• 更新日:2023/07/06

労働条件や年金などの問題が大きくクローズアップされている昨今、社労士への関心が高まりつつあります。ここでは、社会的な流れを汲み、スキルアップを目指して社会保険労務士(社労士)の資格試験を受けようと考えている方向けに、社労士試験の難易度や試験の概要、勉強方法などについて詳しく紹介しています。

この記事で社労士試験の難易度を理解し、より効率的な勉強方法を身につけることで、スキルアップに役立ててください。

このページを簡潔にまとめると・・・

  • 社労士試験の合格率は約5~7%と低く、難易度は高め。
  • 難易度を他資格と比較すると、FP1級・宅建士・行政書士より高く、税理士・司法書士より易しいとされる。
  • 合格率が低い理由は「試験範囲が非常に広い」「科目合格制度がない」「法改正に都度対応が必要」などが挙げられる。
  • 独学でも合格は目指せるが、ノウハウが詰まった教材・カリキュラムで効率良く対策できる専門学校や通信講座を活用するのが一般的。

社労士試験の難易度

社労士試験は、合格率は約5~7%と低く、試験内容を見ても難易度が高いことでも有名です。具体的には社労士の難易度はFP1級、宅建士、行政書士よりは高く、税理士や司法書士よりは比較的易しいと言われています。

一般的に難易度が高いと言われている国家資格に、「八士業」と呼ばれる資格群があります。「八士業」は資格を得れば独占的な業務に対応できるため独立開業も目指せ、職務上必要と認められれば戸籍や住民票などについての請求権が認められています。メリットが多い分、難易度が高いと言われています。
「八士業」と呼ばれる資格は、弁護士・弁理士・司法書士・行政書士・税理士・土地家屋調査士・海事代理士、そして社会保険労務士(社労士)です。

以下で社労士とそれぞれの資格の難易度を詳しく比較します。

税理士との難易度を比較

税理士試験の難易度は社労士試験よりやや高いです。

税理士試験は、社労士試験と同様、試験科目が多いですが、11科目中5科目に合格すれば資格を取得できます。しかし、税理士試験の場合は、理論ベースの問題と計算ベースの問題が出題され、かなり難易度の高い数学系の問いが出るなど、1科目ごとの難易度は社労士試験より高いです。

ただ、一度合格した科目は翌年の試験で免除されるなど、社労士試験にはない優位性もあります。

行政書士との難易度を比較

行政書士の試験の難易度は、社労士試験よりやや低いです。

行政書士試験では、法律の基礎を中心に、政治経済に関する一般常識なども広く問われます。40文字程度の記述式試験がありますが、基礎的な法律の知識があれば解きやすく、法学について学び始めたばかりの人でもとっつきやすい試験といえるでしょう。

行政書士試験は、社労士試験と同様に、事務系の職に就いている人が取得を志す試験のひとつです。行政書士試験と社労士試験をセットで受験しようと考える人が多いのもそのためでしょう。

中小企業診断士との難易度を比較

中小企業診断士試験は、社労士試験より若干難易度が高くなっています。これは、プレゼンテーション能力を必要とする口述試験が設けられているからです。試験に要する勉強量で比較すると、社労士試験とほぼ同程度といわれます。

中小企業診断士は国家資格で、合格すると経営コンサルタントとして活躍できます。企画や会計、財務などさまざまな仕事と両立しながら受験する人が多いため、受験生のレベルが高く、難関試験のひとつです。

ファイナンシャルプランナーとの難易度を比較

ファイナンシャルプランナー技能士試験最難関である1級の合格率から難易度をはかると、合格率が一桁台の社労士試験の方が難易度がやや上です。

ファイナンシャルプランナー技能士試験は、「ライフプランニングと資金計画」など、その出題内容の一部が社労士試験と重複しています。このため、社労士試験と同時に取得しようとする人が多数いますが、社労士試験のほうがより深い部分まで学習する必要があります。

司法書士との難易度を比較

試験の難易度としては、合格率からも試験内容からも、社労士試験よりかなり高いものといってよいでしょう。法律系の試験の中で、司法試験についで難しいのが司法書士試験といわれています。
司法書士試験を受験しようとするとき、必要となる勉強時間は、3,000時間を超えるといわれていますが、それだけの勉強量にもかかわらず、合格率はわずか3%ほどしかありません。

試験科目が多いといわれる社労士試験と比較しても、さらに科目が多く、択一試験の問題の難易度は司法試験と同レベルだといわれています。

社労士試験の合格率

では、社労士試験の合格率を見ていきましょう。下の表は、令和4年度までの5年間の社労士試験の受験者数、合格者数、合格率をまとめたものです。

年度 受験者数(人) 合格者数(人) 合格率(%)
令和4年度 40,633 2,134 5.3
令和3年度 37,306 2,937 7.9
令和2年度 34,845 2,237 6.4
令和元年度 38,428 2,525 6.6
平成30年度 38,427 2,413 6.3

令和4年は5.3%、令和3年は7.9%と年によって合格率に若干のばらつきはあるものの、過去数年の合格率は平均5~7%の難関資格といえます。

社労士試験の合格率が低い理由

社労士試験の合格率が低い理由のひとつとして考えられるのが、試験科目ごとにも合格基準点が細かく設定されている点です。

社労士試験には、5点満点の選択式と10点満点の択一式あり、選択式では2~3点、択一式では4点の合格基準点が設定されています。

合格基準点に満たないものが1科目でもあれば、合格できません。これは、得意な科目で点数を稼いでも、不得意な科目で基準点に満たなければアウトということです。

合格率が低いふたつめの理由は、受験科目が多い点です。後述しますが、10分野8科目が試験範囲になっています。

社労士試験の内容と合格ライン

次に、社労士試験の内容の詳細と合格ラインについて確かめていきましょう。

社労士試験の内容

社労士試験の内容は、10分野の中から出題されます。10分野は以下の通りです。

  • 労働基準法
  • 労働安全衛生法
  • 労働者災害補償保険法
  • 雇用保険法
  • 労働保険徴収法
  • 労務管理その他の労働に関する一般常識
  • 社会保険に関する一般常識
  • 健康保険法
  • 厚生年金保険法
  • 国民年金法

