• 更新日:2023/09/28

「自分の思い通りに行かないとイライラ…」「家族にだけキレてしまったり…」イライラしたときに、怒りがコントロールできずに「これって病気?」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。怒りの感情は悪いことではありません。しかし、コントロールができずに問題が起きているのであれば、対処したほうがいいでしょう。

この記事では、怒りをコントロールできずに困っている人へ向けて、怒りをコントロールする方法や原因として考えられることなどを紹介します。対処法の一つであるアンガーマネジメントは、すぐに実践可能です。ぜひ参考にしてみてください。

このページを簡潔にまとめると・・・

  • 怒りは誰にでもある感情で、上手に付き合うことが大切。
  • 怒りのコントロールには、体調を整えることや怒りに振り回されないようにすることが重要。
  • アンガーマネジメントは、アメリカで開発された怒りを予防、制御するための心理プログラム。
  • 何を試しても怒りが治まらなくてつらい場合などは、医療機関や専門機関に相談を。

怒りをコントロールできない。これって病気?

イライラすることがあると怒りに支配され、どうにもならずに困っている人も多いのではないでしょうか。なかには、病気かもしれないと悩んでいる人もいるかもしれません。まずは、「怒り」という感情について考えていきましょう。

なぜ怒ってしまうのか、怒りとは何?

怒りは人間の原始的な感情であり、幼い子供から大人までほとんどの人に備わっているものです。自分が受け入れられないようなことに対して、突如怒りが湧き起こることがあります。また、以前あったことを思い出して、徐々に怒りとなることもあるでしょう。

怒りは、自分の理想との差があるとき、相手が自分の希望通りに動いてくれないとき、自分のことを思うように理解してくれないときなどに起こることが多いです。

怒りをコントロールできないことで起こる問題

怒りの感情は自然なことで、それ自体は問題ありません。ただ、過剰なほどの怒りに駆られる、怒りがなかなか引かない、怒りで思わず暴力をふるうなど、行動を支配されるようなことが起こると、さまざまな問題を引き起こします。

そういった怒りは、相手を肉体的、精神的に傷つけ、自身の心身にも悪い影響を与えるでしょう。職場や学校、家庭などで、生活に支障をきたすこともあるかもしれません。

怒りは誰にでもある感情。上手に付き合うことが重要

日常生活に問題が生じるほどの怒りは困りものですが、そもそも怒りは誰にでもある感情です。怒りが起こるということは自然であり、怒らないように努力する必要はありません。それよりも大事なことは、怒りの感情をコントロールし、折り合いをつけ、上手に付き合っていくということです。

怒りを感じているときには、感情をコントロールすることは難しいと感じるかもしれません。しかし、適切な方法で対処していけば、それは不可能ではないのです。

怒りをコントロールする方法

睡眠不足や疲れなどがあると、誰しも怒りやすくなり、感情をコントロールしにくくなります。そのため、睡眠時間を調整し、体調を整えることも怒りをコントロールするための一つの方法です。ここでは、体調ケア以外で怒りをコントロールする方法を説明します。

怒りに振り回されないようにすることが重要

怒りをコントロールするためには、怒りに振り回されないようにすることが重要です。自分の置かれた状況を冷静に判断し、その場でどうすべきかを考えられるといいでしょう。ただ、怒りの感情が湧いているときに、このような行動をとることはとても難しいです。そこで、後述するアンガーマネジメントの手法を試してみるといいでしょう。

物事の見方を変えてみる

怒りの感情は「こうあるべき」という理想と現実の乖離から起こるといわれています。そのため、「こうあるべき」という自分の見方のほうを変えてみてはどうでしょうか。自分の理想が高すぎることにより、怒りっぽくなっているのかもしれません。また、悪いところばかりに注目せずに、良いところにも目を向けてみるといいでしょう。気持ちを怒りから逸らしてみてください。

怒りをコントロールするアンガーマネジメントとは?

