教育にAIを導入する影響は?メリット・デメリット・成功事例を紹介

  • 公開日:2024.03.05

    更新日:2024.03.05

    教育機関でのAI導入例は急速に増加しており、効率的な教育を進めるだけでなく、現場で働く教員の負担軽減にもAIが役立っています。本記事ではAIとは何か、今後の雇用に影響はあるのか、実際に教育現場で活用されている事例などをまとめました。AIに強い人材教育をお考えのご担当者様は、ぜひ本記事でAIの活用について理解を深めてください。

もそもAIとは何か?

AIは「Artificial Intelligence(アーティフィシャル インテリジェンス)」の略称で、人工知能を意味します。AIという呼び方に馴染みが薄くても、スマートスピーカーやお掃除ロボットなどは利用したことのある方は多いでしょう。人間の言葉を聞き取ったり、汚れている箇所を自ら判断して掃除したりする機能も、AIによるものです。日常生活のあらゆる場面にAIは活用されており、今後はますます身近で欠かせない存在になっていくでしょう。
※ 関連リンク: AI(人工知能)とは? 定義や学習する仕組み、活用事例も紹介

AIが今後の雇用に与える影響とは

AIの進歩は急速に進んでおり、一部の業界・業種では人がいらなくなるともいわれるほどになっています。しかし今すぐにAIが人間に代わって仕事をすることは考えにくく、ルーティンワークや一部の事務作業などを任せるのが限界です。 今後のAI技術の進歩にもよりますが、各業界における専門性の高い人材が求められるようになると予想されています。 「AIで雇用がなくなる」という言葉に惑わされず、自分の専門性やスキルを磨いていくことが今後も大切な点は変わりません。

AIが現在できること

AIは自動で物事を判断しているように思えますが、実際にはプログラミングされた思考ルーティンに基づき、多くの知識を集約して学習・判断しています。現在のAIにできることは主に4つの領域に分かれています。

AIの4つの領域とは

AIにできる4つの領域とは以下のものです。

・画像の分類(画像認識、人物・表情認識、文字認識)
・音声認識・音の分離
・テキスト分類(誤字・脱字のチェック、迷惑メールの振り分け)
・行動の分類(購買リコメンド、ゲームAI)

上記4つの分類は単独で機能するAIもあれば、自動運転のように画像の分類と音声認識を組み合わせるものもあります。それぞれの領域について解説すると、画像分類は過去に蓄積した数万以上の画像データを基に、AIが画像に写っているものを判断するものです。代表的な活用シーンは、工場の生産ラインで製品の仕分け、不良品の判別、数量のカウントなどが挙げられます。音声認識・音の分離では、会議やインタビューで人が発する言葉を認識し、文字として変換する文字起こしツールが代表的です。音声認識を利用すれば、1時間の音声でも10分程度で文字に変換できるため、作業効率が大幅に向上します。ただし現状では文字変換の精度の甘さも目立つため、人間によるチェックが欠かせない点が難点です。テキスト分類は複数の書籍やサイトの情報を基に、文章やトピックを分類するAIです。ChatGPTを含めた文字生成AIもテキスト分類の一種になり、年々情報精度と文章作成能力が高まっています。最後の行動の分類は、カメラで人の行動を分析し、不審な行動や購買行動、効率的な作業ができているかなどを判断するものです。行動分類のAIはマーケティングに活用されているほか、ゲームでは人間と競わせることで行動の最適化につなげることもあります。

AIの活躍が期待されている業界

Iの活用事例は一次産業から三次産業まで、幅広い分野に広がっています。その中でも、 今後の活躍が期待されているのが教育の業界です。日本における教育は1クラス30~40人での集合型で、教育内容もテストも統一されてきました。しかしAIを活用すれば生徒の個性や能力、学び方に合わせた学習方法がわかりやすくなり、教育方法も最適化できると考えられています。経済産業省もAIに着目し、EdTech研究会と連携し、未来の教室として提言を行っています。

教育にAIを導入するメリット

教育にAIを導入することでどのようなメリットがあるのか、5つのポイントをご紹介します。

・授業にAIを導入するメリット
・語学教育にAIを導入するメリット
・採点業務にAIを導入するメリット
・授業の改善や教材の評価が可能
・教育コストを軽減

授業にAIを導入するメリット

授業にAIを導入することで、次のメリットがあります。

・個々の生徒のレベルに合わせて授業ができる
・授業のわからない点が明確にしやすい
・最適な学び方を提案できる

上記のメリットに加えて、教師は生徒の状況をリアルタイムに把握しやすく、生徒が今わからないポイントをアドバイスできます。従来のように一人の教員で数十人の生徒を見て、全員の理解度や進捗状況を判断するのは困難です。しかしAIを導入することで生徒の理解度や進捗が可視化できれば、一人の教師でも生徒全員の状況を把握しやすくなります。生徒にとっては授業を理解しやすくなり、教師にとっては授業の進行で頭を悩ませることが少なくなるでしょう。

