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2019.02.05

介護の仕事は面白い!東大卒の介護福祉士に聞く、介護職の現実とやりがいとは

介護の仕事は面白い!東大卒の介護福祉士に聞く、介護職の現実とやりがいとは

介護職は、超高齢社会を支える重要な仕事です。しかし、介護職に対して、重労働や低い給与水準などのイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、東京大学を卒業して介護職の道へ進んだ介護福祉士の木場猛さんに、介護職の現実やその面白さ、やりがいについて伺いました。

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介護職を選んだきっかけは、学生時代のアルバイト

介護職を選んだきっかけは、学生時代のアルバイト

東京大学を卒業後、介護福祉士として活躍している木場猛さんは、なぜ介護職を選んだのでしょうか。

「人を助けたいという熱い思いがあって……という理由だったら格好いいのですが(笑)介護職を選んだきっかけは、学生時代に入っていた障害者の方をサポートするサークルです。そのサークルを通じて始めた介護のアルバイトが思いのほか楽しくて、長く続けていました。
卒業後も続けていたんですが、当時は介護の仕事だけでは生計が立てられないと感じていましたね。でも、長く働いているうちに、『介護福祉士』という介護の資格の受験に必要な実務経験がクリアできていたんです。20代後半で『介護福祉士』の資格を取って手当が付くようになり、収入も安定し始めました。介護職を本業にしようと決意したのはその頃ですね」(木場猛さん)

面白いから、介護職を続けられる。忘れられない思い出もたくさん

面白いから、介護職を続けられる。忘れられない思い出もたくさん

木場さんが担当するのは、利用者が自宅で暮らすための支援をする「訪問介護」です。

「介護保険でサービスの種類は決められていて、掃除・洗濯・料理などの家事、食事や入浴・排せつなどの介助、通院のサポートなどを行います。自分が普段の生活でしていることも多いので、コツさえつかめば、仕事を覚えるのはそう難しくないと思います」(木場猛さん)

木場さんはこれまでに、「訪問介護」で少なくとも数百件のお宅を訪問しているのだとか。「人がどんな部屋に住んでいて、どんな暮らしをしているのかを垣間見る、そんな経験ができるのは介護職ならでは」と木場さんは言います。

「利用者の方の生活に触れると、時に自分の常識が覆されることがあります。そういった経験は単純に面白いですし、新しい発見があって刺激的です。忘れられない思い出もたくさんできました」(木場猛さん)

歴史的に価値のあるお話をお聞きすることも

「利用者の方の中には、ビックリするような経験をお持ちの方がいらっしゃいます。例えば、あの三島由紀夫の友人だという方には、歴史的に価値のあるお話をお聞きすることができました。また、貴重なコレクションを持つ方が名品を見せてくださるなど、感激することも多いです」(木場猛さん)

心を尽くして見送る充実感も

「利用者の方とのお別れに接することもあります。ある方の場合は、ご家族が集まってベッドを囲み、訪問看護のスタッフとヘルパーの僕もその場にいて看取ることができました。全員が『自宅で最期を迎えたい』という利用者の方の希望を叶えるチームになって、まるでドラマのワンシーンのように温かな空間でしたね。できることをやりきり、とても清々しい気持ちだったのを覚えています」(木場猛さん)

介護職には、「やりがい」と「プロとしての視点」の両方が必要

介護職には、「やりがい」と「プロとしての視点」の両方が必要

木場さんに「介護職に向いている人とは?」という質問をしたところ、即座に返ってきたのが「人と接するのが好きな人」という答えでした。

「介護職は接客業のようなもの。加齢や病気などで弱っている方に、明るい表情で会話ができるといいですね。利用者の方やそのご家族との人間関係で悩むこともありますが、深刻に受け止め過ぎず会社に相談するなど、臨機応変さも必要です」(木場猛さん)

介護職は、離職率が高いことでも知られています。木場さんによると、介護職を長く続けるためには、「やりがい」と「プロの視点」の両方が必要だそうです。

人を助けることが「やりがい」に

「利用者の方は、明らかに支援を求めている状態です。例えば、車いすに乗っていたら、誰かが押さなければ進まないですよね。それを自分の手で助けられるという分かりやすい実感があり、さらに利用者の方からも感謝してもらえるというのは、介護職の大きな『やりがい』だと思います」(木場猛さん)

個人の感情を抑えて「プロの視点」で

「その反面、『やりがい』だけではできないのが、介護という仕事です。特に『訪問介護』は、他人の目に触れにくいので、個人の資質や判断力が問われます。時に利用者の方のご希望に沿えないこともありますが、その点は介護保険の決め事や会社のルールを守り、個人の感情を抑えて『プロの視点』で対処するのを忘れないことが大切です」(木場猛さん)

「介護の現場=厳しい」というのは現実。その中で資格は強い味方になる

「介護の現場=厳しい」というのは現実。その中で資格は強い味方になる

介護の現場は、「仕事がきつい」「人手が足りない」「待遇が良くない」というのが一般的なイメージ。木場さんも、それは事実だと感じているそうです。

「もちろん、介護職でもきちんと稼げている方はいます。収入アップには資格の取得が大事ですね。できる業務が増え、資格によっては手当も付いて、正社員なら管理職を目指すことも可能です」(木場猛さん)

また、慢性的な人手不足は介護職の大きな問題となっていますが、木場さんは、就職や転職の面ではそれがメリットになり得ると言います。

「介護職の場合、所属する会社が自分に合わなくても、次の職場を探しやすいです。また、子育てなどで離職した後にも復帰がしやすいというのは、安心感につながるでしょう」(木場猛さん)

介護職に興味があるなら、気軽に始めてみてほしい

介護職に興味があるなら、気軽に始めてみてほしい

「介護職に興味はあるけれど、仕事にするには不安がある」という方も多いのではないでしょうか。木場さんはご自身の経験から、「まずは気軽に始めてみてほしい」と言います。

アルバイトやパートから始められる

「一般的に、時給は悪くなくシフトも調整しやすいので、時間に制限のある方でも気軽に働けます。また、給料をもらいながら、『介護福祉士』などの資格の取得に必要な実務経験をクリアすることもできます」(木場猛さん)

管理職や経営者も目指しやすい

「向上心があれば、管理職や経営者も目指しやすいのではないでしょうか。介護業界自体の歴史が比較的浅いので、きちんと制度化された企業は少ないと感じます。僕も、会社に業務改善案を提出して、採用されているプランもありますね」(木場猛さん)

「新しいアイデアは若い人から発信される」と考える木場さんは、折に触れて、福祉系の学生などともコミュニケーションを取っているそうです。

今は現役の介護福祉士として活躍している木場さんですが、これからの夢を聞いたところ、爽やかな笑顔で答えてくれました。

「生産性の高いサービスを提供して利益が出せる、介護に関する会社をいつかつくってみたいですね。これまでの知識や経験も活かせますし、収入面でも充実した働く場所をつくることができればと考えています。
でも、介護職はやっぱり現場が楽しいので、体力の続く限りは、現役の介護福祉士にこだわっていたいですね。介護に興味のある方は、ぜひ仲間になりましょう」(木場猛さん)

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取材協力
木場猛(こばたける)さん
木場猛(こばたける)さん
介護福祉士。東京大学文学部卒業。2001年の在学中から現在まで10年以上、現場の介護職として在宅介護に携わる。介護を続ける中で学んだことは、雨が降ったら傘をさすように困った時には当たり前に支えがある社会づくりの必要性。
 

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