社労士試験は選択式と択一式2種類の形式で出題されますが、択一試験では上記の10分野から7科目に編成され出題されます。1科目10問ずつ、1問につき1点の配点となっていて、70点満点です。

選択式は8科目から1問ずつ出題、1問につき5点が配点され40点満点です。合わせて110点満点となります。


社労士試験の合格ライン

社労士試験に関しては、選択式と択一式それぞれの総得点に加えて、科目ごとにも合格基準点が細かく定められており、全体で6~7割の得点が必要となります。

救済措置と呼ばれる合格基準点の調整が行われることもありますが、最初からアテにせず、いずれの科目も平均して点数をとれるようになりましょう。

社労士試験合格に必要な勉強時間

社労士試験合格のために要する勉強時間は、1,000時間以上だとされています。
1年間で1,000時間勉強するためには、毎日休まずに2.5時間を勉強に費やしたとして、400日が必要だという計算になります。土日に6~7時間勉強すれば、平日の勉強時間を1時間に短縮できます。

これはあくまでも目安であり、個々人の勉強法などによって異なるものです。

社労士試験は独学で合格できる?

では、社労士試験に独学で合格することは可能なのでしょうか。

独学でも合格できるが難しい

独学で社労士試験に合格することは、もちろん不可能ではありません。しかし、実際には独学で合格することはかなり難しいです。

独学で学ぶためには、教材の選択や試験に応じた効率的な勉強法などをしっかり把握することが大切です。専門学校・通信講座では、教材や勉強方法等が提示されるだけでなく、法改正情報など受験に必要な情報が提供されます。そのため、より効率的に勉強を進めることができます。その意味で、これらをすべて1人で行う独学はなかなか難しいといえるのです。

社労士試験の対策方法

社労士試験の対策方法について、独学よりも専門学校や通信講座を受講して対策していくのが一般的です。
いずれの方法も独学でおこりがちな中途の挫折を少なくでき、また過去のノウハウが詰まった教材で効率的に対策することができます。

まとめ

社労士試験の難易度に関して他の資格試験と比較し、試験の特徴や勉強方法などを詳しく解説しました。試験範囲が広く、合格率が一桁など難易度が高い社労士試験は、独学では合格が難しい資格試験のひとつです。

独学と通学講座のメリットをあわせもつ通信講座で合格を目指すのであれば、すでに30年以上の開講実績があり、受験生の約82%が初学者であるにもかかわらず、合格者の9.8人に1人が利用したユーキャンで学ぶことをおすすめします。
社労士試験の合格に向けて、効率のよい勉強法を検討してみてはどうでしょうか。

生涯学習のユーキャン
この記事の監修者は生涯学習のユーキャン

1954年設立。資格・実用・趣味という3つのカテゴリで多岐に渡る約150講座を展開する通信教育のパイオニア。気軽に始められる学びの手段として、多くの受講生から高い評価を受け、毎年多数の合格者を輩出しています。
近年はウェブ学習支援ツールを拡充し、紙の教材だけでは実現できない受講生サポートが可能に。通信教育の新しい未来を切り拓いていきます。

よくある質問

社労士の将来性は?

社労士は、今後も将来性のある資格といえます。
クラウドやAIの進化により、士業全体の業務が減少する傾向もありますが、働き方改革や雇用の見直しなどで就労環境が変化する中、社会保険や労働関係の専門家である社労士への需要は高まり続けています。

試験に合格したら社会保険労務士を名乗れるのでしょうか?

正式に社労士になるには、社会保険労務士名簿への登録が必要です。登録には、「2年以上の実務経験」もしくは「全国社会保険労務士会連合会が行っている“事務指定講習”を修了」していることが必要となります。

社労士の平均年収は?

社労士の平均年収は500万円程度といわれています。社労士の年収は、働き方などによって大きく変動し、勤務型社労士の場合、平均的な年収は400万円~500万円であるのに対し、独立開業型は年収1,000万円以上を目指すこともできます。

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社会保険労務士(社労士)は、労働問題や年金問題、社会保険のエキスパート。社労士試験には、受験資格があります。次の代表的な受験資格(学歴・実務経験・試験合格・過去受験)のいずれかを満たす必要があります。まずは「学歴」です。1)大学、短大、高専(高等専門学校)等を卒業した方、2)4年制大学で、62単位以上を修得した方又は一般教養科目36単位以上かつ専門教育科目等の単位を加えて合計48単位以上を修得した方、3)修業年限が2年以上、かつ、課程修了に必要とされる総授業時間数が1,700時間(62単位)以上の専修学校の専門課程を修了した方などと定められています。次に「実務経験」における主な要件は、「法人の役員または従業員(いずれも常勤)として、通算3年以上事務に従事した方」などです。また、「試験合格」「過去受験」における主な要件として、行政書士試験や厚生労働大臣が認める国家試験の合格者及び直近の過去3回のいずれかの社労士試験の受験票又は成績(結果)通知書を所持している方などにも受験資格が与えられます。