DX人材の育成方法とは?ロードマップや課題点・DX人材育成に取り組む企業の事例解説!

  • 公開日:2023.12.28

    更新日:2023.12.28

    企業のDX化が求められていますが、企業ではDX化を実施できる人材が不足しているのが現状です。このため、DX人材育成を社内で行いたいと考える企業が増えています。この記事では、DX人材育成とは何か、DX人材育成のメリット・育成の手順について解説します。DX人材育成に取り組む企業事例も紹介しています。参考にしてください。

DX人材とは?

DX人材の定義

DXとは「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略です。 DX人材とは、DXを推進し実行するために必要なスキルや経験を持ち、デジタル技術を活用して製品やサービス、ビジネスモデルを変革できる人材を指します。
経済産業省は、2020年11月に公表(2022年9月改定)された「デジタルガバナンス・コード2.0」において、DXを以下のように定義しています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」

DX人材についての定義はなされていませんが、「デジタル技術の活用により、製品・サービス・ビジネスモデルを変革し、企業の競合優位性を確立できる人材」と定義していいと思われます。

※引用:デジタルガバナンス・コード2.0|経済産業省(https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc2.pdf

DX人材の不足

企業におけるDX遂行のためにはDX人材が欠かせませんが、多くの企業でDX人材不足が深刻化しています。2018年に経済産業省が公表した「IT人材需給に関する調査  調査報告書」では、2030年には最大78.7万人のDX人材不足が起きると予測されています。

DX人材が不足する理由は、労働人口の減少とDX人材としてのスキル不足です。日本では少子高齢化が問題視されており、出生率が上がらない場合の労働人口は年々減少し続けることが予想されます。

DX人材には、デジタル技術を活用してビジネス・組織を変革できる知識と実践力が求められます。DX人材は転職市場においても不足しており、企業内での育成が必要です。

※参考:IT人材需給に関する調査  調査報告書|経済産業省(https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/houkokusyo.pdf

DX人材を育成するメリット

DX人材の外部採用ではなく、社内育成するメリットは、以下のとおりです。

  • ・自社の業務に合ったDXを推進できる
  • ・各部署を調整・連携させた新しい社内体制が構築できる
  • ・社内にDX化のためのノウハウを蓄積できる

自社に合ったDXを推進できる

自社の業務内容を熟知した人材がDX関連の専門知識を学ぶことで、自社に合うDX化が推進できます。自社のDX化推進のためには、DX化のための自社の課題を見つけ出す必要があり、自社の状況を正確に把握している人材が必要です。

社内にDX人材がいれば、企業のDX化のためのツール・システムなどの変更・導入の際、ベンダーなどの外部の人材との対応などが素早く行え、システムの一貫性が保てます。

新しい社内体制が構築できる

DX化のために新しい社内体制を構築する際にも、社内で育成されたDX人材は必要です。社内のDX化が進む中で、組織変換・配置転換などの新たな社内体制の構築が必要となります。

社内体制構築は、社内の各部署を連携が必要になります。自社の業務内容、各部署の関係性を熟知したDX人材であれば、正しく・速やかに遂行できます。

社内にノウハウを蓄積できる

育成されたDX人材が、新しい事業やプロジェクトに関わることで、知識・ノウハウを社内に蓄積できます。社内でのシステム構築が終了した後も、メンテナンスやシステム変更のためには、DXに関する専門知識・ノウハウが必要です。

ベンダーなどの外部の人材にすべてを任せたプロジェクトの場合、DX知識・ノウハウは社内には残らず、何かある度に外部の人材を頼る必要が生じ、高い経費がかかります。社内のDX人材が関わることで、ノウハウやスキルが蓄積されるのは大きなメリットです。

DX人材育成のための5ステップ

DX人材育成のための5つの基本的なステップについて解説します

  • 1.企業内の全従業員のDXレベルを把握する
  • 2.企業に必要なDX人材像を明確にする
  • 3.DX人材育成のための専任チームを作りプロジェクとして立ち上げる
  • 4.人材育成のための計画を立て育成環境を整える
  • 5.DX人材の育成過程を可視化し全従業員に共有する

