• 更新日:2023/09/26

心理カウンセラーは、心に不安や悩みを抱えたり、心の不調をきたした人のサポートを行う専門職です。人を助ける仕事に就きたいといった動機から、心理カウンセラーを目指す方も少なくなく、人気の高い職業です。
今の社会は、人間関係や経済状況などが複雑化し、ストレスや不安を抱える人が増加する傾向にあり、さまざまなフィールドで心理カウンセラーが求められています。
この記事では、心理カウンセラーになる方法や心理カウンセリングに関わる資格の種類、資格を取得する方法、心理カウンセラーの仕事内容などを解説します。

このページを簡潔にまとめると・・・

  • 心理カウンセラーは、心に不安や悩みを抱えたり、心の不調をきたした人のサポートを行う専門職。
  • 心理カウンセラーになるには資格取得が有効。
  • 資格取得には、大学や大学院への進学や民間の協会や団体、通信教育の講座で学ぶことが必要。
  • 仕事内容は、教育機関や企業内の相談室などで、悩みを抱えた人の心の不調をサポートすること。

心理カウンセラーとは?

心理カウンセラー(相談員)は、傾聴や来談者中心療法、認知行動療法といったカウンセリングの技法や心理学の知識を用いて、クライエント(相談者)の心の問題や悩みに向き合い、対話などを通じて心理的支援を行うスペシャリストです。

高まる心理カウンセラーのニーズ

心理カウンセラーが活躍する場は、精神科や心療内科などに限らず、さまざまな場所に広がっています。ストレス社会とも言われる現代では、“心の病”一歩手前の悩みや問題を抱える人も少なくありません。そのような人たちが予防としてもカウンセリングを受けられる機会を増やすために、学校、企業、公的機関などの身近な場所でも、心の問題や悩みを相談できる場所が設置されるようになっています。
相談できる場所が増えるのに伴い、心理カウンセラーの拡充も急務となっています。

心理カウンセラーの活躍の場とは?

心理カウンセラーが必要とされるフィールドは、教育、ビジネス、福祉、医療、司法など多岐にわたり、学校、企業、福祉施設、医療機関、民間の相談所などさまざまな場所で活躍しています。心理学の知識に加えて、各分野に応じた専門知識を持つカウンセラーのニーズも高まっています。

治療的カウンセリングと開発的カウンセリング

心理カウンセリングは“心の土台づくり”とも言われ、大きくは、治療的カウンセリング(臨床的カウンセリング)と開発的カウンセリングの2種類にわけられます。


治療的カウンセリング(臨床的カウンセリング)

心の問題が深刻になり、摂食障害やひきこもりといった行動や症状として現れたときに、治療のための支援を行います。基本的に医師などと連携しながら行うため、専門的な知識と訓練が必要です。


開発的カウンセリング

心の不調をそのままにしておくと、睡眠障害やうつの症状、不登校などにつながることも。開発的カウンセリングでは、心の問題が深刻になる前の予防や、心の健康維持・増進を目的としています。開発的カウンセリングに含まれるものに、コーチングやメンタルトレーニングがあげられます。


コーチングとメンタルトレーニング

  • コーチング:
  • 相談者の目標を達成することを目的とした指導法です。成功体験を積みながら、問題を解決する力や自主性を高めます。企業の社員教育に導入されることもあります。
  • メンタルトレーニング:
  • ストレスや緊張をコントロールして、潜在能力を発揮させるための訓練法です。スポーツのパフォーマンスや人生を向上させる目的で活用されています。


心理カウンセラーになるには?