語学教育にAIを導入するメリット

語学教育にAIを導入することで、以下のメリットがあります。

・正しい日本語が学べる
・自動で応答するAIで英語力が向上する
・教育の地域差がなくなる

AIは人類の知識を集約するものであり、日本語の正しい文法や用途も知識として学んでいます。国語教育でもAIを活用すれば、国語力の向上が期待できます。また、AIはGoogleを含めたアメリカのIT企業が本場であり、英語にも広く対応している点も教育におけるメリットです。英語教育ではAIが英語で応対し、自然と英語力が身に付けられます。そして、 最も大きいメリットが教育の地域差がなくなる点です。地方と都市部では教育レベルに差が出やすいですが、AIは場所を問わず導入できるため、その地域格差を埋めてくれるツールになると期待されています。

採点業務にAIを導入するメリット

テストの問題は選択式・記述式が基本で、教員は採点業務に多くの時間を割いています。採点業務をAIに任せられれば、教員は他の業務を行うことができます。

例えばAIに正解の要点、部分店の基準などを覚え込ませ、記述式問題の採点をさせる方法です。記述式問題は生徒によって回答のニュアンスが異なり、採点において時間のかかる作業です。そのためAIが採点業務のアシストもできるようになれば、人員不足の教育現場で大幅な負担軽減になります。AIの判断能力や精度が今後も向上すれば、採点業務を全面的に任せることも可能になるでしょう。

授業の改善や教材の評価が可能

AI技術の画像認識を利用すれば、生徒の表情や授業態度から集中の状態も測定できます。教室内で生徒の様子をモニタリングするカメラを設置し、理解できていない生徒、集中できていない生徒を教員に知らせることもできます。またAIが教員の授業内容と生徒の様子から、授業の改善点を提案することも可能になるでしょう。

従来のアンケート形式の満足度調査ではなく、その場でリアルタイムに全体を観察できるからこそ客観的な評価ができます。ベテラン教員の授業から優れたスキルやノウハウを吸収し、若手教員の実力をボトムアップする活用方法もあります。

教育コストを軽減

Iは一度導入してしまえば、メンテナンスコストを含めても低コストで運用できます。人間が教える場合、教員が残業をして採点やテストの準備・会議などを行うため、多くの人件費が発生します。一方でAIなら24時間いつでも稼働し、低コストで高水準の教育を提供可能です。人間が全面的に行うよりも、AIに任せられる部分を任せ、分業制にすればコストパフォーマンスが高くなります。

教育にAIを導入するデメリット

教育にAIを導入することで考えられるデメリットには、以下の5つがあります。

・教師ごとのデータの収集が必要
・思考プロセスが不明確
・生徒の意識を変えるのが難しい
・教員の責任の範囲が曖昧
・教員の雇用減少につながる

教員ごとのデータの収集が必要

AIを教育に導入する場合、まずは各教員のデータ収集が必須です。テストの採点や教え方の傾向など、実際にデータを蓄積することで、より精度の高い分析が可能になります。データが少なければAIの活用も上手く進まず、思うような効果が得られません。そのため、まずは教師の授業データやテストの傾向、採点方法などを一つひとつAIに蓄積していくことが重要です。

思考プロセスが不明確

AIは活用できれば便利ですが、その思考プロセスには不明確な部分も多いです。例えば人間の判断基準では正しいことでも、AIの判断では誤りとされることもあります。AIの思考プロセスが不明確なまま採点業務を任せると、生徒への評価が不当になる可能性もあります。そのため AIに業務を任せる前に、AIがどのような思考プロセスを辿っているか理解し、任せられる部分と人間がすべき部分を線引きしましょう。 AIを開発した企業によっても思考プロセスは変わるため、別のAIを導入したり、アップデートしたりする度に思考プロセスを分析する必要があります。

生徒の意識を変えるのが難しい

教員は生徒への授業を行う際、授業に集中できるように刺激したり、問題を解くためのヒントを与えたりして、生徒の学ぶ力・考える力を引き出します。しかしAIは決められた内容に対する返答、問題の正誤だけを伝えるため、生徒の意識や考え方を変えるのには不向きです。生徒の意識を変えるには能動的な学習が必要であり、AIには人間の意識を変えることまではできません。そのため生徒の学習意欲が低下していると感じた時は、教員側から生徒にアプローチしていく必要があります。

教員の責任の範囲が曖昧

AIを教育現場で活用した結果、AIによって発生したトラブルの責任が誰にあるのかわからなくなる点もデメリットです。AIでトラブルが発生した場合、AI任せにした教員、AI活用の指示を出した学校、AIの開発元など、どこに責任の所在があるのか不明確になりやすいです。あらかじめトラブル対処法をマニュアル化しておくことで、組織として責任の所在を明確にしておくことで無用な混乱を防げます。

