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書を学ぶ

日常に生きる書体

 日常生活では様々な書や書の意匠を見ることができます。書体で言うと、漢字は篆書(てんしょ)・隷書(れいしょ)・楷書・行書・草書の五つ、それに加えてかなの様々な表現を見ることができます。
 例えばパスポート。表紙には「日本旅行券」と横書きで印刷してあります。その文字は現代風にデザインされたもので、必ずしも正しいものばかりではありませんが、篆書を用いています。
 お札には表と裏に印が印刷されています。表には右上から「総裁之印」、裏には右上下左の順に「発券局長」と、これも篆書体が使われています。実印などにもこの篆書体はよく使われる書体です。
 お札の表の左側には、「日本銀行券」「○○円」「日本銀行」が印刷されていますが、いずれも隷書です。誰でも読めて、しかも装飾性が高いので、店舗の看板や本の題字などでも多く目にすることができます。
 お札の中央下には「国立印刷局製造」、右の人物の下には「福沢諭吉」「樋口一葉」「野口英世」の文字が見えますが、この書体も隷書と言ってよいでしょう。一見楷書のようですが、隷体を用いたところがあります。隷書まじりの楷書とも言えますが。
 「年金手帳」の題字も隷書です。身近なところで隷書は意外と多く使われていますね。
 楷書は例えば新聞活字のようなものを連想していただければ十分理解できるでしょう。履歴書は楷書で書きますね。字形が整っているだけで、書いた人の評価は高まるかもしれません。美しく書きたいですね。
 行書は日常生活で最も使われる書体と言ってよいでしょう。メモなどの走り書き、くずした続け書きなどは行書になります。しかし、その書体の成立は楷書よりも先で、楷書の点画をただ続けただけでは正しい行書になりません。くずし方には点画の省略や変化の方法、続け方の基本的なルールがありますので、まずは基本を学ぶことが大事です。速書きのメモなど、後で読めなくて困ることがないようにしたいですね。

 草書は最も読みづらい書体です。最も省略された書体だからです。日常生活で実用に使われることは少ないですが、老舗の看板や菓子類の商品名などでは時折見かけます。文人の書簡などにも草書体が多く使われていますね。草書体を読むには、やはり偏や旁などの基本的なくずし方を理解して覚えるしかありません。また、理解しづらいくずし方もたくさんありますので、読み書きするには多くの時間が必要になります。
 日常生活には、意匠をこらした様々な書を見ることができます。古いものだけではなく、新しい書的世界も創出されています。身の回りの書の空間や意匠を見る楽しみや余裕を持ちたいですね。

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