上記のように怒りをコントロールするための具体的な手法として、アンガーマネジメントというものがあります。アンガーマネジメントは、アメリカで開発された怒りを予防、制御するための心理プログラムです。アンガーマネジメントを取り入れるべき人は、怒りに関して悩みを持つ人だけではありません。特にそういった悩みがない人でも、ビジネスや育児の場で活用するといいとされています。

アンガーマネジメントを実生活に役立てるためには、自ら学んでトレーニングしなければなりません。日常生活において、アンガーマネジメントを意識した行動を繰り返しとることにより、効果が現れてくるでしょう。アンガーマネジメントの方法は一つだけでなく、たくさんあります。そのなかから自分にあったものを探してみてください。アンガーマネジメントの手法として代表的なものを、以下に紹介します。

6秒我慢する

怒りを感じても、すぐに鎮めようと行動する必要はありません。まずは何も行動せず発言せずに、6秒間だけ我慢してみましょう。突発的な怒りは6秒ほどで治まります。怒りを感じているときに、勢いにまかせて行動や発言をすると、怒りが怒りを呼び、なかなか冷静になることができません。

そのため、怒りのピークの間は何もせずに数だけを数えてみてください。怒りを治めようとすることは難しいですが、何もせずに6秒数えるだけなら行動にうつしやすいでしょう。

深呼吸する

人は、怒りを感じると呼吸が浅くなる傾向があります。そこで、イライラしたときは深呼吸して呼吸を整えてみましょう。深呼吸は医学的にも怒りの鎮静に効果があるのではないかといわれています。深呼吸には副交感神経を高め、心身をリラックスさせるはたらきがあるからです。

イライラを感じたときは、4秒かけて鼻から息を吸い、8秒かけてゆっくりと吐くということを繰り返してみてください。呼吸に集中することにより、怒りから気を逸らせる効果も期待できます。

その場から離れる

自分の目の前に怒りの原因があるときには、そこから離れて、怒りのきっかけとなったもの、もしくは人から離れるようにしましょう。その場に原因があるのにも関わらず、怒りを抑えることは難しいです。まずは状況を変えて、自分の気持ちを落ち着けることを優先してみてください。怒りを引き起こしたものを視界から外すことにより、怒りを治めやすくなります。

その場から離れたときは、怒りの原因となったものや人のことを考えることを一時的にやめてみてください。そのほうが効果を期待できます。

「~べき」という思考を変えてみる

怒りは、「~べき」という自分の理想が思い通りにならないときに起こるといわれています。思うようにうまくいかないとき、期待通りの言動をとってくれなかったときなどに、怒りが爆発してしまうことは多いようです。

しかし、相手側を変えることは大変難しいです。そのため、自分の思考を変えて「~でもいいや」にしてみてください。理想と現実の差が少なくなり、怒りを感じにくくなるでしょう。

価値観の違いと割り切って諦める

自分は正しく、相手がすべて悪いと考えると、相手に対して大きな怒りを感じてしまうことがあります。しかし、どちらが正しくてどちらが悪いということではなく、「価値観に違いがある」と諦めることも大切です。相手が自分の理想と違う言動をとったとしても、悪意があるのではなく価値観の違いからくるものだと考えられれば怒りもコントロールしやすくなります。

相手も自分も悪いわけではなく、ただ単にお互いの価値観が違うということだけであると判断し、ものごとを受け入れてみましょう。

怒りの原因になっていることについてしばらく考えるのをやめる(「今」に集中する)

怒りの原因について考えることをやめて、今目の前にあるもの、耳に入る音、触れているものの感覚に意識を集中してみてください。「今自分は椅子に座っている」「テレビを眺めている」「鳥の声がする」などといった客観的状況だけに集中してみます。これは、心を落ち着けるための瞑想でも使われる手法です。

この方法は、怒りという感情だけではなく、悲しみや嫉妬心など自分にからみつくマイナスの感情から解き放たれることも期待できます。激しい怒りを感じているとき以外にも、モヤモヤと気分が晴れないようなときは積極的に行ってみるといいでしょう。

【参考】アンガーマネジメントを学ぶ方法

アンガーマネジメントの学び方としては、書籍を読んで学ぶ方法と学校や通信講座などを利用して学ぶ方法の2つがあります。書籍を利用して独学で学習すれば、お金はそれほどかかりませんが、効率的に学びたいのであれば学校や通信講座を利用することがおすすめです。なかには、アンガーマネジメントの資格取得を目指すことができる講座もあります。自分にあったものを選びましょう。

通信講座でアンガーマネジメントに関する資格を目指す

仕事や育児で忙しい人は、いつでもどこでも受講できる通信講座で資格取得を目指してみてはどうでしょうか。アンガーマネジメントの資格を在宅受験で取得可能な講座もあります。資格取得までしっかりと学習することにより、ビジネスや育児が楽になるかもしれません。

怒りがおさえられないことに何か原因があるかもしれない場合(例)

怒りは誰にでも起こる感情であり、アンガーマネジメントなどで対処できる可能性があるものです。ただ、以下のような特性や症状、精神疾患が原因の場合は、アンガーマネジメントでも怒りをコントロールすることは難しいかもしれません。もし、このような症状に当てはまる場合、何を試しても怒りが治まらなくてつらい場合などは、医療機関や専門機関に相談してみてください。