心理カウンセラーを仕事にすることを目指す方は、必要な知識やスキルを習得する方法を知っておくとよいでしょう。

心理カウンセラーになるには資格取得が有効

多くの心理カウンセラーが、心理カウンセリングに関わる何らかの資格を取得しています。資格を取得することで、心理カウンセリングに必要な心理学の基本的な知識と応用力を身につけることができます。また、資格は確かな知識や技術の証明にもなるので、安心してカウンセリングが受けられる心理カウンセラーとして、クライエントからの信頼も得やすくなります。

心理カウンセリングに関わる資格を取得する方法

心理カウンセリングに関わる資格を習得するには、主に次のような方法があります。


大学や大学院に進学する

ひとつは、大学や大学院に通学し、心理学を学ぶ方法です。専門的な幅広い知識とスキルが学べる上に、学科によっては、心理カウンセラーとして働くのに有利な臨床心理士などの受験資格が得られます。一方で、学ぶ期間が数年間に及んだり、通学や多額の費用が必要になったりするなど、社会人の方や家事・育児をしながら学ぶ方には、ハードルが高い面があります。


民間の協会や団体、通信教育の講座で学ぶ

もうひとつは、民間の協会や団体、通信教育の講座を受講し、資格を取得する方法です。臨床心理士などの受験資格を得るのは難しい反面、大学や大学院よりも学習期間や費用の負担はかなり軽減され、心理カウンセリングの知識やスキルを身につけることができます。大学や大学院への通学が難しい方や、将来的に心理カウンセラーを目指すための一歩を踏み出したい方におすすめです。

資格を取得した後は?

現場で経験を積むことが重要になります。先輩カウンセラーのカウンセリングを研究したり、自分が行ったカウンセリングへの指導を先輩から受けたりしながら、スキルを磨きます。
知識のアップデートも大切です。役立つ情報を収集したり、公演会や勉強会に参加したりしながら、スキルアップをはかります。

心理カウンセラーとして活躍するための代表的な資格

「心理カウンセリングを行うために取得すべき資格」というものは制定されていません。しかし、心理カウンセリングに関わる資格は、国家資格から民間の資格まで数多くあります。教育現場や職場など、特定の分野のみを対象とする資格もあれば、公認心理師、臨床心理士といったあらゆる分野で幅広く活動できる資格もあります。ここでは、代表的な4つの資格について紹介します。

公認心理師

公認心理師は、日本初の心理職の国家資格です。2015年9月に公認心理師法が成立し、2017年に公認心理師制度がスタートしました。公認心理師は、専門的知識と技術をもって、「医療・保健」「福祉」「教育」「産業・労働」「司法・犯罪」など幅広い領域の心理的支援に携わります。公認心理師が行う業務は、以下の4つが公認心理師法に定められています。

  • 心理に関する支援を要する者の心理状態の観察、その結果の分析
  • 心理に関する支援を要する者に対する、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助
  • 心理に関する支援を要する者の関係者に対する相談に応じ、助言、指導その他の援助
  • 心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供

公認心理師試験を受験するには受験資格を満たすが必要があります。その一つが、大学と大学院において必要な科目を修了していることです。また、大学で必要な科目を修めて卒業した後、特定の施設で2年以上の心理関連の実務経験があれば受験資格として認められます。もしくは、これら2つと同等以上の知識・技能を有することも受験資格となっていますが、いずれにしても公認心理師試験を受験するには専門的な知識が必要となり、受験のハードルは高いと言えるでしょう。


臨床心理士

内閣府認定の公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する資格です。1988年から認定が開始された、知名度・信頼性・専門性が高い資格で、就職の要件になっている職場も多くあります。臨床心理学に基づく知識や技術を用いて、心の問題に悩む人を支援する心の専門家です。活動領域は教育、医療、司法、福祉、産業など幅広く、学校臨床心理士(スクールカウンセラー)、子育て支援、高齢者支援、犯罪被害者等支援、個人開業の私設臨床心理士など、さまざまな形で活躍しています。

臨床心理士試験を受験するためには、あらかじめ臨床心理士養成に関する指定大学院または専門職大学院の修了を基本モデルとする受験資格の取得が必要となります。


産業カウンセラー

一般社団法人日本産業カウンセラー協会が認定する資格です。産業カウンセラーには1.メンタルヘルス対策への支援 2.キャリア形成への支援 3.職場の人間関係開発や職場環境改善への支援という3つの活動領域があります。主に、企業・団体向けの研修や相談、個人に対する相談などで心の問題をサポートします。

