をフラットにしたり、廊下、トイレなどの壁に手すりを設置したりするなど、移動、立ち座りがしやすい環境を整えるための提案をします。

福祉用具に関するアドバイス

福祉住環境コーディネーターの仕事では、高齢者や障がい者の状態を把握したうえで、それぞれにあった福祉用具を選ぶこともあります。福祉用具の例としては、車椅子や歩行補助づえ、手すり、スロープ、介護用ベッド、床ずれ防止用具、移動用リフト、自動排せつ処理装置、認知症高齢者徘徊感知機器などが挙げられます。

住宅改修費支給申請の理由書作成

住宅改修費支給申請制度とは、バリアフリーにするための改修工事にかかった費用の一部を自治体に負担してもらえる制度のことです。改修工事実施前に理由書等を自治体に提出して受理され、審査に通れば、改修費の一部を支給してもらえます。

対象者は要支援、要介護認定を受けた人で、支給額は支給限度基準額の9割(18万円)が上限となっています。対象となる住宅改修の種類は、手すりの取り付け、段差の解消、扉や便器の取り換えなどです。なお、理由書の作成には、福祉住環境コーディネーター2級以上の資格が必要です。

福祉住環境コーディネーターになるには

福祉住環境コーディネーターの資格を取得する方法や資格取得に役立つことについて、以下で解説します。

仕事として活かすには2級以上を取得する

福祉住環境コーディネーターになるためには、福祉住環境コーディネーターの検定試験に合格し、資格を取得する必要があります。福祉住環境コーディネーターの検定試験は、3級から1級までの3つのレベルに分類されます。実際の現場で資格を活かしたい場合は、2級以上の取得を目指しましょう。2級以上の資格があれば、就職や転職時に強みとして活かせます。

福祉・介護関連の学校で学ぶ

福祉や介護の専門知識を身につけられる大学、短大、専門学校などで学ぶのもいいでしょう。福祉住環境コーディネーターの資格取得に必要な基礎知識はもちろん、福祉・介護業界や実際の現場を熟知している講師らから、現場の雰囲気や情報などを得ることも可能です。リアルな現場の情報を得られるため、働く際のイメージをつかみやすくなります。

コミュニケーションスキルを高める

福祉住環境コーディネーターの仕事は、高いコミュニケーションスキルが求められます。高齢者や障がい者、利用者の家族、ケアマネジャーなどの専門家とのやり取りが多いため、コミュニケーションスキルが高いほど、仕事を円滑に進められます。たとえば、利用者やその家族からの要望をヒアリングし、正確に把握する際に高いコミュニケーションスキルが必要です。

福祉住環境コーディネーターの資格を取得するメリット

福祉住環境コーディネーターの資格を取得した場合、以下のようなメリットがあります。

さまざまな業界で活躍できる

福祉住環境コーディネーターの資格があれば、福祉・介護業界だけでなく医療や建築などの幅広い業界に就職、転職できます。たとえば、介護施設や福祉用具を扱う会社、病院などの医療機関、保健所、リハビリテーションセンター、介護施設の建設工事を行う会社、バリアフリーなどの改修工事などを行うハウスメーカー、工務店などです。また、自治体の相談窓口での活躍の場もあります。

スキルアップを図れる

福祉住環境コーディネーターは、福祉・介護、医療、建築などの業界で活躍できるため、それぞれの専門知識を身につけておくことで、スキルアップを図れます。就職や転職をした業界の知識だけでなく、福祉・介護、医療、建築の総合的な専門知識を身につけられれば、顧客や職場の信頼を得やすくなるでしょう。

介護や福祉の現場で役に立つ

福祉住環境コーディネーターの資格を取得するまでに身につけた知識を現場で活かすことで、利用者や家族が言語化できない潜在ニーズをくみ取りやすくなります。結果的に、利用者や家族の満足度を高めることも可能です。

利用者やその家族が安心できる住環境に改善できる

福祉住環境コーディネーターとは、利用者の住環境の現状を的確に把握したうえで、問題点を整理し具体的な改善策を提案できる人材のことです。バリアフリーなどを考慮した住環境のコーディネートにより、利用者が段差のある場所で転倒するリスクなどを減らせます。さらに、介護や介助をする家族にとっても安心して暮らせる住環境を整備できます。

福祉住環境コーディネーター資格の概要

福祉住環境コーディネーターの検定試験の概要などについて、以下で詳しく解説します。

福祉住環境コーディネーターはどんな資格?