教員の雇用減少につながる

AIを学校で利用すると、教員の仕事を大幅に効率化できます。しかし教員の負担が減少する反面で、AIで代用できるなら人員を削減してもよいと考える学校が出てもおかしくありません。従来は教員の確保や、臨時採用で補っていた分をAIに任せられるなら、教員の雇用が減少する可能性もあるでしょう。そのため今後は教員志望者が結果的に減少し、現在働いている教員の負担が増すことも考えられます。AIと差別化するためには、教員もAIに関する十分な知識を持っておくことが鍵になります。

教育現場におけるAI導入の成功事例

記述式問題の自動採点

大手予備校A社では、現代文の記述式問題を自動採点するIを導入しました。革新知能統合研究センターと自然言語理解チームとも共同研究を進めており、研究用の資料を大手予備校が提供する形です。記述式問題は生徒の思考力、表現力が試されることから、教員や講師にとっても採点に時間のかかるという課題がありました。AI技術の進歩によって自動採点技術が発達し、大学入試対策の問題を9回分、AIに学習させることに成功しています。このAIによって生徒が自宅でも効率的に学習できるようになり、長期休暇での学習や補助教材として効果を発揮しています。

生徒の苦手分野の解析システム

学習塾を運営するB社では、数学の授業にatama plus株式会社のatama+を導入しました。atama+は生徒にタブレットで問題を解いてもらい、その正解・不正解の傾向から生徒それぞれの苦手分野を解析してくれるAIです。

AIがリアルタイムで正解・不正解を判断しつつ、苦手分野が解析されるため、つまづいている問題をすぐに講師に質問できる点が大きなメリットです。またatama+にはコーチング機能も備わっており、生徒の状態をリアルタイムで把握し、講師とのコミュニケーションにつなげることもできます。苦手分野の克服はもちろん、生徒と講師のコミュニケーションが活発になることで、成績の向上にも貢献しています。atama+はB社以外にも、多くの学習塾や予備校が導入しています。

AIで英会話のレベルを評価

大手英会話学校運営会社Cと、大手国内通信会社Dの総合研究所では、英会話をAIで判定するシステムを開発しています。このAIではスマートスピーカーのアレクサを活用し、アレクサに向けて英語を話すとAIが発音の正確性、イントネーション、リズムなどを判定可能です。全国各地で英会話学校を運営しているC社は、膨大な英語教材と生徒の音声データを保有していることから、データ精度の向上に貢献しています。またC社は2017年にD社のグループ傘下に入っており、その点も共同開発がスムーズに進んだ要因といえるでしょう。

苦手分野克服のための問題作成

学習塾を運営するE社では、ソフトウェア開発会社のF社が開発した記憶定着AIアプリで、小中学生の学習をサポートしています。従来のアプリは生徒の自主性に任せる必要があり、一人ひとりの学習状況が見えにくいという問題がありました。また生徒数が多くなれば講師が全員に目を配ることが難しく、学習状況の管理を効率化することも課題でした。そこで記憶定着AIアプリを導入し、生徒の学習状況や苦手分野を分析できるようにしたことで、講師からも生徒への指導がしやすくなりました。この記憶定着AIアプリも全国的にも利用が広がり、4,000件以上の塾や教室で利用されています。

チャットボットによる質問対応の自動化

アメリカのジョージア工科大学では、学生の質問に応対するチャットボット「Jill Watson」が導入されました。アメリカではJill Watson以外にも、さまざまな対話型AIのチャットボットが登場しており、採用する教育機関が増えています。学生から日々寄せられる多くの質問に対し、自然な回答が可能なことから教員の業務負担を大幅に軽減できています。

出席確認の自動化


学習塾や教育機関で導入されている画像認識AIとして、顔認識による出席確認も活用されています。あらかじめ生徒の顔を登録しておくことで、学生のなりすましを防止し、教員による点呼業務の負担を軽減しています。またオンラインでも学生の顔を認識できることから、直接教室に来られない生徒も安心して利用できる点も特徴です。代理出席や代理受験による単位の不正取得も防止でき、教育機関の負担が軽減できるAIシステムとして注目されています。

人材教育はお任せください

今や様々な企業がAIやIT技術を取り入れ、人材の有効活用を進めています。しかし人材を有効活用するには、いかに業務を効率化するかが重要なポイントです。そこで利用したいのがAIですが、 AIの活用にも一定の知識が求められます。 既存の人材を教育し、AI時代をリードする企業を目指すならユーキャンがおすすめです。AIを活用した人材教育プログラムのほか、AIの専門知識を学ぶ機会も提供しています。AIに強い人材教育をお求めなら、ユーキャンの人材教育プログラムをご活用ください。

まとめ

今回はAIが今後の雇用や教育に与える影響、教育面でのAI活用のメリット・デメリットを解説しました。 AIは幅広い業界で導入されており、企業の人材不足が進む日本では救世主になりうる存在です。 紹介したAIの活用例も、現場での悩みを解決するツールとして生み出され、現在は多くの教育現場で支持されています。これからのAI時代に備えて、人材教育で自社の人材を時代に適応できるよう育成しましょう。自社の人材を育て、活用していくなら人材育成の実績が豊富なユーキャンにぜひご相談ください。

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