産業カウンセラー資格を取得するためには、試験実施協会が行う養成講座を修了するか、大学院などの指定の専攻を修了し指定科目を修了して受験資格を得ることが必要です。


教育カウンセラー

NPO法人日本教育カウンセラー協会が認定する資格です。「初級」「中級」「上級」の資格区分があります。教育カウンセラーは、カウンセリングの発想や技法を活かして、学級経営や授業、特別活動や生徒指導、家庭訪問や三者面談、進路指導や道徳教育、個人教育プランなどをサポートします。

教育カウンセラー資格を取得するには資格区分ごとに決められた認定要件を満たす必要があります。初級であれば「教育カウンセラー養成講座(または準ずる講座)を修了している」「相談・援助に関係する実践歴が2年以上」などの認定要件があります。

心理カウンセラーを目指すためのおすすめの資格

心理カウンセラーの代表的な資格をご紹介しましたが、指定の養成講座の受講が必須のものや、学歴や実務経験など受験資格が厳しいものもあります。ゼロから心理カウンセリングを勉強したい方にとっては、条件が厳しいと言えるでしょう。そこでおすすめなのが「心理カウンセラー ベーシック」資格です。

「心理カウンセラー ベーシック」資格は、心理カウンセラーを目指すための第一歩となる心理カウンセリングの基礎知識や主要な理論、心理学の基礎知識について身につけたことを証明できる資格です。それだけでなく、家族や友人、職場など身近な方との人間関係や、悩み事に対して、大いに活かすことができる内容を学べるため、心理カウンセリングに興味があり、生活に知識を役立てたい方におすすめです。

「心理カウンセラー ベーシック」資格には、受験資格はなく、どなたでも受験可能です。さらに、試験は在宅で受験できます。ユーキャンの心理カウンセリング講座を受講し、すべての添削課題を提出し、資格試験(修了課題)で70%以上の得点で合格すれば、資格が認定されます。ゼロから心理カウンセリングを勉強してみたいという方はぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

心理カウンセラーに向いている人とは?

心理カウンセラーにはどんな人が向いているのでしょうか?専門知識や資格を持つことと同様に大切な心理カウンセラーの資質について確認してみましょう。

相手に対し受容、共感できる

クライエントと対話するときに、相手をありのままに受け容れ、共感することは、心理カウンセラーの最も重要な資質です。クライエントを一人の人として尊重し、理解することができる寛大で優しい心を持つ人がより向いているといえます。また、受容と共感を相手に伝えるための適切なコミュニケーション能力も必要です。

冷静な判断力

心理カウンセラーには、クライエントの問題を客観的にとらえる冷静な判断力も重要です。このため、相手と自分の感情を混同せず、一定の心理的な距離を保ちます。過度に受け容れ過ぎると、クライエントの問題を客観的に判断できなくなるリスクも。相手の悲しみや怒りに同調して混乱しないよう注意します。

社会との連携ができる

カウンセリングの場面では1対1の対話が基本ですが、心理カウンセラーがすべてを一人で抱え込むものではありません。専門外の知識や技術が必要な場合、他分野の専門家(医療や法律など)と連携することも。クライエント一人一人に応じた適切な支援できるよう、さまざまな職業や立場の人と協力関係を築くことが求められます。

