宅建士とは宅地建物取引士の略称で、不動産取引の専門家であることを証明する資格です。所定の条件に該当する場合、試験に合格した後に登録実務講習を受ける必要があります。この記事では、宅建士の登録実務講習について詳しく解説します。講習内容や申込方法なども解説するため、ぜひ参考にしてください。

宅建には登録実務講習がある

宅建士に合格した後、登録実務講習を受けなければならないケースがあります。この項目では、宅建士合格後にすべきこと、登録実務講習の概要などを解説します。

  • 宅建士登録には2年以上の実務経験、または登録実務講習の修了のどちらかが必要
  • 登録実務講習とは、宅建士登録の条件を満たすために実施される

宅建士試験に合格した後の流れ

宅建士試験に合格した直後から、宅建士として働けるかというとそうではありません。宅建士試験に合格して宅建士として業務にあたるには、以下のプロセスを経る必要があります。


  • 1.宅建士試験に合格
  • 2.宅建士登録申請、登録完了
  • 3.宅建士証交付申請、宅建士証交付

宅建士登録には条件があり、2年以上の実務経験、または登録実務講習の修了のどちらかを満たさなければなりません。そのため、実務経験2年未満の場合には、宅建士試験に合格した後に登録実務講習を受ける必要があります。該当の条件を満たしたうえで、資格登録申請を行うことで資格登録が完了です。

また、宅建士に合格してから1年超の場合には法定講習の受講が必要です。1年以内または法定講習の受講が完了した後は、宅建士交付申請をして宅建士証交付となります。


登録実務講習とは何か

登録実務講習とは、宅建士試験の合格者の一部を対象とした講習です。前述したとおり、宅建士登録申請を行うには、2年以上に実務経験または登録実務講習の修了が条件となります。資格登録は任意のため、必ずしも行うものではありません。しかし、宅建士として業務を行うには、宅建士登録をして宅建士証を交付してもらう必要があります。

そのため、実務経験が2年未満の合格者が宅建士として働く場合には、登録実務講習の受講が必要です。登録実務講習は、通信講座・スクーリング・修了試験の流れで行われます。詳しい内容については後述するため、そちらを参考にしてください。

実務経験とは何か

宅建士に合格した際に2年以上の実務経験があれば、登録実務講習を受ける必要がありません。しかし、そもそも実務経験とは何なのでしょうか。不動産取引の実務経験とは主に以下のようなものが挙げられます。

  • 顧客への説明
  • 物件の調査など
宅地建物の取引に関する業務に従事していた場合には、実務経験があると判断されます。ただし、宅建業者に勤務していても経理や総務といった一般管理業務しかしていない、補助的な事務として働いているなどの場合は実務経験とはみなされません。


宅建の登録実務講習の流れを解説

宅建の登録実務講習ではどのようなことを行うのでしょうか。ここでは、登録実務講習の大まかな流れを解説します。

  • 最初に行う通信講座は、郵送される教材を使い、約1ヵ月程度取り組む
  • スクーリング(対面講義)は、会場に行き1~2日程度の講義に参加する
  • スクーリングの最後には、修了試験が実施され、合格することで登録実務講習修了証が発行される

流れ1:通信講座

まずは、通信講座からスタートします。宅建の登録実務講習に申込むと、教材が送られてくるため、それを用いて学習に取り組みましょう。申込み手続きは、オンラインや郵送などとなっており、実施期間によって変わります。教材の内容も実施期間によって異なりますが、例としては以下のとおりです。

  • テキスト
  • 問題集
  • DVDなどの動画教材
学習内容は38時間相当、学習期間は約1ヵ月程度となります。通信講座で解いた問題を提出しなければいけない決まりはなく、自分のペースで学習を進めることが可能です。たとえば、平日は仕事をして休日にまとめて学習するということもできるため、仕事や家庭との両立もしやすいでしょう。


流れ2:スクーリング

スクーリングとは、対面講義のことです。会場まで足を運んで1~2日程度の対面講義に参加することになります。スクーリングで受講する講義は合計12時間です。1日コースの場合は朝から夜まで、2日コースの場合は朝から夕方までというように、スケジュールが組まれているため、自分が受けやすいコースを選びましょう。

実施場所や日程は自分で選ぶことができます。ただし、実施場所に関しては都市部が多く地方の会場は少なくなっています。そのため、実施期間を選択する際にはスクーリングの会場がどこにあるかなど、しっかり確認しておくといいでしょう。