癇癪やヒステリー(転換性障害・解離性障害)

強い怒りなどのストレスを感じると、体が無意識に反応してしまうという障害です。怒りにまかせて暴力的な言動をしてしまうというより、ストレスから逃げるために体の感覚が鈍化したり、意識を失ったり、記憶がすっぽりと抜け落ちたりします。怒りのあまりに意識を失うようなことがあれば、このような精神疾患に罹患しているかもしれません。

ADHD

ADHDとは、発達障害のなかの一つであり、注意欠如、多動性障害ともいわれています。注意が散漫で落ち着きがなく、衝動的に行動しやすいというところが特徴的です。ADHDの人は行動や感情をコントロールすることが苦手な人が多く、すぐにカッとなり乱暴な行動をとってしまうこともあります。幼少期に障害の理解を得られないまま成長してしまい、怒りのままに激しい暴力をふるってしまう人もいます。

発達障害

ADHD以外の発達障害も怒りをコントロールすることが難しいといわれています。発達障害の特徴として、気分を切り替えられない、急な予定変更に柔軟に対応できない、他人と意思疎通が苦手というものがあります。そのため、自分の想像と現実との違いに差ができやすく、怒りが起こりやすいのです。また、一度怒りを感じると気分をリセットしにくく、長く怒りを持続させてしまう人も多いでしょう。

非定型うつ病

非定型うつ病には、相手の行動を否定的に解釈したり、ささいなことでも怒りを爆発させたりする症状があります。また、過去の出来事を鮮明に思い出すブラッシュバック発作がある人もいて、昔のできごとなのに、まるで今起きたかのように怒り狂うこともあります。以前とは性格が変わってしまったかのように、怒りっぽくなっているときは、この非定型うつ病かもしれません。

まとめ

激しい怒りを感じると、心身ともに消耗してしまいます。そういうときにはアンガーマネジメントなどのコントロール法を試してみて、怒りに言動を支配されないようにしてみましょう。

アンガーマネジメントを学ぶなら、通信教育を利用してみてはどうでしょうか。ユーキャンでは、日本アンガーマネジメント協会認定のアンガーマネジメントベーシック講座を受講できます。学習から受験まで在宅で行え、質問サービスや指導サポートの延長、Web動画などサポートも充実しています。アンガーマネジメントに興味のある人は、ぜひ受講してみてください。

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この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。

よくある質問

アンガーマネジメントで本当に怒らなくなるの?

アンガーマネジメントのゴールは怒らないようになることではありません。
怒りの感情は、時に必要な感情です。
アンガーマネジメントを学べば、怒りをコントロールできるようになり、
本当に必要な時だけ怒り、あとで後悔してしまうような無駄な怒りを減らすことができます。

感情コントロールが難しいのはなぜ?

感情のコントロールが難しい理由としては、自分を理解できていない、完璧主義である、ネガティブなことを引きずってしまう、ストレスをため込みやすい、などが挙げられます。

アンガーマネジメントのメリットは?

メリットは、怒りに振り回されることなく、怒りを感じたとしても上手に対処することができるようになること。怒りに任せた感情的な発言をしなくなるため、部下の指導や教育の場でも冷静に対応できるようになります。

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アンガーマネジメントとは、怒りと上手に向き合うための心理トレーニングです。1970年代にアメリカで生まれ、現在では、企業研修やストレスの多い医療・介護の現場、子育て中の方など幅広い分野の方が活用しています。日本では延べ170万人がアンガーマネジメントを学んでいます。「短気な性格は治るはずがない」と考えている方でも大丈夫です。アンガーマネジメントを学べば、誰でも怒りをコントロールできるようになり、よりストレスのない幸せな毎日が送れます。
イラッとしたり、カッときたり、怒りの「衝動」に駆られた時は「6秒ルール」が有効です。6秒我慢すれば、人は冷静さを取り戻すことができると言われています。また、怒りの原因を知ることも重要です。実は怒りの原因はあなたの思考の中にあり、「べき」という言葉が大きく関係しています。自分の中の「べき」を洗い出せば、改善の対策が立てやすくなります。自身の怒りの感情が正しい場合でも、「怒らない」という行動を選ぶこともできます。必要な時にだけ怒り、無駄な怒りを排除することができれば、自分のしたいことだけにエネルギーを注ぐことができます。このようにアンガーマネジメントでは、「衝動」「思考」「行動」の3つの側面から怒りの感情をコントロールしていきます。