心理カウンセラーの仕事内容

心理カウンセラーが働く多様な現場と、各分野で求められている役割や仕事内容、実際のカウンセリングの流れなどについて説明します。

心理カウンセラーの活躍の場と仕事内容

活躍の場 役割・仕事内容
教育現場 小学校、中学校、高校、大学など 子どもや若い方の心の問題に向き合い、必要に応じて保護者や教師などへ働きかける。
「スクールカウンセラー」として配属も。
職場・企業 企業内の相談室
ハローワーク
職場の人間関係、パワハラ、リストラなど、働く人が抱える悩みや心の不調をサポート。
「産業カウンセラー」「キャリアカウンセラー」など
福祉 児童福祉施設、児童相談所 健全な生活が困難な子どもの心をサポート
高齢者施設 高齢者の心のケア
介護をする家族の相談に対応
医療 精神科、心療内科 患者に対し、医師などと連携して心理療法的なケア・サポートを行う
内科、産婦人科、小児科、整形外科、歯科・口腔外科など 患者の心理的なサポート
家族などの相談にも対応
司法 少年鑑別所、少年院、刑務所、警察署 非行、犯罪などのトラブルを起こした人の心をケアし、社会復帰をサポート
家庭裁判所 離婚等、法律問題に関わる心の問題などに対し、面接や調査などを行いサポート
その他 保健所や保健センター、精神保健福祉センター
個人開業のカウンセリングルーム、いのちの電話など
相談者やクライエントの心理的なケア・サポート

心理カウンセリングの基本的な流れ

実際の心理カウンセリングでは、クライエント一人一人によって進め方が異なるものの、一般的に、ある程度共通した流れがあります。申し込み(面接の予約)、初回面接(インテーク面接と言われます)、カウンセリングの初期・中期・後期、そして終結に向かいます。


初回面接(インテーク面接)

初回面接(インテーク面接)では、クライエントの問題や求めている支援を把握するための情報収集を行います。初回面接でクライエントが納得したら、カウンセリング契約を結びます。


カウンセリングの初期・中期・後期

クライエントの変化や成長に寄り添い、傾聴をベースに、対話を通じて心の支援を行っていきます。治療効果を高めるために、クライエントの状態に合わせて、来談者中心療法や認知行動療法といった心理カウンセリングのさまざまな理論や技法などを組み合わせます。

まとめ

クライエントの心の悩みや問題に寄り添い、解決を支援する心理カウンセラーは、ストレス社会の今、ニーズが高まっている仕事です。
心理カウンセラーとして働くためには、心理学や心理カウンセリングの専門的な知識やスキルが必要となり、多くの方が心理カウンセリングに関わる何らかの資格を取得しています。心理カウンセラーとして活躍できる主な資格には、公認心理師と臨床心理士がありますが、取得には学歴や実務経験などが必要となるため、時間や労力を要し、決して簡単ではありません。

ゼロから心理カウンセリングを学び、将来的に心理カウンセラーになりたいと考えている方は、第一線で活躍する公認心理師の小高千枝先生が監修するユーキャンの心理カウンセリング講座をぜひご活用ください。受講修了で、基本的な知識とスキルを証明する「心理カウンセラー ベーシック」の資格取得も可能です。ユーキャンで、心理カウンセラーになるための一歩を踏み出してみませんか。

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この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

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よくある質問

プロとして活躍するには?

プロの心理カウンセラーとして活躍するには、まず必要な知識と実践力を身につけた後、現場での実務経験が不可欠です。先輩カウンセラーのカウンセリングで研究したり、自分のカウンセリングを指導してもらったりして、スキルを磨きます。

心理カウンセリング理論や心理学は、どんなことを学ぶの?

例えば、カウンセリングの現場で広く使われている「認知行動療法」では、心の問題の原因は「認知のゆがみ」にあると考え、物事の見方や考え方を修正し、行動を変化させ、問題の解決を目指します。

心理カウンセリングの知識は、どんな人に役立つ?

心の悩みを解決して前向きに生きたい方や、心理カウンセリングに興味がある方はもちろん、身につく知識とスキルは、医療や福祉、営業や教育などの仕事で人と関わる方など、幅広いフィールドで活かせます。

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心の悩みや問題を誰かに受容・共感されながら丁寧に聴いてもらうことで、抱えている悩みや問題が軽くなったり解決したりしたという経験は、どなたでも一度はあるのではないでしょうか。
心理カウンセリングとは、傾聴や来談者中心療法、認知行動療法といった専門的な技法や心理学の知識を身につけた心理カウンセラー(相談員)が、クライエント(相談者)の心の問題や悩みに向き合い、対話などを通じて心理的支援を行うこと。心理カウンセラーは、心理的な不安や悩みを抱えたり、心の不調をきたした人のサポートを行うスペシャリストです。
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