福祉住環境コーディネーターの資格を取得すると、福祉・介護業界だけでなく、医療や建築などの幅広い業界で活躍できるようになります。東京商工会議所の検定試験情報によると、受験者の傾向として、福祉用具専門相談員や介護福祉士などの福祉・介護業界の有資格者が多いです。

ほかにも、看護師や宅地建物取引士、一級建築士などの医療業界や建築業界の有資格者をはじめ、幅広い業界から受験者が集まっていることがわかります。

福祉住環境コーディネーター試験の概要


福祉住環境コーディネーター2・3級

福祉住環境コーディネーターは、日本国内に居住している人であれば、年齢や国籍、学歴などに関係なく受験できます。検定試験は年2回開催されており、自宅のパソコンで受験できるIBT方式が採用されています。合格には、100点満点中70点以上の得点が必要です。受験料は2級が7,700円(税込)で、3級は5,500円(税込)です。


福祉住環境コーディネーター1級

1級検定試験の申込登録時に2級の証書番号が必要なため、事前に2級を取得していなければなりません。検定試験は年1回開催され、前半と後半に分けて行われます。前半は、マークシート方式で行われ、後半は記述式で実施されます。1級に合格するには、100点満点中70点以上の得点が必要です。受験料は12,100円(税込)です。

福祉住環境コーディネーター試験の流れ

福祉住環境コーディネーター試験は、2021年度より、インターネット経由の試験(IBT)に変更となりました。試験会場ではなく、自宅・会社等などで、自分のパソコンから受験可能となります。試験期間内であれば、自由に受験日を選べます。使用できる機器や受験環境に制限があるため、確認しておきましょう。

受験申込・受験サイトである「Excert」にアカウント登録を行い、登録情報の入力と受験料の支払いを行います。受験日当日、受験サイト「Excert」にログインし、受験する検定・級を選択することで、受験できます。試験終了後すぐに、試験結果画面にて合否の確認ができます。成績レポートが、後日掲載され、ダウンロードできることとなります。希望者のみ、合格証の購入が可能です。

福祉住環境コーディネーター試験の出題範囲について

福祉住環境コーディネーター3級

3級の検定試験は、3級の福祉住環境コーディネーター検定試験(R)公式テキスト(改訂6版)に掲載されている知識と応用力が問われるほか、別途で発表される追補資料の内容からも出題されます。たとえば、少子高齢社会と共生社会への道、バリアフリーとユニバーサルデザインを考えるなど、12の項目が挙げられています。試験形式は多肢選択式で実施され、制限時間は90分です。

福祉住環境コーディネーター2級

2級の検定試験では、福祉住環境コーディネーター検定試験(R)公式テキスト(改訂6版)の2級に該当する知識や応用力に加えて、3級の試験範囲を含む内容が出題されます。2級は、高齢者・障がい者を取り巻く社会状況と住環境、福祉住環境整備の実践に必要な基礎知識など、17項目が試験範囲に指定されています。試験形式は3級と同様に多肢選択式で、制限時間は90分です。

福祉住環境コーディネーター1級

1級の検定試験では、2・3級の試験範囲に加え、1級の福祉住環境コーディネーター検定試験(R)公式テキスト(改訂6版)に準拠して出題されます。なかでも、法令制度に関する設問の出題傾向が高いため、最新情報を把握しておかなければなりません。なお、試験形式は、前半がマークシート式試験で、後半は記述式試験となっており、それぞれ2時間ずつ実施されます。