1.従業員のDXレベルを把握する

DX人材の育成を始めるにあたり、全従業員のDXスキルのレベルを把握します。 従業員のDXスキルレベルが分かることで、DX人材の育成計画が立てやすくなります。 具体的には、ITスキル・コミュニケーション能力・精神力などを把握すればいいでしょう。

従業員全員に対してアンケート調査・テストなどを実施することで、レベルの把握・可視化ができます。スキルレベルの把握は、従業員が自分の得意不得意を認識でき、モチベーションの上昇につながります。

2.必要なDX人材像を明確にする

自社に必要なDX人材像を明確にし、DX人材育成に必要な教育を決定します。企業に必要なDX人材には、デジタル技術の活用スキル・ビジネススキル・リーダーシップスキル・コミュニケーションスキルなどが求められます。

明確になったDX人材像に近い資質・能力・知識などを保有する従業員の教育から始め、最終的には、全従業員のDX人材育成を目指します。人材は、部門・役職・年齢などに偏りのない、幅広い層から選出しましょう。

3.DX人材育成のための専任チームを作る

社内のDX化を推し進めるために、DX人材育成のための専任チームを作ります。DX人材育成プロジェクトを立ち上げ、プロジェクトのメンバーにはDX人材育成のための業務に専念させましょう。

アンケート・テストなどで把握された従業員のDXレベルを基に、プロジェクトにふさわしい人材を集めます。デジタル技術の活用スキル・ビジネススキル・リーダーシップスキル・コミュニケーションスキルなどを保有する人材を社内から幅広く集めましょう。

4.人材育成のための計画を立てる

DX人材育成の最終目標を明確にし、育成計画を立てましょう。育成する対象者を確定し、育成のための環境を整えます。ITに関する基礎知識・デジタルスキルの学習のために、研修・eラーニング・資格取得のサポート体制などを整備するとよいでしょう。

DX人材育成には、アジャイル開発の手法が向いているといわれています。大きなプロジェクトをいきなり開始せず、小さなプロジェクトを段階的に実践します。成功体験が得やすく、モチベーション継続につながります。

5.DX人材の育成過程を可視化し共有する

DX人材の育成過程を可視化し全従業員に共有することで、社内での理解とモチベーション向上につながります。DX人材の育成の過程を情報公開することで、従業員の意識が高まり、DX人材育成が全社的な取り組みとなり得ます。

DX人材の育成を開始する際に目的を伝え、育成中の過程も可視化して共有します。共有することで、DX人材を目指したいと考える従業員が出てくる可能性があり、企業全体のデジタルリテラシーの向上につながります。

DX人材を育成する際の課題と注意点

DX人材を育成する際の課題と注意すべき点は以下のとおりです。

  • ・DX人材育成のためにはITスキルとビジネススキルの習得が必要
  • ・IT技術の進歩は速く最新の知識・技術への更新が必要
  • ・DX人材育成の成果工場は実務への適用・活用が必須

ITスキルだけでなくビジネススキルの習得が必要

DX人材の育成は、IT技術だけでなく、ビジネススキルも習得する必要があります。 DX人材として求められているのは、保有するITスキルを活用し企業のビジネスを変革できるスキルです。組織・体制の構築・業務改善を推し進められる人材が必要です。

最新の知識・技術への更新が必要

IT技術の進化は速いため、継続的に知識・技術を更新していく必要があります。社外のコミュニティへの参加・SNSの活用などにより、常に新しい情報を学べるようにしておきましょう。

DX人材育成後の実務への適用・活用が重要

DX人材育成のための学習後は、得られた知識・スキルを実務に適用・活用することが重要です。身につけた知識・スキルは実践することで、完全なスキルとして身につきます。獲得したスキルを評価に合う人材配置を心がけましょう。

DX人材の育成に取り組む企業の事例5選

DX人材の育成に取り組む企業例を5つ紹介し、解説します。

  • ・従業員研修を重視しAIリテラシー向上を目指した事例
  • ・全従業員のDXリテラシーの底上げを目指した事例
  • ・経営層を含む従業員のデジタルリテラシー向上を目指した事例
  • ・全従業員へのe-learningを実施した事例
  • ・デジタル技術で新規ビジネス創出する独自研修を始めた事例