また、スクーリングは途中入室や途中退室が認められません。遅刻や早退をすると修了試験の受験ができなくなるため、注意しましょう。

流れ3:修了試験

修了試験はスクーリングの最後に行われる試験です。詳しい試験内容や試験時間は以下のとおりです。

  • 試験時間:1時間
  • 試験内容:通信講座、スクーリングの学習範囲から問題が出題される
  • 出題形式:マルバツ式、記述式
  • 合格基準:8割以上で合格
修了試験の際には、資料やテキストなどの持ち込みが認められています。そのため、スクーリングの講習で重要な部分にマークをするなどしておくと、修了試験をスムーズに進めやすくなるでしょう。

基本的には、通信講座やスクーリングをしっかり受講していれば、合格できる内容となっています。修了試験に合格すると、登録実務講習修了証が発行されます。修了証は登録申請の際に使用するため、なくさないように保管しておきましょう。


登録実務講習の内容とは

登録実務講習では、実際にどのような内容を学習するのでしょうか。ここでは、通信講座とスクーリングの具体的な内容を解説します。

  • 「宅地建物取引士制度に関する科目」より2種類
  • 「宅地又は建物の取引実務に関する科目」より9種類

通信講座の内容

通信講座の学習科目は、「宅地建物取引士制度に関する科目」と「宅地又は建物の取引実務に関する科目」の2科目に分けられています。


宅地建物取引士制度に関する科目

  • 宅地建物取引士制度の概要
  • 宅地建物取引士の役割および義務

宅地又は建物の取引実務に関する科目

  • 受付、物件調査及び価格査定の実務に関する事項
  • 媒介契約に関する事項
  • 宅地又は建物の取引に係る広告に関する事項
  • 宅地又は建物の取引条件の交渉に関する事項
  • 宅地建物取引業法第35条第1項及び第2項の書面の作成に関する事項
  • 宅地又は建物の取引に係る契約の締結に関する事項
  • 宅地又は建物の取引に係る契約の履行に関する事項
  • 宅地又は建物の取引に係る資金計画及び税務に関する事項
  • 紛争の防止に関する事項
このように、宅建士の業務を行う際に必要となる基礎的な知識を学習します。


スクーリングの内容

スクーリングでは、取引実務に関する科目を学習します。具体的な学習内容は以下のとおりです。

  • 取引の目的となる宅地又は建物の調査手法に関する事項
  • 地建物取引業法第35条第1項及び第2項に規定する説明の実施に関する事項
  • 宅地又は建物の取引に係る標準的な契約書の作成に関する事項
このように、不動産取引の際に必要となる調査、重要事項説明や契約書の作成方法というように、より実務的な部分を中心に学習します。宅建士の実務について、講師が対面で講義してくれるため理解が深まるでしょう。


登録実務研修の受験機関

登録実務講習を受けられる受験機関は、国土交通省により指定されています。受験機関については国土交通省のホームページで「登録実務講習実施機関一覧」として公開されています。事前に確認しておくといいでしょう。登録実務研修の受験機関としては、資格取得支援予備校などがあります。
実施機関によって、日程やスクーリングの会場などは異なります。そのため、自分の住んでいる地域にスクーリングの会場があるかどうか、無理なく受けられる日程かどうかなどを国土交通省のホームページで確認して、自分に合った実施機関を選ぶといいでしょう。

登録実務講習の申込方法とは

登録実務講習の申込方法は、実施機関によって異なります。一般的には、Webからのオンライン申込み、実施機関の窓口での受付、郵送申込みなどが多いでしょう。登録実務講習の受講には費用がかかりますが、支払い方法も実施機関によって異なり、現金や銀行振込、クレジットカードなどさまざまです。

宅建には登録講習と法定講習がある

宅建には、登録実務講習以外にも「登録講習」と「法定講習」という講習があります。ここでは、登録講習と法定講習について解説します。

  • 登録講習は、宅建試験の前に受講する講習
  • 受講するには宅建業従業者証明書が求められる
  • 法定講習は、宅建士証の交付申請や更新に関する講習
  • 交付時と申請時によって受講の必要性が異なる

登録講習とは何か

登録講習とは、宅建士試験の前に受講する講習です。登録講習は、通称「5点免除(5問免除)」制度を利用するために受講する講習となっています。5点免除制度とは、本試験全50問のうち5問(46~50問目)が免除されるという制度です。合格ラインが5点分低くなるため合格しやすくなりますが、試験時間は10分短縮されます。

登録講習を受講するには、宅建業従業者証明書が必要です。宅建業従業者証明書とは宅建業に従事していることを証明するためのもので、勤務先の事業者によって発行されます。登録講習は宅建業に従事している人を対象としているため、宅建業に関わっていない場合は利用できません。勤務形態は問わないため、パートなどでも宅建業従業者証明書は発行されます。