福祉住環境コーディネーター検定試験の合格率と難易度

福祉住環境コーディネーター検定試験の合格率

東京商工会議所の検定試験情報によると、2023年度の福祉住環境コーディネーター検定試験の合格率(年度合計)は、1級が14.5%、2級は38.1%、3級が40.9%となっています。2022年度の合格率(年度合計)は、1級が5.6%、2級は37.0%、3級が38.9%でした。1級の合格率は、2・3級よりも低いことがわかります。

福祉住環境コーディネーター検定試験の難易度

2023年度、2022年度の合格率からわかるとおり、3級、2級、1級の順に難易度が上がっていきます。3級に合格するには、公式テキストを中心とした試験勉強が必要です。2級の合格を目指す場合は、3級の試験範囲と2級の出題内容という広範囲をカバーする学習計画を立てることが大切です。1級は、2、3級の知識に加えて記述試験があるため、出題内容に関する深い理解力が求められます。

福祉住環境コーディネーターのやりがい・将来性

福祉住環境コーディネーターの資格を取得した場合のやりがいや将来性について、以下で解説します。

福祉住環境コーディネーターのやりがい

福祉住環境コーディネーターは、現場で把握した利用者ごとの現状や身につけた住環境の改善に必要な建築技術などを、福祉・介護利用者が抱える住環境の悩みを解消する際に役立てられます。さらに、利用者や家族から感謝してもらったときに、自らの提案で利用者の住環境を大きく改善できたことにやりがいを感じられます。

福祉住環境コーディネーターの将来性

令和6年版高齢社会白書によると、2023年10月1日現在、総人口1億2,435万人のうち高齢者が占める割合は29.1%(3,623万人)でした。2070年の将来推計では、38.7%に増加すると予測されています。高齢者の増加と共に住環境整備の需要が増えていくと思われることから、福祉住環境コーディネーターのニーズはますます高まっていくことでしょう。

まとめ

福祉住環境コーディネーターは、高齢者や障がい者が安全に生活できる住環境を提案できる資格です。1級の受験資格を得るためには、2級の合格が必須です。まずは、ユーキャンの講座で2、3級の取得を目指しましょう。



ユーキャンの「福祉住環境コーディネーター講座」は、2023年9月時点の受講生の累計が87,000人以上と、人気の高い講座です。イラストや図解が豊富でわかりやすいテキストを使用しており、初めてでも福祉住環境コーディネーター3級・2級の合格力が6ヵ月で身につけられます。また、直近試験の対策や福祉住環境に関するニュース、受講生向け学習サポートで、試験突破に役立つ情報を受け取れます。資格取得を目指す人は、ぜひご利用ください。

生涯学習のユーキャン
この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。

よくある質問

福祉住環境コーディネーターは独学で合格できる?

福祉住環境コーディネーター試験は独学でも合格可能です。ただし、モチベーションの維持が難しいといったデメリットもあるため、独学で続けられるか不安な方には、通信講座がおすすめです。

福祉住環境コーディネーターの合格点は?

福祉住環境コーディネーター試験の合格基準は100点満点中70点なので、満点を目指す必要はありません。

福祉住環境コーディネーターの受験資格は?

福祉住環境コーディネーターは受験資格が一切不要です。実務経験も不要なので、他の福祉系資格よりチャレンジしやすく、狙い目の有望資格です。

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福祉社会の意識が高まる中、高齢化社会の住まいのアドバイザーとして、福祉関連の住宅に関するスペシャリストとして重宝される福祉住環境コーディネーター。高齢者や体の不自由な方が「安全で安心して暮らせる住まい」を提案・サポートします。
資格取得後は、介護関係の職場で働く方のスキルアップや就職・転職で役立つほか、バリアフリー住宅を扱う工務店やリフォーム会社、福祉用具メーカー、福祉用具の販売・レンタル会社など、幅広く活躍が期待できます!
また、身につけた知識は家族の将来に備えた住宅リフォームやボランティアなど、自身や家族の暮らしに活かすことも可能です。
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