新入社員の従業員研修を重視した空調機械製造業の事例

大阪にある大手空調機械製造企業は、新入社員の従業員研修を重視したDX人材の育成に取り組んでいます。新入社員のうちから、基礎的なデジタル知識を身につけ、日々進歩するデジタル技術に対応させることが目的です。新入社員のうち希望者100人は、通常業務は行わず、2年間研修に専念できます。

2017年には、大阪大学の協力を得て企業内大学を創設しました。数学などの基礎知識・プログラミング・機械学習・AI応用までの知識が学べます。新入社員対象の講座、選抜された従業員対象の講座が実施され、全従業員に対してもAIリテラシー向上のための講座が実施されています。

DXリテラシーの底上げを実施した食料品製造業の事例

ソフトドリンクなどを製造する食品製造業では、従業員のDXリテラシーを底上げするために、独自のDX人材育成プログラムを実践しています。2021年には、DX人材育成プログラムをDX道場という名で開校し、初級(白帯)・中級(黒帯)・上級(師範)の3種類のコースを用意しました。スキルレベルを分け、段階的に学習できるようになっています。

DX道場では、「ビジネスアーキテクト」を育てるためのプログラムを行っています。 現場で起きている課題に気づき、その解決策を発想し、データサイエンティストと協力して実際に解決できるような人材の育成が目標です。

経営層を含む従業員のデジタルリテラシーの向上を目指した道路貨物運送業の事例

宅配など各種輸送に関わる道路貨物運送業では、全従業員のデジタルリテラシーの向上と、デジタル人材の育成を早期に達成することを目的としたデジタル教育プログラムを2021年度より実施しています。プログラムは、全従業員向けカリキュラム・経営層向けカリキュラム・DX育成カリキュラムの3つが実行されています。

全従業員向けカリキュラムでは、各部門のリーダーは基礎的なDX研修を受講し、各スタッフはデジタル技術活用のための研修を受講します。経営層向けカリキュラムでは、経営プログラム習得のためのDXに必要な経営資源の分析などを研修します。DX育成カリキュラムでは、ITスキルを含む複数の研修を受講します。

全従業員へのe-learningを実施した空港運営会社の事例

愛知県にある空港運営会社では、 2023年基礎ステップとして、全従業員約1000人に対してe-learningを実施しました。 全従業員がデジタル技術を活用し、課題解決・業務プロセスの変革実践を可能にする人材育成を目的としています。基礎ステップ終了後、全従業員の中から100~200人の社員を選抜し、応用ステップを実施する予定です。

応用ステップでは、実務につながるスキルの実践を目指す育成プログラムに取り組み、業務改善・顧客サービスの向上などを推進できる体制づくりを目指します。2030年までに、デジタル技術を活用した空港運用・お客様サービス・社内の業務プロセスや働き方の変革などを目指しています。

次世代リーダー候補のための独自研修を始めた卸売企業の事例

機械工具などの工業用副資材の卸売企業では、デジタル戦略強化を図るために、次世代リーダー候補のための独自研修を始めました。物流のデジタル化・組織内でのデータの活用などの取り組みを推し進め、2020年にはデジタル推進部を設立し、「DXグランプリ」を受賞しています。

システムベンダーである他社の従業員と共に、デジタル技術活用による新規ビジネスを創出するという研修を実施しました。デジタル戦略本部は、オンライン学習・資格取得に向けた学びを実施し、従業員が学べる環境の整備に力を入れています。全従業員がデジタル活用できる体制づくりのため、DX関連知識とスキルを持つ人材が各支店に配置されています。

まとめ

さまざまな業種や分野で、DX化が求められる一方、企業におけるDX人材が不足するという現状に直面しています。デジタル技術を活用し、自社の競争力を高めていくためには、DX人材育成が重要な課題となっています。 自社でDX人材を育成することで、自社に合ったDXを推進し、新しい社内体制が構築できます。 DX人材は、ITスキルとビジネススキルを身につけ、真のDX化を推進しなければなりません。

ユーキャンの法人向け人材教育サービスは、5,000社以上の法人との取引実績があります。丁寧なヒアリングで課題を抽出し、お客さまの課題にフィットするご提案をいたします。DX人材育成に関するさまざまな講座や研修を実施していますので、ユーキャンの法人向け人材教育サービスをぜひご活用ください。

お気軽にお問合わせください

ページトップに戻る