法定講習とは何か

法定講習とは、宅建士証の交付申請や更新に関する講習です。たとえば、宅建士証の交付申請を行う際や宅建士証の更新を行う場合に、法定講習を受けなければならない場合があります。

まず、宅建士証の交付申請の場合です。宅建合格から1年超で宅建士証の交付申請を行う場合には、法定講習を受講します。ただし、宅建試験合格から1年以内の宅建士証の交付申請を行う場合には、受講は不要です。

次に宅建士証の更新の場合です。宅建士として働くには、5年ごとに宅建士証の更新しなければなりません。宅建士証の更新時には、法定講習を受講します。法定講習は、各都道府県が指定する法定講習実施団体により開催されています。

宅建の登録実務講習に関するよくあるQ&A

ここでは、宅建の登録実務講習に関してよくある質問とその回答を紹介します。

受験場所はどこですか?

試験は全国各地で行われています。受験機関によって受験会場は異なるため、あらかじめホームページなどで確認しておくといいでしょう。実施機関の一覧は国土交通省のホームページから確認できます。

受験時期はいつですか?

登録実務講習は1年中行われています。実施機関によってスケジュールは異なるため、事前にホームページなどで確認しておきましょう。忙しくて都合がつかないという場合は、実施回数が多いところを選ぶなど工夫します。

登録実務講習の費用はいくらですか?

登録実務講習には費用がかかりますが、実施機関によって異なります。相場としては、20,000円程度でしょう。なかには、10,000円以下という実施機関もあるため、予算やスケジュール、会場などを比較して自分に合った実施機関を選びましょう。

修了試験の合格率はどれくらいですか?

修了試験の難易度は低めです。修了試験は資料などを持ち込めるため、わからないところがあれば確認しながら解答できます。そのため、宅建士試験の合格率と比較すると修了試験の方が合格率は高いです。

実施機関による違いはありますか?

学習内容は、実施機関による違いはなくほとんど同じです。ただし、スクーリングの実施期間は異なります。一般的には2日で実施する機関が多いですが、1日で終わらせるケースもあります。登録実務講習修了証の送付時期は講習修了後約2週間が目安となりますが、即日発行に対応している機関もあります。

受講しないとどうなりますか?

登録実務講習は受講しなくても構いませんが、2年以上の実務経験がない場合は資格登録ができません。そのため、宅建士証が必要ない場合には受講しなくても問題ないでしょう。宅建士証が仕事で必要になった際に、宅建士証を取得することもできます。

まとめ

宅建の登録実務講習とは、宅建士登録や宅建士証の交付申請の際に必要となる講習です。2年以上の実務経験がない場合には、宅建試験合格後に登録実務講習を受ける必要があります。登録実務講習は実施機関によってスケジュールや会場が異なるため、会場が近くになるかなどを確認して実施機関を選ぶといいでしょう。

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この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。

よくある質問

宅建士と行政書士では、どちらが難しいですか?

一般的には、宅建士試験に比べて行政書士試験の方が難しいとされています。近年の合格率では、行政書士が10~15%、宅建士が合格率は15~17%と、宅建士のほうが合格しやすい試験といえます。

宅建試験は独学でも目指せますか?

独学で宅建試験の合格を目指すことは可能ですが、出題範囲が広いため、学習方法に工夫が必要です。
効率的な対策には、優先順位をつけ、配点・出題数が多い科目を優先的に学習します。特に出題範囲も広く配点も多い「宅建業法」を優先して取り組み、十分に対策することがポイントです。
勉強の進め方は、参考書を読み全体を把握し、試験に出題される4科目の特徴を理解します。過去問対策や模試の活用も重要です。

宅建試験の5点免除とは?

宅建試験の5点免除とは、50問ある試験問題のうち46~50問目が免除になる制度です。
この制度の利用には、国土交通大臣が指定する講習を受講し「登録講習修了者証明書」の交付を受ける必要があります。登録講習の受講には「宅地建物取引業に就いている」「従業者証明書を持っている」の2つの条件があります。
合格率は一般受験が約15%前後、5点免除が約20%前後と、5点免除の方が合格率が高く、本試験に合格できる可能性が高まります。宅建の本試験は合格基準点に1~2点の不足で不合格になるケースがよくあるので、5点免除には大きなメリットがあるといえます。

試験で間違えやすい、35条書面・37条書面の有効な対策方法とは?

宅建試験では宅建業法が大きな得点源で、50問中20問も出題されますが、中でも、特に35条書面・37条書面の違いは間違えやすい要素の1つで、よく出題される傾向があります。
35条書面・37条書面の違いを理解し、確実に得点できることがポイントです。対策は、条文を単に暗記するのではなく、共通点や違いなどを分類・比較したり、実際の仕事の場面をイメージして学習することが有効です。

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